第5章 仮説群と失敗知識構造分析方法
5.2. 失敗知識構造分析のモデル化
①クラスター内整合性向
内藤(1997)は葛藤度を示す数式を開発したが、仮説群の設定上、葛藤度の対立概 念である整合度に注目する。そのため、内藤の数式の分母と分子を逆にして、その結 果をクラスター内整合性向とする。当性向の計算式は下記のようになる。
(−のキーワード数)
+のキーワード数)
−のキーワード数)
+のキーワード数)
クラスター内整合性向
(
1 (
) (
(c
注 1:+と−のキーワード数がどちらも0の場合は「性向なし」と判定し、計算しない。
注2:分子の「1」は、+と−のキーワード数が等しいときに算出不能となるのを防ぐ定数
クラスター内整合性向(c)は、0 < c ≦ 2 の整数で表される。同一クラスター内 のキーワード項目数が少ないほど、また、キーワードのイメージが統一されるほど「2」
に近づく。一方、クラスター内のキーワード項目数が多いほど、また、+と−のイメ ージを持つキーワード数が拮抗するほど、クラスター内整合性向は「0」に近づく。
当性向により、葛藤度を測ることが可能となる。+と−のイメージが 1 つでも混 在すると、c < 1 となる。本研究では、葛藤度の基準を下記のように設定した。
・強い葛藤度;0 ≦ c ≦ 0.5
・弱い葛藤度;0.5 < c < 1
・葛藤度なし;1 < c ≦ 2,もしくは「性向なし」
②クラスター内解離性向
クラスター内解離性向(d)は、クラスター内のキーワードに占める0のイメージ のキーワードの割合を示す。
当性向は、0 ≦ d ≦ 1 の整数で表され、0 のキーワード数が相対的に多ければ「1」、 反対に少なければ「0」に近づく。
本研究では、解離度の基準を下記のように設定した。
・強い解離度;0.5 ≦ d ≦ 1
・弱い解離度;0 < d < 0.5
・解離度なし;d = 0
^
2 2 2`
2
) (
) (
) (
) ) (
( +のキーワード数 −のキーワード数 0のキーワード数 0のキーワード数
クラスター内解離性向
d
注 1:冪指数「2」は相対的に 0 のキーワード数が多いケースでの重みづけをおこなうもの
上記の 2 つの指標を用いて、下記のようにクラスターを類型化する。尚、本研究 においては、分析の都合上、クラスター内整合性向をより重視することとする。
・(+)クラスター:「葛藤度なし」もしくは「弱い葛藤度」で、+イメージのキ ーワードが多数を占めるクラスター
・(−)クラスター:「葛藤度なし」もしくは「弱い葛藤度」で、−イメージのキ ーワードが多数を占めるクラスター
・(±)クラスター:「強い葛藤度」のクラスター
・(0)クラスター:「強い解離度」で、「強い葛藤度」でないクラスター
5.2.2. クラスター間分析
クラスター毎の個別分析の次の手順として、クラスター間の意味解釈分析を行う。
具体的には、インタビュー資料に基づいたクラスター間の意味分析を、主にクラスタ ー間の解釈データに基づいて、相違性、類似性、相互関連性の視点から定性的な検討 を行った。
(1)クラスター間関係の意味分析
下記の 4 つの関係類型に基づいて、クラスター間の関係性を分析する。当分析の 目的は、意味属性(コンセプト・環境)間の関係性についての意味のある結束の強弱 を明らかにすることである。
①影響関係:
クラスター間に因果関係が認められるもの。当関係はククラスター間の関係の意味 的な結束が比較的強いことを示す。失敗知識構造モデルでは、影響を与えるクラ スターから影響を受けるクラスターへの矢印(→)で関係を表す。
②対立関係:
クラスター間に矛盾関係が認められるもの。当関係はククラスター間の関係の意味 の意味的な結束が比較的弱いことを示す。失敗知識構造モデルでは、クラスター 間をつなぐ両方向矢印(⇔)で関係を表す。
③相互作用関係:
クラスター間に相互に影響しあう関係が認められるもの。当当関係はクラスター間 の関係の意味的な結束がかなりの程度強いことを示す。失敗知識構造モデルでは、
クラスター間にループを示す矢印で関係を表す。
④関係なし:
クラスター間に特に関係性が認められないもの。当関係はククラスター間の関係の 意味的な結束が無いことを示す。失敗知識構造モデルでは特に表記を行わない。
(2)優位クラスター分析
重要度順位の上位 3 位のキーワードがどのクラスターに属しているかを分析する ことによって優位なクラスターを示す。当分析の目的は、調査対象者の重要認識の高 い意味属性とイメージ属性を明らかにすることである。失敗知識構造モデルでは、優 位クラスターを実線で示し、劣位クラスターを破線で示す。
5.2.3. 失敗知識構造分析のモデル図例
手順に基づいて作成した失敗知識構造分析モデル図の例を下記に示す。
図表 16. 失敗知識構造分析モデル図例
環境 −
クラスタ 1: 関係組織間の方向性がばらばら
優位クラスター
相互作用
環境 ±
クラスター2: 所内のサポート体制できていない
影響
コンセプト +
クラスター3: コンセプトは新規性があり意義がある
対立
コンセプト −
クラスター4: コンセプトの開発化を提案するも NG