期 挿 入 一
異 巻 同 名 の 問 題
﹃詞 つか ひ﹄ 全 二 十 巻 中
︑ 冒 頭 の 一巻
﹁凡 例 の第 一巻
﹂ を 除 く 二 十 九 巻 の各 表 紙 の題 号 左の 小に 紙 片 が 貼 ら れ︑ そ れ に牛 車 に関 す る活 用 型 の名 目 と 通 し 番 号
︵巻 序 数
︶ が 記 さ れ て い る︒ こ の こと は前 節 に述 べた が
︑ い ま改 め て 簡 単 に列 挙 す る︒ 巻 序 数
︵第 一節 三 に述 べた 傍 線 を 付 す
︶・ 貼 紙 上 の活 用型 に与 え ら れ た 車 に関 す 名る 目
︒貼 紙 上 の巻 序 数
︒各 巻 表 紙 左 上 活 用 型 の傍 ら に書 か れ る名 目 の順 に列 記 す る
︵下 段 の
﹇
﹈ 内 は春 房 書 入 活の 用 型 名 目
︒
︵ ︶ 内 は渡 辺︶︒
○ 巻 序 数 活・ 用 型 名 目 第 壱 の巻 右 輪 第 一 左 第 二 の巻 右 輪 第 二
︵な し
︶ 第 二巻 右 輪 第 三 左 第 四 ノ巻 右 輪 第 四 左 第 五 巻 右 輪 第 五 な︵ し
︶ 第 六 の巻 右 輪 第 六 左 七 の巻 左 輪 第 七 な︵ し
︶
第 八 の巻 第 九 の巻 第 十 巻 十 一の ま き 第 十
︹四︺ 弐 巻 第 十 三 巻 十 四 の巻 第 十 五 巻 第 十 六 巻 第 十 六 巻 の下 第 十 七 巻 十 八 の巻 第 十 九 巻 第 廿 巻 第 廿 一巻 第 廿 二 巻 常 補 巻 第 廿 三 巻
61
第二節「常補巻J後期挿入
憤
T憤
憤 憤 憤 憤 憤 慣 憤 憤 憤TT憤
憤 憤 llFし
し
し
左 輪 第 八 左 輪 第 九 左 輪 第 十 左 輪 第 十 一 左 輪 第 十 二 左 輪 第 十 三 左 輪 第 十 四 左 輪 第 十 五 牛 語 第 十 六 牛 語 第 十 七 牛 語 第 十 八 牛 語 第 十 九 牛 語 第 二十 牛 語 第 二十 一 牛 語 第 二十 二 牛 語 第 二十 三 戟 語 第 二十 四 轄 語 第 二十 五
轟﹇ 木五 m﹈
︵な し
︶
︵な し
︶
︵な し
︶
︵な し
︶
︵な し
︶
︵な し
︶
︵な し
︶
﹇縞 抑五 中﹈
﹇穀
﹈
第 廿
︹三
︺ 四 巻 轄 語 第 廿 六 憤 廿 五 の巻 轍 語 第 二十
︹六
︺ 七 憤 第 廿 六 巻 輻 語 第 二 十
︹七
︺ 八
︵な
︶し 第 廿 七 巻 穀 語 第 二十
︹八
︺ 九
︵な
︶し 貼 紙 上 の通 し 番 号 後は 半
﹁第 十 六 巻 下の
﹂ 以 降
︑ 当 初 の巻 序 数 と 異 な る︒ こ れ は︑ 述 べた よ う に全 三十 巻 の巻 序 が 一応 整 たっ 後 に付 け ら れ た も の で︑ 同 じ 貼 紙 上 の活 用 型 別 名 目 も 同 様 であ る
︒ 貼 紙 上 の名 目 動は 詞 が 七 種
︑ 形 容 詞 が 二 種 で あ る︒ と ころ が 幾 つか の巻 の表 紙 右 上 隅 に同 様 の活 用 型 別名 目 が 芝 原 春 房 に よ てっ 書 入 れ ら れ て い る︒ 牛 語 の初 巻
﹁第 十 六 巻
﹂ に
﹁乗 語
﹂ 翁廿 三 巻
﹂ ま で︶︑ 戟 語 の巻
﹁常 補 巻
﹂ に 輻﹁ 語
﹂︑ 轄 語 の巻
﹁第 廿 三 巻
﹂ に
﹁穀
﹂ を 書 く
︒ こ の三 巻 は 同 じ 活 用 型 に対 し て常 昭 及 び 春 房 に よ てっ 異 な る 二 つ 名の 目 が 与 え ら れ て い る こ と にな る
︒ 春 房 名の 目 の規 定 と し て
﹁乗 語
﹂ に︑
① 春 云 此 巻 よ り 廿 三 巻 ま で乗 語 也 右 輪 左 輪 の旋 ざ ま にか は り て又 一つ の旋 也
︵第 十 六 巻 表 紙 付 箋 書 入
︶
﹁穀
﹂ に︑
② 衣 緯 に発 り て宇 緯 に転 り 又 る も じ そ は る ハ全 く 左 輪 に ひ と し け れ ど も 是 ハ語 の首 う つる 故 穀に と 名 つく
︵第 廿 三 巻 表 紙 付 箋 書 入
︶ が あ る︒ た だ し
︑ 同 じ 養 房 の名 目 輻﹁ 語
﹂ に は そ れ が な い︒ 同 様 の規 定 右は 輪 の
﹁第 壱 の巻
﹂ に︑
③ 伊 緯 よ り 発 て宇 緯 に行 も の を 右 輪 語 と い ふ 七 の巻 ま で皆 し か 也
︵第 壱 の巻 表 紙 書 入︶
第二節
「常補巻J後期挿入
同 じ く 右 輪 の
﹁第 二 の巻
﹂ に︑
④ 春 云 伊 緯 よ り 発 て宇 緯 に行 も のを 右 輪 語 と いふ 七 巻 ま で皆 右 輪 語 也
︵第 二 の巻 表 紙 書 入
︶ 左 輪 の
﹁七 の巻
﹂ に︑
⑤ 此 巻 左 輪 の首 巻 也 十 五 巻 ま で左 輪 也 衣 緯 よ り発 て宇 緯 旋に り る 詞の そ ふ
︵七 の巻 表 紙 書 入
︶ と あ る
︒ 右 の春 房 書 入が 何時 の段 階 で行 われ た か︒ 乗﹁ 語﹂ 規 定中 の
﹁此 巻よ り廿 三巻 ま で﹂ を
﹁巻 序 数
・活 用型 名目
﹂ 一覧 に
﹁第 六十 巻
︵貼 紙︑ 牛語 第十 六︶
〜第 廿 二巻
︵貼 紙
︑ 牛 語 第 二十 三こ と し たが
︑ この
﹁廿 三﹂ が 第﹁ 廿
︹三
︺ 四巻
﹂ の巻 序 数訂 正 前 の
﹁第 廿 三巻
﹂ の こと か︑ 貼 紙上 の 第﹁ 二十 三﹂ を指 す のか
︑ これ を明 から すに る こ と そが の解 答 にな るか も れし な い︒ 仮 に前 者 とす ると
﹁現 第 廿 三巻
﹂ まは 位だ 置 定が まら ず 常﹁ 補巻
﹂も まだ 挿 入 され て いな い段 階 の こと とな るし 後︑ 者 とす る と
﹁現 第廿 三巻
﹂ が現 在 の位 置 に定 まり 第﹁ 廿
︹三
︺ 四巻
﹂ の巻 序 数 も訂 正 さ れ
﹁常 補巻
﹂ も挿 入 され 小紙 片 を貼 てっ 通 巻し 序 数 を記 した 後 の
﹃詞 つか
﹄ひ 成立 過程 にお け る最 終 段 階 のこ とと な る︒ こ のこ と に つい ては 再 述び べる
︵← 三0
︶︒ 鈴 木膿 活﹁ 語 ト マリ ノ モ ノシ 説﹂ の宣 長 添書 の︑
⑥ ノア ノ津 二柴 田 郎四 ヱ門 常 昭 云卜 男シ アリ 鈴 屋門 人也 甚 才 子 ニテ 物 ヲ ヨク 考 ル男 ナリ キ ハヤ ク古 人 ニナ リレ 此 男 ノ思 ヒ キツ ニテ 活 語 ノ事 ヲ考 テヘ 詞 ノ小 車 名卜 ケ テ予 許ガ ヘモ タビ タ 見ビ セ テ殊 ノ外 ク ハシ キ事 ナリ シ ニ惜 哉惜 哉物 故 セリ 其書 イ マダ 成落 セズ コレ ニ依 テ同 邑 二芝 原 六郎 ヱ門 春房 云卜 男 ノソ 詞 ノ小 車 ノ後 ヲ ツギ テ考 ヘ
︵2
︶
成 サ トン テ今 最中 考 居へ ル也 此両 人共 二云 ク サテ サ テム ツカ シキ 物 ニテ 尽 シガ タキ ノモ 也 云卜 り
︵八 二
︶ぺ によ れば
︑ 春 房 の活 用 型名 目 は常 昭没 後 にそ の研 究 を継 いだ 後 の書 入れ とな る か のよ う であ る︒
と す る と
︑ 常 昭 の与 え た 名 目 が 既 にあ る の に何 故 そ れ と 異 な る名 目 を 書 き 込 ん だ か が 問 題 と な る︒ 活 用 型 に対 す る規 定 は
︑ 常 昭 没 後
︑ 春 房 に よ てっ 記 さ れ た も のと し て何 の不 審 も な いが
︑ 同 一活 用 型 に対 し て異 な る 二 つの 名 目 が 存 在 す る こと 何は と も 理 解 し 難 い︒ 次 のと お り であ る︒ 第 十 六 巻
〜 第 廿 二巻
︵多 音 節 語 イ﹁ ウ ウ る
﹂ 活 用
︶ 常 昭
﹁牛 五巴
︱
︱ 春 房 書 入
﹁乗 躍 常 補 巻
︵単 音 節 語 イ﹁
﹂ウ 活 用︶ 常 昭
﹁戟 巴
︱
︱ 春 房 書 入
﹁輻 語
﹂ 第 廿 三巻
︵単 音 節 語
﹁エ ウ ウ
﹂る 活 用
︶ 常 昭
﹁轄 巴
︱
︱ 春 房 書 入
﹁穀
﹂ 右 のう ち
︑
﹁牛 語
﹂ に対 し て
﹁乗 語
﹂ と し た の 単は な 春る 房 の変 更 案 と し て片 付 け る こと も 出 来 る︒
﹁右 輪 語
﹂
←
﹁左 輪 語
﹂ と し て次 に 位 置 す る活 用 型 名の 目 に
﹁牛 語
﹂
﹁乗 語
﹂ の ずい れ を 適 当 と す る か
︑ これ は も う 見 解 相の 違 と いう べき こと であ ろ う が︑ あ え て付 度 す れ ば
﹃詞 つか
﹄ひ が
﹁牛 車
﹂ に関 わ てっ 名 目 と し た 用 語 にお い て
﹁車
﹂ に 関 わ る 右﹁ 輪
﹂
﹁左 輪
﹂ に よ り近 い の は
﹁牛
﹂ で は な く
﹁乗
﹂ だ と 春 房 考は え た の か も し れ な い︒ し か し こ の こと 今は さ ほ ど 問 題 と す べき こ と で なは い︒ 問 題 は 他 の 二 つが 既 に常 昭 に よ てっ 他 の巻 に使 わ れ て い 名る 目 あで とる うい こと であ る︒
﹁常 補 巻
﹂ 春 房 書 入 の 輻﹁ 語
﹂ は ク活 用 形 容 詞
﹁第 廿 六 巻
﹂ に常 昭 の
﹁輻 語
﹂ が 存 在 し
︑
﹁第 廿 三巻
﹂ 春 房 書 入 の 穀﹁
﹂ は クシ 活 用 形 容 詞
﹁第 廿 七 巻
﹂ 常に 昭 の
﹁穀 語
﹂ が 存 在 す る︒ 同 一名 目 が 常 昭
︑ 春 房 によ てっ そ れ ぞ れ 別 の巻 に使 わ れ
︑ し か も そ の 一方 の巻 が と も 形に 容 詞 の巻 であ る と な る と
︑ 単 な る名 目 変 更 と は簡 単 に片 付 け ら れ な い何 か が あ る と 思 たい く な る︒ 春 房 は何 故
︑ 既 常に 昭 が 使 用 し 名た 目 を 敢 え て別 の巻 に使 たっ のか
︒ 関 係 分 は次 の と お り であ る︒ 常 昭
﹁輻 語
﹂
︵ク 活 用 形 容 詞 第 廿 六 巻
︶
︱
︱ 春 房
﹁輻 語
﹂
︵単 音 節 語 イ﹁ ウ﹂ 活 用 常 補 巻
︶ 常 昭
﹁穀 語
﹂
︵シ ク活 用 形 容 詞 第 廿 七 巻
︶
︱
︱ 春 房
﹁穀
﹂
︵単 音 節 語
﹁エ ウ ウ る﹂ 活 用 第 廿 三 巻
︶
第二節
「常補巻J後期挿入
こ の同 一の 名 目 が 異 な る巻 に使 わ れ た り同 一の 巻 に異 な る 名 目 が 使 わ れ た りす る 巻 々 が︑
﹁常 補 巻
﹂ 後 期 挿 入 の 問 題 と 関 連 し て問 題 と な る︒ な お︑ こ の項 の冒 頭
︑
﹁巻 序 数
・活 用 型 名 目
﹂ 一覧 の下 段
﹁左
﹂ と
﹁慣
︵憤 と に つい て言 う と︑ 左 と 慣
︵憤
︶ は 活 用 型 を 二分 す 名る 目 で︑
﹁左
﹂ は
﹁左 輪
︵語 と と は違 てっ
︑ い わ ゆ る
﹁母 音 活 用﹂
︵無 靡
︶︑ 憤﹁
︵慣 と は
﹁る れ 活 用
﹂
︵有 靡
︶ を いう
︒ 常 昭 に動 詞 活 用 を 二分 す る 無 靡
︒有 靡 対 立 の考 え が あ たっ こと 注は 目 さ れ る こと で ︑ これ が あ﹃ ゆ ひ抄
﹄ の流 れ を 汲 む も のか ど う か︑ そ 可の 能 性 は あ る が 確 か な こと は分 か ら な い︒ こ の点 に つい て 後は で 再 び 述 べる
︵← 第 二 章 第 二 節 五
︶︒ 一一
﹁常 補 巻
﹂ の 成 立 0
﹁第 廿 六 巻
﹂ 表 紙 書 入
﹁輻 語
﹂ を 巡 る 異 巻 同 名 の問 題 は 常﹁ 補 巻
﹂ の成 立 と密 接 な 関 わ り が あ る︒ 常﹁ 補 巻
﹂ は
﹁沃 イ︻ ウ︼ 乾
︻ヒ フ︼ 居
︻ヰ ウピ の三 語 を 例 語 と す る単 音 節 語 イ﹁
・ウ
﹂ 活 用 の︑ 表 紙 枚一 の巻 であ る
︒
﹃活 用 言 の冊 子
﹄ の対 す る巻 は
﹁ヒ キ ウ 率
﹂ 一語 を 例 語 と す る多 音 節 語
﹁ヰ
・ウ
・ウ
﹂ル 活 用 の 第﹁ 廿 三 会
﹂ で︑ これ 抹は 消 さ れ て い る︒
﹁常 補 巻
﹂ の名 目 が 活﹃ 用 言 の冊 子
﹄ にな い巻 を 常 昭 が新 た 補に たっ 巻 と いう 意 味 だ と す る と 名 目 か ら も 活 用 型 か ら も 確 か に
﹁常 補 巻
﹂ は
﹃活 用 言 の冊 子
﹄ に倣 たっ 巻 では な い が
︑
﹃活 用 言 の冊 子
﹄
﹁第 廿
︹六
︺
︿五
﹀ 会
﹂ に田 中 道 麿 書 入
︒抹 消 の
﹁乾
﹂
﹁居
﹂ が あ てっ
︑ そ れ と の関 係 が 問 題 と な る
︵← 0
︶︒ 形 容 詞
︵ク 活 用
︶ の
﹁第 廿 六 巻
﹂ の表 紙 に 動は 詞 に関 す 多る く の書 入 れ があ る︒
⑦ イ︵
︶万 葉 十 八 ノ廿 丁 末 為 之 和 我 世 乎 マヰ マウ ト 云 詞 也 コ 又レ 一巻 ノ語 ト ス ベ シ
︵口
︶廿 ノ十 一丁 ネLレ安 ァ
婆 ′︑麻 マ 為 ヰ許 コ 牟 ム 参 来
︵ハ
︶廿 ノ 廿 二 丁 麻 為 三 根 麻 之 乎