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放射線

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第 2 章 放射性物質と放射線 9

2.4 放射線

2.4 放射線 23

24 第2章 放射性物質と放射線

アルファ線

ベータ線

ガンマ線

薄いアルミ板

厚い鉛板

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2.7 アルファ線、ベータ

線、ガンマ線が遮蔽される様 子。アルファ線は紙1枚で、ベ ータ線は薄いアルミ板で、ガ ンマ線は厚い鉛板で止められ る。

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アルファ線

ベータ線

ガンマ線

2.7 アルファ線、ベータ線、ガンマ線がしゃへい遮 蔽される様子。アルファ線は 1枚で、ベータ線は薄いアルミ板で、ガンマ線は厚い鉛板で止められる。

子)が物質に入ったとき、放射線が通った道に沿って、多くの分子が電離され*25

■放射線の種類 原子核から飛び出してくる粒子の種類に応じて、放射線にも いろいろな種類がある。以下では、もっとも大事なアルファ線、ベータ線、ガ ンマ線について簡単に説明しておこう(表 2.2を参照)。他にも、もちろん、

様々な放射線が知られている。たとえば、中性子がそのまま飛んでくる放射線 があり、(そのまんまのネーミングだけど)中性子線と呼ばれている*26

アルファ線:アルファ線は、大きな運動エネルギーを持ったヘリウム 4の原 子核(陽子 2 個と中性子 2 個のかたまり塊 )の流れである。ヘリウム 4 の原子核を アルファ粒子と呼ぶこともある。アルファ線は、物質の中に入ると、すぐに原 子としょうとつ衝 突 して電離作用をおこす。

そうやって、さっさと衝突するため、アルファ線は物質の中を少し進むと

*25ガンマ線が入射した場合、原子からすごい勢いで電子を叩き出すので、その電子が物質中を 飛んで、さらに電離をひきおこす。

*26ぼくらが福島第一原子力発電所事故の影響で中性子線を被曝する可能性はまったくないが、ひばく 中性子線も被曝すると危険な放射線だ。

2.4 放射線 25

きゅうげき

急 激 に弱まっていく。紙一枚あれば止められるとよく言われる(図 2.7)。空 気中でも数センチの距離を進むと弱まってほぼ消えてしまう*27

ベータ線:ベータ線は、大きな運動エネルギーを持った電子の流れ。やは り、物質の中に入ると、さっさと原子としょうとつ衝 突 して電離させる。

アルファ線ほどではないが、物質中を進んで行くとどんどん弱くなってい く。数ミリのアルミ板で止められる(図2.7)。空気中でも数十センチの距離を 進むとほぼ消える(ただし、飛距離はエネルギーによって変わるので、これは 簡単な目安)。

ガンマ線:ガンマ線は、大きな運動エネルギーを持った光子の流れ*28。もの すごく波長の短い(そして、エネルギーの高い)光の仲間だと言ってもいい。

レントゲンでお馴染みのなじ X 線も、ガンマ線とほとんど同じ、エネルギーの高 い光だ*29

アルファ線やベータ線とは違って、ガンマ線は物質の中に入っても、原子と

はあまりしょうとつ衝 突 しないで、どんどんすり抜けていく。そして、ごくまれに原子

と衝突する。そのため、ガンマ線を止めるには 10 センチ程度のなまり鉛 の板が必 要になる(図 2.7)。また、空気中でも、弱くなってほぼ消えるまでに数百メー トルの距離を飛ぶ。

■放射線の強さ 放射線の「強さ」は、飛んでくる一つ一つの電子や光子がど れくらいの勢い(運動エネルギー)を持っているかと、そもそも何個くらいの 電子や光子が飛んでくるかという二つの要素で決まってくる。それをじょうず上手に

とくちょう

特 徴 づけるような「強さ」の定義がいくつかあるのだが、この本の目的のたていぎ めにはそこまで説明する必要はない。

*27もちろん、飛んできたヘリウム4の原子核が消えるわけではなく、勢いを失って放射線で はなくなってしまうということ。下でベータ線が「消える」というときも同じ。

*28アルファ線、ベータ線、中性子線などは、原子の「部品」になっている小さな粒子の流れで ある。ガンマ線だけは、光子の流れなので、少し毛色がちがう。けいろ

*29理系読者向けの注意: 電波、光、X線、ガンマ線は、古典物理学の観点では、いずれも電 磁波である。ただし、ガンマ線が関わる現象では量子力学の効果が重要になるので、電磁波 を量子力学的に取り扱う必要がある。そうすると、「光子」という粒子がごく自然に理論に 現われてくるのだ。

26 第2章 放射性物質と放射線 ぼくらが使う「放射線の強さ」は、くうかんせんりょうりつ

空 間 線量率、あるいは、線量率と呼ばれ ている。「率」を略してしまって、空間線量、あるいは、線量と呼ぶこともあ る。「この裏山は線量が高い」というような言い方をよくするが、これは、正 確に言えば、「この裏山は空間線量率が高い」ということになる。

空間線量率は、ガイガーカウンターやシンチレーションカウンターのような 線量計で測れる量だ*30。線量計の原理や仕組み(あるいは、線量計の正しい使 い方)については、この本では扱わない。ごく大ざっぱに言うと、シンチレー ションカウンターでは、カウンターの中にある特別な結晶に、一定の時間の間 にどれくらいのエネルギーの光子が何個くらい衝突したかを測っている。

空間線量率の単位はマイクロシーベルト毎時 (µSv/h)である。線量計の読 みも、この単位で表わされている*31。この単位の意味については、かなり先 になるが、4.2 節で詳しく説明する。

■「自然の」放射線と「人工の」放射線 原子力や人類の文明とはまったく関 係なく、この地球には放射線が飛び交っている。空から 降ってくる放射線(宇 宙線と呼ばれる)もあるし、大地からも放射線が出ている。また、ぼくらの体 の中に取り込まれている放射性カリウムやラドンからも放射線が出る。これら の放射線は「自然の放射線」だ(これについては、4.2 節で取り上げる。特に 表4.3を見よ)

一方、原子爆弾や原子力発電所から出てくる放射線は、人間の技術によって 作られたものだから「人工の放射線」と言える。

「自然の放射線」、「人工の放射線」と名前をつけてしまうと、二つがずいぶん随分と 違うもののように見えるが、それは正しくない。空から降ってくるガンマ線 も、原子力発電所から出てくるガンマ線も、高エネルギーの光子の流れである ことに変わりはない。そして、光子はどこから出てきたとしても全く同じ性質

*30普通の読者はまったく気にしなくていいのだが、げんみつ厳 密 に言うと、線量計で測っているのは 周辺線量当量率である。付録B.2を参照。

*31マイクログレイ毎時(µGy/h)という単位が使われることもあるが、マイクロシーベルト毎 (µSv/h)と同じものだと考えてよい。グレイについてくわ詳 しく知りたい方は、付録B.2 を参照。

2.5 放射線に「常識」は通用しない 27

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