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と き  平成 17 年 11 月 12 日(土)午前 10 時〜

ところ  大津プリンスホテル(大津市)

報告:常任理事 濱本 史明  理事 杉山 知行 

が、今年度は「心」の問題に関してアンケート調 査を行った。市内の 13 校(小学校 9 、中学校 4)

を選びストレスチェック・アンケートを行い小学 校は 4 年生以上 1,105 名、中学校は全学年 1,212 名について、回答を得た(回収率 95%)。同時に 同じ学校の保護者と教師に児童生徒の行動につい て、対応の仕方と捉え方を聞いたアンケートを行 い、それぞれ 1,082 名、221 名の回答を得た。

ストレスがない(0 〜 2 項目該当)52.2%、や やストレスあり(3 〜 6 項目)34.0%、ストレス あり(7 項目以上)13.8%であった。中学生では ストレスありの傾向が 52%で、小学生の 43.3%

より高かった。中学生は半数以上の生徒がストレ スを感じ、それは学年とともに増加し、特に中学 3 年生では 7 項目以上を訴える者が 19.5%となっ た。訴えの多い項目は小、中学生とも①疲れ気味、

②イライラ、であり、次に小学生では③眠れない、

④気分が沈む、⑤肩こりや頭痛、⑥面倒だ、の順 で、中学生では③面倒だ、④肩こりや頭痛、⑤気 分が沈む、将来に希望がもてない、眠れない、⑥ 何でもないことが気になる、の順であった。

一方保護者・教師への「もしもあなたのお子さん

(生徒)が○○○の時、あなたはどうしますか ?」

との 10 の質問アンケートに対して、保護者は自 分の意志を子どもに要求する傾向がうかがわれる が、教師は自分の意志を問いただす傾向が明らか であった。

4. 佐賀県における学校及び学校医の意識調査

―学校は学校医を、学校医は学校をどのよう に思っているか ? ―

佐賀県医師会理事(学校保健副担当) 徳永 剛  佐賀県教育庁体育保健課と佐賀県医師会学校 医部会の協力で、県内の小・中・高校及び特殊教 育諸学校の全 329 校の先生約 1,200 名と学校医 345 名に対してアンケート調査を行った。1,169 名の先生と 193 名の学校医から回答を得た。

 学校医への相談内容は健診についてがもっとも 多く、次いで校内に発生した流行性疾患への対応 についての相談であった。不登校などメンタルヘ ルスについての相談は 2%しかなく、スクールカ ウンセラーなどに相談することが多いようだ。現 在の学校現場では、学校医は健診、流行期の医療

担当との認識が強く、メンタルヘルスに関しては 相談相手と思われていないようだ。

 一方、こころの問題の相談を受けていない学 校医の 89%が、相談があれば協力すると答えて いる。学校現場の考えと、学校医の考えの違い が明確にされていると思われた。しかし、相談 があっても専門医との連携が十分でない学校医も 47.4%いることは今後の課題と思われる。

 学校と学校医のお互いの要望では、学校医は学 校の情報を知らせてほしいと思っていることと、

医療に関わる問題は抱え込まないで相談してほし いということに集約される。学校からは、気軽に 相談にのってくれる学校医が望まれており、また 健康講話を含め、積極的参加が期待されている。

5. 学校医による学校現場での保健講話

名古屋市学校医会 高田秀夫  学校「保健」には「保健管理」と「保健教育」

があり、学校医はその専門性も活かして保健教育 にも積極的に参画すべきである。

 保健講話の形式、方法、時間帯等についていろ いろな例をあげて示され、内容についても各対象 年代にわけて豊富な具体例を呈示された。

6. 秋田県内全高校生を対象に血液検査及びライ フスタイル調査を実施した結果からの報告

秋田組合総合病院 小児科 小松和男 秋田県教育庁は県医師会と協力して、生活習慣病 改善事業として平成 13 年から 3 年間にわたり県 立高校 1 年生を対象に健康調査を行った。身体 計測とアンケートによるライフスタイル調査を行 い、保護者の了解が得られた 29,211 名(受検率 93%)には血液検査も実施した。

 総コレステロールが 200mg/dl 以上は 12.4%、

HDL コレステロールが 40mg/dl 以下は 3.2%、

動脈硬化指数が 3 以上は 5.8%、GOT が 40IU/L 以上は 3.0%、GPT が 40IU/L 以上は 4.2%、GPT が 40 以上でかつ GOT/GPT 比が 1 未満は 3.8%

であった。

 高校 1 年生で正常範囲外を示した生徒を高校 3 年生で追跡調査した結果、BMI と肝機能の改善 群と悪化群を比較すると、改善群の方が朝食でパ ンを食べる、通学で歩く時間が短い、運動部加入

が多い、睡眠時間が不足、いびきをかく日が少な いという結果であった。

7. 多摩市における小児生活習慣病予防健診 17 年間の考察について

多摩市医師会学校保健担当理事      多摩市学校保健会理事      多摩市立聖ヶ丘小学校校医 前原幸治  多摩市では昭和 63 年度から小学 5 年生と中学 1 年生に「小児生活習慣病予防健診」を実施して きた。1 次健診に血圧測定と血液検査(総コレス テロールと貧血)を含み、実施率約 90%をなお 維持している。血圧 135/80 以上(中学男子のみ は 140/80 以上)、コレステロール 200mg/dl 以 上の者は血圧測定と空腹時採血(総コレステロー ル、HDL コレステロール、中性脂肪を測定。動 脈硬化指数も算出)の 2 次健診も行う。

 健診結果より、家族歴、血清脂質、その他の危 険因子(血圧、肥満、糖尿病)をスコアー化し、

点数に基づいて A(医学的管理が必要)、B(定期 的観察が必要)、C(生活指導が必要)、D(管理 不要)、N(正常)に区分し、保護者に通知している。

管理区分 B 以上はかつては集団指導を、平成 12 年度以降は個別相談を実施している。

 なお平成 3 年度からは、中学 2・3 年生を対象 に前年度の健診で設定の基準(総コレステロール 220mg/dl 以上など)以上の者については追加健 診を実施している。

 これらの健診活動により小学 5 年生から中学 1 年生への 2 年間で、各管理区分ごとに、ほぼ毎 年明らかな改善傾向が見られている。また中学 2・

3 年生での追加健診においても 1 年生時に比べて 増悪傾向は認めていない。

8. 三重県における児童・生徒の生活習慣病対策 事業について

三重県医師会 富樫健二  三重県では肥満小児の増加に伴う将来の生活習 慣病を予防するため「児童生徒の生活習慣病予防 対策事業」を進めている。具体的には県内 5 市 の小学 4 年生及び中学 1 年生の計約 1 万名を対 象に調査を実施し、それを基に生活習慣病が危惧 される者の抽出、指導を行っている。特に希望者

へは肝機能や脂質などについて採血を実施してい る。

 肥満(肥満度 20%以上)を示すものは小 4 男子で 9.9%、小 4 女子で 8.3%、中 1 男子で 11.1%、中 1 女子で 10.2%と全国と同様の比率 であった。一方やせが中 1 女子で 4.8%と増えて いた。

 食習慣の乱れは全体で 16.9%に見られ、軽度 肥満群で 42.3%、中等度肥満で 50.9%、高度肥 満で 64.1%と、肥満の程度が増すにつれて頻度 が上昇した。

 肝機能の指標である GPT はこの年代ではアル コールの影響はなく、脂肪肝が主な要因であると 考えられる。本研究では 35IU/L 未満を「異常な し」、35 以上 55 未満を「要指導」、55 以上を「要 医療」とした。GPT 値は女子でも肥満の程度と ともにゆるやかに上昇したが(普通 13.9 、軽度 肥満 14.9 、中等度 15.7 、高度 21.5)、男子では より強く上昇した(普通 17.1 、軽度 21.7 、中 等度 24.5 、高度 41.8)。「要医療」とされた者は 全員男子であり、90%以上が中等度以上の肥満 を呈していた。女子と異なり男子では脂肪肝を起 こしやすいことが推察された。

 コレステロールは男・女子共に肥満度につれて 増加したが、統計的な有意さは見られなかった。

HDL コレステロールについては異常値(35mg/dl 未満)を呈した者はいなかったが、男・女子共に 肥満度の上昇とともに HDL コレステロールは低 下し、統計的にも有意さが認められた。

9. 川崎病既往児の脂質追跡検診

堺市医師会 日下高志  堺市では 1994 年より小・中学校在籍の川崎 病既往児に空腹時脂質検査を行ってきている。

2003 年までの 10 年間の受検者は 638 名で延べ 1813 回になる。受検回数別にみると 1 回 206 名、

2 回 154 名、3 回 92 名 と 続 き、8 回 12 名、9 回 10 名であった。受検率は 38.8 〜 63.0%で増 加傾向が見られる。

 検査項目は総コレステロール、HDL コレステ ロール、中性脂肪であり、動脈硬化指数(AI)は 所定の計算式〔(総コレステロール− HDL コレス テロール)÷ HDL コレステロール〕により算出

した。

 複数回受検者では、初回検査で AI 値が 2.00 以 上の者では、受検回数が増えるにつれて AI 値が 減少する傾向が認められた。栄養指導講習会受講 者群と非受講者群とを比較すると HDL コレステ ロール、LDL コレステロール、AI 及び肥満度の 各項目で受講者群に異常値の出現頻度が少なかっ た。

 以上概観すると、常に健康についての意識付け をすることにより、脂質にもよい影響がもたらさ れると考えられた。

10. 尼崎市における小児生活習慣病調査

尼崎市医師会 徳田 正邦  平成 15 年及び 16 年に、兵庫県尼崎市内の公 立小・中学校の児童・生徒の中で、肥満度 30%

以上の者に対し小児生活習慣病調査を行った。こ の結果、平成 15 年 /16 年の尼崎市内の公立小・

中 学 生 34,387 人 / 34,156 人 中、2,253 人

(6.6%)/ 1,966 人(5.8%)が肥満度 30%以 上と診断され、この中の 361 人(16.1%)/ 

347 人(17.7 %) が 医 療 機 関 を 受 診 し た。 各 種検査で異常が認められた者の頻度を平成 15 年 /16 年で示すと、高血圧:6.9/ 7.5%、ALT:

22.8/ 23.7%、高コレステロール血症:10.2/

 10.1%、高中性脂肪血症:28.6/ 31.2%、低 HDL コレステロール血症:14.4/ 14.5%、高 インスリン血症:45.7/ 48.9%、高尿酸血症:

22.0/ 22.7%であった。今回の対象者の中で、

血圧及び血液検査に何らの異常も認めなかった 者は 30.4/ 26.4%であった。2 年間の小児生活 習慣病調査を通じて、肥満度 30%以上の者では 70%近くに検査所見に異常が認められたことか ら、今後も有所見者に対する継続的な観察と必要 に応じて肥満症に対する介入が必要と思われた。

11. 広島県安佐地区小学校 6 年生の血清脂質の 推移― 1978 年〜 2003 年の 25 年間の 3 小 学校における定点観察―

安佐医師会理事       学童血液追跡調査委員会委員 平田ひろ子  生活習慣病は動脈硬化が基本病変であり、それ は早くも乳幼児期から発症しているとの報告もあ る。社会情勢や環境の変化は子ども達の血清脂質 にどのような変化をもたらしているか ? 広島県 安佐医師会は 1978 年より安佐地区の小中学生の 血液調査を行っている。特に 3 校の同一小学校 の 6 年生では、5 〜 7 年おきに経年的変動を調 べている。

 前 4 回と同じ 3 小学校の 6 年生の希望者 192 名(男女ほぼ同数)。朝少し早く登校してもらい、

問診、診察、血圧・体重測定、血液採取を行った。

血液検査内容は脂質 3 項目のみならず、肝機能、

血糖、フェリチン、Fe, 、末梢血液、RIST 、RAST(ヤ ケヒョウダニ、スギ)、風疹・麻疹・ムンプス抗 体など多岐にわたる。

 総コレステロール(TC)の結果は図に示した。

1978 年 の 調 査 時、TC 値 は 男 児 188.6 、 女 児 184.7mg/dl と高値を示した。

その高さに驚き学校のみなら ず、地域ぐるみで対策を行っ た。

 生活指導や栄養指導の必要 性を保護者や生徒に説き、健 康教室を開き、養護教諭、学 校栄養士、学校歯科医、学校 薬剤師と各分野の専門職が参 加して相談会場も設置した。

また地域の保健所も地域住民 に健康指導と食事指導を行っ て生活改善を促した。丁度こ の時は高度成長期で、安佐地