有機JASマークを付すには、JAS認定を取得する必要がある。これは日本においても外 国においてもかわりがない。輸入有機食品のJASマークの貼付の方法については、原産国 が前項の同等国であるか、そうでないかにより、次のような方法で貼り付ける必要がある。
(有機JASマークを付す方法)
原産国 JASマークの貼付者 注意点 JAS同等国 日本の認定輸入業者(有機
農産物、有機農産物加工食 品に限る)
同等国の認証された有機食品に、当該ロッ トごとに外国政府の証明書を入手して、
JAS マークを貼る。(但し、製品に使用さ れた原材料、食品添加物等については、当 該国と取り決めた基準に合致しているこ とを十分確認する必要がある)
外国生産行程管理者 外国製造業者 外国小分け業者
たとえ同等国であっても、外国で有機JAS マークを貼付する際には、JAS認定が必要 である。
同等でない国 外国生産行程管理者 外国製造業者 外国小分け業者
同等の制度を有していない国の場合は、外 国でJAS認定事業者が、有機JASマーク を貼る方法のみ認められる。
6.2.2 製造工場の注意点
製造工場が輸入有機原料を受け入れるにあたって注意すべき事項は、次のとおりである。
(1) 外国で有機JASマークが貼付されている原料の場合
外国で有機JASマークを貼り付けて以降、自社の工場に納入されるまでの間に、相当な 距離がある。その間に薬剤汚染を受けるなど、有機表示ができなくなった場合は、有機食 品の取り扱い業者は、認定取得業者であろうとなかろうと、直ちに有機JASマークを除去 する義務がある。これはJAS法第19条の12に定められている。
理論的にはこの条文(第19 条の12)の適用により、生産行程管理者は有機JAS マークが 付されていること(有機 JAS マークが除去されていないこと)は即ち汚染を受けてないこと の証明であり、生産行程管理者の原料受入手順としては、有機JASマークの貼付の有無だ け確認しておけば問題ないが、実際には、上記が確実であることを何らかの形で確認をと っておいたほうが、企業防衛の観点からよいと思われる。
具体的には、有機原料のうち、輸入通関時に植物検疫の対象で、燻蒸の可能性のある農 産物については、植物検疫が虫なし合格で燻蒸されていないことを輸入業者に確認してお くことが望まれる。
また、以上のような、流通段階での薬剤汚染と非有機原料の混合(取り違え)は、輸入原料 に限らず、国産原料であっても発生しうるリスクであるので、製造業者は入荷する原料が どこで有機JASマーク貼付され、それがどのような経路をたどって自社まで納品されるの
かのルートを知り、そこに有機性を損なうリスクがあるのかどうかを検討しておくことが 必要である。
(2) 日本で輸入業者により有機JASマークが貼付されている原料の場合
輸入業者がJASマークを貼る対象の原料は、有機農産物と有機農産物加工食品のみで、
かつ原産国がJASと同等の有機の制度を有している国に限られる。特に、原産国はJASと 同等でないが、積み地が同等国で、かつその国の認定制度の認定を取得している場合には、
誤ってJASマークを貼る危険性がある。(例:アメリカの商社が、カナダの原産の小麦を販 売し、アメリカの港から出港して、この商品がアメリカのNOP 認定を取得している場合、
このような場合は輸入業者は有機JASマークを付すことはできない。)
製造業者としては、輸入業者が適切に該当する製品にJASマークを貼付しているか、念 のため原産地を確認することが望ましい。(これも、輸入業者の本来業務であり、生産行程 管理者としての必須事項ではないが、企業防衛の観点から推奨される。)
また、輸入業者の場合、有機JASマークを送り状にのみ貼付するケースが考えられる。
このとき、有機JASマークを貼付した送り状とそれに対応する受入原料が、ロット番号や 袋の表示等で明確にされている必要がある。また受入後の保管においては、送り状に JAS マークが付された場合で、原料そのものにJASマークが付されていない場合は、現場で有 機と非有機を確実に区別して管理できるような体制が必要となる。
(3) 製造工場が外国から有機原料を直輸入する場合
製造工場が輸入業者を介さず、直接原料を輸入する場合、次の2つのケースが考えられ る。
① 外国で外国生産行程管理者等がJASマークを貼付して日本へ輸出される場合
この場合は、輸入業者認定は必要ないが、原料が出荷されてから工場に到着されるまで に、有機性を失うような薬品汚染などがなされていないかを確認する義務がある。海上コ ンテナ内での汚染については、輸出するシッパーに協力を仰ぎ、コンテナのチェックを十 分にすること(クリーニングの実施、前荷の確認など)が必要である。
また、植物検疫対象品目の場合は、輸入時に燻蒸がされていないことを証明できる書類 を入手し保管しておく必要がある。
② 同等国の原産地のもので、同等国の認証しか取得していない原料の場合
JASマークの付してない同等国の認証品を有機JASの加工食品に使用する場合には、有 機加工食品の生産行程管理者が別に輸入業者認定を取得し、同等国の認証品に原料受入段 階で有機JASマークを貼付する作業が必要となる。
この場合、輸入業者に課せられている、外国政府の証明書の入手がなされていなければ 有機JAS用の原料として使用することはできない。