第 6 章 Al/CdTe/Pt 両面ストリップ検出器の開 発と性能評価発と性能評価
6.6 撮像性能
スペクトルの取得と同様の条件でイメージの作成を行った。検出器と線源の間にナット、ワッ シャー、はんだを図6.10のように配置し、シャドーイメージを作成した。その結果、図6.11の ようなはっきりとしたイメージを得ることができた。陰極のストリップはy方向に、陽極のスト リップはx方向に伸びており、x座標は陰極のストリップを、y座標は陽極のストリップに対応す る。イメージは、各xおよびyにおいて、指定したエネルギー範囲に入る光子のカウント数によ り作成した。y = 60に対応するのが陽極のバッドストリップであったため、この一列のみ撮像で きなかった。また、長辺がガードリングに隣接するストリップ、すなわちx =0、63、y =0、63 の各ストリップはイメージ作成に用いていない。
陰極読み出しと陽極読み出しでは、陽極読み出しのエネルギー分解能が悪かったため、入射光 子のエネルギーの推定には陰極の情報のみを用い、陽極はあるスレショルドを超えるかどうかを 調べることによりどのストリップの座標で光子が相互採用したかを調べるためのみに用いた。ト リガースレショルドが25-30 keV程度であったため、その値に近い31 keVのイメージには、ト リガーをかけた陽極側においてストリップごとにカウント数がばらつき、x方向に延びる縞状の 構造が発生してしまっている。他のエネルギーのイメージにおける、マスクで遮られていない部 分のカウントのゆらぎは、入射光子数の統計的ゆらぎである。
検出器を遮っているものの中ではワッシャーが最も薄い。そのため、高エネルギーのガンマ線 ほどワッシャーが透けて見えることがわかる。ワッシャーの透過率は、鉄製で厚さ0.5 mmであ ることから計算すると、31、60、81、122 keV で6、68、86、96%である。図6.11の結果は概ね この値と一致している。このことから、撮像分光観測を正しく行うことができていることを示す ことができた。また、ナットの穴の直径は2 mmおよび3 mmであり、その穴がはっきりと撮像 できていることから、400µmピッチという高い位置分解能の撮像能力を実証することができた。
6.6. 撮像性能 57
図6.8: 400µm ピッチCdTeストリップ検出器によるスペクトル。(左)陰極読み出し。(右) 陽極読み出し。(上段)241Am、(中段)133Ba、(下段)57Co線源による。陰極側、陽極側のそれ ぞれにおいて、ガードリングに近接する一番外側の2ストリップは分解能が悪かったためス ペクトルの作成に除外。さらに陽極側のデッドストリップを除いた、陰極は62 ch、陽極は61 chの合計のスペクトル。温度は−20◦C、バイアス電圧は500 V。
図6.9: CdTeストリップ検出器の各ストリップにおける、(左)60 keV、(右)122 keVのガン マ線に対するエネルギー分解能の分布。温度は−20◦C、バイアス電圧は500 V。陽極読み出 しに関しては、ガードリング付近の2ストリップおよび1つのデッドストリップの計3スト リップについてはピークが現れなかったため除外してある。
図6.10: CdTe両面ストリップ検出器によるシャドーイメージ作成に用いたナット、ワッシャー、
はんだ。ナットの直径は2 mm(中央)および3 mm(左上)、ワッシャーの直径3 mm。
6.6. 撮像性能 59
図6.11: 400µmピッチCdTeストリップ検出器によるガンマ線に対するナット、ワッシャー、は んだのシャドーイメージ。(左上)31 keV(133Ba)、(右上)60 keV(241Am)、(左下)81 keV(133Ba)、 (右下)122 keV(57Co)。温度は−20◦C、バイアス電圧は500 V。
Anode CH74 Energy [keV]
-20 0 20 40 60 80 100 120 140 160
Cathode CH10 Energy [keV]
-20 0 20 40 60 80 100 120 140
1 10 102
adc[10]*0.17087:adc[74]*0.1377 {adc[10]*0.17087>-20&&adc[74]*0.1377>-20&&adc[10]*0.17087<150&&adc[74]*0.1377<150}
図6.12: CdTe 両面ストリップ検出器の陰極、陽極読み出し信号の相関。線源
57Co、温度
−20◦C、バイアス電圧500 V。