Real Part{ }=
図5.14 Real Part{ψ2(x, y)}のスペクトル
きる.
ψi(x, y) = 1
√2(ψ1,i(x, y)−ψ2,i(x, y)) (5.21) ψi+3(x, y) = 1
√2(ψ1,i(x, y) +ψ2,i(x, y)) (5.22) ここで,i= 1,2,3であり,2次元ウェーブレット基底は同様にして定義される.
ψ1,1(x, y) =ϕh(x)ψh(y) , ψ2,1(x, y) =ϕg(x)ψg(y) ψ1,2(x, y) =ψh(x)ϕh(y) , ψ2,2(x, y) =ψg(x)ϕg(y)
ψ1,3(x, y) =ψh(x)ψh(y) , ψ2,3(x, y) =ψg(x)ψg(y) (5.23) ここで √1
2 により,正規化を行っている.
以上より,2次元DTCWTは,図5.12に示されるような,6つの方向を持つ2次元ウェーブ レット関数を持つことが分かった.これはDWTよりも多方向のエッジ成分を分離して取り扱う ことができることを示しており,画像処理を行う上で非常に有効である.
DWTと同様,テスト画像Zone plate にDTCWTを用いて変換した結果画像を図5.15に示 す.DWTとは異なりDTCWTは高い方向分解能を持つため,Zone plateを6方向のエッジ成分 +15◦,+45◦,+75◦,−15◦,−45◦,−75◦に分解できていることが分かる.
5.3 従来法:全域通過フィルタを用いた Dual-Tree 複素ウェーブ
図5.15 DTCWTによるZone plateの出力画像
度よく近似でき,かつ高い周波数選択性を持つFIRフィルタのセットの設計法について近年盛ん に研究されている.
この節では従来法として,全域通過フィルタを用いたDTCWTの設計[88]について述べる.こ の設計法は,DTCWTの各フィルタ対が半サンプル遅延の関係を満たすための,全域通過フィル タに基づく位相近似項と,周波数選択性を決定する振幅項を独立に設計し,2つを合成する手法で ある.
従来法においては,近似的ヒルベルト変換対の設計問題を全域通過フィルタの群遅延の設計問題 に帰着させて考えている.まず,τサンプルの遅延を持つ近似的全域通過フィルタは以下の公式で 与えられる.
A(z) =z−LDτ(1/z)
Dτ(z) (5.24)
ここで,
Dτ(z) =1 +
∑L n=1
dτ(n)z−n (5.25)
dτ(n) =(−1)n ( L
n
)(τ−L)n
(τ+ 1)n
(5.26) である.これは,Dτ(z)を用いて,z= 1の近傍において
A(z)≈z−τ の近似を行っており,すなわち,ω= 0の近傍において
A(ω)≈e−jωτ の近似を行っていることと等価である.
次に,上述した全域通過フィルタを用いて,ヒルベルト変換対の関係を満たす,低域通過の特性 を持つ直交フィルタの設計について述べる.従来法における設計では,低域通過フィルタは次のよ うな形をしている.
h0(n) =f(n)∗dτ(n) (5.27)
g0(n) =f(n)∗dτ(L−n) (5.28)
ここで,フィルタdτ(n)の設計によって,半サンプル遅延を近似することになる.すなわち,設計 の第1のステップは,フィルタh0(n)とg0(n)の間の所望の関係を満たすフィルタdτ(n)の決定 である.
式(5.27)と式(5.28)をz変換すると,
H0(z) =F(z)Dτ(z) (5.29)
G0(z) =F(z)z−LDτ(1/z) (5.30)
となる.ここでH0(z)とG0(z)は因数に同一の関数F(z)を持っている.F(z)ついては後述する が,この部分が振幅項となっている.式(5.29)と式(5.30)より,
G0(z) =H0(z)z−LDτ(1/z)
Dτ(z) (5.31)
と書ける.ここで,上述した全域通過フィルタと関連付けて次のように書ける.
A(z) := z−LDτ(1/z)
Dτ(z) (5.32)
A(z)は全域通過システムであるので,|A(ω)|= 1であり,それゆえ,
|G0(ω)|=|H0(ω)| , |G1(ω)|=|H1(ω)| すなわち,
|ψg(ω)|=|ψh(ω)|
である.ここで,A(z)に半サンプル遅延の条件を持たせるためにはω= 0の近傍において A(ω)≈e−jω2
とする必要がある.このとき,
G0(ω)≈H0(ω)e−jω2 (5.33)
が満たされる.式(5.33)を満たすためのD(z)は,τ= 1/2と設定すればよい.
一方振幅項については,K次レギュラリティ(滑らかさの指標)を持ち,低域通過の特性を持っ たフィルタF(z)を
F(z) =Q(z)(1 +z−1)K (5.34)
として設計する.結局,ヒルベルト変換対の関係を持ったフィルタH0(z),G0(z)は H0(z) =Q(z)(1 +z−1)KD(z)
G0(z) =Q(z)(1 +z−1)Kz−LD(1/z) (5.35) と設計される.