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第2節 学習課題設定行為に関する教育技術の形態

 本節では、「教育技術の法則化」小学校社会科授業実践事例に記述さ れている学習課題設定行為を取り上げることにより、教育技術としての 学習動機づけの形態を解明する。

1.学習課題設定行為に関する教育技術の形態歩留法例

 本項では、「教育技術の法則化」小学校社会科授業実践事例に記述さ れている学習課題設定行為に関する教育技術の形態的手法を取り上げる。

それは、(1)社会的動機づけによる学習課題設定行為、(2)認知的 動機づけによる学習課題設定行為の2類型に関する教育技術が認めちれ

る。<ft 1>以下に、その形態馬手法例をあげる。

(1}社会的動機づけによる学習課題設定行為に関する

教育技術の形態的手法例

 社会的動機づけによる学習課題設定行為の具体的事例は、13事例あ り、いずれも競争的意識喚起がなされるものである。これらは、競争内 容により、次の3つに分類できる。それは、ア.ゲーム的競争、イ.ク

イズ的競争、ウ.パズル的競争である。

      一75一

ア.ゲーム的競争の具体的事例としては、次の事例があげちれる。

(1)襲甑55では、く註2》次のような競争的意識喚起がなされている。

  右図のような16マスの紙に、各児童が  思い付くままに都道府県名を書く。全員が  書き終わった段階で、教師が思い付くまま  に、県名を言っていき、自分の紙に書いて  ある県名が言われたち、そこに×印を付け  ていく。それを続けていき、一番最初に

 縦か横かななめに4マス揃った者が勝ちとなる。

(2)聾b84では、《註3》次のような競争的意識喚起がなされている。

  カルタゲームと同じように読みふだと取り札を下図のように作り、

 読みふだには、その都道府県の有名なものを書いている。例えば、

   一沖縄県…星の砂        読みヵ_ド   取りヵ_ド    ・鹿児島県…西郷隆盛、桜島   ・メがいもク・

       ●「 eラー■7   北海道9・m        9. cm

   ・長崎県…はまゆう       ・クラークfkn       札幌dl

       E} cm    ・熊本県…柔道、阿蘇山       9・m

   ・大分県…すべってころんで、津久見みかん

 ルールは、4〜5人・一組でグループを作り、班内でゲームを行い順  位を決める。その結果に基づき、リーグを作り、その中で再びゲー  ムをして、1位は上位リーグに、4位は下位リーグに移動するとし  ている。

(3)Egh91では、儒4》次のような競争的意識喚起がなされている.

  地図帳をもとに、「地名」を書いていく「しりとりゲーム」をし  ている。教師が終了の合図をするまでに、誰が一番多く地名を続け  られるかで勝敗を決めている。

       一76一

(4)整馳106では、く註5》次のような競争的意識喚起がなされている。

  2人が交互に県の略図と県名を書き合って日本地図を完成させ、

 自分が取った県の得点合計を競うゲームがなされている。これは、

 1人が鉛筆、もう1人が赤鉛筆で交代しながち県の略図を1っずつ  前に書いた人に続けて県名と共に記入していく。自分が書いた県が

海と接していれば1点で、別の県と接していれば・そ磁だけ1点  ずつ加算される。このようにして得点を競っている.

イ.クイズ的競争の具体的事例としては、次の事例があげちれる。

(1)一丁42では、く註6》次のような競争的意識喚起がなされている。

  3年生の「学校のうつりかわり」の学習で教師からクイズが出さ  れている。例えば、学校が最初にできた地域の寺院名を選んだり、

 昭和初期の女性教師が履いていなかったと思われる履物を選んだり、

 校歌の作詞・作曲者を選んだりして正答数を競っている.

ウ.パズル的競争の具体的事例としては、次の事例があげられる。

(1}整恥107では、く註7》次のような競争的意識喚起がなされている。

  「県名チェーン」というパズルが行われている.各都道府県名の 中かち共通する一文字を繋ぎ合わせていき、最終的にどこにも繋が  らない県名が幾つあるかを探す競争である。時間は、30分と決めら  れている。

(2)整馳155では、〈tt8》次のような競争的意識喚起がなされている。

  白地図をもとに、発泡スチロール板を都道府県や主な島の形に切  り取り、そこに県名等を書き、ジグソーパズルのようにして・兀の  形に並べ変えることができるか競っている。

       一77一

(2)認知的動機づけによる学習課題設定行為に関する

教育技術の形態的手法例

 認知的動機づけによる学習課題設定行為の具体的事例は、54事例あ り、これちは、認知内容により、次の2つに分類できる。それは、

ア.驚嘆的興味喚起がなされる動機づけ、イ.追究的意欲喚起がなされ る動機づけである。

 ア.驚嘆的興味喚起がなされる動機づけの事例は、次の3つに分類で

きる。

 a.「物の巨大さ」が誘因となり驚嘆的興味喚起がなされる動機づけ。

 b.「数量の多さ」が誘因となり驚嘆的興味喚起がなされる動機づけ。

 c.「事象の悲惨さ」が誘因となり驚嘆的興味喚起がなされる動機づ     け。

アーa「物の巨大さ」が誘因となり驚嘆的興味喚起がなされる動機づけ   の具体的事例では、代表的なものとして次の5つがあげちれる。

(1)整馳29では、(翻次のような驚嘆的興味喚起がなされている。

  2年「給食のおばさん」の導入として、教師から「大しゃもじ」

 が、提示される。児童は、それが何か問われたとき、最初は「スコ  ップ・金づち・銀のスコップ」などと考える。教師から、それが給  食室で使われるしゃもじであることが説明されると、「予想とのズ  レ・家庭用しゃもじとの違いに、子どもたちは、非常に驚く」こと       一78一

 が記述されている。

(2)整恥96では、《ftlo》次のような驚嘆的興味喚起がなされている。

  6年「大和時代」の導入として、仁徳天皇陵の大きさが取り上げ  ちれる。その大きさがTPによって校区地図と重ねられることで、

 児童の中かち、「でっけえなあ」「すげえ」という声が多く出たと  記述されている。この事例では、さちに、古墳を横から見た図(断  面図)が3階建て校舎の図と重ねられることによって、古墳の大き  さに驚いている。

(3)三宝21では、《ft 11>次のような驚嘆的興味喚起がなされている。

  6年「貴族の世の中」の導入として、東大寺の大仏が取り上げら  れる。最初に新聞紙を使って「大仏の手形」が作ちれ、その上に25  人の児童が乗れたことかち大仏の大きさに驚いている。

(4)整恥98では、《註12》次のような驚嘆的興味喚起がなされている。

  6年「貴族の世の中」の導入として、東大寺の大仏が取り上げち  れる。「大仏の手形」が撃ちれた後、児童かち「座っている大仏が  立ち上がったちどれくらいの大きさだろう」との質問が出ている。

 そこで「比を使った計算」を利用することによって、約30mである  ことや、大仏の一歩が、約10mであることに、驚きの声をあげてい  たことが記述されている。

(5)蕪旧72では、く註13》次のような驚嘆的興味喚起がなされている。

  2年「パンづくり」の単元で、巨大パンによる導入をしている。

 模造紙で三重に巻かれた巨大パンが黒板に吊るされ、児童が触った  り、匂いを嗅いだりした後、大きなパンであることが示されること  により、その大きさに驚いている。

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