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提案方式の考察

第 3 章 排他制御によるチャネル割当方式

3.4 シミュレーションと考察

3.4.3 提案方式の考察

提案方式の有効性について検討するため,要求トラヒック量を33~100%の範 囲で値を変えてシミュレーションを行った.それぞれの要求トラヒック量にお

けるQIとして3.4.2項で最適値として導出した値を用いた.図3.4-3に要求トラ

ヒック量とシステムスループットの関係を,図3.4-4に要求トラヒック量と端末 の平均スループットの関係を,図3.4-5に要求トラヒック量と呼損率の関係をそ れぞれ示す.平均スループットは各端末で得られるスループットの平均値,呼 損率は全ての端末数に対して干渉によって呼損となった端末の割合を示す.

150 200 250 300

33 50 67 83 100

SystemThroughput(Mbps)

Traffic Load (%) Exclude

Greedy FCA

図3.4-3 システムスループット

(Exclude…排他的チャネル割当方式(提案方式),Greedy…全体最適化方式,

FCA(Fixed Channel Allocation)…固定チャネル割当方式)

0 2 4 6 8 10 12 14

33 50 67 83 100

MSAverageThroughput(Mbps)

Traffic Load (%) Exclude

Greedy FCA

図3.4-4 端末の平均スループット

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8

33 50 67 83 100

Calllossrate

Traffic Load (%) Exclude

Greedy FCA

図3.4-5 呼損率

図3.4-3,図3.4-4 に示すように,100%の要求トラヒック量では,提案方式の 方が全体最適化方式よりもシステムスループット,平均スループットが上回っ た.これは,提案方式は基地局間排他制御を用いて干渉を低減することで,個々 の端末で大きなスループットを得られたからである.全体最適化方式のチャネ ル当りの平均の信号対干渉雑音比(SINR: Signal to Interference and Noise Ratio)が

5.0dBに対して提案方式の SINRは 8.9dBであった.図 3.4-5 に示すように,提

案方式では100%の要求トラヒック量で18%の端末が呼損となっており全体最適 化方式では呼損はない.しかし,提案方式が全体最適化方式より呼損が多いこ とによるシステムスループットの減少よりも,端末の平均スループット増加に よるシステムスループットの寄与が大きかった.また,図 3.4-3 が示すように,

33%から83%の要求トラヒック量において,提案方式のシステムスループットは 全体最適化方式よりも下回った.提案方式の平均スループットは全体最適化方 式と同等である一方で,図3.4-5に示すとおり,呼損端末は提案方式の方が全体 最適化方式よりも多いためである.基地局間排他制御によって干渉の発生は全 体最適化方式よりも少ないと考えられるが,スループットの向上に寄与してい ない.これは,(3.2)式で示されるシャノンの定理において信号電力の大きさを考 慮した基地局間排他制御ができていないこと,また,複数の基地局から同時に 干渉波を受けることが考慮できていないことが原因として考えられる.

FCA については,要求トラヒック量の増加とともに呼損率が増加した.各基 地局で使用可能なチャネル数に限りがあり,チャネル数の増加とともに通信可 能な端末が減少するためである.また,要求トラヒック量の増加とともに平均 スループットは増加した.静的チャネル割当によりセル間干渉が極めて小さい ため,チャネル数の増加が大きくスループットに寄与するためである.要求ト ラヒック量が 33%から 83%までは呼損率の増加よりも平均スループットの増加 による影響が大きくシステムスループットが増加したが,83%から100%は呼損 率増加の影響が大きくシステムスループットが低下した.FCA は提案方式と比 較して端末の平均スループットとシステムスループットが大きいが,通信可能 な端末数がかなり限定されてしまう.

本項の初めに述べた通り,要求トラヒック量におけるQIとして3.4.2項で最適 値として導出した値を用いた.しかし,図3.4-2が示すように,要求トラヒック

量は83%, 100%についてはQIの広い範囲でシステムスループットのピークを持

つ.そこで,そのような QIにおける特性を比較するため,端末の平均スループ ットと呼損率を表3.4-2に示す.

表3.4-2 要求トラヒック量83%, 100%の端末の平均スループットと呼損率 要求

トラヒック量 (%)

閾値QI

(dBm)

システム スループット

(Mbps)

端末の平均 スループット

(Mbps)

呼損率

83

-97 213 4.1 0.25

-95 215 3.6 0.15

-94 215 3.4 0.10

-93 215 3.3 0.06

-92 213 3.2 0.04

100

-97 227 4.6 0.30

-95 230 4.2 0.22

-94 230 4.0 0.18

-93 229 3.8 0.14

-92 228 3.7 0.12

表 3.4-2 からわかるように,要求トラヒック量が 83%,100%のそれぞれについ

て,QIが-92dBmから-97dBmで同程度のシステムスループットとなる.しかし,

端末の平均スループットと呼損率は,その QIの範囲で大きく異なっており,平 均スループットが大きいときは呼損率が大きく,平均スループットが小さいと きは呼損率が小さい.従って,要求トラヒック量が83%,100%のときには,提 供するシステムのポリシーに従い,適切なQIを設定する必要がある.

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