第4章 既存建築物の耐震改修による家賃・価格への影響に関する実証分析
4.4 実証分析結果を踏まえた考察
表 12-1 非木造共同住宅の予測賃料 築
年 数
建築 年
旧耐震 耐震改修 耐震改修と旧耐震の 新耐震
予測賃料 予測賃料 予測賃料の差 予測賃料
下限 中間 上限 下限 中間 上限 下限 中間 上限 下限 中間 上限 年 年 万円 万円 万円 万円 万円 万円 万円 万円 万円 万円 万円 万円
10 2007
7.59 13.4 23.7
15 2002
7.24 12.8 22.5
20 1997
6.85 12.1 21.3
25 1992
6.56 11.6 20.4
30 1987
6.29 11.1 19.6
35 1982 6.12 10.8 19.1
36 1981 6.05 10.6 18.7 5.53 12.3 27.4 -0.52 1.66 8.67 40 1977 5.85 10.3 18.1 5.35 11.9 26.5 -0.51 1.61 8.40 45 1972 5.80 10.2 18.1 5.30 11.8 26.4 -0.50 1.60 8.36 50 1967 5.56 9.90 17.6 5.08 11.4 25.8 -0.48 1.54 8.15
※検証に用いたモデルは、台東区、最寄駅までの徒歩時間
6~7
分、主要4
駅までの距離5030m、日比谷線沿線、建物倒壊危険度 5
の地域に存する中層非木造共同住宅の3
階に位置する面積
51
㎡、間取り2K
の物件とし、2017年成約としている。表 12-2 非木造共同住宅の予測価格 築
年 数
建築 年
旧耐震 耐震改修 耐震改修と旧耐震の 新耐震
予測価格 予測価格 予測価格の差 予測価格
下限 中間 上限 下限 中間 上限 下限 中間 上限 下限 中間 上限 年 年 万円 万円 万円 万円 万円 万円 万円 万円 万円 万円 万円 万円
10 2007 1382 3752 10190
15 2002 1244 3378 9173
20 1997 1118 3039 8258
25 1992 1027 2794 7595
30 1987 972 2645 7194
35 1982 905 2464 6708
36 1981 822 2221 6003 465 2869 17682 -356 648 11679 40 1977 738 1999 5418 418 2582 15958 -320 583 10540 45 1972 724 1966 5340 410 2539 15728 -314 573 10388 50 1967 667 1858 5177 378 2400 15249 -289 542 10072
※検証に用いたモデルは、台東区、最寄駅までの徒歩時間
6~7
分、主要4
駅までの距離5030m、日比谷線沿線、建物倒壊危険度 5
の地域に存する中層非木造共同住宅の5
階に位置する面積
63
㎡、間取り2K
の物件とし、2017年成約としている。4.4.3 耐震化投資効果の検証
4.4.2
のモデルを用いて、建物倒壊危険度別の耐震化投資効果を検証する。なお、有意でない係数についても採用する。前提条件は、以下のとおりである。
1) 正味現在価値(NPV)を用いて、耐震化投資によって得られるm期末までの便益の純 現在価値と費用との差をもとめる。
2) t期の不動産からの純便益Ytは、耐用年数まで一定(=家賃差)とする。
3) 割引率iは、国土交通省(2009)より、4%とする。
4) 耐用年数は、鎌谷、小松(2012)より、RC造共同住宅の
60
年とする。築年数36
年として残存期間mは24
年とする。NPV = Y
t(1 + i )
tm
t=1
- C
5) 耐震改修費用Cは、東京都
HP
より、RC造建築物における1.5
万円/㎡~5万円/㎡とする。(Cmin
=1.5
万円/㎡、Cmean=3.25
万円/㎡、Cmax=5
万円/㎡とする。)非木造共同住宅の正味現在価値(NPV)を、建物倒壊危険度・コスト別にまとめたものを
表
13-1に、建物倒壊危険度・95%信頼区間別にまとめたものを表 13-2に示す。
表 13-1 非木造共同住宅のコスト別投資効果
賃貸物件(ファミリータイプ) 売買物件(ファミリータイプ)
家賃 差
正味現在価値(NPV) 価格 差
正味現在価値(NPV)
C=C
minC=C
meanC=C
maxC=C
minC=C
meanC=C
max万円 万円 万円 万円 万円 万円 万円 万円 倒壊危険度
1 -0.06 -88 -177 -266 154 59 -51 -161
倒壊危険度2 0.34 -14 -103 -192 271 177 67 -44
倒壊危険度3 0.77 64 -26 -115 393 298 188 78
倒壊危険度4 1.20 144 55 -35 518 424 314 203
倒壊危険度5 1.66 227 138 49 648 553 443 333
※検証に用いたモデルは、台東区、最寄駅までの徒歩時間
6~7
分、主要4
駅までの距離5030m、日比谷線沿線に存する中層非木造共同住宅の 3
階(賃貸)・5階(売買)に位置する面積
51
㎡(賃貸)・63㎡(売買)、間取り2K
の物件とし、2017年成約としている。※家賃差、価格差ともに
95%信頼区間中間値を採用している。
表 13-2 非木造共同住宅の 95%信頼区間別投資効果
賃貸物件(ファミリータイプ) 売買物件(ファミリータイプ)
正味現在価値(NPV) 正味現在価値(NPV)
下限 中間 上限 下限 中間 上限
万円 万円 万円 万円 万円 万円 倒壊危険度
1 -279 -177 176 -428 -51 3094
倒壊危険度2 -275 -103 453 -466 67 4732
倒壊危険度3 -270 -26 752 -501 188 6642
倒壊危険度4 -266 55 1074 -532 314 8872
倒壊危険度5 -262 138 1421 -561 443 11474
※検証に用いたモデルは、台東区、最寄駅までの徒歩時間
6~7
分、主要4
駅までの距離5030m、日比谷線沿線に存する中層非木造共同住宅の 3
階(賃貸)・5階(売買)に位置する面積
51
㎡(賃貸)・63㎡(売買)、間取り2K
の物件とし、2017年成約としている。※耐震改修費用
C
は、Cmean=3.25
万円/㎡としている。建物倒壊危険度の小さい地域では、高額な耐震改修費用を要する場合(=耐震性能が著 しく劣る場合)、オーナーは耐震化投資のコストを回収することは困難であり、改修は進 まないこととなる。一方、建物倒壊危険度5の地域における耐震化投資では、オーナーに とって収益的であるという結果となった。これは、効果の大きい耐震化投資を借り手・買 い手(ファミリー世帯)ともに、高く評価しているということとなる。ただし、95%信頼 区間の下限を踏まえると、NPVの値が負になるケースもあることに留意が必要である。な お、売買物件において