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在宅障害児の住宅訪問調査

本章では、障害児の在宅における排泄実態及び排泄環境の事例調査の結果を報告す る。「在宅障害児の保護者へのアンケート」調査(本調査 A)において把握した訪問調 査の承諾者のなかから、障害状況を考慮したうえで対象児の選定を行い、障害児の住 宅を訪問し、「住宅訪問調査」(本調査B)として、ヒアリング調査、住宅平面図の作成 及び排泄場所・用具類等の写真撮影を行った。得られた結果をもとに、自宅での障害児 の排泄実態及び排泄環境を把握し、排泄環境に関する問題点と課題を抽出する。なお、

成長過程を把握したい意図もあったことから、対象者の年齢を障害児に制限していな い。

6.1 訪問調査の概要

(1)訪問調査の目的

障害児の住環境下における排泄の状況と住環境整備の実態を把握し、排泄環境に 関する問題点と課題を整理することを目的とする。詳細は以下のとおりである。

① 疾患名・障害の程度及び日常生活動作能力、日常生活で使用する福祉用具類など の把握

② 自宅での排泄方法・排泄介助の方法、トイレットトレーニング方法や工夫の把握

③ 排泄時に使用する設備・用具類の現物確認及び間取り(障害児の日中の生活場所 とトイレに至るまでの動線を中心とした平面図)、排泄場所などの排泄環境を把 握

(2)対象者の選定

本調査A「在宅障害児の保護者へのアンケート調査」の最後に訪問調査の任意の承 諾欄を設け、アンケート回収時にこの欄に、承諾かつ住所氏名の記載があった障害児

(者)44人を調査対象候補とする。このなかから、アンケート調査の内容を把握し、

年齢・障害の状況・排泄の状況を加味し、25人を訪問調査対児とした。対象児 25人 のうち、22 人は18 歳未満である。なお、心身状況及び排泄状況がかたよらないよう、

かつ、成長過程を把握するために、特に排泄環境整備が必要であると思われる 18 歳 以上の重度障害者を 3 名加えている(以下、障害児と称する)。

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(3)調査期間

訪問調査の期間は2016年7 月~2017年3 月。なお、アンケート返信と同時に、把

握できた調査対象児から訪問を行っているため、訪問調査期間とアンケート調査終 了時期は重なっている。

(4)訪問調査の方法:インタビュー方式、作図、写真撮影

調査は筆者本人のみで行い、できる限り障害児・者本人の在宅時に訪問し、面会も行 った。調査時間は、障害児の負担にならないよう2時間以内で終了するように努めた。

調査方法は、次の4つからなる。

① ヒアリング調査

ヒアリング調査は半構造化インタビュー方式とする。あらかじめヒアリング シート(訪問調査シート:資料3)を作成し、基本的に全員に同一の質問を行っ た。

② 現場確認と平面図作図

インタビューを行いながら、生活状況や排泄状況など話の内容・タイミングで、

実際に現場・現物を見学・確認しながら話を続けてもらうかどうか適宜、判断し、

現場にて現物の確認及び採寸などの現場調査を行った。調査では、日中の生活場 所及び排泄場所を聞き取りながら、生活場所と排泄場所またはトイレ及び居室 との位置関係がわかるよう全体の把握を行ったうえ、フリーハンドで作図した

(モジュールの確認を行い一部目測とする)。さらに、排泄場所はメジャーにて 詳細に計測のうえ、フリーハンドにて作図し、必要に応じて建築確認済証にて図 面の確認を行った。なお、排泄場所がトイレでない場合も、状況に応じてトイレ の確認と作図を行った。また、外出方法や経路においても、確認及び平面図作図 を行い記録した。

③ 写真撮影

現場確認と同様に、インタビュー時の話の流れに沿って、排泄時に使用する設 備・用具類、医療的ケアに使用する用具類、日中使用する用具類の撮影、日中の 居場所とそこから排泄場所までの位置関係がわかる角度からの撮影、排泄場所 の撮影、汚物処理関係の撮影を行った。障害児及び介助者の同意のもと排泄動作 の再現を依頼して確認、状況に応じて撮影を行った。

④ 訪問調査後の内容確認

インタビューの内容、作図内容及び写真を住宅訪問調査報告書(資料4)とし

て、一人1 枚に集約し、訪問調査の内容確認を郵送にて行った。確認期間は 2017 年5月~8 月とし、全員の内容確認を行った。なお、その際に把握した障害児の その後の成長や排泄方法の変化については、参考としてメモを残した。

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(5)訪問調査シートの内容

インタビューの内容を下記に示す。なお、アンケート内容と同じ項目は確認に留め た。

・障害児の基本属性:年齢、疾患名、障害の特徴、ADL(食事・入浴・起居動作)、食 事の種類と回数 など

・日常生活について:福祉サービスの利用状況、日中の居場所、日常生活で使用する 福祉用具類・医療用具類(自宅、通園・通学先、外出先別)、

ベッド・布団の種類 など

・障害児の排泄状況:トイレットトレーニング中もしくはおむつをしていない場合 はトイレットトレーニングの方法や期間、排泄介助の方法、排 泄動作について自宅と外出時 など

・汚物処理 :汚物処理の方法、匂い対策 など

・排泄環境に関する問題点:アンケートの内容確認

・外出方法 :主な外出方法と外出の経路

・その他

(6)倫理的配慮(資料 5-1、資料 5-2)

訪問時に研究目的と訪問調査目的、写真の撮影及び簡単な平面図の作成の可否、そ の後のデータの取り扱いなどについて説明し、書面にて同意書を交わした。同意書は 二部作成し一部を対象者、残りの一部を研究者の手元に保管した。

6.2 訪問調査の結果(表6-1)

訪問調査を行った障害児は25 人である。本章では、基本的にアンケート記入時の状 況をもとに集計を行い、訪問調査時に追加及び変更のあった場合は、訪問調査時の内 容を優先して分析する。なお、表6-1は第3章にしたがい〈重複〉〈身体〉〈知的・発 達〉の順、さらに年齢順に記している。詳細は資料編4に記す。

訪問調査対象児(者)の内訳は、〈重複〉が 17人、〈身体〉が 5 人、〈知的・発達〉が 3 人である。疾患名は、脳性麻痺が8人と最も多く、次いで二分脊椎が 3人である。医 療的ケアのうち排泄に関する配慮が必要な障害児は 3 人であり、3 人とも導尿を行っ ている。屋内移動方法では半数以上の 13人が抱きかかえによる移動である。排泄動作 の自立度では 19 人が「全介助」を必要としている。排泄場所は半数以上の 15 人がト イレ以外での排泄を行っている。

114 表 6-1 訪問調査対象児の概要

6.3 心身状況及び排泄状況別にみた訪問調査対象児の概要

自宅内の排泄環境を整備するには、身体機能及び排泄の実態、及び介助能力及び生 活感、住環境整備にかかる費用、生活習慣などを詳細に把握する必要がある。ここで は、現況での排泄実態と介助方法を分類し、それぞれの自宅内排泄環境との関係を明 らかにするため、まず対象児の整理・分類を行う。

年齢

疾患名

尿

排泄 障害

排泄

自立度 排泄場所 尿意 便意

A君 A-1 3歳9月 男急性脳症注1)

・てんかん △ 〇 〇 〇 表情 歩行器 なし 全介助 トイレ 知らせない 知らせない

Bさん A-2 4歳6月 女難治性てんかん注2) × △ 〇 〇 表情 抱きかかえ なし 全介助 尿:リビング

便:トイレ 知らせない 知らせる

(事前)

C君 A-3 5歳3月 男二分脊椎症注3) × △ 〇 〇 ことば 床移動 あり 全介助 寝室 知らせない 知らせない

D君 A-4 6歳6月 男二分脊椎症

〇 〇 〇 × 〇 〇 〇 ことば 抱きかかえ

床移動 あり 全介助 リビング 知らせない 知らせない

E君 A-5 7歳1月 男難治性てんかん × 〇 〇 〇 表情 床移動 なし 全介助 リビング

(トイレ) 知らせない 知らせない

※2 F君 A-6 7歳5月 男小児腸間膜裂孔

ヘルニア注4)・脳症 × △ 〇 〇 身ぶり等 抱きかかえ あり 全介助 リビング 知らせる

(事後)

知らせる

(事後)

Gさん A-7 7歳7月 女先天性糖鎖合成異常

注5) × × × ×表情 抱きかかえ なし 全介助 リビング 知らせない

※2 わからない Hさん A-8 8歳0月 女脳梗塞注6) 〇 〇 〇 〇 身ぶり等 歩行

抱きかかえ なし 全介助 リビング

(トイレ) 知らせない 知らせる

(事後)

I君 A-9 8歳1月 男脳性麻痺注7) △ 〇 〇 〇 身ぶり等 床移動 あり※全介助 リビング

(廊下) わからない わからない J君 A-10 8歳7月 男脳性麻痺 〇 〇 〇 〇 身ぶり等 歩行 あり※一部介助 トイレ 知らせない 知らせない

K君 A-11 9歳3月 男脳性麻痺 〇 〇 〇 × △ 〇 〇 表情 床移動 あり 全介助 子ども部屋

(トイレ)

知らせる

(事後)

知らせる

(事後)

Lさん A-12 9歳4月 女先天性福山

型筋ジストロフィー注8) 〇 〇 〇 〇 〇 × × × ×表情 抱きかかえ なし 全介助 寝室 知らせない 知らせない Mさん A-13 11歳0月 女白血病・白質脳症

てんかん 〇 〇 〇 〇 身ぶり等 抱きかかえ

手引き歩行 なし 全介助 リビング

(トイレ) 知らせない 知らせない Nさん A-14 11歳4月 女ヒルシュスプルング病

注9)・脳血管障害 △ △ △ 〇 ことば 歩行器

抱きかかえ あり 全介助 子ども部屋知らせる

(事後) わからない O君 A-15 16歳3月 男急性脳症(中途障害) 〇 〇 〇 〇 〇 × × × ×表情 抱きかかえ なし 全介助 リビング 知らせない 知らせない

P君 A-16 18歳4月 男脳性麻痺・てんかん

小頭症 〇 〇 〇 × × × 〇 表情 抱きかかえ あり 全介助 子ども部屋知らせる

(事後) 知らせない Qさん A-1722歳10月 女脳性麻痺 〇 〇 〇 〇 〇 × × × ×表情 抱きかかえ あり 全介助 リビング 知らせない 知らせない

Rさん B-1 8歳1月 女骨形成不全症注10) 〇 〇 〇 〇 × × △ 〇 ことば 抱きかかえ なし 全介助 子ども部屋知らせる

(事後)

知らせる

(事前)

Sさん B-2 9歳6月 女脳性麻痺 〇 〇 〇 〇 ことば 歩行 なし 自立 トイレ 知らせる

(事前)

知らせる

(事前)

T君 B-3 11歳0月 男脳性麻痺 〇 〇 〇 △ 〇 △ 〇 ことば 床移動

抱きかかえ あり 一部介助 トイレ 知らせる

(事前)

知らせる

(事前)

Uさん B-4 17歳1月 女脳性麻痺 〇 〇 × △ 〇 〇 ことば キャスター付き座

位保持いす あり※全介助 トイレ 知らせる

(事前)

知らせる

(事前)

V君 B-5 17歳3月 男二分脊椎症・

水頭症注11) △ 〇 〇 〇 ことば 床移動 あり 一部介助 トイレ 知らせない

※1

知らせない

※1 W君 C-1 13歳0月 男ダウン症注12) 〇 〇 〇 〇 ことば 歩行 なし 自立 トイレ 知らせない

※1

知らせない

※1 X君 C-2 15歳0月 男自閉スペクトラム症 〇 〇 〇 〇 ことば 歩行 なし 自立 トイレ 知らせない

※1

知らせない

※1 Y君 C-3 18歳1月 男自閉スペクトラム症 〇 〇 〇 〇 〇 〇 〇 身ぶり等 歩行 あり 全介助 トイレ 知らせる

(事前)

知らせる

(事前)

月齢は、

何カ月か を示す

※お もらし 程度

()内は 時々

屋内 移動方法

排泄関連基本情報

<

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基本情報 医療的ケア 姿勢・動き等 姿勢保持

<

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>

〇:できる

△:支えがあれ ば・少し手伝え ばできる

×:できない

〇あり 空欄:該当なし

※人工膀胱

※1自分で勝手にトイレに 行くため知らせない

※2ずっとついていると、

そわそわしたり、表情で分 かるが通常は知らせない 特記

事項