5. 関節軟骨平行断面の線維配向が潤滑特性に及ぼす影響
5.4. 考察
5.4.2. 接触面圧の影響
71
72
また,接触面圧によらず垂直モデルと比較して平行モデルの起動摩擦係数は低値となっ た.流体荷重分担比に関しては,低接触圧時(最大接触面圧0.27 MPa)は平行モデルよりも 垂直モデルの方が高かったが,高接触圧時(最大接触面圧 0.48 MPa)は平行モデルのほう が高くなった.起動摩擦時のモデル表面に対して垂直方向成分の流速を見ると,低接触圧時 は垂直モデルよりも平行モデルの方が大きかったが(Fig. 5-10),高接触圧時には垂直モデ ルのほうが大きく(Fig. 5-16),流体圧も高かった.また,Figs. 5-17,5-18とTable 5-12に示 すように,起動摩擦時の圧子前方のモデル変形量を見ると接触面圧によらず平行モデルよ りも垂直モデルの方が大きいことから,垂直モデルのほうが摺動時に受ける変形抵抗が大 きいことが考えられる.これらのことから,高接触圧を負荷した平行モデルの起動摩擦時に おいては,内部流体挙動の影響と圧子前方のモデル変形量の違いが協調的に働き,摩擦係数 が低下したと考えられる.
Fig. 5-15 各接触面圧における摩擦中の圧子直下の流体圧分布(平行モデル)
接触面圧:0.27 MPa 接触面圧:0.48 MPa
摩擦方向
[MPa]
x
z
73
摩擦方向
平行モデル 垂直モデル
[mm]
Fig. 5-16 起動摩擦時の流速(モデル表面に対して垂直方向)
(摩擦速度1 mm/s,最大接触面圧0.48 MPa)
x z
Fig. 5-17 モデル表面側から見た起動摩擦時の変形量分布
(摩擦速度1 mm/s,最大接触面圧0.48 MPa)
x y
摩擦方向
流速 低 高
平行モデル 垂直モデル
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動摩擦係数に関しても接触面圧によらず,垂直モデルと比較し平行モデルの方が低値と なり,高接触面圧時にモデル間の差は大きくなった.各接触面圧での流速をFig. 5-19に示 す.低接触面圧時におけるモデル表面に対して垂直方向の流速は,平行モデルと比較して垂 直モデルのほうが大きかったが,高接触面圧時には平行モデルの方が大きかった.これによ り平行モデルよりも垂直モデルの方が流体による荷重支持を受けやすくなり,摩擦係数が 低値となることが考えられるが,実際は平行モデルの方が低値となった.各接触面圧時の圧 子前方の変形量を比較すると,高接触面圧時は低接触面圧時よりもモデル間の変形量の差 が大きいことが確認された(Figs.5-14,5-20,Table 5-13).これらのことから,高接触面圧 時には流体による荷重支持の影響よりも変形抵抗の影響が主体となったことで,垂直モデ ルと比較して平行モデルの摩擦係数が低値となったと考えられる.
摩擦方向
平行モデル 垂直モデル
[mm]
x z
Fig. 5-18 モデル側面側から見た起動摩擦時の変形量分布(z軸方向成分)
(摩擦速度1 mm/s,最大接触面圧0.48 MPa)
平行モデル 0.0204 0.0368 垂直モデル 0.0315 0.0559
0.27 MPa 0.48 MPa
最大接触面圧
Table 5-12 各接触面圧における起動摩擦時の圧子前方の最大変形量(z軸方向成分)[mm]
75
平行モデル 垂直モデル
接触面圧
0.27 MPa
0.48 MPa
[mm]
摩擦方向 0.48 MPa
0.27 MPa 接触面圧
流速 低 高
摩擦方向
平行モデル 垂直モデル
Fig. 5-19各接触面圧での動摩擦時の流速(モデル表面に対して垂直方向)
x z
Fig. 5-20 各接触面圧における摩擦中の圧子周辺の変形量(z軸方向成分)分布
x
z
76
平行モデル 0.0179 0.0300 垂直モデル 0.0233 0.0415
0.27 MPa 0.48 MPa
最大接触面圧
Table 5-13 各接触面圧における摩擦中の圧子前方の最大変形量(z軸方向成分)[mm]
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