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シミュレーション結果

第 4 章 帯域保証チャネル割当方式

4.4 シミュレーションと考察

4.4.2 シミュレーション結果

ここで,ejNmNm個の要素を持ち,j番目の要素を1でそれ以外の要素を0とす る単位列ベクトルを示す.

基地局iに属する端末への最適なチャネル割当をするに当たり,基地局iに属 する各々の端末に各々のチャネルを仮に割当てると考えたときのシステムスル ープットの増加量Ω(=TaftTbef)を計算し,1)~3)の3つの拘束条件の下でシス テムスループットを最も増加させるような X の組み合わせを決定する.Ω の計 算では,計算している基地局iのループより前の基地局のループで既にチャネル を割当てることになっていたとき,そのxj(m)を1として計算する.また,Ωの計 算時には,各端末のチャネルが(4.6)式を満たすことが可能か計算し,不可能な場 合は当該の端末にそのチャネルは割当てない(X(j,m) = 0).この(4.6)式に関わる判 定,及び,基地局iのループより前の基地局ループで実施された干渉抑止制御を 考慮するため,基地局iのチャネル割当時の拘束条件に3)を含んでいる.拘束条 件3)より使用可能なチャネル数が制限され,基地局iに属する全ての端末との通 信に必要なチャネル数が確保できない場合は解 X が存在せず,受信電力が最も 小さい端末を呼損とする.基地局iのチャネル割当実施後は,拘束条件(4.6)に関 わる干渉抑止制御を実施する.基地局iに属する端末への最適なチャネル割当は,

基地局IDが小さなものから順次行う.

表4.4-1 シミュレーション諸元

Cellular layout 7 cells

Cell radius 1,300m

System Bandwidth 14.4MHz

Channel bandwidth Δf 180kHz

Number of channels 60

Number of users per cell 10

Coefficient of path loss h 1/200

Pass loss index n 3.5

Shadow fading Standard deviation 8dB

Base transmit power per channelQ 22.2dBm

White noise per channelN0 -121.4dBm

Interval between each channel allocation 12.32msec

4.4.2.1 提案方式の受信電力と干渉電力

まず初めに,提案方式がSINRを保証していることを確認するために,図4.4-3 のような特定の端末分布をしている場合について,シミュレーションを行った.

基地局 端末

RNC

図4.4-3 端末分布

セル間干渉が発生する程度のトラヒックが発生するように 1 端末当たり使用 するチャネル数を 4(N=4,要求トラヒック量は 67%)とした.提案方式(With

BW(Band Warranty))ではRmin=0.2Mbpsについて,また既存方式では全体最適化方

式(Without BW),及び排他的チャネル割当方式でQI= -100dBmの場合(Exclude(QI

= -100dBm))についてそれぞれシミュレーションを実施した.通信を確立した各

端末のそれぞれのチャネルについて,受信電力と干渉電力をマッピングしたも

のを図4.4-4に示す.

-130 -120 -110 -100 -90 -80

-120 -80 -40

Interference[dBm]

Signal[dBm]

With BW(0.2Mbps)

Exclude(Qinter=-100dBm) Without BW

理論曲線(0.2Mbps)

図4.4-4 各端末における受信電力と干渉電力のマッピング

(With BW(With Band Warranty)…帯域保証チャネル割当方式(提案方式),

Exclude…排他的チャネル割当方式,

Without BW(Without Band Warranty)…全体最適化方式)

受信電力を横軸に,干渉電力を縦軸にとった.1 端末が使用するチャネル数 N を4としているため,1端末について4つのプロットが出力される.(4.2)式を用 いて,1つのチャネル当たりのスループットが0.2Mbpsとなる受信電力と干渉電 力の値を計算し,理論曲線として実線で示した.

図4.4-4 から,提案方式におけるRmin =0.2Mbps のそれぞれのシミュレーショ

ン結果のプロットが,理論曲線よりも下(右)側に位置することがわかる.すなわ ち,通信を確立する各端末のそれぞれのチャネルが,0.2Mbpsというスループッ トを保証していることがわかる.一方で,全体最適化方式は受信電力の大きさ によらず様々な大きさを持つ干渉波を受けていることがわかる.また排他的チ ャネル割当方式ではほとんどのチャネルの干渉電力について閾値QI = -100dBm 以下となっているが,一部のチャネルは-100dBm を超えている.これは排他的 チャネル割当方式が,各基地局からの干渉波を個別に抑止しており,-100dBm 以下の干渉波を複数受けることで QIの大きさを超えてしまっているからである.

さらに,排他的チャネル割当方式は受信電力の影響が考慮されていない.この

0 0.5 1

-10 5 20 35 50 65

CumulativeProbability

SINR [dB]

With BW(0.2Mbps)

Exclude(Qinter=-100dBm) Without BW

3.4dB

図4.4-5 端末の各チャネルにおけるSINRに関する累積分布

次に,通信を確立した各端末の各チャネルについて,それらのSINRに関する C.D.Fを図4.4-5に示す.(4.2)式よりΔf=180kHzのときRmin=0.2Mbpsを満たすに はSINRが最低でも0.65dB以上となる必要があるが,提案方式のC.D.F.は3.4dB よりも大きい値の範囲で分布しており,条件を満たしている.一方,全体最適 化方式及び排他的チャネル割当方式については,-10dB以下の品質の悪いチャネ ルが存在し,通信はできない.

4.4.2.2 Rminによる特性

次に,システムに対する要求スループット Rmin の値の変化による影響を評価 するため,要求トラヒック量33%~100%,Rmin =0.2Mbps~1.6Mbps の条件下で 提案方式によるシミュレーションを行い,結果を比較した.シミュレーション は各基地局から1300m以内に10個の端末をランダムに分布させて繰り返し実施 し,そこで得られた値の平均を結果とした.端末に割当てられている全てのチ ャネルに関する平均の SINRを図 4.4-6 に,呼損率を図 4.4-7 に,システムスル ープットを図4.4-8に示す.

0 5 10 15 20 25 30 35 40

0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6

AvarageSINR

R

min

(Mbps)

33% 50%

67% 83%

100%

図4.4-6 平均のSINR

0 0.2 0.4 0.6 0.8 1

0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6

Calllossrate

R

min

(Mbps)

33% 50%

67% 83%

100%

図4.4-7 呼損率

200 220 240 260 280 300 320

0.2 0.4 0.6 0.8 1 1.2 1.4 1.6

SystemThroughput(Mbps)

R

min

(Mbps)

33% 50%

67% 83%

100%

図4.4-8 システムスループット

要求トラヒック量が33%,即ち端末が通信を要求するチャネル数が2のとき,

1つの基地局に10個の端末があることから必要なチャネル数は20であり,一方,

表1のとおり1つの基地局で使用可能なチャネル数は60であるため,近傍の基 地局同士で互いに異なるチャネルを使用するようなチャネルの割当が可能であ る.従って,図4.4-6に示されるようにRminが小さい値であっても,もともと信 号に対する干渉が小さいため平均SINRは大きい.しかし,Rminが1Mbpsより大 きくなっていくと,SINRを大きくするためにセル間干渉の抑止が必要となり呼 損が増える.一方,図4.4-8から,システムスループットはRminが1Mbps以下の ときほとんど変化せず,1Mbpsより大きくなると減少した.これは1Mbpsから 呼損の増加量が大きくなり,SINRの上昇に対して呼損による使用チャネル数の 減少の影響が顕在化してシステムスループットが減少したと考えられる.

一方,要求トラヒック量が50%~100%の場合,10個の端末が属する1つの基 地局で必要なチャネル数は端末が通信を要求するチャネル数が 3 であることか ら30より大きく,1つの基地局で使用可能なチャネル数は60であるため,近傍 の基地局同士で同じ周波数帯のチャネルを使用することが必要となる.セル間 干渉が多く発生するためRminが小さくても干渉抑止制御による呼損が多くなる.

Rminが0.2Mbpsから上昇するとともに呼損数は多くなり,同時に平均SINRは大

きくなっていく.システムスループットは Rmin の増加と共に上昇するが,Rmin

=0.6Mbps付近で最大値をとり,その後減少した.これも,呼損による使用チャ ネル数減少に伴うスループットの減少の方が,SINRの上昇よりもシステムスル ープットに与える影響が大きくなるためである.

以上から,提案方式を利用するシステムとしては,Rmin=0.2Mbpsとすると,1 端末当たりのスループットは小さく,またシステムスループットも大きくはな いが,呼損数をより小さく抑えたシステムとなる.一方で,Rmin =0.6Mbpsとす ると 1 端末当たりのスループットとシステムスループットを大きくすることが できるが,呼損が増えてRmin=0.2Mbpsと比較して多くの端末の通信が制限され ることがわかる

4.4.2.3 帯域保証による改善効果の確認

Rmin =0.2,0.6,1.0Mbpsのときの提案方式のシミュレーション結果について,

全体最適化方式,及び排他的チャネル割当方式とシミュレーション結果を比較 した.それぞれの要求トラヒック量における排他的チャネル割当方式の QIとし

て3.4.2項で最適値として導出した値を用いた.平均SINRを図4.4-9に,呼損率

を図4.4-10に示す.

0 5 10 15 20 25 30 35

33 50 67 83 100

AverageSINR(dB)

Traffic Load (%) With BW(0.2Mbps)

With BW(0.6Mbps) With BW(1.0Mbps) Without BW

Exclude

図4.4-9 平均のSINR

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6

33 50 67 83 100

Calllossrate

Traffic Load (%) With BW(0.2Mbps)

With BW(0.6Mbps) With BW(1.0Mbps) Without BW

Exclude

図4.4-10 呼損率

図4.4-10からわかる通り,全体最適化方式の呼損率は0である.しかし,4.4.2.1

で述べたように,最小スループットを保証していないため,要求トラヒック量 の増加と共にチャネルの平均SINRは下がり続ける.

0 0.1 0.2 0.3 0.4

33 50 67 83 100

Rateofchannels(lessthan0.2Mbps)

Traffic Load (%) With BW(0.2Mbps)

Without BW Exclude

図4.4-11 スループットが0.2Mbpsより小さいチャネルの割合

図 4.4-11 に,通信中のチャネルの中でスループットが 0.2Mbps より小さいチ

ャネルの割合を示す.ここで提案方式についてはRmin=0.2Mbpsの結果を使用し た.ここからわかる通り,全体最適化方式では要求トラヒック量の増加ととも にスループットが 0.2Mbps より小さいチャネルの割合が増え,要求トラヒック 量が100%のときは約38%にも達した.排他的チャネル割当方式については,図

4.4-9,図 4.4-10 からわかる通り,ある大きさ以上の干渉波を抑止するため呼損

率が0.1程度となる一方,平均SINRは全体最適化方式よりも大きくなっている.

また,図 4.4-11 からわかる通り,排他的チャネル割当方式についても要求トラ

ヒック量が増加すると共にスループットが 0.2Mbps より小さいチャネルの割合 が増えたが,一部の干渉波の抑止によるSINR改善により,全体最適化方式より もその割合は小さくなっている.一方で,提案方式を用いたとき,Rmin=0.2,0.6,

1.0Mbps のいずれの場合も要求トラヒック量の増加と共に呼損率は上昇してお

り,Rmin=0.2Mbpsで要求トラヒック量が100%における呼損率は約29%であった.

しかし,図4.4-9 に見られるようにチャネルの平均SINRはトラヒックが増えて も一定の大きさを維持した.図4.4-11からRmin=0.2Mbpsのとき,通信を行って いるチャネルでスループットが 0.2Mbps より小さいものは存在しないことがわ かる.このように,全体最適化方式では,トラヒックの増加とともに呼損がな

よる呼損が増える代わりに通信を行う端末の最小スループット Rmin を保証する ことができる.排他的チャネル割当方式は,呼損による干渉波の抑止で通信品 質は改善されるが,通信品質が悪い端末はなお存在する.Rmin=0.2,0.6,1.0Mbps で比較すると,Rmin が大きいほど呼損率は大きくなった.また,要求トラヒッ ク量が増加するとともに,Rmin=0.2Mbpsのときは平均SINRが15dB程度で一定 となる一方,Rmin=0.6,1.0 Mbpsのときはそれぞれ20,26dB程度で一定となっ ている.これは,Rmin が大きい方が必要とするSINRが大きくなるためであり,

より多くの干渉波を減らすため干渉抑止制御により呼損とされる端末が増えて いるからである.

0 0.5 1

0 1 2 3 4

CumulativeProbability

Channel Throughput [Mbps]

With BW(0.2Mbps) With BW(0.6Mbps) With BW(1.0Mbps) Without BW

Exclude

Traffic Load=33%

Traffic Load=100%

1%

5%11%

24%

4%

12%

図4.4-12 チャネルスループットの累積分布

図4.4-12に要求トラヒック量が33%及び100%のときのチャネルスループット

に対する累積分布について示す.図 4.4-12 では,呼損となるチャネルの割合は スループットが 0Mbps のときの値として示している.従って,スループットが

0.2Mbps の累積分布の割合から呼損チャネルの割合を除いたものが,図 4.4-11

の要求トラヒック量が33%及び100%のときの値に一致する.要求トラヒック量 が33%について見たとき,提案方式でRmin =0.2Mbps のときの呼損率は約1%で ある.一方で全体最適化方式では 0.2Mbps 以下のスループットとなるチャネル

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