第 4 章 変動する電磁場( Chapter 7
以上をまとめると,全電荷密度は
ρ=ρf+ρb=ρf− ∇·P (4.10)
で与えられ,全電流密度は
J=Jf+Jb+Jp=Jf+∇ ×M+∂P
∂t (4.11)
で与えられる.Gaussの法則は
∇·E= 1
#0
(ρf− ∇·P) (4.12)
で与えられる.静電場のときと同様に電気変位Dを
D≡#0E+P (4.13)
で定義すれば,
∇·D=ρf (4.14)
となる.一方,Amp`ereの法則は
∇ ×B=µ0
&
Jf+∇ ×M+∂P
∂t '
+µ0#0∂E
∂t (4.15)
となる.これを変形すると
∇ ×(B−µ0M) =µ0Jf+µ0
∂
∂t(P+#0E) (4.16)
となる.ここで静磁場の時と同様に補助場Hを H≡ 1
µ0
B−M (4.17)
で定義すれば
∇ ×H=Jf+∂D
∂t (4.18)
と書くことができる.Faradayの法則と∇·B= 0はρもJも含まないので物質があっても変更はされない.
以上より,Maxwell方程式を自由電荷と自由電流を用いて以下のように表すことができる.
∇·D=ρf (物質中のGaussの法則) (4.19)
∇·B= 0 (4.20)
∇ ×E=−∂B
∂t (Faradayの法則) (4.21)
∇ ×H=Jf+∂D
∂t (Maxwellの補正を受けた物質中のAmp`ereの法則) (4.22) もしも静電場,静磁場のときと同様に分極と電場,磁化と磁場の間に比例関係
P=#0χeE, M=χmH (4.23)
が成り立っていれば,D,HをE,Bを用いて
D=#E, H= 1
µB (4.24)
と表すことができる.だたし#=#0(1 +χe), µ=µ0(1 +χm)である.静的な場合にこの関係を満たす線形物 質であっても,動的な場合にいつでもこの関係を満たすとは限らない.
4.3 境界条件( 7.3.6 Boundary Conditions )
一般に,異なる二つの物質の境界や表面電荷σ又は表面電流Kがある表面においてE,B,D,Hは不連続 に変化する.この不連続性の具体的表式はMaxwell方程式の積分形から導くことが出来る.
(i)
"
S
D·da=Qfenc
(ii)
"
S
B·da= 0
任意の閉曲面Sについて
(iii)
"
P
E·dl=−d dt
!
S
B·da (iv)
"
P
H·dl=Ifenc+ d dt
!
S
D·da
任意の閉ループPに囲まれた曲面Sについて
境界の両側を覆う非常に薄いGauss閉曲面(図4.2)に対して(i)式を適用すると
D1·a−D2·a=σfa (4.25)
を得る.(物質2から物質1へ向かう向きをaの正の向きとする.閉曲面の厚さがゼロの極限を考えると,左 辺の面積分では側面からの寄与は無い.また,右辺では体積電荷密度からの寄与は無い.)よって,Dの境界 面に垂直な成分は以下のような不連続性を持つ.
D1⊥−D⊥2 =σf (4.26)
全く同様な議論によって,(ii)式より
B1⊥−B2⊥= 0 (4.27)
を得る.次に(iii)式に関して,図4.3のような,境界面をまたぐ非常に薄い閉曲線(Amperian loop)を 考えると
E1·l−E2·l=−d dt
!
S
B·da (4.28)
を得る.しかし,Amperian loopの幅をゼロにする極限では右辺の磁束は消える.(左辺の線積分B
E·dlに 対する左右の辺からの寄与はすでに落としている.)従って
E&1−E&2= 0 (4.29)
となる.つまり,Eの表面に平行な成分は境界において連続である.同様に,(iv)式より H1·l−H2·l=Ifenc+ d
dt
!
S
D=Ifenc (4.30)
を得る.ここでIfencはAmperian loopをつらぬく自由電流である.無限小の幅のループを考えているので 体積電流密度は寄与せず,表面電流密度のみが寄与する.境界面に垂直な(物質2から物質1へ向かう向き の)単位ベクトルをnˆとすると,(ˆn×l)はAmperian loopに垂直な向きで大きさがlである.したがって loopを貫く自由電流Ifencを表面自由電流密度Kf を用いて表すと
Ifenc=Kf·(ˆn×l) = (Kf×n)ˆ ·l (4.31) と書けて,従って
H&1−H&2=Kf ×nˆ (4.32)
を得る.以上より,Hの平行成分は境界面で表面自由電流密度に比例した不連続性を持つことがわかる.