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第 3 章 事業計画書

3.1 事業計画

3.1.2 インフラ・システム設計

表 2.1.12 現地ニーズに対するソリューションの提案

ニーズ ソリューション 備考

1) 電力需給の逼迫

ピーカー・サービス

発電事業者(IPP等)において、電力小売 価格が低い時間帯に風力電力を蓄電し、価 格が高くなるピークタイムにこれを販売 して差益を得るもの。太陽光発電(PV)

が利用可能な場合は、日発電パターンの異 なる風力と PV を蓄電して収益性を高め る。

ディーゼル発電代替サービス

電力供給制限時に工場等の需要家に電力 供給を行うことにより、ディーゼル発電代 替として機能する。

 ビーカー・サービスは現 行制度下で事業化可能。

 ディーゼル発電代替サ ービスは、現行の電力取 引市場(IEX等)を通じ て行うことが考えられ る。

2) 豊 富 な 再 生 可 能 エネルギー資源

発電抑制収益化サービス

発電量が送電線容量を超えた場合に行わ れる発電抑制分の電力を、発電カットせず に蓄電し、送電線に余裕ができる時間帯に 販売して収益源として活用する。

UI最適化サービス

電力供給量がスケジュール量を下回った 場合に課されるペナルティーを減少させ、

または上回った場合に受け取るインセン ティブを増大させ、発電者の収益増大を図 る。導入先の条件によっては、ピーカー・

サービスと組み合わせて収益性を高める。

周波数制御サービス

系統運用者の発するシグナル(電力注入要 請)に従って、周波数制御のための電力を 供給する。

 発電抑制収益化サービ スは現行制度下で事業 化可能。

 UI最適化サービスは、現 状ではUIメカニズムが 風力発電等のRE発電事 業者には適用されてい ないので、UIメカニズム 又は同様の規制がREに 対して導入されること が事業化の前提となる。

 周波数制御サービスは、

現状ではアンシラリ ー・サービス市場が形成 されていないため、直ち に事業化することはで きない。同市場の形成が 事業化の前提となる。

3) 系統運用

出所:三菱総合研究所

電力自由化の進むインド国においては、電気事業は、「エネルギー・サービス市場」と「アンシラ リー・サービス市場」に分けて考えることが適当である13

インド国においてアンシラリー・サービスは萌芽期にあり、現時点でまだ存在しないが、電力自由 化と発送配電分離が積極的に進められているインド国においては将来大きな市場として現出する可 能性が大きいため、ここでは潜在市場として推計した。

(1) エネルギー・サービス市場

国際エネルギー機関(IEA)は、再生可能エネルギー(RE)を水力発電、バイオ・エネルギー発電

(バイオマス/廃棄物発電)、風力発電(陸上及び洋上)、地熱発電、太陽光発電(PV)、集光型太陽 熱発電(CSP)、海洋発電に分類しているところ、エネルギー貯蔵システム(ESS)による対象が必要 となるREは、これらのうち出力が不安定な、風力発電並びに太陽光発電及び太陽熱発電(以下、「不

安定RE」という。)である14

本調査では、コインバトルに立地するタタ電力のPoolavadi風力発電所(出力100 MW)をモデル ケースとして、シミュレーション結果を基づいて設定した、出力5 MW/時間容量6時間(30 MWh)

のNaS電池と出力5 MW/時間容量0.25時間(1.25 MWh)のLiBで構成されたハイブリッドESSを 基本単位として考えることとし、不安定RE出力100 MWに対して定格出力5MW(5%)のESSを導 入するものと仮定して、現在のエネルギー・サービス市場規模を算出した。

その結果、エネルギー・サービス市場規模が、ESSの単位である5 MW以上となる州は、図 2.1.23 に示す20州存在することがわかった。これらの中でも、タミル・ナドゥ州(市場規模〔以下同じ〕

404 MW)、マハラシュトラ州(282 MW)、グジャラート州(222 MW)、カルナタカ州(199 MW)、

ラジャスタン州(182 MW)、アンドラ・プラデシュ州(77 MW)、合計 1.4 GW、インド国全体のエ ネルギー・サービス市場(1.6 GW)の87%を占める15

図 2.1.22タタ電力Poolavadi発電所

13 エネルギー・サービス及びアンシラリー・サービスについてはP. 38の囲み記事参照

14 CEAのRE分類に小規模水力発電及びバイオ・エネルギー発電等を含むが、現状においては風力

発電と太陽光発電が支配的なので、不安定REとCEA分類のREは不安定REに等しいと看做した。

15 インド国全体の不安定REは32 GW(2015年1月、CEA)。その5%相当する市場規模は1.6 GW

略号)AP州:アンドラ・プラデシュ州;AR州:アルナチャル・プラデシュ州;BR州:ビハール州;CT州:チャッティースガル 州;GA州:ゴア州;GJ州:グジャラート州;HP州:ヒマーチャル・プラデシュ州;HR州:ハリヤナ州;JK州:ジャンムー・カ シミール州;KA州:カルナタカ州;KL州:ケララ州; MH州:マハラシュトラ州;MP州:マディア・プラデシュ州;OR州:

オディシャ州;PB州:パンジャブ州;RJ州:ラジャスタン州;TN州:タミル・ナドゥ州;UP州:ウッタル・プラデシュ州;UT 州:ウッタラカンド州;WB州:西ベンガル州

出所:CEA Monthly Report (Jan 15, 2015)に基づき三菱総合研究所試算

図 2.1.23 ESSエネルギー・サービス市場(市場規模5 MW以上の州)

(2) 周波数制御サービス市場(潜在市場)

1) 市場成立の前提

周波数制御サービス(FSAS)は、アンシラリー・サービスの中でもESSにとって最も有望な市場 の一つであるが、前述したようにインド国においてアンシラリー・サービスは成立していないので、

現時点で市場は存在しない。そこで、ここでは現時点における潜在市場規模を示す。

2) 潜在市場規模

CERCのスタッフ・ペーパー16は、インド国におけるFSASの容量は、対象とする電力系統におけ る最大需用電力(ピーク電力需要)の2 - 3%程度を取る必要があると推計している。

現状(2013年度)における各州のピーク電力需要は図 2.1.24(左軸)に示すとおりであり、いま、

FSAS容量をピーク電力需要の2%と仮定すると、FSAS市場規模は同図の右軸に示すとおりとなる。

図より明らかなように、ピーク電力需要が概ね5 GW以上の12州が上位グループを形成している ことから、これら12州を対象としたFSAS潜在市場は、合計で2.6 GWである(表 2.1.13)。

0 50 100 150 200 250 300 350 400 450

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9

RJ州 UP州 HP州 PB州 UT州 JK州 HR州 MH州 GJ州 MP州 CT州 GA州 TN州 KA州 AP州 KL州 WB州 OR州 BR州 AR州

北地域 西地域 南地域 東地域 北

エネルギー・サービス市場(MW)

不安定RE容量(GW)

略号)AN-UT:アンダマン・ニコバル諸島連邦直轄領;AP州:アンドラ・プラデシュ州;AR州:アルナチャル・プラデシュ州;

AS州:アッサム州;BR州:ビハール州;CH-UT:チャンディガル連邦直轄領;CT州:チャッティースガル州;DD-UT:ダマン・

ディウ連邦直轄領;DL-UT:デリー連邦直轄領;DN-UT:ダドラ及びナガル・ハヴェリ連邦直轄領;DVC:ダモダル渓谷会社;GA 州:ゴア州;GJ州:グジャラート州;HP州:ヒマーチャル・プラデシュ州;HR州:ハリヤナ州;JH州:ジャールカンド州;JK 州:ジャンムー・カシミール州;KA州:カルナタカ州;KL州:ケララ州;LD-UT:ラクシャディープ連邦直轄領;MH州:マハ ラシュトラ州;ML州:メガラヤ州;MN州:マニプール州;MP州:マディア・プラデシュ州;MZ州:ミゾラム州;NL州:ナガ ランド州;OR州:オディシャ州;PB州:パンジャブ州;PY-UT:プドゥチェリ連邦直轄領;RJ州:ラジャスタン州;SK州:シッ キム州;TN州:タミル・ナドゥ州;TR州:トリプラ州;UP州:ウッタル・プラデシュ州;UT州:ウッタラカンド州;WB州:

西ベンガル州

出所:CEAデータより三菱総合研究所試算

図 2.1.24 州別ピーク電力需給及びFSAS潜在市場(2013年度)

2.1.13 ピーク電力需要5GW以上の州のFSAS潜在市場(2013年度)

地域 州 ピーク電力需要(MW) 周波数制御潜在市場(MW)

北地域

ウッタル・プラデシュ州 13,089 262

パンジャブ州 10,089 202

ラジャスタン州 10,047 201

ハリヤナ州 8,114 162

デリー連邦直轄領 6,035 121

西地域

マハラシュトラ州 19,276 386

グジャラート州 12,201 244

マディア・プラデシュ州 9,716 194 南地域

アンドラ・プラデシュ州 14,072 281

タミル・ナドゥ州 13,522 270

カルナタカ州 9,940 199

東地域 西ベンガル州 7,325 147

上記12州合計 133,426 2,669

出所:CEAデータに基づき三菱総合研究所試算

0 50 100 150 200 250 300 350 400

0 3 5 8 10 13 15 18 20

UP州 PB州 RJ州 HR州 DL-UT JK州 UT州 HP州 CH-UT MH州 GJ州 MP州 CT州 DN-UT GA州 DD-UT AP州 TN州 KA州 KL州 PY-UT LD-UT WB州 OR州 DVC BR州 JH州 SK州 AN-UT AS州 ML州 TR州 MN州 AR州 NL州 MZ州

北地域 西地域 南地域 東地域 北東地域

周波数制御サービス潜在市場(MW)

ピーク電力需要量(GW)

3) 参考: アンシラリー・サービスについて

アンシラリー・サービスとは、「電力系統の需給バランスと適正周波数の維持を確保するため に一般電気事業者が行っている瞬時瞬時の出力調整。電気には、需要と供給が均衡しない場合に 周波数が変動するという特性があり、この周波数変動を発電出力調整により是正し電力の品質を 維持する」サービスを指す17

アンシラリー・サービス、周波数制御、予備力、電圧制御、ブラックスタート等に分類するこ とが多い(表 2.1.14)インド国におけるアンシラリー・サービスの導入はまだ検討の段階である が、同国は電力自由化を積極的に進めており、CERC内部でもアンシラリー・サービス導入に向 けた検討が進められている18

インド国において活発化する電力市場(「市場の成長」)の活用を考慮すると、電力市場、周波 数制御サービス(FSAS)と予備力サービス有望と考えられる(同表「市場調達」)ところ、短周 期変動対応に適するなどの蓄電池ESS の強み 19や、サービス単価が比較的高く事業収益性の点 から有利であることから、本調査ではFSASを対象としてビジネスモデルの検討を行った。実際、

米国を代表する地域送電機関(RTO)である PJM での取引価格を見ると、予備力サービスが十 数 $/MW*h程度であるのに対し、FSASは30 $/MW*h以上で取引されており20、倍以上の単価 であることがわかる。

但し、電気料金が低く抑えられているインド国においては、FSAS導入の価格インパクトを抑 える必要があると考えられることから、より低い価格でのサービス提供の検討も必要となる。

表 2.1.14 欧米の主なアンシラリー・サービスの概要

分類 具体例 内容 市場調達

周波数制御

・ガバナ制御

・AGC(AFC)

・負荷追従

・周波数応答

・レギュレーション

・時差調整

需要想定誤差や負荷変動に対し、系統周波 数の調整や連系 系統間の連系線潮流を規 定値内に保つための出力調整

予備力

(有効電力制御)

・瞬動予備力

・運転予備力

・待機予備力

・バックアップサービス

発電機の事故等による需給インバランスを

解消するための出 力調整

電圧制御

(無効電力制御)

・無効電力補償

・電圧制御

系統電圧を維持するために発電機や調相設

備からの無効電 力供給や電圧制御 ブラックスタート 広範囲な停電時の系統復旧のために単独で

発電機を起動し 運転

○:比較的市場化しやすい(市場調達が可能なサービス)

△:比較的市場化しにくい(市場調達があまり適切でないサービス)

出所:「当協議会に関する中・長期業務関連勉強会最終とりまとめ[資料編]」、平成183月、ESCJ

17 「電気事業事典」(電気事業講座2008別巻)、株式会社エネルギーフォーラム

18 Staff paper on “Introduction of Ancillary Services in Indian Electricity Market” Apr. 2013 CERC

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