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太陽物理学研究系、乗鞍コロナ観測所、太陽活動世界資料解析センター

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太陽活動世界資料解析センター

太陽物理学の研究は、太陽物理学研究系、乗鞍コロナ観 測所、太陽活動世界資料解析センターの3つの組織が協力 し、野辺山太陽電波観測所とも密接に連携しながら推進し

ている。またSolar-B衛星開発のためSolar-Bプロジェク ト推進室を置いている。研究対象は太陽の内部構造、およ び太陽光球・彩層・コロナ・太陽風など太陽外層大気であ

り、フレア、黒点、白斑、紅炎など磁気プラズマの示す様々 な活動性について観測・理論の両面から研究を行ってい る。

理論研究は、日震学の手法による太陽の内部構造の診断 のほか、磁気流体力学を共通の手段として太陽類似の恒星 や宇宙ジェット現象などにも及んでいる。

観測的研究では、飛翔体によるスペースからの観測に早 くから取り組み、最近では科学衛星「ようこう」で大きな 成果を収め、次期衛星Solar-Bの開発に取り組んでいる。

乗鞍コロナ観測所、岡山天体物理観測所、三鷹地区の太 陽フレア望遠鏡など地上の諸装置にも新たな技術を導入し て研究を進めている。また黒点・フレア・コロナ等の定常 観測を長期間にわたって継続しており、諸外国の関係機関 と協力してデータの交換、出版を行っている。

. 研究活動・装置開発 1. スペースからの観測

太陽観測衛星「ようこう」は1991年8月の打ち上げから 丸10年以上活躍したが、2001年12月15日に起こった姿勢制 御の乱れと電源電圧の低下のため、その後の観測は停止さ れている。「ようこう」の観測データは国内・国外で非常に よく利用されており、地球物理学関連の利用も多い。学術 誌に発表された研究論文の総出版数は1998年までで460編 を超え、博士学位論文数も日本国内で20編以上に達してい る。

太陽観測衛星Solar-Bは、可視光望遠鏡(SOT)とその 焦点面に置く検出装置群(FPP)、斜入射ミラーを採用した X線望遠鏡(XRT)、紫外線分光撮像装置(EIS)、の3つ の望遠鏡を搭載し、X線・紫外線でコロナの加熱やダイナ ミックスを、可視光でそのエネルギー源である太陽表面の 磁場・速度場を観測しようとするものである。特に可視光 望遠鏡は、地上からでは大気の乱れによって達成できない、

0.2秒角の高分解能を目指している。観測機器の製作は日米 英の国際協力によるものであるが、可視光望遠鏡本体は国 立天文台が責任担当となっている。データのダウンリンク にはヨーロッパ宇宙機関(ESA)の北極域のステーション が参加するよう調整が行われている。

Solar-Bは2006年度の打ち上げに向けて、試作品(プロト モデル)の構造モデル(MTM)試験、熱モデル(TTM)

試験、電気試験が完了した。光学望遠鏡関係では、実際に 打ち上げられる(フライトモデル)主鏡・副鏡、コリメー タレンズが完成した(詳細は研究ハイライト参照)。今年度 末に完成した高度環境試験棟には、大クリーンルーム、大 型真空チャンバーなどが装備され、来年度には屋上から太 陽光を導入するヘリオスタットミラーが設置されるなど、

国内では例を見ない先進のスペース実験施設となってきて いる。

2.地上からの太陽観測

⑴ 磁場観測

太陽フレア望遠鏡は1992年に4つの観測装置すべてが完 成して以来連続して観測を続けている。そのうちのビデ オ・ベクトルマグネトグラフは世界で最も高速かつ自動化 の進んだ磁場観測装置であり、3分に1枚のスピードで磁 場マップを取得し、太陽大気内の磁場の歪みの蓄積の度合 いを常に追跡している。取得したデータの一部はオンライ ンで公開している。近年、太陽の磁場の生成機構に関連し て、磁場のよじれを表す磁気ヘリシティの研究が注目を集 めている。均質かつ大量のデータを取得している太陽フレ ア望遠鏡のデータは磁気ヘリシティの解析に適しているた め、この研究に力を集中している。電波天文学研究系の花 岡により、Hα線画像の高速デジタル取得装置の開発が完 了し、2001年10月から定常観測に入っている。

⑵ STEP・S-RAMP・CAWSES事業

太 陽 地 球 間 エ ネ ル ギープ ロ グ ラ ム(STEP事 業、

1990〜97年)は、SCOSTEP(太陽地球系物理学科学委員会)

がとりまとめ役となって実施した国際共同研究で、太陽か ら惑星間空間を経て地球までのエネルギーの流れとその地 球 環 境 へ の 影 響 を テーマ と し た。そ れ に 引 き 続 く 1998〜2002年はS-RAMPと名付けられたデータ解析期間 となっている。

国立天文台・太陽物理学研究系は太陽全面の大規模磁場 構造を観測する広視野マグネトグラフを建設し、1994年よ り定常観測を行っている。またSTEP・S-RAMP期間に取 得した様々なデータをホームページ上で公開し、名古屋大 学太陽地球環境研究所と共同でデータCDROMの発行も 行った。

2004〜2008年はSCOSTEPの次の大規模国際共同研究 であるCAWSES(太陽地球系の気候気象)が計画されてい る。日本国内での準備も始まり、国立天文台の太陽分野で も具体的研究計画を策定しつつある。

⑶ 黒点・白斑・Hαフレアの定常観測

本年(2002年1〜12月)の黒点・白斑の観測は、太陽全 面望遠鏡により行われた。この望遠鏡には、黒点・白斑観 測のため口径10cmの屈折望遠鏡と2K×2K素子のCCD カメラが搭載されている。またHαフレア観測のために、

口径4cmの屈折望遠鏡とリオフィルター、CCDテレビカ メラが装備されている。

黒点・白斑の観測日数は239日であり、Hαフレアの観測 は225日実施された。

フレアの検出数は表1の通りである。取得画像はホーム ページ上で公開している。

表1 Hαフレア観測(2002年) 観測日数 フレア重要度別検出個数

<1 1 2 3 4 225日 41 8 4 1 1

. 乗鞍コロナ観測所 1. 観測所の概要

1949年の開所以来の10cmコロナグラフに加え、25cm分 光コロナグラフ、10cm新コロナグラフを有し、太陽の外層 大気であるコロナ・彩層や、プロミネンス、スピキュール 等の観測・研究を行っている。散乱光の少ない大気とシー イングの良さに恵まれた環境は、コロナのみならず太陽光 球・彩層の高分解能撮像・分光観測にも適し、他研究機関 からの来訪者による共同利用観測も行われている。25cm コロナグラフには世界最大級のグレーティングをもつ分光 器が付属し、CCDカメラによる精密分光観測を行ってい る。

冬季は観測所は雪に閉ざされた環境となり、維持に著し い労力を要する一方晴天日数が少ない。観測環境の良い夏 季に精力を集中し効率的に研究成果を出せるよう、発電機 の交換、建物の補強、衛星電話回線による遠隔モニターな どを導入し、1998年より、冬季は観測所を無人・自動化し ている。

本年度は4月19日にヘリコプターにより開所隊が観測所 に入り、閉所は11月7日に完了した。

2. 10cmコロナグラフ

コロナの緑色輝線(5303A°)の輝度は、黒点相対数などと 並んで太陽活動の基本的な指標である。10cmコロナグラ フと直視分光器による実視観測は1997年1月でその50年近 い歴史を閉じ、複屈折フィルターを使った新しいシステム

(NOGIS:Norikura Green-Line Imaging System)に移行 した。フィルターには液晶を利用した可変遅延素子が組み 込まれており、輝線と散乱光(連続光)の弁別、輝線のドッ プラーシフトの測定が可能である。検出器はCCDで、コロ ナの2次元撮像・測光を高精度で行うことができる。今年 度は55日間のデータが得られた。フレアの原因である、磁 気リコネクションに伴って起こると予想される、プラズマ の流入・流出運動を検出することをめざし、観測を続けて いる。

1991年に定常観測に入った口径10cm新コロナグラフも 運用され、干渉フィルター(10640A°、6630A°、Hα、5303A°) とCCDカメラにより太陽のデジタル画像を記録してい る。

3. 25cmコロナグラフ

25cmクーデ式コロナグラフはリトロータイプの分光器 を備え、スペクトル観測によって太陽の様々な現象の物理 状態を調べることができる。最近では主に冷却CCDカメ ラを用いたコロナの高精度分光観測を実施しているほか、

1997年に完成した液晶遅延素子組込みの汎用ポラリメータ により、偏光を用いた光球やプロミネンス、コロナの磁場 診断も行っている。

4. ミラー・コロナグラフの開発

複数の輝線による太陽コロナの多温度同時観測、また、

将来に向けた大口径コロナグラフ実現のための技術的基盤 を確立することを目指して、口径15cmの超研磨鏡による 反射式コロナグラフの開発をおこなっている。主たる技術 的課題は、

1) 低散乱軸はずし放物面鏡の開発

2) 逆オカルティングディスク穴あき金属鏡の製作、

3) 像追尾のための主鏡角駆動機構の開発

である。主鏡は平成12年度より低膨張ガラスのクリアセラ ムを用いて研磨を開始し、同年一次試作品を完成している。

平行して鏡面のマイクロ荒さを評価するため、散乱光測定 装置を製作した。これはレーザー光を被検ミラーに当て、

あらゆる角度に向かう散乱光強度を光センサーで測定する もので、平成13年度に完成し、14年度には測定室をクリー ンルーム化する事により、測定精度の向上を図った。試作 ミラーの評価を行ったところコーティングに劣化が認めら れたため、再蒸着を施し、再度散乱光評価を継続中である。

平成13年度からはまた主鏡駆動機構の開発をおこなって いる。これは2本のピエゾ圧電素子でジンバル機構によっ て保持された主鏡の角度を高速に制御するもので、主鏡に よる太陽像を正確にオカルティングミラーにガイドする役 割を果たす。現在ピエゾ素子の機械的特性、主鏡駆動の周 波数応答特性を評価するためのシステムを立ち上げ、制御 モデルの確立をおこないつつある。コロナグラフ筐体はア ルミハニカムパネルで製作することをベースとし、その設 計を進めている。

5. 共同観測・共同研究

本年度は5件の共同利用観測を実施した。25cmコロナ グラフを用いた分光観測・偏光観測のほか、近年では気象 関係の利用も多い。

. 太陽活動世界資料解析センター

世界各地の天文台が観測した、黒点・光球磁場・フレア・

コロナ・太陽電波に関する資料を編集し、ユネスコ及び国 際学術連合(ICSU)の援助を得て、Quarterly Bulletin on Solar Activityとして印刷出版している。また、三鷹にお  ける太陽黒点・フレアの観測結果、及び乗 鞍 に お け る

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