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シミュレーション結果

第 5 章 基地局間 MIMO における帯域保証リソース割当方式

5.5 シミュレーション結果

証されたとき,そのときの電力と送信ウェイトを用いて,送信アンテナから信 号を送信する.

表5.5-1 シミュレーション諸元

文献[21]のESDL方式は,ユーザの要求スループットγにより近くなるように ペナルティ関数法を用いて電力割当を行う.具体的には,各端末とストリーム の組合せに対して(5.11)式を計算し,最もスループットの増分

b ~

kl

が大きくなる 組合せに対して電力を割当てていく.

 

 

  p

p r r

b

l k k A

k

k l

k

 

1 2 min 0 ,

~

(5.11)

ここで,k’と l はそれぞれ端末,ストリームのインデックス,Δp は電力の増分 を表す.あるペナルティ係数λについて電力割当を行い導出した結果,(5.12)式 に定義する Λ の値が,事前にシステムで設定するε(>0)の値よりもが小さくな れば解とする.

M

r

A k

k

)) (

, 0 min(

(5.12)

Λは端末が要求スループットγを保証する程度を示す指標である.λの値は解が 得られるまで初期値λ0から増加させる.この結果として得られるスループット は必ずしも全ての端末に対して γ を保証するものではなく,また,εが小さい

Cellular layout N 7 cells

Cell radius 1,000m

Transmitting antenna per celln 4 Number of Mobile Station(MS)s per cell 2

Receiving antenna per MSm 2

Channel model 3GPP Spatial channel model[24]

Scenario Urban Micro (NLOS)

Shadow fading Log normal distribution

(Standard deviation 10dB)

Pathloss model 34.53+38log10(d) dB

(dis in meters) BS transmitting power

per channelQ

20dBm

White noise per channel σ2 -121.4dBm

Guarantee Bit Rate γ 0 ~ 2 bps/Hz

る.そこで本章では,ESDL方式について,図5.5-1に示す通り計算を行った.

start

全ての通信端 末の帯域が保 証されるか?

end

ペナルティ関数を 使った GPA アルゴリ ズムにより,各スト リームに対して電力 割当

保証される 保証されない

λ , n の値を更新 λ

n+1

← cλ

n

nn+1

c と λ の初期値 λ

0

(n =0 時の λ) の値を設定

λ

n

≥λ

max

? Yes No

電力と送信ウェイ トを決定

λ , n を更新する中 で Λ が最も小さく なったときの電力 と送信ウェイトに 決定

図5.5-1 ESDL方式のリソース割当アルゴリズム

εは0とし,ループの中でλを増加させ,ペナルティ関数を用いたGPA アルゴ リズムにより電力割当を繰り返し行い,Λ が 0 になれば解とし,Λ が 0 になら ず,すなわち全ての端末のスループットが保証されることなくλが一定の大き さλmaxに達したときは,Λ が最も小さくなったときの電力と送信ウェイトに決 定する.シミュレーションにより,(5.11)式の∂r/∂p は0~1程度の値をとること がわかったため,スループットの保証に寄与する定数について,λ0を1,λmax を125,cを5とした.

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

CumulativeProbability

MS Throughput (bps/Hz)

BD-GBR(1.0bps/Hz) ESDL(1.0bps/Hz) BD-MM

BD-WF GPA

35%

(a) γ = 1.0bps/Hz

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1

0 2 4 6 8 10 12 14 16 18 20

CumulativeProbability

MS Throughput (bps/Hz)

BD-GBR(2.0bps/Hz) ESDL(2.0bps/Hz) BD-MM

BD-WF GPA

46%

(b) γ = 2.0bps/Hz

図5.5-2 端末スループットの累積分布

(BD-GBR(Block Diagonalization with Guaranteed Bit Rate)…提案方式,

ESDL(Eigenmode based Scheduling with Double Loops)…文献[21]で提案された帯 域保証方式,

BD-MM(Block Diagonalization using Min Max)…BDを使用する最小スループット の最大化方式,

BD-WF(Block Diagonalization using Water Filling)…BDを使用するシステムスルー プットの最大化方式,

GPA(Greedy Power Allocation)…文献[21]で提案されたシステムスループットの最

大化方式)

図5.5-2 (a),(b)にBD-GBR方式とESDL方式でγ=1.0, 2.0bps/Hzのときの 端末スループットの累積分布をそれぞれ示す.BD-MM,BD-WF,GPA方式を使 ったシミュレーション結果も合わせて示す.図5.5-2のBD-GBR方式で,スルー

プットが0bps/Hzの値が,全体の端末数Mの中で図5.4-1のアルゴリズムにより

Aから除外された呼損端末の割合を示している.図5.5-2から,BD-GBR方式で はγ=1.0,2.0bps/Hzの場合にそれぞれ1.0,2.0bps/Hzから累積分布の値が増加し ており通信端末が要求スループット γ を保証していることがわかる.BD-GBR

方式で γ=1.0bps/Hz のときの呼損端末は 35%であるが,残りの 65%の端末は

1.0bps/Hzの要求スループットを満たす.ESDL方式では,1.0bps/Hz付近で急激

に累積分布が増加しているが 1.0bps/Hz を超えた端末は 36%となっており,

BD-GBR 方式は ESDL 方式よりも多くの端末の要求スループットを満たした.

一方で,BD-MM方式でスループットが1.0bps/Hzを超える端末の割合は19%,

BD-WF,GPA 方式ではそれぞれ 31,40%存在し,それ以外の端末は 1.0bps/Hz

を満たしていない.つまり,BD-GBR 方式では BD-MM,BD-WF,GPA 方式で

1.0bps/Hz 以下のスループットを持つ端末数よりも少ない数の端末を呼損とする

ことで,それ以外の端末の要求スループットを保証できる.

γ=2.0bps/Hz のとき,BD-GBR 方式ではスループットが 2.0bps/Hz を超える端

末の割合が54%であり,ESDL, BD-MM,BD-WF,GPA方式ではそれぞれ15, 12,22,35%存在した.γ=2.0bps/Hzの場合も,ESLD方式は2.0bps/Hz付近で累 積分布の値が増加しているが,2.0bps/Hzを満たす端末の割合ではGB-GBR方式

に劣る.BD-GBR方式の呼損となった端末は全体の46%であり,ESDL,BD-MM,

BD-WF,GPA 方式でγ よりスループットが小さい端末の通信品質が悪いとみな

すと,BD-GBR 方式では他の方式で通信品質が悪い端末数よりも少ない数の端

末を呼損とすることで多くの端末のスループットを保証できる.別の観点で見 ると,ESDL方式では46%の端末がそれぞれ1.5bps/Hz以下のスループットしか 得られず,BD-MM,BD-WF,GPA方式では50%以上の端末が0.1bps/Hz以下と 極めてスループットが小さい.BD-GBR方式では,他の方式では1.5bps/Hz以下 のスループットとなる端末を呼損とすることで,その他の端末で要求スループ

ットγ=2.0bps/Hz を保証することができた.

このように BD-GBR方式はチャネル品質が悪い一部の端末を呼損とする一方 で,他の方式と比較して最も多くの端末で要求スループット γ を満たすことが できる.ESDL方式では,多くの端末でγに近いスループットが得られているが γを満たさない端末も多かった.特に要求スループットを厳しく求められるサー

ビスではBD-GBR方式が有効である.

次に,BD-GBR 方式の要求スループット γ に対する特性を評価する.また,

同様に図5.5-1の手順によるESDL方式のγに対する特性も示す.要求スループ

ットγに対して,端末平均スループットを図5.5-3に,システムスループットを

図5.5-4 に,BD-GBR方式での呼損率を図 5.5-5 に示す.ここで,システムスル

ープットとはシステム全体の端末スループットの和を指す.

0 1 2 3 4 5

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2

MSAvarageThroughput(bps/Hz)

γ (bps/Hz)

BD-GBR

BD-GBR(connected MSs) ESDL

図5.5-3 端末の平均スループット

0 10 20 30 40

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2

SystemThroughput(bps/Hz)

γ (bps/Hz)

BD-GBR ESDL

図5.5-4 システムスループット

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6 1.8 2

CallLossRate

γ (bps/Hz)

BD-GBR

図5.5-5 呼損率

まず,BD-GBR方式について述べる.図5.5-3,図5.5-4に示す通り,γの増加

とともに平均スループットとシステムスループットが増加し,γ=2.0bps/Hz の平 均スループットは2.3bps/Hz,システムスループットは33bps/Hzとなった.また,

図 5.5-5 からわかるように,γ=0bps/Hz のときはスループットを保証する必要が

ないため全ての端末で通信可能となったが,γの増加とともに通信端末のスルー プットを保証する一方で,要求スループットを保証できない端末が増加し呼損 率は増加した.図5.5-3中に通信端末(Connected MSs)のみの平均スループットと 呼 損 端 末 を 含 む 全 端 末 の 平 均 ス ル ー プ ッ ト を 示 し た . 通 信 端 末 の み の

γ=2.0bps/Hzのスループットは4.5bps/Hzとなった.呼損となる端末が増えるとと

もに,通信を行う端末に割当てる電力が増加するため,γが大きいほど通信端末 の平均スループットは増加したと考えられる.呼損端末が増加することによる スループット減少効果よりも,通信を行う端末のスループット増加効果の方が 大きいため,γの増加と共に全端末の平均スループットとシステムスループット が増加した.

次に,ESDL方式について述べる.図5.5-3,図5.5-4に示す通り,γの増加と

スループットは1.1bps/Hz,システムスループットは15bps/Hzと最小となり,さ らに γ の増加とともに平均スループットとシステムスループットは上昇し,

γ=2.0bps/Hzで平均スループットは1.5bps/Hz,システムスループットは21bps/Hz となった.このような増減をする理由を,ESDL方式の割当先の端末とそのスト リームを決定する(5.11)式を用いて述べる.γ=0またはγ>>rkのときのb~klは次の 通りである.

γ=0のとき

p p b r

A

k kl

l k

k

 

 

~

(5.13)

γ>>rkのとき

  p

p b r

A

k kl

l k

k

 

 

1 2 

~

(5.14)

(5.13)式,(5.14)式からわかる通り,γ=0 または γ>>rkのとき,最もシステムスル ープットを増加させる端末とストリームの組合せに対して電力を割当てること になる.このため,図5.5-3,図5.5-4の端末平均スループットとシステムスルー プットに関して,γ=0のときはシステムスループットを増加させる電力割当とな っているため大きくなり,γの増加とともにスループットを保証するように電力 割当が行われるため減少し,さらに γ が増加するとともに再度システムスルー プットを増加させる電力割当になり大きくなる.図 5.5-4 から BD-GBR 方式は

γ=0.4bps/Hz以上でESDL方式よりもシステムスループットが大きくなり,シス

テムとして効率的な通信を実現できていることがわかる.

呼損の端末も含める全端末に関する端末平均スループットとシステムスルー プットに関して,γ=1.0,2.0bps/HzのときのBD-GBR,ESDL方式の結果とBD-MM,

BD-WF,GPA 方式の結果を表 5.5-2 に示す.端末平均スループットはシステム

スループットを全端末数M=14で割った値に一致する.

表5.5-2 各方式のスループットの比較

Method MS Average

Throughput

System Throughput

BD-GBR(γ=1.0) 2.0 27.7

BD-GBR(γ=2.0) 2.3 32.6

ESDL(γ=1.0) 1.1 15.0

ESDL(γ=2.0) 1.5 20.7

BD-MM 0.8 10.9

BD-WF 1.3 18.6

GPA 2.5 34.9

(単位:bps/Hz)

BD-MM方式は,BDにおいてチャネル品質が悪い最小スループットの端末を

最大化する電力割当を行うため,他の方式よりもスループットは小さくなった.

BD-GBR,GPA,ESDL(γ=2.0)の各方式のスループットはBD-WF方式より大きく

なった.BD-GBR方式のスループットが BD-WF方式よりも大きくなったのは,

BD-WF 方式はチャネル品質が悪い端末を含めて送信ウェイトを導出する一方,

BD-GBR 方式ではチャネル品質が悪い端末を呼損として送信ウェイトを導出す

ることによって(5.9)式の特異値μが大きくなるためである.BD-GBR 方式の

γ=1.0,2.0bps/HzのときのシステムスループットはESDL方式の同じγのシステ

ムスループットと比較して,それぞれ 12.7,11.9bps/Hz 大きくなったが,GPA 方式よりは小さくなった.なお,BD-GBR 方式の通信端末の平均スループット はγ=1.0,2.0bps/Hzでそれぞれ3.2,4.5bps/Hzであり,ESDL方式やGPA方式と 比較して大きなスループットを得られている.BD-GBR 方式はチャネル品質が 悪い端末を呼損とすることで,他の通信端末のスループットを保証しているが,

ESDL方式と比較してシステムとして効率的な通信が実現できていると言える.

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