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振動刺激による動作変更の速応性に関する評価

第3章 肘関節動作変更の諸特性検討

第4節 振動刺激による動作変更の速応性に関する評価

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の手首をつかみ,3 [deg/s]の角速度で,20-45 [deg]の角度域を肘関節屈曲・伸展運動させた.

このとき,被験者は右腕(Vibrated arm)で左腕(Reference arm)と同様の肘関節屈曲・伸展 運動を生成した.何度かの教示の後に被験者のみで肘関節屈曲・伸展運動を行い,所定の角 速度・角度域で肘関節屈曲・伸展運動ができることを確認し,教示を終了した.

〇実験手順

本実験の実験手順を以下に示す.

1. 両肘関節角度を0 [deg]にし,肘関節角度の記録を開始した

2. 実験者は被験者の左腕(Reference arm)の手首を把持し,45 [deg]まで屈曲させた.この とき,被験者は右腕(Vibrated arm)において左腕(Reference arm)で知覚した肘関節角 度と同様の肘関節角度を生成した.

3. 実験者が左腕(Reference arm)を触れることで合図を伝え,被験者は肘関節伸展運動を 開始した.振動刺激を加えずに2回,20-45 [deg]の角度域で肘関節屈曲・伸展運動を行 った

4. 3回目の肘関節伸展運動が開始された後,肘関節伸展運動中の任意のタイミングで右腕

(Vibrated arm)に対して振動刺激を加えた.その後,被験者は振動刺激を加えたまま2 回の肘関節屈曲・伸展運動を行った.

5. 4回目の肘関節屈曲運動において,被験者の左腕(Reference arm)が屈曲しきったタイ ミングで振動刺激を停止し,被験者はさらに肘関節屈曲・伸展運動を継続した.

6. 6 回目の肘関節屈曲運動において,被験者は左腕(Reference arm)の肘関節角度が 45 [deg]に達したと感じるまで肘関節屈曲運動を行い,被験者が肘関節屈曲運動を停止し た時点で肘関節角度の記録を停止した.

被験者は振動刺激がいつ加えられるか知らされない状況で肘関節屈曲・伸展運動を行っ た.本実験は各被験者につき一回のみ行われた.

〇被験者

本実験における被験者は,前節と全く同様の7名の被験者であった.

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第3項

実験結果

本実験における全被験者の左腕(Reference arm)の平均肘関節角速度は3.7 [deg/s]であり,

被験者間での角速度の標準偏差は0.6であった.

各被験者の実験結果を図3-6~図3-19へ示す.赤実線はVibrated arm(右腕)の肘関節角 度の推移を示し,黒破線はReference arm(左腕)の肘関節角度の推移を示す.代表例として 被験者1の実験結果に着目すると,最初の振動刺激が加えられない状況下では,被験者1の 両肘関節角度はほぼ一致したまま肘関節屈曲・伸展運動を生成することができた.その後3 回目の肘関節伸展運動時に振動刺激が加えられ始めると,徐々に両肘関節角度の間に差が 生じ始める.

本実験の結果から,振動刺激による動作変更の速応性を評価する.振動刺激が加えられて から動作変更が生じるまでの時間を算出するために,本研究では図3-7に示す動作変更が生 じるまでの時間の算出方法を考えた.

まず,実験開始から終了までの,両肘関節角度の絶対偏差を以下の式によって求めた.

𝐴𝑏𝑠𝑜𝑙𝑢𝑡𝑒 𝑑𝑒𝑣𝑖𝑎𝑡𝑖𝑜𝑛 𝑜𝑓 𝑒𝑙𝑏𝑜𝑤 𝑎𝑛𝑔𝑙𝑒 = | 𝑙𝑒𝑓𝑡 𝑎𝑟𝑚 𝑎𝑛𝑔𝑙𝑒 − 𝑟𝑖𝑔ℎ𝑡 𝑎𝑟𝑚 𝑎𝑛𝑔𝑙𝑒 | (3)

ここでleft arm angle はReference arm(左腕)の肘関節角度であり,right arm angle はVibrated

arm(右腕)の肘関節角度である.被験者1を代表例としてみると,図3-7において,この

絶対偏差は青実線で示されている.次に,肘関節運動開始から,振動刺激開始までの振動刺 激が加えられていない区間での絶対偏差の平均値を求めた.この絶対偏差の平均値は,振動 刺激が加えられていない条件下において,被験者の両肘関節間に生じうる関節角度差を示 す.本研究においては,「振動刺激開始時の両肘関節角度絶対偏差(図3-7中の黒破線)か ら,振動刺激を加えられていない条件下における絶対偏差の平均値分,絶対偏差が増加する までの時間」を「動作変更が生じるまでの時間」として算出した.表3-4 へ,各被験者の,

肘関節運動開始から振動刺激が開始されるまでの区間における両肘関節角度差の平均値を 示す.次に,表3-5へ先述の方法によって算出した,動作変更が生じるまでの時間を示す.

全被験者,振動刺激開始から0.80-2.60 [s]で動作変更が生じることが明らかとなった.

振動刺激終了後の肘関節角度絶対偏差(図3-7)に注目すると,振動刺激終了直後の肘関 節屈曲・伸展運動中には絶対偏差の値の上昇が見られる.これは振動刺激による動作変更の アフターエフェクトの可能性がある.この振動刺激終了直後における絶対偏差の上昇は,全 ての被験者において確認された.なお,このアフターエフェクトとみられる絶対偏差の値の 上昇は,被験者2と被験者4以外の7名中5名においては,振動刺激終了後の一回の肘関

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節屈曲・伸展運動中においてのみ確認され,振動刺激終了後2回目の肘関節屈曲・伸展運動 では確認されなかった.一方で,被験者2と被験者4においては,振動刺激終了後の肘関節 屈曲・伸展運動時に,絶対偏差の上昇が継続して見られる.今回は振動刺激終了後に2回の 肘関節屈曲・伸展運動を行ったが,この期間でアフターエフェクトが収束しない被験者もい る可能性があるため,将来研究において比較的長時間にわたるアフターエフェクトの影響 評価を行う必要があることが,この結果から示唆される.

本実験により,次のことが明らかとなった.(1)振動刺激による動作変更は,振動刺激 開始から数秒以内に生成することが可能である.(2)振動刺激による動作変更後には,ア フターエフェクトを伴う可能性がある.

表3-4 肘関節運動開始から振動刺激開始までの区間における両肘関節角度差の平均値

Participant Average of absolute deviation of elbow joint angle

1 2.6°

2 1.3°

3 1.3°

4 2.5°

5 3.7°

6 1.2°

7 5.7°

表3-5 振動刺激開始から動作変更が生じるまでの時間

Participant Time (s)

1 0.90

2 2.60

3 0.50

4 0.80

5 2.30

6 1.05

7 1.60

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図 3-6 連続肘関節屈曲・伸展運動中の動作変更(被験者1)

図 3-7 動作変更が生じるまでの時間(被験者1)

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図 3-8 連続肘関節屈曲・伸展運動中の動作変更(被験者2)

図 3-9 動作変更が生じるまでの時間(被験者2)

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図 3-10 連続肘関節屈曲・伸展運動中の動作変更(被験者3)

図 3-11 動作変更が生じるまでの時間(被験者3)

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図 3-12 連続肘関節屈曲・伸展運動中の動作変更(被験者4)

図 3-13 動作変更が生じるまでの時間(被験者4)

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図 3-14 連続肘関節屈曲・伸展運動中の動作変更(被験者5)

図 3-15 動作変更が生じるまでの時間(被験者5)

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図 3-16 連続肘関節屈曲・伸展運動中の動作変更(被験者6)

図 3-17 動作変更が生じるまでの時間(被験者6)

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図 3-18 連続肘関節屈曲・伸展運動中の動作変更(被験者7)

図 3-19 動作変更が生じるまでの時間(被験者7)

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