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在宅障害児の心身状況と排泄状況 (アンケート調査結果)

本章では、「在宅障害児の保護者へのアンケート調査」(本調査 A)において得られ

た結果を集計し、分析している。集計にあたって始めに障害児の障害種別を検討し、

その種別を基本に、障害児の基本属性、排泄状況、排泄環境、介助者等の状況など、

さまざまな角度からの設問に対する集計結果を示している。また、介助者の介護状 況などについても集計結果を示している。さらに、アンケート回答に記載された自 由記述は、KJ法を用いて傾向分析を試みている。

3.1 アンケート調査の目的及び概要

(1)アンケートの目的

アンケートは、障害児の排泄状況や排泄方法の現状把握、排泄姿勢及び使用して いる設備などの排泄環境を把握すること、さらに排泄に関する問題点を障害別に明 らかにすることを目的とする。なお、人手や状況が異なる場所で排泄状況や排泄環 境が自宅と異なるか否かを明らかにするため、通園・通学先及び外出先での状況に ついても把握する。

(2)アンケートの構成と内容(資料1)

アンケートは、「障害児の基本属性」「排泄状況」「排泄環境」「介助者の状況・その 他」の 4部門から構成されている。詳細の内容は以下の通りである。

① 障害児の基本属性

身長・体重、年齢・性別、主障害、手帳の有無と等級、立位・座位・寝返り・

首の座りの姿勢保持状況、意思表示方法、通園・通学先、外出先と外出頻度、

日中の移動方法、障害の特徴や姿勢など、医療的ケアの有無及び内容

② 排泄状況

排泄障害の有無及び内容、おむつの使用状況、排尿・排便回数、排尿・排便時 間、定時排便と方法、尿意・便意の告知、便の状態、排泄動作の自立度

③ 排泄環境

排泄姿勢、排泄場所、排泄場所までの移動方法、トイレ内環境の嗜好、排泄時 に使用する設備・用具類、排泄環境の問題点

④ 介助者の状況、その他

介助者の年齢・性別と腰痛の有無、排泄に関する環境整備の有無と内容、ト イレでの排泄希望、その他

なお、②と③は自宅と通園・通学先、外出先注 1 )それぞれの場所についてたずねた。

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(3)配布方法及び回収方法

本アンケートは、首都圏にある特別支援学校、児童発達支援センター及び首都圏 や地方の父母の会・親の会、自主サークルなどを通じて保護者へ配布した。また、ア ンケートは、基本的に 18歳未満の「障害のある子ども」のいる保護者への配布を依 頼したが、父母の会などにおいて障害児の年齢確認が困難な場合は、全会員(家庭)

へ配布した。アンケートへの調査協力は、任意かつ無記名とした。配布先及び配布数 は以下の通り。

・配布先 :特別支援学校 6校(肢体不自由系:Ko校、Ka校、Sn 校 知的障害系 :N 校、Sg校、Sj校)

児童発達支援センター(Y政令指定都市内 5か所、N 区1か所)、

自主サークル・親の会・その他(7 団体)

・配布数 :2378部

配布先の詳細 配布数

特別支援学校 1064

児童発達支援センター・療育センター 583 自主サークル・NPO・放課後等児童デイサービス 205 親の会(重症心身障害・肢体不自由・知的障害) 526

合計 2378

・回収方法:同封した返信用封筒で郵送により回収した。

・回収数 :729通(回収率 30.6%)である。なお、郵送により回収したた め、配布先別の回収率の把握はしていない。

(4)アンケートの集計

アンケートの回収数は 729 通であったが、この中には 18 歳以上の回答者が 112 人 含まれていた。これは、前項の配布方法で触れたように、年齢の確認が事前にできなか ったことによるやむを得ない事情があったことが原因であるが、本研究では、研究の 基本方針に則って、児童福祉法による 18歳未満の障害児 617人を分析の対象とする。

(5)集計に必要な障害児の分類

障害者を対象とした研究では、対象者を法体系に則って「身体障害」と「知的障害」

に大別して集計・分析することが基本であり、さらに身体障害と知的障害を併せ持つ 者がいる場合は「重複障害」と称していることから、これを障害の1種別として捉え、

計3 種別で集計・分析することが多い。

本研究でもこれに倣い、障害児 617人の基本属性などを集計する際は、身体障害(以

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下、〈身体〉と略す)、知的障害(以下、〈知的・発達〉と略す)、重複障害(以下、〈重 複〉と略す)の3障害に大別して集計・分析した。なお、表作成では、最も人数の多い

〈重複〉を最初に記述することとした。

3.2 障害児の心身状況と介助者の状況(排泄関連を除く)

障害児の総計は 617人であり、このうち、〈重複〉が294人、〈身体〉が 59人、〈知 的・発達〉は 259人、障害の種別が不明の障害児は 5 人である。以下、不明 5人を除 いた 612 人を対象に集計・分析を行う。基本的には排泄関連を除く障害児の心身状況 とするが、医療的ケアの内容と介助者の状況には、排泄関連の内容を含む。

(1)性別・年齢 (表 3-1)

性別は、〈重複〉及び〈知的・発達〉が女児より男児のほうが多く、〈身体〉は男女と もに半数程度である。

年齢は、各障害分類ともに 3 歳までを除き、どの年齢もほぼ同じ人数に分布してい る。障害別にみると、〈重複〉では 13歳が 9.2%(27人)と最も多く、〈身体〉では8 歳が 11.9%(7 人)と最も多く、〈知的・発達〉では 17歳が 10.4%(27人)と最も多 くなっている。

表3-1 障害別 性別と年齢 単位:人 空欄は0

1 1 1 1 1 1 2

.6% .3% 3.2% 1.7% .5% 1.7% .8%

1 4 5 1 1 2 4 3 7

.6% 3.4% 1.7% 3.2% 3.6% 3.4% 2.0% 5.1% 2.7%

5 3 8 1 1 10 1 11

2.8% 2.6% 2.7% 3.6% 1.7% 5.0% 1.7% 4.2%

12 8 20 2 3 5 9 2 11

6.8% 6.9% 6.8% 6.5% 10.7% 8.5% 4.5% 3.4% 4.2%

16 6 22 1 1 2 19 5 24

9.0% 5.2% 7.5% 3.2% 3.6% 3.4% 9.5% 8.5% 9.3%

15 2 17 2 3 5 11 5 16

8.5% 1.7% 5.8% 6.5% 10.7% 8.5% 5.5% 8.5% 6.2%

12 5 17 1 1 2 13 3 16

6.8% 4.3% 5.8% 3.2% 3.6% 3.4% 6.5% 5.1% 6.2%

13 12 25 5 2 7 13 13

7.3% 10.3% 8.5% 16.1% 7.1% 11.9% 6.5% 5.0%

10 8 18 1 3 4 7 7 14

5.6% 6.9% 6.1% 3.2% 10.7% 6.8% 3.5% 11.9% 5.4%

11 7 18 2 2 11 4 15

6.2% 6.0% 6.1% 6.5% 3.4% 5.5% 6.8% 5.8%

9 11 20 1 2 3 8 2 10

5.1% 9.5% 6.8% 3.2% 7.1% 5.1% 4.0% 3.4% 3.9%

19 6 25 1 2 3 18 3 21

10.7% 5.2% 8.5% 3.2% 7.1% 5.1% 9.0% 5.1% 8.1%

18 9 27 3 3 6 11 1 12

10.2% 7.8% 9.2% 9.7% 10.7% 10.2% 5.5% 1.7% 4.6%

7 6 13 3 1 4 13 4 17

4.0% 5.2% 4.4% 9.7% 3.6% 6.8% 6.5% 6.8% 6.6%

4 10 14 3 2 5 17 9 26

2.3% 8.6% 4.8% 9.7% 7.1% 8.5% 8.5% 15.3% 10.0%

11 8 19 2 2 4 11 6 17

6.2% 6.9% 6.5% 6.5% 7.1% 6.8% 5.5% 10.2% 6.6%

13 11 24 2 1 3 24 3 27

7.3% 9.5% 8.2% 6.5% 3.6% 5.1% 12.0% 5.1% 10.4%

177 116 293 31 28 59 200 59 259

100%

100%

5歳 6歳

100% 100%

<身体>

P0.923

<知的・発達>

P0.129

合計 合計 合計

100% 100% 100%

7歳 8歳 9歳

17歳 11歳 12歳 13歳 14歳 15歳 16歳

100%

10歳

100%

1歳 2歳 3歳 4歳

<重複>

P0.085

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図3-1障害別にみた年齢別身長近似曲線 図3-2障害別にみた年齢別体重近似曲線

(2)身長・体重

・身長(図 3-1)

〈重複〉では 62.0~175.0cm の範囲に分布し、平均身長は 122.4cm、〈身体〉では 75.0~168.0㎝の範囲に分布し、平均身長は122.6㎝、〈知的・発達〉では74.0~186.0

㎝の範囲に分布し、平均身長は 135.2㎝である。

・体重(図 3-2)

〈重複〉では6.0~74.0㎏の範囲に分布し、平均体重は23.8㎏、〈身体〉では 8.0~ 50.0㎏の範囲に分布し、平均体重は 23.6㎏、〈知的・発達〉では 7.3~115㎏の範囲に 分布し平均体重は 36.3㎏である。

身長と体重の年齢別分布を 3 障害別にクロス集計し、健常児の平均的な身長と体重

注 2 )を追加し、近似曲線を挿入すると、〈重複〉と〈身体〉はほぼ同じ曲線を示してい

0 10 20 30 40 50 60 70

0 3 6 9 12 15 18

身体 知的・発達 重複 健常男児平均 健常女児平均

〈重複〉

体重(Kg)

年齢(歳)

60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180

0 3 6 9 12 15 18

重複 身体 知的・発達 健常男児平均 健常女児平均

〈重複〉

〈身体〉

〈知的・発達〉

身長(cm)

年齢(歳)

知的・発達 健常男児平均 健常女児平均

〈重複〉

〈身体〉

〈知的・発達〉

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るが、〈重複〉〈身体〉は、〈知的・発達〉よりも下方にある。また、健常児と比較する と〈知的・発達〉はほぼ同一の曲線であるが、〈重複〉〈身体〉は健常児の曲線より下方 にある。

(3)障害の種類及び手帳の所持状況

・障害の種類(表 3-2)

〈重複〉では身体障害及び知的障害または発達障害もしくはその両方がある障害で あるが、内訳をみると身体障害では「肢体不自由」が 91.1%(267 人)と最も多い。

知的障害と発達障害では、「知的障害」が 85.3%(250 人)となっている。〈身体〉で は「肢体不自由」が 94.9%(56人)と最も多く、視覚障害、聴覚障害、内部障害は数 名である。また、〈身体〉には肢体不自由と視覚障害の複合障害が含まれている。「内部 障害」のある障害児は 3 名であるが、「肢体不自由」がなく「内部障害」のみの障害児 は 2名である。〈知的・発達〉では知的障害が最も多く、次いで発達障害・自閉症スペ クトラムである。〈知的・発達〉にも知的障害と発達障害の複合が含まれている。なお、

主障害の「その他」に記載のあった内容は、〈重複〉ではダウン症 4件、てんかん 2件 のほか、糖尿病、脳腫瘍、脳挫傷、摂食障害が各1件、〈身体〉では免疫不全症 1 件、

〈知的〉ではダウン症 9件、表出性言語障害、情緒障害、発達の遅れ(経過観察中)な どとなっている。

表 3-2 障害の種類(複数回答)

・手帳の所持状況

手帳を所持している障害児は、〈重複〉では 98.6%(294人中 290人)、〈身体〉では 94.9%(59人中 56人)、〈知的・発達〉では82.6%(259人中 214人)であり、〈重複〉

267 56

91.1% 94.9%

54 1

18.4% 1.7%

35 1

11.9% 1.7%

25 3

8.5% 5.1%

250 199

85.3% 76.8%

51 153

17.4% 59.1%

13 1 14

4.4% 1.7% 5.4%

<重複> <身体> <知的

・発達>

259

293 59

回答者合計 知的障害・ 知的障害

発達障害 身体障害

その他

発達障害・

自閉症スペクトラム 肢体不自由

視覚障害 聴覚障害 内部障害

30

〈身体〉ではほとんどの障害児が何らかの手帳を所持している。

手帳の種類は、〈重複〉では身体障害者手帳を所持している障害児が 96.5%(両方の 手帳を所持している 288 人中 278 人)、療育手帳を所持している児が 73.6%(同じく 288 人中 212 人)である。なお、質問事項には精神障害者保健福祉手帳の有無につい ても記載したが、実際の回答者は〈重複〉で 2名、〈知的・発達〉で 3名と少数であっ

たため注 3 )、本項では「身体障害者手帳」と「療育手帳」の等級のみを表3-3に示す。

手帳の等級は、〈重複〉では身体障害者手帳1級及び 2 級かつ療育手帳1 度注 4 )及び 2 度の障害児が 47.6%(140 人)と最も多く、ほとんどが重度障害である。ただし、〈重 複〉のうち両方の手帳の等級がわかるのは 185人である。

〈身体〉では身体障害者手帳 1級及び 2級の障害児が 86.4%(51人)と最も多く、ほ とんどが重度障害である。

〈知的・発達〉では療育手帳1度及び 2度(重度)が34.0%(88 人)と最も多く、3度 及び 4度の障害児のほうが多い。

表3-3 障害の種別と等級

(4)姿勢保持能力(表 3-4)

生活動作の最も基本となる「立位」「座位」「寝返り」の姿勢保持能力を「できる」「支 えがあれば(少し手伝えば)できる」「できない」の3段階とし、「首のすわり」の姿勢 保持能力を「すわっている」「すわっていない」の 2段階とする。

・立位

〈重複〉では立位が「できない」障害児は 50.9%(149 人)であるが、「できる」

及び「支えがあればできる」を合わせると半数となる。〈身体〉でも立位が「できな い」障害児は 47.5%(28人)であるが、「できる」及び「支えがあればできる」を合 わせると半数となる。一方、〈知的・発達〉では立位が「できる」障害児は 98.8%(255 人)とほとんどである。

1度(A1) 2度(A2) 3度(B1) 4度(B2)

注:手帳の等級がわからない人数は、<重複>109人 <身体>6人 <知的・発達>54人である。

 <重複>109人には、手帳の等級がはどちらか一方でもわからない場合も人数に含んでいる。

<知的・発達> 知的(重度)

88

知的(中軽度)

117

<重複>

療育手帳

<身体>

A B

身体障害者手帳

身体・知的

(重度)

140 等級1~2

等級3~6

身体(重度)・

知的(中軽度)

17

身体 (重度)

51 身体(中軽度)・

知的(重度)

22

身体・知的

(中軽度)

6

身体 (中軽度)

2