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2005 年シーズンの反省

平成 17 年度中国四国医師会連合医事紛争研究会

と き  平成 17 年 11 月 6 日(日)午後 1 時 30 分〜午後 3 時 30 分 ところ  ホテルグランヴィア岡山

報告:理事 小田 悦郎 杉山 知行 正木 康史

協 議

1. 行政の医療相談窓口へ寄せられた事例につい

て  <鳥取県>

 鳥取県には、県庁と各保健所に医療に関する 相談窓口として「医療相談支援センター」が平成 15 年 8 月に設置され、県民からの相談を受け付 けている。

 相談の主な内容は、医療費に関するもの、医師 や看護職員の接遇、処置や薬に関するものなど幅 広く相談が寄せられている。

 その中でまれに医療事故らしき相談があり、県 では「病院とよく相談するとともに司法の判断を 仰ぐ場合は弁護士に相談するよう」回答している ようであるが、具体事例として医事紛争に至った 事例はまだない。各県の状況は如何か。

 各県とも「医療安全支援センター」が設置され ているが、現在のところ医事紛争に至った事例は ない。山口県ではセンターとの事前の打ち合わせ で、このような相談を受けた場合には「その医療 機関と良く相談してみては」あるいは「県医師会 の相談窓口と相談してみては」と回答してもらう ようにしている。

2. 医療相談事業の各県の取り組みについて

<徳島県>

 医事紛争の予防という観点から見ても、患者及 び家族の医療に関する相談に迅速に対応すること

が必要である。

 そのためには患者及び家族が医療に対して何を 望んでいるのか、何に不満を持っているのかを、

まず把握することと思う。

 そこで、医療相談事業の各県の取り組みについ て、また県行政の行う医療相談窓口事業との連携 についてご教示いただきたい。(徳島県はあまり うまくいっていない)

 医療安全支援センターの運営について協議を行 う「医療安全推進協議会」の委員として県医師会 役員が参加するなど、ほとんどの県で県行政との 連携を図っているが、まだ十分とはいえないよう である。山口県医師会では医療安全支援センター と定期的協議の場を設けることで合意している が、ただ個人情報保護法とのかね合いで、相談窓 口に寄せられた個々の相談内容を、県医師会にす べてを公開することについては難色を示してい る。

3. 専門委員制度への取り組みについて

<岡山県>

 岡山県においては、岡山地方裁判所の依頼を受 け、岡山県医師会、岡山大学及び川崎医科大学か ら専門委員を推薦し、本年 4 月 1 日より専門委 員制度は本格的に活動を開始した。平成 17 年 8 月 31 日現在、岡山地方裁判所に所属する専門委 員は 43 名である。各県の実情をお聞かせいただ きたい。

 鳥取県、広島県、愛媛県ではすでに専門委員が 選任されている。山口県では、山口地方裁判所に 医療訴訟連絡協議会が設置されており、協議会の 幹事は国公立病院の院長及び弁護士等により構成 されている。また、その協議会の推薦を受けた専 門委員 11 名で運営されている。

4. 適正な示談金額について  <広島県>

 紛争解決方法として、示談の割合は多い。その 際、示談金額はどのように決められているか ?  医療機関としては早期解決のため、多少自己負 担がかかっても示談をまとめようとする傾向があ るように思われる。

 その際、保険金容認額外の負担部分はすべて各 医療機関の負担としているのか、他に別の方法が あるのか伺いたい。

 広島県医師会では共済制度があり、自己負担 について申請があれば委員会に諮り、一部を補助 している。(ABC 全会員から年間 24,000 円徴収、

5,000 万円まで補助)

 その他の県に共済制度はない。

 日医医賠責保険を使用した事例では、これまで 日医指示金額範囲内でほとんど解決しているよう である。

 日医医賠責保険を利用しない国公立病院等の医 療事故では、示談解決が増加している。

藤村日医常任理事:安易な示談解決は好ましくな い。示談金上昇の恐れがある。

5. 医療事故防止の研修会への対応について

<山口県>

 本年 8 月 6 日と 7 日の 2 日間にわたって開催 された日医の医療事故防止研修会は、いわゆる「リ ピーター医師」を対象とした研修会で、開催に先 立ち、日医から都道府県医師会宛に、該当する医 療機関名を上げるにようにとの依頼があった。山 口県医師会では、日医のリピーターの定義に沿っ て、該当医療機関を選定し、医事案件調査委員会 で協議した上で、自浄作用活性化委員会、理事会 を経て日医に上げるプロセスを取った。

1 日医へ上げた該当医療機関の数 2 選定に当たってのプロセス 3 不満・不平等等のトラブルの有無

鳥取県:該当する医療機関はない、研修会に参加 を希望する医師が 2 名参加した。したがってト ラブルはない。

島根県:該当医療機関はない。リピーター医師と いう言葉は適当でない。

岡山県:該当医療機関は 2 件でいずれも産婦人 科であった。医療安全医事紛争対策委員会幹事会 で選定し、理事会で決定した。トラブルはない。

広島県:自浄作用活性化委員会企画委員会にてそ の選定を検討した。結果、5 施設へ参加を依頼し たが、その内承諾した 3 施設に参加してもらった。

トラブルはない。

山口県:3 施設に参加してもらった。プロセスは 説明の通りで、トラブルはない。

徳島県:該当医療機関なし。医事紛争処理委員 会と倫理委員会で合同委員会を開催し協議した上 で、常任理事会で承認を得る。トラブルはない。

愛媛県:該当医療機関なし。

高知県:該当医療機関なし。この会は単にリピー ター医師の研修と捉えるのでなく、多くの役員 や会員、医療関係者が参加し、医療安全に真剣に 取り組んでいると云う日医や会員の姿勢が大事と 思っている。次回からはぜひ公開で開催してほし い。

香川県:該当医療機関なし。会には役員 2 名が 出席した。

6. 委員会における有責・無責判定について

<愛媛県>

 当県では原則的に公的第三者解決を図ることに している。委員会では有責・無責の判定は行って

いない。委員会では医療上過失の有無を判断して おり、法律上の実務的対応では弁護士に相談して いる。

鳥取県:100 万円を超える事案は日医に付託して、

有責・無責の判断をあおいでいる。100 万円未 満の事案については医師会役員あるいは弁護士の 仲介により、示談解決している。

島根県:特別に行ってない。日医の判断によって いる。

岡山県:委員会幹事会で有責・無責を決定してい るが、弁護士に相談もしている。

広島県:委員会で決定している。その内容・結果 については原則非公開としている。

山口県:委員会で協議しているが、今後の紛争解 決に向けての方針を立てる上で、可能な限り有責・

無責を判断している。弁護士はその判断を参考に して交渉を行うので、速やかな解決につながって いる。

徳島県:委員会が有責・無責を判断し、直接患者 さんと交渉にあたっている(金額を含む)。有責・

無責が主でなく紛争処理を第一としている。

愛媛県:説明通り。

高知県:郡市医師会担当者、県担当役員(又は委 員会)該当会員と弁護士とで検討している。有責 と考えられる事例を日医に委託している。

香川県:委員会では 100 万円未満の請求で、郡 市医師会で処理困難なものの解決を図っている。

100 万円を超えるものの有責・無責の判断は日 医付託して、その判断をあおいでいる。

7. 各県における医師賠償責任保険(日医医賠償 責任保険以外)の状況について

鳥取県:本委員会で処理した事例のみで、損保会 社が解決した事例は把握していない。

島根県:病院別の実体は把握していない。

岡山県:把握しているのは日医医賠責と日医の免 責部分をカバーする損保ジャパンの 100 万円保 険のみ。

広島県:100 万円保険、団体医賠責保険を取り扱っ ている。他の保険でも委員会で検討された事例は 把握可能。

山口県:日医医賠責と 100 万円の保険は把握し ている。委員会で検討された事例であれば、他保 険であっても把握できる。

徳島県:各保険で医師会と通して団体加入してい るものはすべて把握している。

愛媛県:日医医賠責、100 万円保険は把握して いる。

高知県:日医医賠責、100 万円保険は把握して いる。

香川県:説明通り

その他

 山口県より「個人情報漏洩」と「医事案件」の 処理についての追加質問があった。

 各県とも「個人情報漏洩」については、対応が まだまだな県が多い。その中で、特別な委員会を 立ち上げたのが、広島県、また岡山県ではトラブ ルが 1 件発生し、10 万円で示談したのみで、せ いぜい保険加入を勧めている程度であった。日医 より個人情報保護法は医療には迷惑なことであ る。保険料も決して安くない。他の意味でビジ ネスが活発化している。個人情報保護とプライバ シー保護が混同されている。その損害に関しては そんなに高額なものではないと思っている。今後 も Q & A などを収集し、検討していくつもりで あるとのコメントがあった。