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市場取引業務システム

ドキュメント内 漁港水産物情報システム調査研究 (ページ 36-75)

陸揚げ・陸送の荷受けから入札・せり、荷渡し、そして販売通知書等の発行までの一連 の市場取引業務における作業項目別のシステム化について説明する。なお、要素システム は、システム全体の目標や導入側の水準に応じて選択に採用されるものである。また、今 後のICTの発達によっては、新たなシステムの可能性も想定されうるものである。

33 3.1 入船予定情報の収集

(1)要件

入船の一定時間前までに、市場から買受人に対して最新情報を提供する仕組みになって いるか。また、情報の入力・送信が容易なものになっているか。

(2)現状と課題

(現状)FAXまたは電話での連絡

船上での作業は大きく制約されることから、船上から陸上への入船予定情報の提供が限 られているのが現状である。船上から直接または陸上の事務所等を通じて市場の担当職職 員へFAXまたは電話にて連絡が入る。情報項目は、船名、漁業種類、魚種、入船予定日時 であり、可能な場合には、漁獲水域や漁獲数量も含まれる。

小型漁船による沿岸漁業については、操業状況にあまり変化がないことから、入船予定 情報を収集していない市場が多い。他方で、小型漁船の入船予定時間がわかれば、市場の 陸揚げ・荷受けの準備や的確な販売時刻を買受人へ周知することができる。

(課題)船上から市場への情報提供が容易であること

関係者との調整と理解の上、入船予定情報の収集と提供について一定のルールを定め る。この場合、小型漁船も含め、入船予定情報を収集することが必要であるとともに、船 上からの入船予定情報(更新を含む)の提供が容易にできることが求められる。

(3)対応

入船予定情報の収集における要件と課題を踏まえ、例えば次のようなシステムが考えら れる。

(システム例)インターネットを通じた情報入力・送信

携帯電話の通信圏外で操業する漁船では、衛星電話を利用して、あるいは衛星インター ネットアクセスにより入船予定情報を陸上事務所へ送信している。陸上事務所は、その情 報を電話またはFAXで市場へ送信している。そこで、船上から直接または陸上の事務所か ら入船予定情報を所定の様式の電子ファイルに入力し、市場のサーバーへ送信するシステ

ム(図3.1.1)であり、これが省力化・時間短縮につながる。

沿岸で操業する小型漁船については、スマホやタブレットから入船予定情報を発信する システムが考えられる。通信圏外では送信できないことから、通信圏内に入った時に漁獲 情報を送信(手動または自動)する。

【効果】

市場側としては、早い段階から逐次最新かつ正確な情報が得られ、容易に入船予定情報 としてまとめ、一定の入船時間前までに買受人等への情報提供が可能となる。

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図3.1.1 インターネットを通じた情報入力・送信

(船上から直接または陸上の事務所から入船予定情報を送信)

35 3.2 入船予定情報の提供

(1)要件

入船の一定時間前までに、市場から買受人等に対して最新情報を提供しているか。ま た、提供される情報は常に利用か方法での入手・閲覧可能なものとなっているか。

(2)現状と課題

(現状)入船予定情報の掲示板掲載

市場職員は、前日の取引の終了以降、市場の掲示板に入札・せりの開始時刻を追加した 入船予定情報を記載、または入船予定情報を記載した紙を貼付している。入船予定情報の 提供時間については、通常、市場の開場時間に提供しているが、入船の何時間前までとい ったルールは見受けられない。

なお、購入する買受人が限られる魚種や多量に漁獲された場合には、購入が想定される 買受人に対して携帯で連連絡(メール配信)している。

このため、買受人は、市場に行ってから出ないと入船予定情報が入手できないため、購 入計画を立てられない。

(課題)最新情報が提供されいつどこでも利用可能であること

市場側は情報を収集次第、速やかに最新情報を提供するとともに、買受人等利用者は、

いつどこでも利用可能な方法で入手・閲覧できるシステムが求められる。

(3)対応

入船予定情報の提供における要件と課題を踏まえ、例えば次のようなシステムが考えら れる。

(システム例)入船予定情報のメール配信またはwebサイト掲載

市場職員は事務室のPCよりサーバーの中の入船予定情報を引き出し、これに入札・せ り開始の予定時刻を追加して、入船予定情報として買受人等の携帯(事前登録)へ配信す るシステムである。市場専用のwebサイトがある場合には、入船予定情報が閲覧や印刷・

ダウンロードができるシステムである。大船渡魚市場の事例を図3.2.1に示す。

【効果】

買受人は、市場に出向いていなくても、市場からの配信と同時に入船予定情報が得られ ることで、購入計画を立てやすく、購入後の輸送・加工などの手配も早めに行うことがで きる。市場側は、タンク、トロ箱、氷など荷受け準備を入船に合わせて的確に行うことが できる。

(システム例)入船予定情報のモニター表示

市場の開場時に、市場職員は事務室のPCよりサーバーの中の入船予定情報を引き出 し、これに入札・せり開始予定時刻を追加して、入船予定情報として場内モニターに表示 するシステムである。大船渡魚市場の事例を図3.2.2に示す。

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【効果】

市場職員は、PCから入船情報データを入力するという作業だけで容易にリアルタイムで 入船情報を買受人へ提供できる。また、更新作業も容易である。

(システム例)入船予定情報のタブレット閲覧

市場職員は、市場職員は事務室のPCよりサーバーの中の入船予定情報を引き出し、こ れに入札・せり開始の予定時刻を追加して、入船予定情報として市場職員や買受人がタブ レットで閲覧できるシステムである。

【効果】

買受人や市場職員は、市場のどこにいても、市場からの配信と同時に入船予定情報を閲 覧できる。

図3.2.1 入船予定情報のwebサイトへの掲載(大船渡市魚市場)

図3.2.2 入船予定情報の場内モニターへの表示(大船渡市魚市場)

37 3.3 漁獲情報の収集と提供

(1)要件

陸揚げ・荷受け時またはそれまでに、船主(荷主)から市場に対して情報を提供する仕 組みになっているか。また、情報の入力・送信が容易なものになっているか。

(2)現状と課題

(現状)漁獲情報の収集なし

漁港(産地市場)では、一般に漁獲情報は収集されていない。どこでどれだけ漁獲した かという漁獲情報を提供したがらないし、また他者に知られたくないという漁業者がほと んどであることから、漁獲情報の収集や提供は限られた漁業団体内でしか行われていな い。参考として、松浦産地電子情報ネットワークの例を示すが、このように漁業関係者で 漁獲情報を共有し、かつ水揚げ港が集中することを避けることで、価格の下落を回避して いる取組は限られている。このほか、放射性物質の影響がない水域で操業されたことを証 明する場合や、漁業団体からの求めがある場合には、市場職員は船主(荷主)から漁獲 日または期間、漁獲水域を聞き取り、記録(紙媒体)し、当該団体へ報告している。

(課題)船主(荷主)から市場への情報提供が容易であること

関係者との調整と理解の上、漁獲情報の収集と提供について一定のルールを定める。ま た、船上から漁獲情報を提供する場合には情報提供が容易にできることが求められる。船 上からであれば入船予定情報とともに漁獲情報を収集する、あるいは入港した後であれば 漁獲情報を収集することになる。

(3)対応

漁獲情報に収集と提供における要件と課題を踏まえ、例えば次のようなシステムが考え られる。

(システム例)インターネットを通じた情報入力・送信

① 海上から情報入力する方式

「3.1(3)インターネットを通じた情報入力・送信システム」において、入船予定情報 に漁獲日または期間、漁獲水域、漁獲数量を追加入力することで、これを漁獲情報とし てインターネットを通じて直接または陸上事務所を通じて市場へ送信するシステムであ る(図3.3.1)。

② 接岸・陸揚げ時に情報入力する方式

船主(荷主)は、接岸または陸揚げの際に、場内市場事務所に設置されたPCより漁 獲情報を入力するシステムである(図3.3.2)。

収集された漁獲情報は、基本的にはトレーサビリティやTAC制度への対応のため、市場 のサーバーに記録・保存される。なお、相手先や用途に応じては、船主(荷主)や買受人

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との調整と理解の上で、必要な情報項目が提供する場合が想定される。例えば、漁獲水域 が放射性物質の影響のない水域で行われたことを買受人に対して証明する必要がある場合 である。このような場合には、サーバーから必要な漁獲情報を引き出して、場内モニター へ表示するのがよい。

【効果】

市場側は、販売情報の他、漁獲情報も記録・保存することで、トレーサビリティやTAC 制度に対応できる。

図3.3.1 漁獲情報の電子化・ネットワーク化(海上から情報入力・送信)

ドキュメント内 漁港水産物情報システム調査研究 (ページ 36-75)