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2 別府市内在住の留学生へのグループインタビュー

別府市内在住の留学生へのグループインタビューの概要は、下表のとおりである。

表 別府市内在住の留学生へのグループインタビューの概要

調査目的

・外国人の「市民」として、外国人の「観光客」として(2つの目線で)市内をバス・

タクシーで移動する時に困っていること・不安なこと・「カイゼン」した方がよい こと等を把握

・バス事業者にも参加してもらい、意見交換の内容を共有することで、できることか らはじめてもらう

参加者

APU留学生 :5人 別府大学留学生:4人 バス事業者 :2人 別府市 :2人 コンサルタント:2人

実施日時 平成 27 年 11 月 28 日(土)11:30~13:30

把握内容

○オリテンテーション(右図参照)

○グループインタビュー STEP1:自己紹介(1分)

STEP2:外国人の「市民」として意見交換 STEP3:外国人の「観光客」として意見交換

(1) 市内の移動時に困っていること・不安なこと・「カイゼン」した方がよいこと

ア 住民としての目線

まとめ 具体意見

(ア)行き先や路線名、次のバス停等 の表示がない為、どこで降りた らいいのかが分からず不安。車 内にバス路線を表示した方が良 い

(イ)バス停にある路線図に読めない 漢字があり、経由地や、停車バ ス停が分からないため、不安で バスに乗れないため、英語表記 やひらがな表記があると良い

・行き先や路線名、次のバス停等の表示がない為、どこで降りたら いいのかが分からず不安。車内にバス路線を表示した方がいい。

・バス停にある路線図に読めない漢字があり、経由地や、停車バス 停が分からない。

・バス停の案内等、英語表記がないから不安で乗れない。バス停や 車内に、英語表記が少しでもあれば助かる。

・バス停の案内等、漢字表記だけでは不安

・漢字表記だけだと、見にくくて困る。英語表記が理想だが、ひら がな表記だけでも分かる

(ウ)バスが遅れている時に運行状況 が分からず不安

(エ)バスが遅れても良いが、外出を バスに合わせるには、バスの遅 れ状況や時刻表をアプリなどで 確認できると便利

・別府市内で、バスを 30 分以上待つことがある。バスが遅れている 時に運行状況が分からず不安

・私(ソウル出身)は、バスが遅れても別にいいと思っているが、

自分の都合に合わせるには計算しなくてはいけない。アプリでチ ェック出来るようになれば、便利

・私の母国の台湾にも同じアプリがあり、自分の国で使えるものが 日本にないと不便に感じる。アプリで運行状況をチェック出来れ ば、それに合わせて自分の行動をすることが出来る。

・出身地である上海にはバス停に時刻表があるが、5~6 分に 1 本来 るため、時刻表を見る必要がない。

・ネパールでは、5~6 分待っていれば次のバスが来る為、時刻表は いらないと思っている。

・時刻表をアプリにすれば便利

その他 ・バスの料金表が小さいので、後ろに乗ると見えない。

・乗る時に、小銭を持たないといけないのが困る。

・亀の井バスが特定の路線で実施している英語や韓国語の車内アナウンスは聞き取りやすい。

・電話をしないといけないが、どのタクシー会社に電話をすればいいのかが分からない。

・交通事業者としては、英語表記に変えるときの行政支援等があれば良い。

・本市に居住する留学生は、下宿先を決めるに当たっては、「学校と駅の間」、「駅に近い」、

「買い物がしやすい」、「バスの混み具合(立ち席ではなく座席を利用できるか)など市内 の路線バスのサービス状況を事前に吟味している。

イ 観光客としての目線

まとめ 具体意見

(ア)バスから降りる時に、お金を払う 時が一番怖い

(イ)バスの乗り方の中で、料金の払い 方が違う。整理券というシステム がない国がほとんど

(ウ)両替方法が分からず不安 (エ)整理券を取る所は目立たないの

で、車内にデジタルサイネージ を付けて、バスの乗り方(運賃の 支払方法や両替の仕方など)を流 すべき。車内アナウンスの徹底も 重要だが、映像の方が分かりやす い

・バスから降りる時に、お金を払う時が一番怖い。

・バスの乗り方として、中国と日本では料金の払い方が違う。中国 では最初にお金を払って乗車するが、日本では降りる時に払う。

また、整理券というシステムは中国にはない。

・整理券を取る所は目立たないので、車内アナウンス等でちゃんと 教えて欲しい。習慣のない人にこそ、他の国の言語での案内アナ ウンスが必要

・車内にテレビを付けて、実際に整理券を取って乗っている映像な ど、バスの乗り方を流した方が良い。アナウンスより、映像の方 が分かりやすい。

・小銭を持ってない時は両替すれば良いが、両替の仕方が分からな いから不安

・外国人は、バスの中で両替できることを知らないと思う。

・両替の仕方が分からず、硬貨を入れ過ぎる場面も見られる。

・両替の仕方を、観光客が分かりやすいように、ちゃんと教えて欲 しい。

(オ)複数硬貨を組み合わせて運賃を 支払うのが訪日外国人には困難 (カ)きりの良い料金設定が必要 (キ)フリーパス等のPRが必要 (ク)車内で簡単にフリーパスを購入

できるようにすべき

・初めて来日した人は、例えば、料金が 370 円だった場合、10 円 や 50 円の硬貨の区別が出来ない。観光客が乗る料金は、「1 回 300 円出したらどこでも乗れる」等、きりの良い料金設定が必要。

・フリーパスやICカードが販売されていることを、外国人観光客 は知らないと思う。

・フリーパスをバスの中で売れるようにすべき。

(ケ)バス事業者が個々に実施してい るPR方法には限界がある。

(コ訪日外国人が立ち寄る宿泊施設や コンビニ等で、施設案内等と一緒 にバスの案内等を渡したら良い。

(サ)行政がうまく宿泊施設などの民 間事業者と交通事業者の間を取 り持ち、一緒になってもっとバス を使えるようにした方が良い。

・バス停や車内に、各路線のバス停名を英語表記して欲しい。

・全体的な路線を表記した方が良い。

・亀の井バスでは小冊子を北浜・鉄輪の案内所に置いているが、置 いていることを皆さんが知らない。

・大分交通では、マルショクに時刻表を置いているが、補充がなか なか出来ない。

・コンビニには観光客も立ち寄るので、レジ等、目立つ所に冊子を 置けば皆が手にすると思う。

・ホテル等の宿泊施設で、パンフレットと一緒にバスの案内等を渡 したらいいと思う。

・行政がうまく宿泊施設と交通事業者の間に入って取り持ってあげ て、一緒になってもっとバスを使えるようにした方がいいのでは ないか。

(シ)公共交通を使うのは訪日外国人 の中でも年の若い人が多く、バス 利用やフリーパス利用などを広 める方法はインターネットやS NSが良い。

(ス)各国の SNS にアップされるよう な戦略が必要

・公共交通を使うのは訪日外国人の中でも年の若い人が多い。

・若い方をターゲットにした方が利用者が増えるのではないか。

・バス利用について、PR が弱いことから、留学生や外国人観光客 が全く知らないだろうなと思う。

・バス利用やフリーパス利用などを広める方法はネット。観光情報 をネットで見る場合、自分の国(韓国)の経験者のブログを見る。

・韓国の特に若い方のほとんどが SNS

・各国の SNS にアップされるような戦略が必要 (セ)バス停の空間を有効活用して、地

域の様々な情報を発信できる工 夫や仕掛けがあると良い。

・本市のバス停は、掲示板みたいなのが立っているだけ。

・バス停という空間をうまく使って、そこに行けば色々な情報があ るというたまり場があればいいと思う。

(ソ)言葉が通じない事が不安 (タ)運転手と訪日外国人がもっと効

率的にコミュニケーションをと れる方法があると良い。

(チ)観光客向けのフリー通訳コール センターの設置等の検討が必要

・韓国人が一番不安なのは、言葉が通じないこと

・日本語が話せないお客さんが運転手さんに無視されている時があ る。観光客が頑張って聞いているのに、運転手さんがなかなか聞 いてくれないという光景を目にすることがある。

・ガイドブックの写真を運転手に見せて「ここに行けるか」と質問 するケースが多い。

・観光客向けのフリー通訳コールセンターの設置等が必要

※「カイゼン」 :「改善」のことであるが、誤りや欠陥を是正すると言う意味に加え、カタカナで表記することに より、PDCAサイクルにより繰り返し見直すことをも意味するため用いることとする。

※デジタルサイネージ:屋外・店頭・公共空間・交通機関など、あらゆる場所で、ネットワークに接続したディスプレイ などの電子的な表示機器を使って情報を発信するシステムの総称(一般社団法人デジタルサイネ ージコンソーシアムのホームページより引用)

【参考】研究論文:FIT

に対する路線バス利用促進のための情報提供の在り方

論文執筆者:大分大学経済学部経済学部経営システム学科大井研究室(藤竿・檜垣・鵜林・鬼丸・重久・松本)

研究協力者:別府市企画部政策推進課・株式会社ケー・シー・エス九州支社

ア 目的

・国外から別府市へ訪れる観光客が、公共交通を利用するに当たって、どのような点を不便に感じ、

またどのような改善を求めているかを、各種調査をもとに明らかにした上で、行政やバス会社に対 して今後解決すべき課題を示す。

イ 研究成果(概要)

(ア)路線バスへの乗り込み調査

分析の視点 分析・考察

バス利用実 態

・別府駅と鉄輪間の移動は主に5番系統や7番系統(5番系統の鉄輪止め)が利用されてお り、時折9番系統の利用も見られた。

・別府駅西口に設置されている案内板の前で立ち止まる観光客が多く、亀の井バスの職員や 別府外国人観光案内所の職員が誘導している状況であり、案内板だけでは対応できていな い状況

・前述の系統以外にも鉄輪を行先掲示する系統は多数あり、発車する乗り場や運行ルート、

所要時間、運賃も異なるため、利用者の混乱を招いている一因となっているのではないか と考えられる。

・東口を発着する外回り循環線を利用して鉄輪へ行く観光客も少なからずいたが、案内所職 員や駅員が主に西口へ誘導していたため、西口に比べてその数は少なかった。

・利用の多かった乗降バス停は、別府駅や鉄輪、海地獄前、血の池地獄前に集中していた。

・別府駅には正面(東口)と西口があるが、FITのほとんどは別府駅西口を利用している。

・交通拠点である北浜バスセンターや別府交通センター、亀川駅前の利用は比較的少なかっ た。

・これらの結果から、観光客は別府市に到着すると、そのほとんどが別府駅西口から周遊を 始めることがわかった。

・海浜砂湯前バス停の利用者も多くはいなかった。その要因として、当該バス停が立地する 別府駅と亀川駅間の区間はJR線や他社の路線バス路線との重複区間となっており、利用 者が分散したものと考えられる。

乗車時のF ITの行動

・乗車する際に整理券を取らない、前ドアから乗車する、運賃の払い方が分かっていないな どの行動が多く見受けられた。

・亀の井バスが発行する一日乗車券である「マイべっぷフリー」を使用している人も、その 利用方法を正しく理解できておらず、降車時に手間取る様子が見られた。

バス乗務員 や交通拠点 に立つ案内 人の言語対 応

・交通拠点に立つ案内人はおおむねスムーズにFITとコミュニケーションを取り、適切に 誘導している様子が見られたが。バス乗務員は、FITから尋ねられたことに対してきち んと説明をすることのできる乗務員は少なく、簡単な英単語や案内図を示しながらの対応 となっていた。

・乗務員は目的地に行くためにどのバスに乗り、どのバス停で降りればよいかという説明は できていたが、最短時間で目的地まで行くバスを案内するまでは至っておらず、FITが 効率よく移動するためのサポートが十分でないといえる。

・乗務員とFITとのコミュニケーションに時間がかかった場合、バスの乗車や降車がスム ーズに行われずにバスの遅延につながるなど、周りの乗客に迷惑をかけてしまうような場 面も多数見受けられた。

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