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分析と結果

ドキュメント内 里親制度の長期的動態と 展望 (ページ 91-94)

第5章 2000 年以降の里親委託の増加をもたらしたもの

6. 分析と結果

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から求めた.里親に委託された子ども数には,小規模住居型児童養育事業に委託された子 どもも含む.1000で割ったのは,パラメータ推計値の効果を明確にするためである.

各変数間の相関は表 5.1.に示した.いずれの独立変数も従属変数である里親委託率に対 して有意な相関を示していることがわかる.

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5.4. 里親委託率の標準偏差(2000-2009年/全国)

【出所】厚生労働省大臣官房統計情報部編「社会福祉行政業務報告例(厚生省報告例)」

仮説を検証するにあたっては,固定効果モデル・ランダム効果モデルを用いた重回帰分 析による検証を行う.使用するモデルは以下の式[5.4]で表現できる.

it it it

it it

it it

i

it

e

y      

1

1

 

2

2

 

3

3

 

4

4

 

5

5

 

6

6

…[5.4]

このとき,yは里親委託率,iは各自治体,tは各年を表す.αは切片,χは各独立変数,

eitは攪乱項である.iは,固定効果モデルを採択するか,ランダム効果モデルを採択する かで,想定の仕方が変わってくる.すなわち,固定効果モデルを採択した場合,iは時間 に関して不変である自治体固有の効果を示す.一方,ランダム効果モデルを採択した場合,

観察不可能な自治体固有の効果iはランダムな確率変数として扱われることになる.

ランダム効果モデルは,個体間の差異と個体内の時点間の差異の両方がモデルに投入さ れているために,統計学的には固定効果モデルより望ましい(稲葉 2002).ただし,この モデルは自治体固有の効果がランダムであるという強い仮定が置かれており,この仮定が 成立しない場合には適用することはできない(Green 2000).固定効果モデルは,個体間の 差異を固定効果によって生じたものとみなし,個体内の時点間の差異(変化量)どうしの

0 0.02 0.04 0.06 0.08 0.1 0.12

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

year

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5.2.ランダム効果モデル・固定効果モデルを用いた里親委託率を従属変数とした分析の結果

model1 model2 model3

(固定効果モデル) (固定効果モデル) (ランダム効果モデル)

独立変数 β (SE) β (SE) β (SE)

_cons -.1063 *** (.0342) -.0346 (.0237) .0227 (.0241)

政令指定都市(=1) omitted(omitted) .0341 (.0212) 養護児数 .2367 *** (.0342) .0635 (.0347) -.0021 (.0147) 施設定員充足率 .0600 * (.0247) .0389 (.0226) .0525 * (.0217) 虐待対応件数比(対養護児数比) .0046 * (.0020) .0054 ** (.0019) 福祉司数(対2000年比) .0300 *** (.0039) .0182 *** (.0051)

相談対応件数比(対福祉司比) -.0001 *** (.0000)

.0112 .0003 .1024

*p<.05 **p<.01 ***p<.001 n=590

関連のみをモデルで扱うためにランダム効果モデルよりは望ましくない.

分析においては,まず,固定効果モデルとランダム効果モデル,それぞれの推計を行っ た . 次 に ど ち ら の モ デ ル を 採 択 す べ き か を 判 断 す る た め に ,Hausman 検 定 を 行 い

(Green2000,浅野・中村 2002),どちらのモデルを採択するかを決定した.

モデルの推定結果を表 5.2.に示す.最初に4章で得られたモデルを基準とするため,4 章で関連が認められ,今回の都道府県政令指定都市別のデータが得られた変数である「養 護児数」「施設定員充足率」を独立変数として投入するモデルを設定した(model1).

次に,そこに仮説1の虐待増加の直接効果を検証するため,「虐待対応件数比」を投入し,

「虐待対応件数比」の直接効果とその投入に伴う「養護児数」のβの変化を検討した.さ らに仮説2の,福祉司の増員の直接効果についても検討するため,「福祉司数」を投入した

(model2).

最後に,福祉司の増員による役割過重の軽減効果を検討するため,「相談対応件数比」を 投入し,その直接効果と福祉司数のβ値の変化を検討した(model3).

model1では,Hausman検定の結果,固定効果モデルが採択され(χ2(2)=45.68, p<.001), 施設定員充足率と里親委託率には有意な正の関連があることが示された.つまり,2000年 以降,施設定員充足率と里親委託率の間には,それまでとは異なる関係が生じたというこ とになる.

次に,model2では,虐待対応件数と福祉司数を投入し,それぞれの変数が里親委託率に 与える影響を検討した.固定効果モデルが採択され(χ2(4)=11.45,p<.001),虐待対応件 数と福祉司数はともに里親委託率に対して有意な正の効果を示した.なお,福祉司数の効 果の方が虐待対応件数の効果よりも大きいことが示された.

最後のmodel3では,福祉司一人あたりの相談対応件数比を投入し,福祉司の役割過重の

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媒介効果を検討した.ランダム効果モデルが採択され(χ2(4)=7.84,p=n.s),施設定員充 足率に有意な正の関連がみられた.また,虐待対応件数の有意な正の効果はやや増加した が,福祉司数の効果は有意ではあるものの大きく弱まった.相談対応件数比は有意な負の 効果を示し,福祉司一人あたりの相談対応件数比が減少すると,里親委託率が増加すると いう結果が示された.

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