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第 3 章 地域公共交通の現状及び市民の移動実態

3   市民の移動実態

⑴  移動実態調査の概要 

本計画の策定に当たり、市民の移動実態及び公共交通に対する意識を把握するためのアン ケート調査(以下「移動実態調査」という。)を実施しました。日常の主な移動先を把握し、

上位計画で示されている拠点となり得る地点を導出しました。

移動実態調査の概要 調査対象:

配布数:

配布・回収方法:

調査期間: 有効回収数:

分析対象:

満15歳以上(平成26年4月1日現在)の松本市及び山形村在住者 10,000世帯

郵送により配布・回収

平成26年11月27日〜12月20日

ただし、調査期間終了後にも返送があった回答については有効票として扱った。

2,748世帯(有効回収率27.5%)  ※1世帯あたり4人まで回答できるものとした。

5,485人、11,244トリップ

⑵  移動実態調査の結果  ア  交通分担率と交通不便者 

・市民の移動の72パーセントが自家用車等に依存

・回答者の19パーセントは交通不便者

図表 32  交通分担率と交通不便者 

 

   

■代表交通手段の分担率  ■交通不便者の割合 

用語 定義

交通不便者 自分が自由に使用できる 移動手段を持たない者 非不便者 交通不便者以外の者

32 イ  市民の日常的な移動先と時間 

市民の移動を通勤・通学と通院・買物等の移動に分けて分析しました。 

 

(ア) 通勤・通学における移動先 

図表 33  主な目的地

集客地点名(仮称) 

中心市街地エリア 

信大・信州大学附属病院付近  市街地西部エリア 

市街地南部エリア 

エクセラン・松本工業高付近  庄内・筑摩エリア 

国道 19 号沿線平田駅付近  野溝木工付近 

大久保工場団地付近  10  臨空工業団地付近 

通勤・通学における移動先として、松本駅前から信州大学周辺にかけての中心市街地が最 も多く見られます。その他、JR篠ノ井線沿線に沿って南部に通勤・通学者が多いことがわ かります。また、野溝木工、大久保工場団地、臨空工業団地などの工場集積地への通勤が見 られます。

   

33 (イ) 通勤・通学の移動時間 

 

図表 34  通勤・通学時間のピーク

通勤・通学時間のピークを見ると、行きは6時から10時の間に移動が集中しており、

81.0パーセントがこの時間帯に移動しています。

帰宅については、通勤、通学ともに15時頃から移動が増加します。通学は16から 17時に、通勤は18から19時にピークを迎えます。16時から20時の間に通学で 75.9パーセント、通勤で65.1パーセントの移動が集中しています。その後21時 頃より移動量は急速に減少します。6時からの累積で、20時までに82.1パーセント、

21時までに90.7パーセント、22時までに95.5パーセントが帰宅しています。

 

   

0 100 200 300 400 500 600 700 800 900 1,000

通勤(往) 通学(往) 通勤(復) 通学(復)

(人)

※行きは到着時刻、帰宅は出発時刻にて算出

34 (ウ) 通院・買物等における移動先 

図表 35  主な目的地

集客地点名 

松本城北部  11  笹部・島立  21  イオンタウン山形付近  横田・信州大学附属病院付近  12  ユー・パレット付近  22  山形村役場付近  松本城付近  13  コモ庄内付近  23  アイシティ 21 付近  カタクラモール付近  14  ツルヤ並柳店付近  24  波田駅付近  JR 松本駅付近  15  デリシア寿店付近  25  倭公園付近 

あがたの森公園付近  16  JR 平田駅付近  26  なぎさライフサイト付近  デリシア桐店付近  17  JR 村井駅付近  27  JR 島内駅付近 

水汲、浅間温泉付近  18  JR 南松本駅付近  28  大庭駅付近 

信州大学付近  19  デリシア石芝店付近  ‑  ‑ 

10  デリシア 2 惣社店付近  20  芳川公園付近  ‑  ‑ 

通院・買物等の移動においては、スーパーや病院などの施設が立地している地点に移動需 要が見られます。これらの地点を集客地点と呼びます。集客地点は、本計画における生活拠 点となり得る地点です。

35 a  集客地点のタイプ分け

集客地点に移動している人々の分布(集客範囲)を分析します。集客地点は、立地す る施設と集客範囲から3つのタイプに分けられます。

(a) タイプ1:中心地タイプ 

鉄道駅が立地しており、交通拠点として機能しています。広い集客範囲を持つのが 特長です。

タイプ1(中心地タイプ)に分類される集客地点 

JR松本駅付近/JR南松本駅付近/波田駅付近/JR村井駅付近/JR平田駅付近

図表 36  タイプ1(中心地タイプ)の集客範囲

集客範囲は広い 

JR松本駅付近

JR村井駅付近

36   (b) タイプ2:大規模生活拠点 

集客力の高い施設があり、比較的広範囲から人々が集まっています。

 

タイプ2(大規模生活拠点)に分類される集客地点 

横田・信州大学附属病院付近/松本城付近/カタクラモール付近/デリシア桐店付近/ 

デリシア2惣社店付近/コモ庄内付近/ツルヤ並柳店付近/アイシティ21付近/倭公園付近/ 

なぎさライフサイト付近   

図表 37  タイプ2(大規模生活拠点)の集客範囲

集客範囲は広い 

コモ庄内付近

アイシティ21付近

37 (c) タイプ3:小規模生活拠点 

徒歩、自転車で移動可能な地域のスーパーなどが立地しています。集客範囲は比較 的狭く、大規模生活拠点よりも集客力が低くなっています。

タイプ3(小規模生活拠点)に分類される集客地点 

松本城北部/あがたの森公園付近/水汲、浅間温泉付近/信州大学付近/笹部・島立/ 

ユー・パレット付近/デリシア寿店付近/デリシア石芝店付近/芳川公園付近/ 

イオンタウン山形付近/山形村役場付近/JR島内駅付近/大庭駅付近 

図表 38  タイプ3(小規模生活拠点)の集客範囲

                         

   

集客範囲は狭い 

笹部・島立付近

デリシア寿店付近

38 b  生活圏の重なり 

また、それぞれの集客地点の集客範囲は互いに重なり合っていることがわかりました。

つまり、市民の生活圏は、複雑に入り組み合っている状態であるといえます。集約型都 市構造を目指すには、人々の移動を集約し、コンパクトにしていかなければなりません。

したがって、地域公共交通の整備によって、重なり合った生活圏をいずれかの拠点に政 策的に誘導することが必要であるといえます。

図表 39  [参考]生活圏の重なりの様子

 

   

集客地点の集客範囲は相互に重なり合っている 

39

(エ) 集客地点と既存路線との比較による生活拠点の具体化 

調査から導出された集客地点から交通拠点及び生活拠点を導出するための検討を行い ます。図表 40をみると、集客地点へは概ね鉄道やアルピコ交通路線バスや西部地域コミ ュニティバス等が既に運行していることがわかります。

図表 40  集客地点と現行路線の整備状況

   

   

   

40 (オ) 集客地点と路線のあり方の検討 

a  市街地北部地域 

市街地北部では、デリシア桐店や信州大学付近、水汲、浅間温泉付近に集客地点が見 られます。この地域には、浅間線、四賀線、三才山線、鹿教湯温泉線等が運行していま すが、追分交差点付近に路線が集中しています。このことから追分交差点付近を交通拠 点として整理することが考えられます。

b  市街地東部地域 

市街地東部では、デリシア2惣社店付近が集客地点として見られます。また、中心市 街地内ですが、カタクラモール付近にも大きな需要があります。カタクラモールは現在 閉店していますが、今後イオンモールの開業が予定されており、大きな需要が見込まれ ます。

路線の運行状況としては、美ヶ原温泉線がデリシア2惣社店前を通って高密度で運行 しており、惣社で入山辺線が分岐しています。

このことから、美ヶ原温泉線を幹線とした路線の階層化が考えられます。

c  市街地南東部地域 

市街地南東部では、JR篠ノ井線が軸となっており、南松本駅、平田駅及び村井駅が 交通拠点となります。地域の北部では、コモ庄内、ユー・パレット、ツルヤ並柳店等に 集客地点が見られます。これらの集客地点が生活拠点となっていると考えられることか ら、この中から交通拠点を位置付け、地域を運行する公共交通を結節することが考えら れます。地域の南部を見るとデリシア寿店が集客地点として導出され、生活拠点となっ ています。デリシア寿店付近にある「寿台東口」からは、運行密度の高い寿台線から、

松原線、内田線が分かれていることから、寿台東口は交通拠点にもなり得ます。

d  市街地西部地域 

市街地西部地域では、JR篠ノ井線、大糸線とアルピコ交通上高地線(鉄道)、空港・

朝日線及び山形線(バス路線)が松本駅から放射状に運行し、それらを横につなぐよう に西部地域コミュニティバスが運行しています。集客地点のほとんどは、いずれかの路 線上に位置しており、現行の路線で中心市街地までアクセスが確保されています。

なぎさライフサイトへは、タウンスニーカー西コースが松本駅から運行していますが、

片回りの循環路線のため、なぎさライフサイトを交通拠点とするためには、松本駅との 連携の強化が必要です。

 

41 ウ  中心市街地内の目的地 

休日に中心市街地でよく訪れる場所について複数回答で聞いたところ、図表 41のような 結果が見られました。井上、アリオ、パルコ及びカタクラモールといった商業施設が立地す る場所への移動が見られます。

全体的な傾向としては、あがたの森通りから松本城までのエリアに移動が集中しています。

休日の賑わいを創出する中心市街地の中でも、まずは、このエリアの公共交通を優先的に整 備することが必要です。

図表 41  中心市街地でよく訪れる場所

   

 

[複数回答]

あがたの森公園 松本城

東松本ショッピングセンター 市立中央図書館

パルコ

井上 アリオ

カタクラモール

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