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平行移動,測地線,曲率

ドキュメント内 【PDF】シュッツ『相対論入門』 (ページ 47-56)

多様体の外在的曲率は,多様体を内に含む高次元空間から多様体を見たときにはじめて定義可能である.し かしわれわれの時空に対しては,それを内に含むような高次元空間の存在は保証されない.そこで多様体の曲 率として,内在的曲率を考える.

これを定義するにあたって次のことに注目する.すなわち曲がった時空では閉曲線に沿ってベクトルを平行 移動し1周させると,元のベクトルに一致しなくなる.4次元の曲がった時空の代わりに平坦な3次元空間の 中の2次元の球面を考えるとこのことを理解しやすい(ただし球面と異なり我々の時空の場合には,それを超 曲面として含むより高次元の空間の存在は保証されない).図16のように球面上に赤道上で90度離れた2点 A,Cと極Bをとる.そしてAで赤道に平行なベクトルV⃗ を球面内で,すなわちV⃗ が球面に接した状態で 弧AB,弧BC,弧CAに沿って平行移動させてAに戻ることを考える.平行移動の厳密な定義は以下で与え ることにして,ここでは次のことに注意すれば十分である.弧AB,弧BC,弧CAが大円の一部を成すとす ると,これらは球面上の2点を結ぶ局所的最短曲線すなわち測地線である*1.測地線の接ベクトルは測地線に 沿って平行移動させると移動先の点での接ベクトルに一致する(教科書pp.199-200).しかるに2つのベクト ルが平行移動するときそれらの間の角度は変化しないから,V⃗ を測地線に沿って平行移動するとき測地線の接 ベクトル,従って測地線との成す角は一定に保たれる[3, p.288].このためV⃗ は図16のように移動し,Aに 戻ったとき元のベクトルに比べて90度回転している.

この結果により,大域的に平行なベクトル場を定義することは不可能であることが分かる.

■平行移動(p.199) ベクトルの微小平行移動は,局所慣性系でベクトルの成分が変化しない変位として定義 される[3, p.288].よってベクトルV⃗ がある曲線に沿って平行移動するとき,曲線をλでパラメトライズし 接ベクトルU⃗ = d⃗x/dλを定義すると局所慣性系でその成分は

0 = dVµ

dλ =UννVµ =UνVµ

を満たす.ここでUνVµは反変ベクトルだから,UνVµ = 0は平行移動に際して任意の座標系で成り立つ 関係である.

*12A,Bを結ぶ大円上の2つの弧はともに測地線であるけれども,一方が最短曲線(2点を結ぶ曲線の内,最も短い曲線)である のに対し他方はそれよりも長い.これが局所的と断った理由である.

■測地線(p.199〜) Euclid空間における直線は,[直線に沿って進んで行くと進行方向が]それまでと同じ方 向をとり続ける.曲った空間においても できる限りまっすぐな 線を,ある点での接線が直前の点に平行で あるような測地線として定義する.

接ベクトルU⃗ = d⃗xを持つ測地線の方程式は,測地線上のある点での接ベクトルU⃗ が別の点での接ベクト ルを測地線,従ってその接ベクトルU⃗ に沿って平行移動したものであること

0 =UαUµ=Uα(∂αUµ+UβΓµαβ) =dUµ

dλ + ΓµαβUαUβ= d2xµ

2 + Γµαβdxα

dxβ dλ である.

測地線は厳密にはパラメーターを持つ曲線である.

測地線は長さの停留曲線である.

6.4 について

■平行移動(p.199)について 式(6.47):

0 = dVµ

dλ =UννVµ =UνVµ

の両辺にdλをかけると0 =Vµdxν = DVµとなる.DVµV⃗ の曲線上でd⃗x隔たる点でのベクトルとの 差dV⃗ の,(考えている点での)µ番目の成分だから*2,これは平行移動の前後でベクトルV⃗ が局所的には変化 しないことを意味する.このことから,上記のように平行移動を定義したことは理に適っていると言えよう.

一方,基底ベクトルが各点で異なる曲線座標系ではベクトルV⃗ を平行移動させるとその成分が変化する.

曲線の媒介変数λに対する成分の変化率UννVµは0 =UνVµ=Uν(∂νVµ+VλΓµλν)から UννVµ=−UνVλΓµλν

と求まる.これが次節の式(6.53)に他ならない.

■測地線の方程式を変えないパラメーターの変換(6.52)について 線形変換(6.52):ϕ =+bに対して

d

=ad なので,測地線の方程式は 0 = d2xµ

2 + Γµαβdxα

dxβ dλ =a2

(d2xµ

2 + Γµαβdxα

dxβ

)

, ∴ d2xµ

2 + Γµαβdxα

dxβ dϕ = 0 となって形を変えない.

*2教科書pp.161–163の式

βV = (∂βVα+VµΓαµβ)⃗eα=Vαeα

の両辺にdxβをかけてβで和をとると

(∂βV)dxβ= (Vαdxβ)⃗eα

を得る.これはdV (∂βV)dxβα番目の成分DVαVαdxβであることを意味する.

7 曲った時空での物理

ドキュメント内 【PDF】シュッツ『相対論入門』 (ページ 47-56)