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基本に立ち返る

ドキュメント内 目次 i (ページ 30-34)

要するに戦略要件上、軍事基地の受け入れにより生ずる不自由に耐えな ければならない地元住民の負担をより軽減するための注意、共同での見直し、

および賢明なステップが必要である。しかし、現在普天間基地で収容している ほとんどの米海兵隊航空機能を移転する代替施設の問題を、強力な、あるい

は持続可能な同盟関係の前提としてはならない。同盟の戦略目標に関しては、

常に明確な決定がなされなければならない。

これは普天間からキャンプ・シュワブへの長年の移転計画に関する問題が 些少だと言っているわけではない。それどころか、それらの問題は非常に深 刻なもので、極めて重要な安全保障関係に悪影響を与えている。事故の可 能性や環境への悪影響に対する地元の明らかな懸念のほかに、そこには費 用と作戦に関わる現実的な問題もある。大部隊の移転には多額の費用がか かり、現在の緊縮財政では、議会は新しい防衛施設のために資金を拠出する ことには、難色を示すであろう。同様に、地域的な軍事動向を鑑みた場合、政 策決定者は起こりうる緊急事態のすべてに対応できるだけの十分な滑走路の 長さが、辺野古崎計画には本当にあるのかという疑問に再び直面しなければ ならない。政策当局者は、最適とは言えない可能性のある計画に多額の投資 を行い、損失を生む前に、軍事計画立案者の意見に耳を傾けるべきである。

しかし、現在の計画の慎重な見直しは、前述したより大きな戦略的枠組み の中で行われる必要があるため、当局者はじっくり熟考する時間を持つべき であり、先々長期にわたって後悔するような誤った判断を性急に下すことは避 けなければならない。これは沖縄の一部の人々にとってはあまり歓迎されない 案ではあるだろう。しかし、計画実施の遅延は、政府が沖縄の米軍駐留による 負担を軽減するための中間段階での施策をまったく取らないという意味では ない。そのため2012年4月の論点の切り離しは有益であったと言える。普天 間への V-22 オスプレイ・ティルトローター航空機の配備は緊張を再び高める ことになったものの、この配備は新しい好機も作り出している。特に、ヘリコプ ターというよりは飛行機のように稼動する同機の行動範囲が広いため、沖縄よ り本州やその他の島々での海兵隊訓練が行われる可能性が開かれている。

戦略的な見直しの最中であっても、同盟国の首脳は、沖縄の人々の負担をよ り軽減することができる遠隔地での訓練への支持を呼びかけることができるは ずである。

沖縄での訓練の削減に加え、日米両国の国家安全保障の立案者は 両軍 の共同での配置と、また基地の軍民共用化も視野に入れた、軍同士の統合

をより前進させるよう話し合いを続けるべきである。これらの暫定的な施策は、

より肯定的な基地使用の業績をゆっくり積み上げていくことにつながり、沖縄 の経済発展への賢明な投資とともに、普天間における慢性的な問題の長期 的な解決法への道筋を整えていくことになるであろう。

普天間が今後の在日米軍基地計画に 与える教訓

外交問題評議会上級研究員 シーラ・スミス

1996 年4月 12日、ウォルター・モンデール駐日米国大使はビル・クリント ン大統領に代わり、沖縄の海兵隊普天間飛行場を 5~7 年以内に閉鎖し日 本に返還する方針を橋本龍太郎首相とともに発表した。それから 17 年が経 過したが、現在も普天間の運用は継続中で代替施設は決定していない。これ までに提案されたいくつかの代替滑走路建設計画は、地元沖縄の反対に遭 っている。膠着する普天間問題をめぐって日米当局の間に続く緊張は、二国 間の関係にも悪影響を及ぼし始めている。普天間問題に端を発した最も衝撃 的な結末は、決着に向けた働きかけに失敗した鳩山由紀夫首相の辞任であ る。たかだか一つの軍事基地が日米の同盟関係を脅かし、沖縄と東京の間に 根深い相互不信を作り出し、さらにはアジア太平洋地域における米軍の持続 可能性をめぐる国民意識にまで影響を拡大しているのである。

沖縄の普天間基地移設という難題は、日本における従来の政策アプロー チが抱える政治的限界をあぶりだした。政治的限界の一つは、日米の安全保 障当局が普天間問題を「地元レベルの問題」とみなした判断の誤りである。沖 縄の復帰以来、県内には本土からの移転を含めてどこよりも多い在日米軍部 隊が駐留することとなった。米軍基地負担の公平性は、普天間移設を求める 沖縄の姿勢を理解する上で中心的な論点といえる。第二の限界は、日米が 強調する「在日米軍は、作戦上必要である」という概念が、「戦略的要因以外 に基地の必要性を比較検討する指標はない」という前提に基づいていること である。しかし、満足な移設計画の策定や現行計画の実施が難航する現実 から見えてくるのは別の新しい指標、すなわち、作戦上の持続可能性に匹敵 する政治的持続可能性の重要性である。今後も米軍が日本、さらにはアジア 太平洋地域で存続していくためには、基地を受け入れる地元コミュニティと国 政の両方の観点から政治的に容認できる基地作りのコンセプトを立案するこ とが肝要である。

長期化する普天間移設問題に悩む日本の現状からは、アジア太平洋地域 におけるこれからの米軍基地計画を考える上で教訓とすべきさまざまな事柄 を読み取ることができる。この問題を単に沖縄が置かれている状況の政治的 歴史的な特殊性によるものとする見方は、日本政府が下してきたさまざまな決 定が、米軍基地の沖縄集中を招いたという事実を無視している。普天間問題 に正しい診断を下すためには、国の基地戦略を評価することも同じくらい重 要である。さらに、沖縄の尖閣諸島をめぐる対立などによって北東アジアにお ける安全保障情勢は複雑さを増しており、これからの日米は、沖縄県民にとっ て許容可能で、かつ南西諸島地域で高まっている防衛協力の必要性に適っ た基地戦略を立案する必要がある。普天間移設の実施をめぐる日米の失敗 は、日本ならびにアジア太平洋地域における米軍の政治的持続可能性につ いて、より根本から意識変革を図る必要性を示したといえる。

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