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子どもの目に映った河川環境とその評価

第 1節 緒 論

第 2章 で は 、 人 々 の 記 憶 の 中 に あ る 幼 少 期 に 身 近 に あ った 河 川環 境 に 対 す る イ メ ー ジ や そ の 水 辺 で の 体 験 が 、 現 在 、 彼 ら の 身 近 に あ る 河 川 環 境 に 対 す る 評 価 に 大 き な 影 響 を 与 え る こ と が 確 認 さ れ た 。

本 章 で は 、 現 在 の 子 供 た ち が 河 川 環 境 に 対 し て ど の よ う な 見 方 を し て い る か を 、 記 憶 か ら で は な く 直筏 的 に 把 握 す る こ と を 試 み る。

まず、 「 写 真 投 影 法 」 に 基 づ い て 集 め ら れ た 河 川 環 境 の 映 像 か ら 主 な 対 象 物 の 撮 影 頻 度 を 把 握 し 、 子 供 と 成 人 で 比 較 す る 。

つ ぎ に 、 そ の 対 象 に 対 す る 子 供 の 評 価 を 、 同 じ く 成 人 の 場 合 と 比 較 す る。 さ ら に 、 撮 影 さ れ た 対 象 物 の 中 か ら 、 上 述 の 手1)聞 を と お し て 確 認 さ れ た 特 徴 的 な も の を 選 び 、 そ れ に つ い て の 詳 細 な 分 析 と 子 供 と 成 人 の 比 較 を 行

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河 川 の 環 境 ・ 景 観 に 対 す る 人 々 の 評 価 は 、 対 象 物 の 性 質 だ け で な く 、 撮 影 さ れ た 対 象 と 視 点 と の 関 係 や 、 河 川 の 形 状 と も 関 連 し て い る と 考 え ら れ る 。 そ こ で 、 こ の よ う な 河 川 景 観 の 物 理 的 特 性 を 把 握 し た 上 で 、 そ れ ら と 評 価 と の 関 係 を 子 供 と 成 人 で 比 較 す る 。

以 上 に よ り 河 川 環 境 に 対 す る 子供 の 認 識 と 評 価 の 特 徴 を 明 ら か に す る こ と が 本 章 の ね ら い で あ る。

第 2節 写 真 投 影 法 に よ る 意 識 調 査

2.  1  写 真 投 影 ; 去 の 対 象

写 真 投 影 法 の 調 査 対 象 は 、 那 珂 川 、 御 笠 川 、 室 見 川 沿 川 と 、 水 辺 の 利 用 と 保 全 の 伝 統 を 残 し て い る 柳 川 沼 割 周 辺 の 住 民 と し た。 調 査 対 象 者 の 属 性 の 構 成 を 表 3‑ 1に 示 す 。 子 供 は 小 学 4年 生 か ら 中 学 1年 生 を 対 象 と し た。 成 人 対 象 者 の 平 均 年 齢 は 各 地 域 と も ほ ぼ 1 ¥0歳 で あ っ た。 ま た 、 男 女 の 楠

nh u  nh U 

成 は 、 成 人 で 男 が 31.  3 % 、 子 供 で は 51.  3 % で あ っ た 。 表3‑1 写真投影法の調査対象者の属性の構成

子 供 成 人

河 )11  性 別 性 別 年 齢

男 女 男 女 20代 30代 40代 50代 60代 那 珂 )11 10人 11人 6人 11人 3人 3人 6人 0人 4人

御 笠 川 10  8  8 

室 見 川 13  14 

。 。

柳川掘害

u

11  4  14  4 

子供は小学4年生から中学1年生 2. 2  写 真 投 影 法 に よ る 調 査 方 法 と そ の 改 良

調 査 の 実 施 期 間 は 、 子 供 が 1 9 9 0年 8月 6日"'9月 2日 、 成 人 が 1 9  9 1年 8月9 日'" 1 0月 8 日 で あ っ た 。 子 供 の 調 査 期 間 は 夏 休 み で あ り 、 仕 事 の た め の 拘 束 時 間 の 制 約 を で き る だ け 減 ら し て 撮 影 に 使 え る 時 間 を 子 供 と 同 様 に す る た め に 、 成 人 は 休 日 に 撮 影 を 行 っ て も ら っ た 。

調 査 の 前 に 参 加 者 に 与 え た 教 示 は 次 の よ う な も の で あ っ た 。

「身 近 な

00

川 と そ の 近 く に あ る も の を 、 き れ い で あ る か 汚 い か 、 良 い か 悪 い か な ど に 関 係 な く 、 自 由 に 5 0枚 ま で 撮 っ て き て 下 さ い 。 そ の と き に 、 撮 っ た も の あ る い は 撮 っ た と き の 感 想 や 意 見 を 録 音 す る こ と と 、 記 録 用 紙 に 書 く こ と を お 願 い し ま す 」

野田 1) は 、 通 常 の カ メ ラ に よ る 写 真 上 の 情 報 以 外 は 、 分 析 の た め に 補 助 的 に し か 用 い な い と い う 方 針 を と っ て い る

し か し 、 本 研 究 の 場 合 は 、 環 境 に 対 す る 住 民 の 評 価 意 識 を よ り 的 確 に と ら え る こ と に 重 点 を お き 、 「 写 真 機 」 と し て 音 声 記 録 機 能 の あ る ス テ イ ル ビ デ オ カ メ ラ を 採 用 し た 。 こ れ を 使 っ て 、 上 述 の よ う に 住 民 に 河 川 と そ の 周 辺 を 一 人 一 日 か け て 自 由 に 撮 影 さ せ 、 同 時 に 各 映 像 に 対 す る 評 価 を 録 音

と 筆 記 に よ り 記 録 さ せ た 。

ま た 、 そ の 調 査 の 後 に 撮 ら れ た 映 像 を も と に 撮 影 行 程 の 追 跡 調 査 を 行 い 、 各 映 像 の 撮 影 地 点 、 撮 影 時 の 対 象 物 と 撮 影 者 の 位 置 関 係 、 お よ び 現 地 の 河 川 の 物 理 的 特 徴 を 確 認 し た 。

If

nhu 

3.  1  撮 影 対 象 の 分 類 第 3節 撮 影 対 象 物 と そ の 評 価

収 集 さ れ た 映 像 は 子 供 が 2, 9 2 6枚 、 成 人 が 2, 4 2 1枚 で あ っ た。 そ の 中 で 主 な 撮 影 対 象 が 何 で あ る か が 、 音 声 や 筆 記 に よ る 言 語 表 現 に よ っ

て 明 確 に 記 録 さ れ て い た も の は、 子 供 の 場 合 2, 8 3 2枚 (96. 8%)、 成 人 で は し 4 1 5枚 (58.4%) であった。

表3‑2 撮影対象物の分類

爆影対象物 実際に記録されていた対象物

ごみ ごみ粗大丁ミ空き缶花火(ず油泡わら束中'ール糞靴スJ.tfJ‑i 自転車すいかの皮紙袋箱帽子発砲がロール流木藻の腐北物 藻の干し上がった物~7‑' ÙI~

河川・ 水源地の入り口の滝川幅高水敷了ミのない高水敷法面水源地 河川内微地形 石岸少し深い所水際河原寄り州州ダムの奥側

水面 倒景水面波汚い水面丁:のない水面了ミのある水面藻の浮いた水面 水草に覆われた水面 水 水 質

3

れいな水汚水濁ヲた水少ない水 干し上がった川川の合流部水面の渦反射水深水泡水流 河川矯造物 護 岸 段 階 護 岸 橋 脚 橋 脚 の 水 位 計 堰 水 制 床 固 め 魚 道 水 門

取水口排水口

河川植生 草水草浮き草 Iマの穂高水敷の芝花高水敷の植木木漠 3ケ 河川占用物 自転車道砂場ヘ.if遊歩道看板

道路・道路付属物 階段柵柵の絵

建物 建物

空き地 公園滑り台

遠景・風景 風 景 山 河 口

橋梁 橋橋の道路

人間活動 人川下りの人自転車の人釣人魚取りの人自動車ハ'付本'ート 動物 虫蝶ハ'リトif7リタニジずリカ'こ

7

Jif 

H :

の巣魚ドンJJイ

7+ メダカ 7' ルーキ'ル魚群ハヤ力メカエル 19マグけ:;鳥抗メカイ ~7' リ ハトサキ'鴨

n

ル犬

変動要因 曇空

その他 遊歩道の落書き矯の下水車

n xu   n hu  

対 象 の 言 語 表 現 に よ る 記 録 を 整 理 す る た め に 、 文 献 2を 参 考 に し て 、 生 の 記 録 を 表 3‑2の よ う に 新 た な カ テ ゴ リ に 分 類 し た 。 以 下 の 叙 述 で 「撮 影 対 象 ( 物 )

J

あ る い は 単 に 「 対 象 ( 物 )

J

と 呼 ば れ る も の は 、 こ の表 に 示 さ れ て い る カ テ ゴ リ を 意 味 す る。

3. 2  対 象 物 の 撮 影 頻 度

対 象 物 の 言 語 記 録 が な さ れ て い る 映 像 の 中 に は 、 そ の 対 象 物 に 対 す る 評 価 が 音 声 や 筆 記 に よ っ て 明 確 に 記 録 さ れ て い な い も の も 含 ま れ て い る。 ま ず 、 こ の よ う な 評 価 が 明 確 で な い も の を 含 む 場 合 に つ い て 子 供 と 成 人 の 撮 影 の 頻 度 が 上 位 の も の を 整 理 し て 示 す と 表 3‑3の よ う に な る。

表3‑3 子供と成人の撮影割合上位の 対象物の比較(一副面不明確を含む〉

撮影対象物 子 供 成 人 水面 30.2% ,①  10.2% ,⑤ 

ごみ 20.4 ,②  10. 9 ,④  自然生態 16. 0 ,③  9.0 ,⑤  河川植生 7.4 ,④  12. 2 ,②  人間活動 7.0 ,⑤  11. 6 ,③ 

。内の数字は対象物の撮影割合の順位 キ成人の1位 :

I

河川構造物(12.4%)

表3‑4 各河川ごとの撮影割合上位の対象物

( a )子供

那珂川 ②ごみ ③ 水 面 ③ 自 然 生 態 ⑥ 人 間 活 動

⑤遠景・風景 ⑤河川植生

御笠川 ②ごみ ①水面 ③自然生態④河川構造物 室見川 ①ごみ ⑤ 水 面 ① 自 然 生 態 ③ 人 間 活 動

⑥遠景・風景 ④河川植生 ⑦河川構造物

⑧河道・河道内微地形

柳川堀割 ②ごみ ①水面 ④自然生態⑤人間活動

⑤遠景・風景 ③河川植生

(b)成人

那珂川 ③ごみ ⑥河道・河道内微地形⑥水面

⑨河川構造物 ①河川植生 ⑤河川占用物

④ 橋 梁 ② 人 間 活 動 ⑧自然生態 御笠川 ②ごみ ⑤河道・河道内微地形③水面

①河川構造物 ⑥河川植生 ⑥橋梁

⑧人間活動 ④自然生態

室見)11 ⑧ごみ ⑤河道・河道内微地形⑨水面

②河川構造物 ③河川植生 ④河川占用物

⑦ 矯 梁 ⑨ 遠 景 ・ 風 景 ① 人 間 活 動

⑤自然生態

柳川堀割 ⑤ごみ ①水面 ③河川構造物②河川植生

⑥ 橋 梁 ⑦ 人 間 活 動 ④自然生態

0内の数字は各河川の対象物の慢影割合の順位

nu d 

EU 

この 表 に よ れ ば 、 子 供 の 撮 影 頻 度 が 上 位 の も の は l位 が 「水 面」で 3

o . 

2 %、 2位 が 「ごみ 」で 2 O.  4 % 、 そ し て 3位 が 「動 物 」で 1 6.  0 

などと な り 、 こ こ ま で で 全 体 の 2/ 3を 占 め る 。 そ れ に 対 し 、 成 人 で は 1 位 が 「河 川 構 造 物」で 1 2.  4 %、 2位 が 「河 川 植 生」で 1 2.  2 %、 3 位 が 「人 間 活 動」で 1 1.  6 % な ど と な り 、 そ れ らの 累 加 は 3 6.  2 %で ある。 子 供 と 成 人 と で は 撮 影 頻 度 が 上 位 の 対 象 物 の 種 類 も 、 そ れ らへ の 撮 影 の 集 中 の 度 合 い も 大 き く 異 な っ て い る こ と が わ か る。

つ ぎ に 、 各 河 川 ご と に 子 供 が 撮 影 対 象 と し た 頻 度 が 5% 以 上 ( 同 じ 撮 り 方 を す れ ば一人 の 子 供 が 一 度 は 対 象 と し た こ と に な る 頻 度 ) を 表 3‑4 

C a )に 示 す。 同 様 に 成 人 の も の を 表 3‑ 4 C b ) に 示す。 こ れ ら の 表 か らも、 子供 の 方 が 特 定 の 対 象 物 に 撮 影 が 集 中 し や す い こ と を 確 認 で き る。 ま た 、 と く に そ の 傾 向 が 御 笠 川 に お い て 顕 著 で あ る こ と と 、 室 見 川 で は 逆 に 対 象 物 の 種 類 が 比 較 的 多 い こ と も 確 認 す る こ と が で き る 。

3.  3  撮 影 対 象 と 評 価 と の 関 係

ま ず 、 撮 影 対 象 の 明 確 な 映 像 の 中 か ら 、 対 象 に 対 す る 価 値 判 断 す な わ ち 評 価 が 音 声 や 筆 記 に よ って 明 確 に 記 録 さ れ て い る も の を 選 び 出 し 、 そ の 撮 影 の 頻 度 を 、 子 供 と 成 人 で 比 較 し て み よ う 。

表 3‑5は 評 価 が 明 確 に 記 録 さ れ て い る 対 象 物 の う ち 、 そ の 撮 影 頻 度 が 上 位 の 対 象 物 と そ の 頻 度 を 示 し た も の で あ る 。 こ れ に よ れ ば 、 子 供 の 場 合 、 上 位 2番 目 ま で の 累 加 % が 6 7.  0 % と な り 、 成 人 の 3 3.  0 % の 2倍 に 達 す る。 ま た 、 子 供 は 成 人 と 比 べ て 、 前 節 の 評 価 が 不 明 確 な も の を 含 む 表

3  ‑ 3

の 結 果 よ り 、 さ ら に 上 位 の 撮 影 対 象 項 目 へ の 集 中 度 、 と く に 「水面」

へ の 集 中 度 が 高 く な る こ と が わ か る 。

表3‑5 子供と成人の撮影割合上位の 対象物の比較

C a

前面が明確なもの)

物一物

対 一 構 生

撮 一

一①③④

人一 覧 成 一

u

u

nH V 

ff

つ ぎ に 、 評 価 を 大 き く 左 右 す る 対 象 物 に つ い て、子 供 と 成 人 の 間 で 比 較 を し て み よ う 。

子 供 と 成 人 の そ れ ぞ れ に よっ て 評 価 が明 確に 記 録 さ れ た 対 象 物 の 中 か ら 、 そ の 撮 影 頻 度 が 5% 以 上の 対象物 を各 河川 ご と に 選 び、 さ ら に そ の 中 か ら、

「肯 定」 と 「否 定」の い ずれ か の 評価 の割 合 が 2/ 3以 上 と な る こ と を 選 択 の 規 準 と し て、 評 価 意 識を大き く左 右 す る対 象 物 を 選 び 出 し た。 そ の 結 果 を 表 3‑6に示す。

こ の 表 か ら は、 以 下の よ う なこ と がわ か る。

( 1 )御笠川で は、 子 供 の場 合 「水面」を否 定 的 に 評 価 す る割 合 の 方 が 大 き い の に 対 し て、成人で は 逆 に 肯 定 の 方が大き くな っ て い る 点 が 特 徴 的 で ある。

( 2 ) 那 珂川、 室 見川 、 お よ び柳 川 では、 子 供 の 場 合、否 定的評 価 が 与 え られやす い 「ごみ」と、肯 定 的 評価が 与 えら れ や す い 「人 間 活 動」 と 「遠 景 ・風 景」が い ず れ の 河 川 で も 挙 げ ら れ て お り、共 通 性 が 高 い 。 そ れ に 対 して、 成 人 の 場 合では、 と く に 肯 定 的 評価の 与 え ら れ や す い 対 象 物 が 各 河

表3‑6 子供と成人の評価を大きく左右する対象物の比較

P

河 川 評価

撮影対象物 割合(%) 掻影対象物 割合(%) 那珂)11否定 ‑ごみ 93. 1  ‑ごみ 100.0 

肯定 人間活動 87.5  ‑河道・河道 81. 8 

遠景風景 94. 1  内微地形

‑動物 69. 5 

笠川 否定 ‑ごみ 97. 9  ごみ 100.0 

‑水面 93. 4  ‑橋梁 77.8 

河川構造物 100.0  ‑道路・道路 100.0  付属物

肯定 ‑水面 67.9 

室見川 否定 ‑ごみ 94. 3  ‑ごみ 93. 3 

‑河川構造物 73. 1 

‑河川占用物 78.6  肯定 人間活動 100.0  ‑人間活動 85.3 

‑遠景・風景 100.0  ‑動物 80.0 

動物 85.7  ‑河道・河道 92. 3  内微地形

‑河川植生 90.6  川堀割 否定 ごみ 100.0  ごみ 90.0 

肯定 人間活動 95. 2 

‑遠景・風景 92.9 

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