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第 5 章 容積移転ニーズの分析

5.3 推計結果

で、5.2.3でも対象となる敷地に限定した。

「社会教育施設、文化施設」については、建物

GIS

データにおいて用途が「学校、社会教育施 設、文化施設」に該当するものとした。

(再掲)図 4 対象6区における敷地ごとの容積充足率(%)

容積の移転先需要量の推計結果

容積の移転先の需要の推計結果を以下に示す。図 26 は、町丁目ごとの面積あたりの容積需 要量を示している。これは、容積移転需要が全て満たされた場合に、容積移転による各町丁目の 平均容積率がどれだけ上昇するかを示すものであり、都心ほど大きくなっている様子が見て取れる。

一方で、台東区、墨田区、江東区のうち、主要駅から離れたエリアでは、容積需要がそれほど大き くないことが分かる。

図 26 町丁目ごとの容積率需要の推計結果(%)

容積の移転元の容積供給量の推計結果(移転元を限定しないケース)

次に、移転元を限定しない場合の、容積移転元における余剰容積率の推計結果を示す。図 27 は町丁目ごとの面積あたりの容積供給量を示している。需要と供給の比較を簡単にするため、図

26

と色の閾値は同一としている。比較すると、都心部では供給量が少なく、主要駅から離れたエリ アにおいて、供給量が多い傾向が分かる。すなわち、都心部では需要が多いが供給は少なく、主 要駅から離れたエリアにおいては、供給は多いが需要が少ないことが分かる。これは、そもそも床 面積の需要が多い都心部では賃料が高くなるため、床面積の供給が増加し余剰容積率が少なく なるという傾向と、床面積の需要が少ないエリアでは、賃料も安く床面積の供給が多くならないため、

余剰容積が多く存在するということの結果と考えられる。

図 27 町丁目ごとの容積率供給の推計結果(限定なしケース)(%)

容積移転が活発に行われると考えられる地域の抽出

27

は、5.3.2で求めた町丁目ごとの容積率需要と、5.3.3で求めた容積率供給のいずれか小 さい方(最小値)を求めたものである。仮に容積率の需要と供給が全てマッチングして取引された 場合に、容積移転によりどの程度各町丁目の実効容積率が増加するかを示すものであり、この値 が大きいエリアほど、容積移転制度を導入すると容積移転が活発に行われるものと考えられる。

港区の港南地区や赤坂地区、千代田区の麹町地区、台東区の上野駅周辺、浅草周辺、墨田 区の錦糸町駅周辺、江東区の有明、清澄白河周辺などにおいては、30%を超える町丁目が存在 し、容積移転制度導入による便益が大きいのではないかと考えられる。

図 28 町丁目ごとの容積率需要及び容積率供給の最小値(%)

容積移転可能なエリアを拡大することの効果

5.3.4

では、町丁目ごとに容積移転の需要と供給の量を確認したが、実際に容積移転制度を導

入する場合は、単独の町丁目で導入するのではなく、一定の範囲で導入を検討することと考えら れる。容積率を取引可能なエリアを①町丁目ごとに限定した場合、②複数の町丁目で構成される パーソントリップ調査の小ゾーン48に拡大した場合、③さらに区全体に拡大した場合の3パターンで、

容積移転の需要と供給の量を比較したのが図 29である。また、図 30は、特にパーソントリップ調 査の小ゾーンで容積移転可能とした場合の小ゾーンごとの容積率の需要、供給量の最小値を示し たものである。

町丁目別の容積移転の取引では、容積需要があるのに容積の供給が不足して取引が成立しな い場合においても、同一小ゾーン内の他の町丁目において余剰容積がある場合には、取引が成 立することがある。そのため、容積移転可能なエリアを拡大することは、容積移転量の増大につな がり、社会厚生を改善することとなる。

一方で、賃料が高いエリアに容積が集中した場合には、インフラ負荷の増大につながる可能性

48 夜間人口約 15,000 人を目安とし、地区の交通計画の単位となるゾーンレベル。

があることから、容積移転によるインフラ負荷も勘案した上で、範囲を決定することが望ましいと考え られる。

図 29 容積移転可能な範囲を拡大した場合の容積の需要、供給量の最小値(万㎡)

図 30 容積移転可能な範囲をパーソントリップ調査小ゾーンとした場合の小ゾーン別容積率の需 要、供給量の最小値(%)

106 98

284

89 75

319

178 161

468

126 125

465 336

206

575

139

210

652

0 100 200 300 400 500 600 700

千代田区 中央区 港区 台東区 墨田区 江東区

町丁目別 小ゾーン別 区全体

容積の移転元を制限した場合の影響

最後に、容積の移転元を制限しない場合と、容積の移転元を東京都の基準のように制限する場 合での、移転元の容積供給量の変化を図 31に示す。区によって容積供給量の変化は大きく異な るが、限定により少なからず容積移転元の減少が発生し、死荷重が発生することが示された。港区 のように需要が大きく、移転元の制限により容積移転の供給が大きく減少する場合は、容積移転元 の制限を行うことの死荷重が特に大きくなると考えられる。

なお、本分析においては需要曲線、供給曲線の推定を行ったものではないので、より正確には 需要・供給曲線の推計を行う必要がある。

図 31 容積の移転元の制限の有無による容積供給量の違い等(万㎡)

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