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拘束電荷の物理的解釈(Physical Interpretation of Bound Charges)

第 2 章 物質中の電場(Chapter 4 Electric Fields in Matter) 35

2.2 分極した物質の電場(4.2 The Field of a Polarized Object)

2.2.2 拘束電荷の物理的解釈(Physical Interpretation of Bound Charges)

%($ '*&)%#

"!

+!

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+ q 1 − q 2 + q 2

− q 1

p 1 p 2

− q 1 + q 1 − q 2 + q 2 p 2

p 1

q = q 1 − q 2

図 2.14: 分極が一様でない場合.

図 2.15: 拘束電荷と分極の空間変化の関係.

もしも分極Pが一様でなければ,物質の内部にも正味の電荷が残る.図2.14のように,一次元的に大き さの異なる双極子モーメントが並んでいる場合は正電荷と負電荷が打ち消し合わずに正味の電荷が残ること がわかる.ここで,実際に分極ベクトルPと体積拘束電荷密度ρbの関係を求めよう.ここでは,誘電体が 断面積A,長さdのチューブが連なって構成されているものとする.分極がある場所でP1からP2に変化し ているものとすると,この部分に正味の電荷

q= (P1−P2)A (2.45)

が生じていることになる.この電荷が体積Ad中に存在するので,体積電荷密度は ρ= q

Ad = P1−P2

d (2.46)

で与えられる.d→0の極限を考えると上式は微分で書くことができる.誘電体チューブがx軸に平行に置 かれているものとすると,

ρ=−∂Px

∂x (2.47)

となる.

以上では,分極が一方向を向いている場合を考えたが,分極の向きが空間変化することもあり得る.例え ば図2.16のようにある領域から外向きに分極ベクトルが生じている場合,その領域内には負電荷がたまって いるはずである.分極の向きが一般の方向である場合,分極の空間変化によって生じる拘束電荷は(2.47)式 を一般化して

ρ=−∇·P (2.48)

となる.この式は前節で導入したρbの表式(2.34)に一致する.

図 2.16: ある領域から外向きに分極ベクトルが生じている場合,領域内に負電荷が生じる.

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P V S

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図2.17: 分極した物質中の体積拘束電荷密度ρbと表面拘束電荷密度σb

以上により,拘束電荷が誘電体中の電荷の移動によって生じる電荷であることがわかった.物質がもとも と電気的に中性であったとすれば,分極によって生じた拘束電荷の総和はゼロであるはずである.すなわち

"

S

σbda+

!

V

ρbdτ= 0 (2.49)

が成り立っているはずである.これは以下によって確認できる.表面拘束電荷密度がσb=P·nˆであること を用いると,表面拘束電荷の総和は

"

S

σbda=

"

S

P·ndaˆ =

"

S

P·da (2.50)

となる.発散定理を用いて(2.50)式の右辺の面積積分を体積積分に書き換えると

"

S

σbda=

!

V

(∇·P)dτ (2.51)

を得る.ここでρb=−∇·Pであることより(2.49)式を得る.

例題(Example 4.3):一様に分極した半径Rの球が作る電場を,Example 4.2とは異なる方法で求めよ う.ここでは,球が正電荷qと負電荷−qをそれぞれ持った二つの球の重ね合わせとして考える.分極が無 いとき,二つの球は完全に重なりあっており電荷は完全に打ち消し合っている.物質が一様に分極している とき,図2.18のように,正電荷は上向き(z軸正の向き)に移動し,負電荷は下向き(z軸負の向き)に移 動する.正電荷球の中心と負電荷球の中心のずれをベクトルdで表す.二つの球は完全には重なり合って いないため,球の頂上には正電荷が,球の底には負電荷が残される.この残された電荷が,表面拘束電荷 σbである.

図2.18: 一様に分極した球を正に帯電した球と負に帯電した球の重ね合わせと見なす.

一様な密度ρで帯電した球の内部に作られる電場は容易に求めることができて,球の中心の位置ベクトル をr0とすると

E(r) = ρ 3#0

(r−r0) (2.52)

である.よって,正電荷球の中心をr+,負電荷球の中心をrとすると二つの球から作られる電場は球の内 側では

E(r) = q 4πR3/3

1 3#0

(r−r+)− q 4πR3/3

1 3#0

(r−r) = q 4πR3/3

1 3#0

(r−r+) =− 1 4π#0

qd

R3 (2.53) となる.この式は球の分極ベクトルp=qd= (43πR3)Pを用いて

E=− 1

3#0P (2.54)

と書ける.また,球の外側の電場は,点電荷±qがそれぞれの球の中心に置かれているの場合,つまり物理 的な電気双極子が作る電場と同じである.よってポテンシャルが

V = 1 4π#0

p·ˆr

r2 (2.55)

で与えられる.