〔出所〕『財政事情』第23回,1959年5月,5ページ。
いつぶしていったということがある。114)そして,第5に,のちにみるように大 量の県債が発行されたということである。
ところで,このような困難な時代の香川県の財政構造はどのようなものであ ったであろうか。まず最初に普通会計の歳入の構造である。第27表をみよ。自 主財源の大宗をなす県税収入であるが,それはこの期間を通じて13%−16%と いう低率であった。この点について,県の財政当局は,「これは本県の経済基盤 の脆弱性のしからしめるところであるが,県税収入の乏しいことが県の財政の 自主性を乏しいものにしている大きな原因である」115)という。すなわち,香川 県は農業県であり,大口の法人事業税を納付する発電所や大工場がなく,繊維 産業等の中小零細企業が多V)ということである。これは,第28表が示すように,
先進工巣県である神奈川県と比較すると,個人事業税とたばこ消費税の割合は 高いが,法人事業税の割合が10ポイントも低いことに表れている。このような
114)『財政事情』第18回,1956年11月,90ペ・−ジ。
115)『財政事情』第23回,4ページ。
J躯9 香川大学経済学部 研究年報 29
一ざ()−
第29表 人口1人当たり税収入額の累年比較
1956年度 1959年度
人口1人当 全国平均を 人口1人当 全国平均を 区 分 順 位 順 位 たり税収入 1,000 とし たり税収入 1,000 とし
(円) た時の指数 (円) た時の指数 上 東 京 4,034 1,976 2 7,419 2,610 位 大 阪 4,396 2,154 6,827 2,310 2
体 神 奈 川 団 3,4声2 1,691 3 5,507 1,863 3 香 川 県 1,280 627 26 1,515 513 30
下 熊 本 1,003 491 38 1,162 393 44
位 島 根 1,091 535 34 1,130 382 45 団 体 鹿 児 島 649 318 46 871 芦95 46 全 国 平 均 2,041 1,000 2,956 1,000
〔出所〕『財政事情』第27回,1961年5月,40ページ。
第30表 地方交付税額の推移
(単位100万円)
香 川 県 都 道 府 県
年 度 一(%)
交付税額仏) 指 数 総 額(B) 指 数
1955 1,792 100 111,451 100 116 1956 1,843 103 114,981 103 1‥6
1957 2,302 128 138,366 124
1て
1958 2,423 135 151,124 136 1.6 1959 2,839 158 179,307 161 1.6
〔出所〕『財政事情.』第26回,1960年11月,8ページ。
香川県の税収構造が原周で,第1図にみるように県税収入の伸び率は全国平均 を下回っており,府県税収入にしめる香川県の税収入の割合は,1956年度の0.57
%から連年低下し,1960年度には0..44%になった。116)そして,人口1人当りの 税収入額は,第29表のように全国水準のほぼ半分であり,その順位は漸次低下
していった。
116)同上,第28回,1961年11月,7ページ。
一&ムー
戦後の香川県の地方財政
つぎは地方交付税である。これはこの期間に分担金及び負担金を除いて歳入 中最も大きい伸び率を示し,歳入にしめる割合も30%台にのった。それは,今 日までの推移をみても1960年度と並び最高の水準であった(1960年度は31..7
%)。香川県の地方交付税の増加率は,第30表のようにほぼ全国水準であり,交
付税の算定と密接な関係をもつ基準財政需要額の対前年度の伸び率からみた香
川県の順位は,1956年度の38位から1959年度には20位へと大きく上昇した。し たがって,香川県の税収入の低さは交付税の増大によって補完されたのである。
それは,第31表に示されている。すなわち,県税収入は全国平均の58%である が,交付税は全国平均を59%も上回り,−・般財源の全国平均に対する指数は96
となり,全国並になっているのである。すなわち,地方交付税交付金による財 政調整の効果は,香川県の場合十分に発揮されたのである。
第31表 人口1人当たり−・般財源の状況(1957年度)
一 般 財 源 一 般 財 源 内 訳 全国平均
歳入に占 地 方 税 地方交付税 地方誤与税
区 分 金 敵 人口1人 当たり客 に対する 指数
める割合 人口1人 当たり額 全国平均 指 数 人口1人 当たり三桁 指 数 人口1人 当たり額 指 数
万円 円 % 円 円 円
大 阪
70 5,713 223 124 40
東 京 47,062 5,628 130
64 5547 221 82 27
」二 58 4,235 a)165
239 78
位 愛 知 16,959 4L311 a)99 58 4011 a)156
300 97
団 兵 庫 15200 4,026
93
368体 京 都 8,288 4189 a)96 54 2′843 a)111 1,044 69 302 98 福 岡 1516、7 3′785 a)87 51 2825 a)110 655 43 305 99 平 均 4,827 112 61 4.418 176 203 13 206 67
香 川 県 4,015 4,186 a)96 52 1.449 58 2,400 159 341 岩 手 6.442 4,379 101 52 1143 a)45 2856 190 380 123 秋 田 6154 4446 a)102 52 1.116 a)43 2943 195 468 152
下 習 森 51963 4L168
96 53 1090 43 2673 405 13l
位 熊 本 6 715 3469
80
48 1075 a)42 2026 134 369 120団 徳 島 4,042 4507 104 47 l.06、7 a)42 3073 204 367 119
体 山 梨 3768 4581 a)105 49 1064 a)41 3162 210 354 115 鹿 児 島 7 744 36−75 85 50 748 a)29 2.577 四 350 114
平 均 4,063
94
50 1.023 41 2,668 1−77 372 121 全 国 平 均 4,322 100 53 2,507 100 1,507 100 308 100〔注)a)検算の結果,この数値は正確ではないと思う。
〔出所)ー財政事情J第23回,1959年5月,9ページ。
一&2一 香川大学経済学部 研究年報 29 エ財9
第32表 各省別国庫支出金の内訳(1956年度)
(単位 件数)
金額区分
(1,000円)
1〜 10 3
3
10〜 30 8 9
30′) 50 12 14
50′−、ノ 100 21 1 25
100〜 500 56 2 7 66
500〜1,000 22 2 3 3 31
1,000・〜2,000 26 5 4 3 39
2,000以上 30 6 24 5 16 81
計 178 18 30 19 23 268
〔出所〕『財政事情』第23回,1959年5月,13ページ。
第3は,国庫支出金である。それはこの間にその割合をほんの少し低下させ たが,それでも歳入の3分の1をしめる。歳入の重要な部分をなす国庫補助金 の問題点は多いが,さしあたり2つ指摘しておく。第1は,零細な補助金が多 いということである。第32表にみるように,補助金の圧倒的多数は農林省から のものであるが,年間10万円以下が51件で全体の19%にも達している。そして,
「中には経済効果が少なく割り当てされてむしろ押しつけられるようなものも ある」117)ということであった。第2は,超過負担である。第33表をみよ。それ は,たとえば,職員費において基本給(本奉)のみを補助対象としてそのほか の付加給,すなわち扶養手当や超過勤務手当等を対象外にしたり,建設事業に おいて用地買収や移転保障は補助対象から外すなどの対象差によって生じたも のである。超過負担の割合は,全体では4%であるが,総理府,農林省,労働 省関係の比率が高い。
つぎは歳出である。第34表をみよ。118)香川県の3大歳出が教育費,土木費,
117)同上,第23回,13ペ・−ジ。
118)『財政事情』による限り,普通会計目的別歳出決算は,1957年度までしか遡ることがで きない。しかし,香川県の財政課に問合せたところ,性質別歳出決算と同様にそれにつ
いても1953年度以降の資料があることがわかり,分析の対象に加えることができた。
ー&ヲー
戦後の香川県の地方財政
第33表 国庫支出金超過負担額の内訳(1956年度)
(単位1,000円)
国庫補助 地 方 負 担 額
区 %)
分 支 出 額 負担金
総理府関係
10,544
9,501 270 773 1,043 741 文部省関係 1,633,511 809,806 809,806 13,899 823,705 17 厚生省関係64,012 27,364
30,809 5,83936,648 159
農林省関係70,656 35,523
21,723 13,410 35,133 38。2 労働省関係10,685
5,698 3,237 1,7504,987 351
計 1,789,408 887,892 865,845 35,671 901,516 40
〔出所〕『財政事情』第23回,1959年5月,14ページ。
第34表 県目的別歳出の推移(普通会計)
(単位1,000円)
1955年度 1957年度 1959年度 区 分 金 額 百分比 金 額 百分比 金 額 百分比 諸 費 34,421 05 43,993 0.5 44,385 05 庁 費 580,886 85 581,371 7一1 935,899 108 警 察 消 防 費 447,569 65 486,925 5小9 561,285 64 土 木 費 1,005,021 147 1,309,753 16..0 1,443,357 16 6 教 費 2,524,794 370 2,949,519 36.0 3,288,389 378 社会及び労働施設費 496,010 73 548,532 6.7 571300 6 6 保 健 衛 生 費 99,834 15 121,505 1.5 117,005 1.3 産 業 経 済 費 1,071,609 157 1,160,462 142 869,326 10小0 財 産 費 113,731 1 7 298,625 36 29,525 0.3 統 計 調 査 費 18,570 0小3 15,033 02 13,177 0、..2 選 挙 費 6,542 0小1 12,805 0,2 27,882 03 諸 支 出 費 144,486 2 1 188,176 23 162,047 1.9 公 鹿 費 282,916 4,1 470,947 5 8 620,122 7.1
繰 出 金 1,500 0小0 12,205 0.2
合 計 一 6,827,889 100.0 8,187,646 100小0 8,695,904 100.0
〔注〕金額は決算額である。
〔出所〕香川県財政課資料;『財政事情』第24回,1959年11月,10ページ;第26回,1960年 11月,12ペ・−ジ。
香川大学経済学部 研究年報 29 J9β9 ーメイ−
第35表 類似県普通会計目的別歳出決算(1957年度)
(単位 %)
区 分 香川県 徳島県 佐賀県 奈良県 a)全国
諸 会 費 0.5 0.3 0.5 0‥6 0..4 庁 費 7.1 6.7 8..7 6,8 7日5
警 察 消 防 費
5.9 4日7 5.8 5‖3 6…3土 木 費 16..0 22小5 18.0 28.6 17..6 教 費 36..0 28.3 32.5
29い7
34。.8社会及び労働施設費 6.7 6..6 53 7..2 6.4 保 健 衛 生 費 1.5 1.3 19 1..8
産 業 経 済 費 14.2 11.3 12 9 10.8 14..4 財 産 費 3.7 0‖1 0.1 1.3 0‖6
統 計 費 0.2 0‖1 0小1 0け3 0.1
選 挙 費 0‖2
公 債 費 5‖8 10.3 9.7 6。1 6..5
諸 支 出 費 2.2 1.4 1.6 1.5 2..9
繰 上 充 用 費 6日4 2.9 0小6
計 100.0 100.0 1000 100..0 100‥0
〔注〕a)東京都と大阪府を除く。
〔ニ出所〕『財政事情』第23回,1959年5月,16ペ・−ジ。
産業経済費であることは1954年度以前とかわらない。しかし,時系列的にみる と,第1に,産業経済費がこの期間に金額,構成比ともに低下したこと,第2 に,公債費が著しく増大したこと,第3に,警察消防費が6%前後の割合を常 に占めるようになったことが特徴であろう。ところで,類似県と比較した目的 別歳出は第35表のようである。それによれば,香川県は教育費と産業経済費の 割合がやや大きく,土木費と公債費の割合は低い。土木費は香川県の場合,道 路橋梁費と港湾費に重点がおかれ,これらの比率が他県と比較してかなり大き い。しかし,災害土木費は他県の半額以下であり,災害の少ない県であること を示している。また,産業経済費は香川県の場合,農業関係に重点がおかれ,
林業費は少ない。119)
119)『財政事情』第23回,17ページ。
戦後の香川県の地方財政 −ざ上;−
第36表 性質別歳出の推移(普通会計)
(単位100万円)
1955年度 1957年度 区
分 金 額 百分比 金 額 百分比
1日 消 費 的 経 費 4,735 69.4 5,266 64..3
(1)人 件 費 3,392 49.7 3,918 47一.8
(2)物 件 費 511 7.5 498 6小1
(3)扶 助 費 196 2.9 187 2..3
(4)そ の 他 636 9、3 663 8.1
2.維 持 補 修 費 49 0,7 105 1い3 3.投 資 的 経 費 1,762 25,8 2,364 28..8
(1)補 助 事 業 1,491 21.8 1,919 23。.4
(2)単 独 事 業 264 3..9 445 5小4
(3)直 轄 分 担 金 7 0.1
4.公 債 費 280 4.1 456 5‖6
5山 繰 出 金 2 0‖0 6 0.0
合 計 6,828 100.0 a)8,188 100‥0
(注〕金額は決算額である。a)合計は,81僚9,700万円である。
〔出所〕『財政事情』第23回,1959年5月,25ページ。
次に性質別歳出の推移を見れば,第36表,第37表の通りである。まず第1に 注目すべきは,1954年度から人件費の割合が急上昇し,1959年度には50%をこ
えるまでに至ったことである。これは,普通会計による決算統計が開始された
1953年度以降今日までにおける最高の割合であった。したがって,1956年度以
降における県庁職員の削減もこのような人件費の増萬にたいする対応策の叫つ であったと言えるかも知れない。第2に,物件費がこの期間に若干その割合を 低下させたことである。第3に,投資的経費は予算の執行の抑制により1955年 度には金額とその割合を大きく低下させたが,そのような傾向は1958年度にも 生じたことである。第4に,公債費の割合の増加がみられることであるが,こ れは目的別歳出の分析のところですでに指摘したところである。類似県と比較
した性質別経費の内訳は,弟38表の通りである。ところで,香川県の場合,消 費的経費が割高であるが,それは人件費と「その他」の経費のうちの貸付金の
ーβ6− 香川大学経済学部 研究年報 29 エ9β9
第3丁表 性質別歳出(普通会計)
(単位1,000円)
1959年
区 分
金 額 百 分 比
人 件 費 4,365,436 50.2
物 件 費 526,403 6..1
維 持 補 修 費 91,921 1日1