本鉄筋継手を床版更新工事等の道路橋プレキャスト床版に適用する場合,接合部の断面は大 きく鉄筋継手が多数となるため,設置時には先端治具同士が干渉し想定以上に手間が掛かるリ スクが懸念された.そのため,実物大のプレキャスト床版を製作し,本継手を有するプレキャ スト床版の設置の施工性や間詰め施工における充填性を確認することとした.
(1) 試験体
試験体の一般図を図-5.15 に,先端治具の形状と配置を図-5.16,図-5.17 に示す.試験体 の寸法は,橋軸直角方向に8.2m,橋軸方向に1.75m,床版厚さを200mmとした.接合面には,
C型治具ならびにT型治具を併せて112か所設け,上筋と下筋の間には凹のせん断キーを配置 した.また,床版が鋼3主桁上に配置されるものと仮定し,鋼桁との接合部として3か所の模 擬ハンチ部(床版厚さ250mm)を設けた.
なお,本試験は施工性を検証するための試験であるため,材料の材質等には拘らない.そこ で,鉄筋にはD16(SD295),先端治具類にSS400を利用し,鉄筋と治具の結合はネジ締結と して回転止めとして点付け溶接を行った.施工試験に用いた先端治具の形状は図-5.16に示し たが,このC型治具の形状は,D16(SD345)の標準仕様として検討しているものであり,前述 の継手単体の引張試験を行った鉄筋D19(SD345)用の仕様とは異なっている.しかしながら,
これらを比較すると分かるように,設置時に後行設置の床版を下方にスライドして嵌合させる ことを配慮し,鉄筋径に関係なく C 型治具の内側形状や T 型治具の形状は全く同じとしてお り,C型治具の部材厚のみが異なるものとした.
よって,D16,D19の先端仕様の違いに関わらず,施工時の嵌合状態・施工性はほぼ同等に確 認できると判断した.
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図-5.15 施工試験用プレキャスト床版 一般構造図
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図-5.16 試験体に適用した先端冶具
図-5.17 試験体の先端治具配置
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写真-5.2 施工試験に用いたプレキャスト床版
(2) 試験ケース
プレキャスト床版設置の施工性に影響を与える要素として,設置箇所の鋼桁の勾配の影響と 床版設置作業時の仮設ガイド治具の効果が大きいと考えた.そこで,勾配に関しては,床版支 持部材が水平な状態,縦横断の2方向に5%の勾配を有する状態の2ケースとした.また,仮設 の設置用ガイド治具を2種類製作し,使用して試験を行った.
支持桁に縦横断5%を設けた場合の試験状況を図-5.18に示す.また,設置用ガイド冶具を写 真-5.3に示す.ガイド治具①は,接合部内に接合幅に相当する幅の角パイプ状の治具を先行床 版側に設置するもので,角パイプの後行床版側には切欠いた溝を有している.後行床版の接合 面には前述の溝に対応する箇所に埋込インサートを配置しておき,設置時には全ねじボルトで 突出させた状態とし,ガイドの溝に全ねじボルトを挿入し,後行床版を先行床版側に押し付け た状態で落とし込むものである.また,ガイド治具②は,先行床版の接合部の両端に設置する 曲げ加工したプレート状の治具で,プレート内側には所定の接合幅を確保するための幅止め用 のアングルを取り付けておく.後行床版の設置時は両端の曲げプレート内に下降させながら,
幅止め用のアングルに押し付けた状態で落とし込むものである.
試験は,支持材が水平な条件は,ガイド①,ガイド②,ガイド無の順番で繰返し各4回を実 施した.また,勾配を有する条件では,ガイド②,ガイド①の順番で勾配の下方の床版設置を 各3回,上方の床版設置を各1回行った.
さらに,間詰め材の充填性の確認として,勾配を有する支持桁上に試験体を設置した状態で,
間詰め部に繊維補強無収縮モルタルを充填した.
(ⅱ)先端治具 模擬ハンチ部 C 型治具
T 型治具
高さ調整ボルト 橋軸直角方向
8.2m 橋軸方向
1.75m
模擬ハンチ部 (t250mm) 一般部
(t200mm) (i)床版全景
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図-5.18 施工試験状況(縦横断5%)
写真-5.3 設置ガイド冶具 後行床版を誘導する溝
(i)ガイド治具① (ⅱ)ガイド治具②
先行床版
接合幅相当の 角パイプ
先行床版
後行床版
後行床版 幅止め用
アングル
ボルトを溝に 入れ込み降下
先行床版
先行床版 曲げプレート内で幅止め
アングルに押付け降下 後行床版
ボルト取付
先行,後行の接合面を 対向させてボルトを角 パイプの溝に入れる