(71 人)
4 地域公共交通の運行持続性の向上
(1)昼間時間帯の利用環境の向上と既存資源を有効活用する。
ア 本市を運行する公共交通は、JR日豊本線のほか、路線バス(大分交通・亀の井バス)、タクシー があり、市民の日常生活等を支える重要な移動手段となっている。自家用車の普及などにより、利 用者数は年々減少傾向にあり、市内を運行するバス路線のほとんどが赤字路線となっているのが実 情である。
イ 燃料価格の変動や車両の老朽化、運転士の人手不足なども重なり、「路線バス」を始めとする市内 の公共交通はその路線(運行)を維持することが非常に厳しい状況にある。
ウ バス利用実態調査結果によると、バス事業者が利用状況・収支状況が芳しくないと考えている特定 系統は昼間時間帯に収支率が悪くなる傾向があるため、バスと同様にタクシーも含めて、昼間時間 帯の既存資源を有効活用することで、公共交通の収支状況の向上に寄与することが期待できる。
図 本市の「まち」まもり・「まち」づくりに向けた公共交通の利活用に関する基本スタンス 収支率(%)
時間帯
時間帯 収支率(%)
■現状(公共交通事業の時間帯別収益状況)
■今後 市民(通勤・通学など)
や観光客に対する 積極的な利用促進
朝ピーク 昼間 夕ピーク
(オフピーク)
この凹み(赤字)を 交通弱者と観光客(FIT)の利用で
カバーする 100%
100%
(2) 人口減少下にあることを受け止め、国や県などの支援制度をフル活用しつつ、地方 創生に向けた地域公共交通への積極的な財政支出に対しては、市民意識の向上と共通理 解(コンセンサス)に努める。
ア これまで本市の公共交通は主として、交通事業者の企業努力で何とか現在まで持ちこたえてきた。
イ さらなる人口減少・高齢者の進行に加え、運転士の不足なども重なり、交通事業者の企業努力での 維持が困難となれば、高齢化した住民の日常生活の移動に支障を来たす
ウ このような状況に対応するためには、地域公共交通の維持に向け、行政が調整役となり、市民・交 通事業者との協働を前提として、多様な地域関係者との連携と適切な役割分担のもと、既存資源を いかして、公共交通の「新たな価値を創り上げていく」必要がある。
エ ここでいう「新たな価値」とは、「公共交通事業で投資しても、別府というまちの利益につながれ ば良い」という「クロスセクターベネフィット」※の考え方を取り入れていくことを視野に入れてい る。
オ 調査結果によると、公共交通の必要性について、多くの自治委員と民生児童委員が「今も将来も、
継続して公共交通が必要不可欠である」と回答している一方で、公共交通への財政負担についての 意向については「財政負担が増えないように工夫しつつ、移動手段を確保すべき」と回答している。
カ 公共交通の維持・活性化に向けて、「住民・行政・事業者が協働して、地域に合った公共交通の運 行方法を検討すべき」との指摘が多くあった。この調査結果は、適切な公共交通サービスの投入等 については、地域との直接的なコミュニケーション等が必要であることを示唆するものだと言える。
キ これらを真摯に受け止め、民間活力や国や県などの支援制度をフル活用しつつ、地方創生に向けた 地域公共交通への積極的な財政支出に対しては、市民意識を高めていくことと、市民との共通理解
(コンセンサス)に努めていくことが求められる。
(3)交通事業者や多様な地域関係者及び行政との連携と役割分担により、地域全体で公 共交通を利用する動機を創り出し、利用を促進する機運を醸成する。
(4)商工・観光・福祉分野と公共交通が一体となり、民間と行政が協働で、「まち」を まもり、「まち」をつくりながら、地域活性化を目指す。
ア 市内在住の留学生へのグループインタビューでも指摘があったとおり、訪日外国人のバス利用促進 に当たっては、バス事業者が個々に実施しているPR方法には限界があり、訪日外国人が立ち寄る 宿泊施設や観光施設・商業施設等で、施設案内等と一緒にバスの案内等を情報発信する必要がある。
イ 本市は、宿泊施設などの民間事業者と交通事業者の間を取り持ち、協働して公共交通の利用促進を 行うことが求められる。
ウ 公共交通はあくまでも「移動手段」である。商工・観光・福祉分野と公共交通が一体となり、民間 と行政が協働で、まちに外出したいという動機を創り出し、ひいてはまちの盛り上げや地域活性化 につながることが求められる。
※クロスセクターベネフィット:「ある部門で取られた出費(行動)が、他部門に利益をもたらす」という意味であり 通勤・通学者や高齢者、障がい者、観光客等が気軽に市内を回遊できるように公共交通の投資することで、健康増 進や介護・医療費の節約、地域活性化、就業機会の向上、定住・移住の促進など「別府のまち全体の利益」につな がるという考え方である。西村和記・土井勉・喜多秀行「社会全体の支出抑制効果から見る公共交通が生み出す価 値―クロスセクターベネフィットの視点から―」(土木学会論文集D3 5巻70号(2014)2頁)を参照
○公共交通の利用促進を基本としつつ、公共交通の収支が落ち込む「昼間時間帯の利用者の増 加又は収支状況の改善等を狙う取組」を検討する。
交 通 ま ち づ く り 政 策
地 域 経 営
公 共 交 通 ネ ッ ト ワ ー ク
○生活の質の向上に向けて、別府市域を特性に応じて、市街地部・郊外部に分け、
それぞれに実施方針を示す。
○市内へのひとの流れの更なる推進に向けて、市民憲章※のとおりお客様をあたたかく迎え入れ るため、地元住民が使え、観光客等に案内できる公共交通サービスを提供する。
○商工・観光・福祉分野と公共交通が一体となり、民間と行政が協働で、「まち」をまもり、
「まち」をつくりながら、地域活性化を目指すとともに、持続可能な別府市の公共交通の実 現を目指す。
○公共交通への投資にあたっては、民間活力や国・県の支援制度をフル活用し、民間活力では 対応できない部分については、市民ニーズ等を検証したうえで、行政は部門の垣根を越えて 主体的に対応する。
○交通事業者任せにせず、地域全体で公共交通の利用促進・需要創出を推進する。
○複数モード(フェリー、JR、高速バス、エアライナー、市内路線バス、タクシー等)の連 携により公共交通ネットワーク全体の利便性を確保する。
○別府市の関連上位計画はもとより、時代の潮流等を踏まえ、JR日豊本線と国大線(別大線 など関連系統を含む)と湯布院線などを幹線とし、それ以外のバス路線を交通拠点や生活拠 点などの「まちのにぎわい拠点」と接続する支線や準幹線として、公共交通ネットワークを 形成する。
<市街地部>
・すべての人が多様なライフステージにおいて、「不安なく安心して利用できる 公共交通サービス」を提供する。
<郊外部>
・集落や個々の生活を維持するための公共交通インフラを整備する。
※「交通弱者」:本計画においては、「1人で外出することはできるものの、車や運転免許がない等別府市において車 を自由に使えない方々」を指す。
※「別府市民憲章」(昭和43年1月1日制定)
1美しい町をつくりましょう。2温泉を大切にしましょう。3お客さまをあたたかく迎えましょう。
●地域公共交通を原動力に「まち」をまもり、「まち」をつくり、べっぷの未来を共創する
●別府市が目指す「市民・観光客の誰もが便利で快適に移動できるネットワークの実現」に
向け、高齢者や学生等の交通弱者※の移動手段を確保するとともに、国内外から多くの人を まちに呼び込む「分かりやすく、利用しやすい」地域公共交通網の形成を目指す●持続可能な別府市の公共交通の実現を目指す 基本方針
実 実施 施方 方針 針
第7 別府市地域公共交通網形成計画 1 本市における地域公共交通の基本方針
安全・安心な地域公共交通体系を基本とした上で、本計画の基本方針を以下のように設定した。
本市のまちづくりにおける公共交通の役割と方向性は、以下に示すとおりである。
表 本市のまちづくりにおける公共交通の役割と方向性 周辺及び沿線に
立地が望まれる「都市機能」
まちづくりを促すための
「公共交通の役割」
役割の発揮に向けた
「方向性」
フ ェ リー
●別府国際観光港
大分県の「玄関口」の1つ
国内移動の根幹を担う
●地方間移動の基幹的移動軸 であることが必要
上位公共交通機能の位置づけ
鉄 道
●JR別府駅
商業・観光・就労・福祉等の都 市機能の集積をいかし、市の
「顔」としてふさわしいエリア
●JR亀川駅
医療・福祉、買い物など生活に 身近なサービスの集積等がな された市民の生活に密着した 機能のエリア
●その他の駅
市民や来訪者における様々な 交通と鉄道との交通結節点
⇒
都市間移動の根幹を担う
●都市間を結ぶ移動の基幹公 共交通軸であることが必要
●市内の中心拠点間の移動も 担う定時性、速達性ある大量 輸送機関
⇒
中心拠点間の移動環境整備
●通勤・通学を中心に、買い物 など日常生活の外出や、観光 やビジネスなどにおける移 動利便性の確保
高速 バ ス
●別府北浜バス停及び交通セン ターを拠点・経由
●市民や来訪者の福岡・宮崎方面 などの交通結節点
⇒
九州主要都市間の移動を担う
●福岡市をはじめとする九州 圏域等の移動を担う定時性、
速達性ある輸送機関
⇒
市との移動利便性向上
●観光・ビジネス・買い物など における移動利便性の確保
エ ア ライ ナ ー
●空港を拠点
●市民や来訪者の別府市内や大 分市などの県内他地域の交通 結節点
⇒
都市間移動を担う
●大分空港と別府・大分都市圏 を結ぶ定時性・速達性ある輸 送機関
⇒
市との移動利便性向上
●本市と連絡するバスの速達 性の向上
●他の交通機関との乗り継ぎ 利便性の向上