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変数

ドキュメント内 里親制度の長期的動態と 展望 (ページ 88-91)

第5章 2000 年以降の里親委託の増加をもたらしたもの

5. 変数

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こうして,本章では「2000年以降の里親委託の増加は,福祉司の増員によって,福祉司 の役割過重が軽減されたことで生じた」という仮説(仮説5-2)を設定する.この仮説は,

第 3 章で再構成した仮説5-2,すなわち「福祉司の業務が膨大かつ多岐にわたり役割過重 が発生するため,里親委託が伸展しない」という仮説を逆方向から表現したものである.

つまり,この仮説が成立した場合には,2000年以前の里親委託が伸展しなかった要因の一 つに,福祉司の役割過重があったことを間接的に示すものと考えられる.

2000年以降の福祉司増員および福祉司の業務の軽減化は,直接的には急増する児童虐待 への対応を図ったものであると考えられる.しかし,そうした福祉司の環境整備は,国の 里親委託推進の政策と相まって,里親委託についても意図せざる結果をもたらした可能性 がある.

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【従属変数】

里親委託率:第4章で既述のように,里親委託率は,社会的養護を必要とする子どものう ち,里親に委託されている子どもの比率を示す.第4章と同様に,里親に委託されている 子どもの数を養護児数(社会的養護を受ける子どもの総数.養護施設・乳児院・里親に委 託された子ども数の総和)で割って算出した.これらのデータは,厚生労働省大臣官房統 計情報部による「社会福祉行政報告例」から求めた.里親委託率をy,養護児数をr,里親 委託児数をmとすると,里親委託率yは以下の式[5.1]で表すことができる.

r

ym …[5.1]

なお,里親に委託された子ども数には,小規模住居型児童養育事業に委託された子ども たちも含んでいる.

【独立変数】

施設定員充足率:第 4 章で既述のように,施設定員充足率とは施設の定員充足率のこと であり,施設の定員に対する措置された子どもの比率で表される.この変数は,検証対象 となる2つの仮説には対応しないが,第4章では里親委託率に対するその強い効果が明ら かにされているため,基準となる最初のモデルにはまずこの変数を投入し,2000 年以降 のパターンがそれ以前と比較して異質かどうかを確認する.また,この変数の効果を統制 したうえで既述の2つの仮説の検証を行うという意味もある.データは,厚生労働省大臣 官房統計情報部による「社会福祉施設等調査」から求めた.施設充足率をj,乳児院・児 童養護施設の定員数をk,在所児数をlとすると,定員充足率は以下の式[5.2]で表すこと ができる.

k

jl …[5.2]

虐待対応件数(対 2000 年比):被虐待児の増加を測定する指標としては,本来であれば,

養護児数に占める被虐待児の比率を変数として設定するべきだが,自治体レベルでこれに 相当する統計は見当たらなかった.把握できるのは児童相談所の虐待対応件数であるが,

この指標は当該自治体の人口規模(正確には児童数)の影響をうける(児童数の大きな自 治体ほど虐待件数も大きくなり,変動も大きくなる)ので,その影響を統制するために,

最初の2000年を1として,各年の虐待対応件数の対2000年比をとった.データは「社会

84 福祉行政報告例」より求めた.

福祉司数(対2000年比):仮説2に対応する福祉司数を指標とした.虐待対応件数に倣い,

福祉司数も対2000年比で算出した.データは,社会福祉法人恩寵財団母子愛育会日本子ど も家庭総合研究所の「日本子ども資料年鑑」から求めた.

福祉司一人あたりの相談対応件数比18:福祉司の役割過重を測定する指標として用いる.

この指標は役割過重を直接測定するものではないが,もっとも業務量の多くを規定すると 思われる相談対応件数を代理指標として用いた.

福祉司一人あたりの相談対応件数比は,各自治体ごとに児童相談所の相談対応件数を福 祉司の配置員数で割って算出した.これらのデータは,「社会福祉行政報告例」と日本子ど も家庭総合研究所による「日本子ども資料年鑑」から求めた.福祉司一人あたりの相談対 応件数比をs,各自治体ごとの福祉司の配置員数をo,児童相談所の相談対応件数をqとす ると,福祉司一人あたりの相談対応件数比は以下の式[5.3]で表すことができる.

o

sq … [5.3]

【統制変数】

政令指定都市ダミー:データは都道府県と政令指定都市から構成されるため,両者の差異 を統制するために都道府県を0,政令指定都市を1としたダミー変数を設定した.

養護児数:養護児数の絶対量の変化自体が結果に影響を及ぼす可能性があるために,その 効果を統制する.養護児数は,乳児院,児童養護施設,里親に委託された子ども数の総和 を1000で割った数であり,厚生労働省大臣官房統計情報部による「社会福祉行政報告例」

18 なお,この指標は,そのまま福祉司の業務量を正確に表しているとは言えない.児童相 談所の対応件数(q)には,1回の電話相談で終了するものから,虐待など深刻かつ重篤な ケースまで,あらゆる相談対応が含まれているが,一つのケースに対して何度面接を重ね たとしても件数は1件としか換算されないためである.ただし,そうした不完全性にもか かわらず代替しうる指標は存在しないため,次善の指標として用いることにする.

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から求めた.里親に委託された子ども数には,小規模住居型児童養育事業に委託された子 どもも含む.1000で割ったのは,パラメータ推計値の効果を明確にするためである.

各変数間の相関は表 5.1.に示した.いずれの独立変数も従属変数である里親委託率に対 して有意な相関を示していることがわかる.

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