1. 概 要
平成10年4月に、国立天文台の新しい組織(省令組織)
として、天文情報公開センターが発足した。同センターは、
国立天文台のみならず天文学全般の科学的成果の一般社会 への普及・啓蒙、新発見天体に関する国内調整・国際的情 報交換、および日の出・日の入りなど市民生活に直結した 天文情報の提供を目的とした組織であり、センター長のほ か、広報普及室、新天体情報室、暦計算室から構成される。
2. 人 事
平成14年度における当センターは、福島登志夫教授・セ ンター長、渡部潤一助教授・広報普及室長、中村士助教授
(併任)新天体情報室長、中井宏助教授・暦計算室長、また 広報普及室に福島英雄助手、縣秀彦助手、暦計算室に伊藤 節子助手が配置された体制が続いた。9月1日付で、広報 普及室に生田ちさと助手が着任した。4月1日付で、岡本 富三教務補佐員、佐藤英男教務補佐員、室井恭子教務補佐 員、並木光男教務補佐員、石崎昌春教務補佐員、小野(根 本)智子教務補佐員、増沢等教務補佐員、木村修教務補佐 員、小池明夫技能補佐員、石川直美技能補佐員、由井恵理 子技能補佐員、藤田登起子事務補佐員を採用した。なお、
平成15年3月31日付で、木村修教務補佐員が退職した。
3. 広報普及室の活動
1994年4月より内部措置として発足した広報普及室は、
平成10年度より、正式に天文情報公開センターの内部組織 として活動している。今年度も従来と同様、すばる望遠鏡
等の研究活動と成果を中心に、他の業務や将来計画などに ついて積極的に広報し、しし座流星群などの社会的に話題 になった天文現象について、天文学研究者だけでなく、ひ ろく一般の方々の理解を得られるよう下記のような活動を 行った。
⑴ 一般質問受付
マスコミや官庁、一般からの質問に対応した件数は、電 話は8190件(表1)、手紙は168件、公文書は74件であった。
また、4月1日より、インターネットを通じた質問の受付 を開始し、473件(表2)に対応した。
⑵ マルチメディアによる情報公開
国立天文台のホームページ(http://www.nao.ac.jp/)を 管理・運営し、インターネットによる情報公開を行ってい る。ホームページへのアクセス件数は夏休みやしし座流星 群の時に集中し、全体で約1372万件となり、月別には表3 の通りとなっている。
また、最新の天文学の情報を電子メールで発信する天文 ニュース(539号〜627号)、音声によるテレフォンニュース サービス(177号〜201号)を発行した。各地の天文教育施 設・公開天文台へ最新の天体画像・情報を発信する公開天 文台ネットワーク(PAONET)は8年目を迎え、10月1日 2日の第8回ユーザーズミーティング(国立天文台三鷹)
では、参加施設数が139となった。また、このネットワーク が試験運用期を含め10周年を迎えるのを機に、3月28日
〜29日にPAONET10周年記念シンポジウムを開催し、イ ンターネット時代の新しい方向性を模索しつつある。
⑶ 成果公開
今年度は、2件の記者会見(①9月26日:「野辺山電波 ヘリアグラフによる超高速伝播現象の観測」に関する記者 発表、②3月20日:「すばる、最も遠い銀河を発見」に関 する記者発表)およびインターネットなどを利用した、主 として天体画像を伴う3件の成果公開(①4月15日:すば る望遠鏡の成果「銀河の周りに広がる超巨大ガス雲の発見」
のカラー画像公開、②8月9日:すばる望遠鏡の成果「す ばるが宇宙の果てにある爆発銀河を発見」のカラー画像公 開、③2月8日:「おおかみ座暗黒星雲」の画像公開)を 行った。また、1月10日には「科学記者のための天文学レ クチャー(第5回)」を開催、「宇宙を探る新しい窓」をテー マとして、「ガンマ線で探る宇宙(河合誠之・東京工業大 学)」「ニュートリノで探る宇宙(中畑雅行・東京大学宇宙
線研究所・神岡)」「重力波で探る宇宙(藤本真克・国立天 文台)」の3つのレクチャーを行い、16社21名(他14名)の 参加があった。
⑷ 社会教育事業
平成12年7月20日より開始した三鷹地区常時公開を継続 し、公開時間を夏冬とも17時までに変更した。常時公開施 設のひとつ、第一赤道儀室に設置されている望遠鏡を用い て、5月の連休中、及び夏休み、春休み期間中に特別に運 転公開を行い、見学者が自ら太陽の黒点観測体験ができる ようにし、特に子供たちに好評であった。3月末までで 16,408名の見学者が訪れた。また、平成14年度の職場訪問 等を含めた団体見学は60件、1,177名であった。
例年行われている三鷹キャンパスの特別公開は、10月26 表1 国立天文台天文情報公開センター広報普及室・電話応答数 2002年4月−2003年3月
太陽 月 暦 時刻 惑星 宇宙 天文 其他 合計
4〜6月 567 184 123 35 378 74 232 315 1,908 7〜9月 508 324 205 27 391 102 239 746 2,542 10〜12月 579 194 187 21 438 60 250 356 2,085 1〜3月 509 199 150 20 199 60 203 315 1,655 総 計 2,163 901 665 103 1,406 296 924 1,732 8,190
表2 国立天文台天文情報公開センター広報普及室・インターネットによる質問応答数 2002年4月−2003年3月
太陽の暦 月の暦 暦 時 太陽系 宇宙 見学 其他 合計
4〜6月 18 4 4 0 14 17 0 19 76
7〜9月 17 8 2 0 28 21 2 44 122
10〜12月 11 12 7 0 39 25 2 42 138
1〜3月 19 8 8 4 31 29 0 38 137
総 計 65 32 21 4 112 92 4 143 473
表3 国立天文台ホームページ月別アクセス件数 2002年4月−2003年3月
月 件 数 月 件 数 月 件 数
2002╱4 1,096,862 2002╱8 1,425,569 2002╱12 957,874 2002╱5 1,138,518 2002╱9 1,021,669 2003╱1 1,198,661 2002╱6 982,563 2002╱10 1,124,903 2003╱2 1,132,857 2002╱7 1,304,360 2002╱11 1,548,940 2003╱3 788,331
合 計 13,721,107
日に東京大学大学院理学系研究科天文学教育研究センター と共同で企画・遂行し、約1,300名の参加があった。
社会教育用公開望遠鏡を用いた定例観望会は、昨年度よ り雨天曇天時にも中止することなく実施するようにしてい る。今年度は実施23回、参加者2,626名(この他1回は特別 公開日に予定していたが、雨天のため中止となった)を数え た。また、2月7日と22日および3月7日と22日には「親 子星空学級」として親子向けのメニューを用意した。
4年目となる高校生対象の宿泊体験学習会「君が天文学 者になる4日間」には、全国から50名の応募があり、最終 的に選考された16名の参加があった。
また、本年度より新しい試みとして、伝統的七夕の日(8 月5日)にあわせたライトダウンキャンペーンを三鷹市と 共に行った。三鷹市芸術文化センターにて「伝統的七夕:
星と音楽と落語の夕べ」を催し、稲田志保子氏(電子ピア ノソリスト)、新居昭乃氏(歌手)、柳家こゑん氏(落語家)
及び海部台長の講演を行ったのち、連雀中央公園にて星空 観察会を行った。それぞれ約250名、150名の参加があった。
さらに夏休み終盤の8月26日〜30日には「大学等地域開 放特別事業・大学Jr.サイエンス&ものづくり」の一環とし て、「夏休みジュニア天文教室」を開催し、工作教室、観察 実習などを行い、272名の参加があり、好評を得た。
公開講座は本年度より、公開講演会として、「すばる望遠 鏡の挑戦―宇宙はどこまで見えてきたか―」というテーマ で、1月18日に科学技術館において実施した。会場参加者 は239名であった。
全国の天文関連施設と一緒になってすすめている「ス ター・ウィーク〜星空に親しむ週間〜」は参加協力団体 220、協力イベント485件であった。
宇宙関連機関で行う「宇宙の日」の各種事業には平成13 年度から参加しているが、今年度は9月15日〜17日に松江 で開催された「宇宙ふれあい塾」に参加し、ブースを出展 した。
⑸ 広報配布物の普及活動
国立天文台ニュース(第105号から第116号)の発行、国 立天文台要覧(和文、ハイライト部分の英文抄録)、国立天 文台パンフレット(和文)の改訂、三鷹地区見学パンフレッ ト、常時公開パンフレット・ポスター作成、特別公開パン フレット・ポスター作成を、庶務課および各編集委員会等 とともに行った。国立天文台ビデオ編集委員会とともに第 4作「生きている太陽〜コロナの輝きを追って」の作成を 完了した。
また、すばる望遠鏡記録映画編集委員会とともに、すば る望遠鏡建設記録を作品化した。その中でも特に、「未知へ の航海」(16mmフィルム版、55分作品)は、第57回毎日映 画コンクール記録文化映画賞(短編)、2002年度文化庁優秀 映画大賞(短編部門)、第44回科学技術映像祭文部科学大臣
賞(科学技術部門)、第41回日本産業映画・ビデオコンクー ル大賞を受賞した。さらに、「国立天文台紹介ビデオシリー ズ 5 もっと 遠 く を 巨 大 望 遠 鏡 す ば る」は、第13回 TEPIAハイテクビデオコンクール優秀作品賞を受賞し た。これら一連の作品の素材とも言うべき膨大な撮影資料 を120分のDVD作品(日本語版、英語版)に取りまとめ、
天文教育施設や関係機関に配布した。
4. 新天体情報室の活動
本年度も国立天文台に寄せられる新天体(彗星、小惑星、
新星、超新星など)の発見通報とそれらの確認依頼に対応 した。具体的には、諸資料とデータベースによってまず調 査をし、必要に応じて三鷹の望遠鏡および国内の協力観測 所に観測依頼をし、また情報の確度に従って国際天文学連 合天文電報中央局へ発見報告を行った。また、新天体情報 室のホームページを運用し、新天体に関する最新情報を広 く一般社会と研究者に提供する活動も行った。更に、新天 体情報室業務のために、関連するデータベースの作成と維 持とを行った。
発見、確認依頼の通報は、主に留守番電話+ポケベルの システムとFAXで行われ(最近は電子メールの場合も多 い)、休日も昼夜を問わず24時間対応する体制が出来てい る。通報を受ける業務は当番制で行っている。そのスタッ フは、常勤併任職員1名、非常勤職員2名、協力職員5名 である。通報の内容は、彗星:11件、UFO・発光天体:11 件、月、惑星、恒星:18件、新星・超新星:8件、火球:
5件、その他はマスコミからの問い合わせ、日の出入り、
人工衛星、見学などの問い合わせであった。
2002年度の通報件数が前年度をかなり下回った理由とし ては、平均して天候がわるかったこと、通報・問い合わせ が急増する「しし座流星」が前年度よりはるかに少なく、
マスコミ報道も殆どされなかったこと、などが考えられる。
2002年度の月別夜間通報対応の統計:
2002年
4月 12 件 5月 25 6月 15 7月 26 8月 39 9月 16 10月 17 11月 24 12月 22 2003年
1月 21 2月 27