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建設現場における分業体制と労務調達の実態

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2.3 主要建設会社決算分析( 2015 年度第 2 四半期)

2.1.1 建設現場における分業体制と労務調達の実態

当研究所では、2014年度より、建設現場における実際の分業体制と労務調達の実態を探る べく、専門工事業者へのインタビューを実施してきた。2015年度下半期では、関西圏、中京 圏、地方圏の仕上系業種(内装仕上工事業、塗装工事業、左官工事業)の専門工事業者に対 して、首都圏の仕上系業種に行ったものと同様のインタビューを実施した。

本項では、まず、2015年度下半期に実施したインタビュー調査の実施概要を示す((1))。

次に、2015年度下半期のインタビューの結果の概要を紹介する((2))。最後に、2年間のイ ンタビュー結果全体について、地域(大都市圏・地方圏)、業種(躯体系業種・仕上系業種)

を比較しつつ取りまとめる((3))。

(1) インタビュー調査の実施概要

①実施期間

・2015年10月~2016年2月

②インタビュー対象企業 計14社

・宮城県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、広島県、香川県、長崎県に本社を置く専門 工事業者

・内装仕上工事業者(7社)塗装工事業者(6社)左官工事業(1社)の3業種

・大手・準大手ゼネコン、地場ゼネコン、ハウスメーカー等を主要取引会社とする企業

(2) インタビュー結果の概要

対象各企業へのインタビュー結果は以下のとおりである。なお、関西圏、中京圏、地方圏 に本社を置き、主に、1次下請として大手・準大手、地場ゼネコン、ハウスメーカー等と取 引をしている専門工事業者(14社)からの限定的なインタビューであるため、必ずしも仕上 系業種全体を代表しているものではないことに留意する必要がある。

≪関西圏・中京圏≫

①技能労働者の状況

(インタビュー対象企業について(主に1次下請))

・1次下請は、社員が役員の他に事務職員数名、技術職員数名~数十名である企業が多い。

・首都圏と同様に技能労働者を一切雇用していない企業も存在するが、技能労働者を数名

~十数名程、直接雇用する企業も存在する。

・技能労働者を社員として雇用している企業は、年齢の高い技能労働者に、社会保険加入 の説得を行っているが、なかなか加入してくれないというケースもあった。

・内装仕上工事業、塗装工事業は、改修工事を受注している企業もあり、規模の大きい企 業は、改修工事の元請となる企業も存在している。また改修工事は徐々に増えている。

・複数のゼネコンと取引関係がある企業も多い。

・従来から技能労働者を雇用しているが、採用、運用面の変更などを考慮した結果、子会 社を設立し、その企業で技能労働者を直接雇用しているという例も複数あった。

・取引先であるゼネコンの受注によって公共工事、民間工事の区別なく受注している。

・首都圏同様、各社独自の協力会を組織している規模の大きい企業は複数存在し、安全品 質面での教育を実施するなど、連携を密に取っている。

(インタビュー対象企業(主に1次下請)が取引している2次下請について)

・2次下請の組織形態は様々である(会社形態、個人事業主、一人親方、建設業許可の有 無など)。首都圏同様、内装仕上工事では、一人親方の形態は比較的多い。

・1次下請の指示により、一人親方などの技能労働者が現場に配置される。現場により必 要とされる人数は異なり、一人親方や小規模な集団で形成される班編成も、現場毎に変 わり、メンバーが固定されない場合もある。

・首都圏と同様に、2次下請の技能労働者の賃金、募集手段などの運営方法について、1 次下請といえども介入することはほぼ無い。

②生産体制について

(元請企業からの受注)

・1次下請として、元請企業から工事入札前に下見積の提出を求められ、元請企業の落札 後に改めて仕事を打診される。期中に元請企業から他社の応援を打診されることもある。

・同業他社で廃業が進んでいる中、技能労働者を多く抱えている(施工能力が安定してい る)下請企業に仕事が集まる印象であるという意見もあった。

・1次下請の手持ち工事と施工能力の関係で、元請からの仕事の打診を1次下請が頻繁に 断るといったような発言は、首都圏と比較するとあまり見受けられなかった。

・首都圏同様に、元請企業からの1次下請への打診時期が以前より早まっており、元請企 業が施工人員の確保を急いでいるという印象を持っている企業も存在した。

(技能労働者の配置)

・施工時期と規模等を鑑みて計画を立て、動員可能な技能労働者を現場に配置している。

・塗装工事の場合は、天候によって工程が大きく変更になる場合があり、その都度の調整 が必要である。ハウスメーカー等の1つの工事の規模が小さい場合は、そのやりくりに 手間がかかるという意見も聞かれた。

・首都圏同様、直接雇用していない技能労働者を自社の技能労働者として送り出していた こともあったが、近年は2次下請として送り出している企業も複数ある。

(繁閑の調整)

・首都圏同様、仕事量が多い場合でも、自社と継続的に取引のある下請企業の施工可能な 範囲内で受注する方針であるが、工事終盤等、応援が必要な状況に迫られると、同業他 社で応援のやりとりを実施している。

・首都圏同様、仕上系業種は最終工程に近く、多くの建設現場では突貫工事になり、急遽 人員を確保するよう元請企業から要求されることも多い。そのような場合、同業他社、

材料取扱企業を経由し、施工人員の貸し借りによって繁閑の調整を行っている。なお、

自社に起因しない要因で工程が遅れ、応援が必要な状況が発生すると、1次下請として は工事原価が膨らむにも関わらず、元請企業との請負金額は増額されず、苦慮している という意見は多くあった。

(支払い)

・首都圏同様、2次下請への支払いは、請負契約に基づく出来高払い(平米単価など)が 多く、親方を通して配下の技能労働者に配分されている。

・自社で技能労働者を雇用している企業は、今回のインタビューでは、技能労働者は日給 月給制や、月給制といったケースもみられた。

③技能労働者の確保について

・首都圏では、技能労働者を直接雇用しているケースはほぼ無かった。関西圏、中京圏で は、首都圏同様に技能労働者を直接雇用していない企業も多いが、技能労働者を直接雇 用している企業も存在した。

~技能労働者を常時雇用している場合~

・1次下請が技能労働者を直接雇用している場合は、ハローワーク、高卒新卒に求人を出 し、採用活動を行う企業も多い。

・下請企業から技能労働者を採用し教育を行い、技能労働者としてだけでなく、管理者と しても活躍できるような人材を育成しているという事例もあった。

・新卒で採用し自社で教育を実践しても、ある程度の年齢になると、他社等の技能労働者 から、「手取賃金が多い」「自由にできる」等の情報を得て、独立していくこともある。

・今後は専属班の会社組織化、子会社化を行い、グループ内で採用、教育をされた技能労 働者を確実に確保していこうとする意見も複数聞かれた。

・採用に関して苦慮している意見として、以下のような趣旨の話があった。

「ハローワークでは、なかなかいい人材が集まらない。面接の連絡をしても当日にキャ ンセルされ、採用の連絡をしても、出勤日初日に来ないこともある。中には、就職活動 の証明のためだけに面接に来て、面接実施の証明だけを求められることもある。採用に は非常に苦慮している。」

・若手未経験者の採用を実施している企業からは、以下のような趣旨の話も複数あった。

「未経験者の教育では、ある特定の業務に特化して教育を行い、その業務では早く一人前 にすることが重要だ。本人も自信がつき、他の分野やレベルの高い業務へも応用が利く ようになる。また教育をする先輩の職人や職長としても、教育した分野については任せ ることができる。」

~技能労働者を直接雇用していない場合~

・1次下請が技能労働者を直接雇用していない場合は、2次下請の技能労働者の採用につ いて、1次下請が大きく関与している例は見受けられなかった。しかし、継続的に取引 関係のある2次下請の数、規模を拡大させたいという意見は多く聞かれた。

・2次下請の技能労働者の確保は、親方(社長)が独自に行っている。1次下請からは、2 次以下の技能労働者の募集方法は、縁故・知人の紹介が多いのではないかという意見が 多かったが、具体的に把握している1次下請は少ない。

④1次下請による技能労働者の常時雇用について

・現時点で、技能労働者を直接雇用している企業は、引き続き常時雇用には賛成である。

・現在、技能労働者を常時雇用しておらず、技能労働者を2次下請以下に依存している企 業は、今後も、常時雇用は検討していない場合が多い。

・技能労働者を直接雇用していない企業は、継続的に取引関係のある下請企業を増やそう とする動きもある。しかし、新規の下請企業を現場に送り出すことは、1次下請にとっ ては、品質管理等リスクがある。従って、同業他社からの紹介や、同じ現場で工事をし た企業等から新規取引先を探すが、下請企業の拡大には苦慮している1次下請は多い。

・技能労働者を直接雇用していない企業から、以下のような話もあった。

「採用は、親方に頼っているのが現状であり、そういった親方も縁故採用が中心だと思 う。今後本当に技能労働者の確保が困難である場合は、技能労働者を多く抱えている 下請をまるまる吸収するしかないとも考えている。」

⑤社会保険等未加入対策について (社会保険等未等加入対策)

・ほぼ全ての企業で、元請企業(ゼネコン)から指導を受けており、2次下請への指導も 行っている。

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