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在宅重度障害児のグループ判別 及び自宅内排泄環境整備の提案

第 4 章では、障害児を 5 つのグループに分類してからグループ別に排泄実態と排泄 環境を示し、第 5 章では、生活場所別に排泄場所に影響を及ぼす要因の分析を行った。

その結果、グループ別に排泄環境整備の内容や問題点が異なることが明らかになった。

これらのことから、障害児に配慮した排泄環境整備を具体的に行うには、まず障害児 がどのグループに属するのかを決定し、そのうえでグループごとに必要な住環境整備 方針を個々の状況に配慮しながら適用していく必要がある。そこで、本章では、まず、

心身状況及び排泄実態からみた障害児の排泄環境グループの判別方法を提案する。グ ループ判別の方法は、第 4章のカテゴリカル主成分分析で得られた 12項目のカテゴリ ースコア(重心座標)を用い、それぞれ項目ごとに該当数値を入力し、合計スコアを出 し判別することとする。次に、各グループ別に重要となる排泄環境整備の基本項目の 整理をし、具体的な提案を行う。最後に、第 6 章の住宅訪問調査結果を踏まえ、グル ープ別に自宅における排泄環境整備の検討を行う。

7.1 障害児のグループ判別

7.1.1 障害児のグループ判別方法の提案

排泄環境整備を行うには、障害児の身体状況及び排泄実態また成長や発達状況を把 握して、対象となる障害児がどのグループに属するかを、初めに確認する必要がある。

第4章のカテゴリカル主成分分析により、障害児分類の際に用いた説明変数 12項目

(年齢・体重・医療的ケアの有無・側わんの有無・立位・座位・寝返り・首のすわり・

意思伝達方法・尿意・便意・排泄障害の有無)の重心座標の結果を表 7-1に示す。カ テゴリカル主成分分析では、次元の異なる項目すべてを次元1(横軸、以下「X軸」と する)と次元2(縦軸、以下「Y軸」とする)の二次元で表現しているため、前述の 12 項目の重心座標値を各軸別に合計した値が対象となる障害児の二次元座標を表現して いる。したがって、障害児のグループ判別に用いるための二次元座標の結果を得るた めには、まず 12項目の設問に該当するカテゴリースコア(重心座標値)の合計を求め る(表 7-2、表 7-3)。次に、求めた X 軸(次元 1)と Y 軸(次元 2)の合計値をも とに、第Ⅰ象限にプロットされた障害児のグループを G1、第Ⅱ象限を G3、第Ⅲ象 限を G4、第Ⅳ象限を G2の4グループに分類し、図7-1に示す。なお、判別を行う ことができるのは〈重複〉及び〈身体〉のみであり、知的障害または発達障害で肢体不 自由を伴わない障害児〈知的・発達〉は、1つのグループととらえ I/Dに分類する。

160 表7-1 12項目のカテゴリースコア結果

次元1 次元2

1歳 2 -1.558 .958 -1.070

2歳 7 -1.558 .567 -1.203

3歳 9 -1.558 .413 -1.172

4歳 25 -1.558 .059 -1.411

5歳 24 -1.366 .250 -1.146

6歳 22 -.996 .056 -.854

7歳 19 -.861 .280 -.705

8歳 32 -.465 -.391 -.457

9歳 22 -.465 .301 -.364

10歳 20 .302 -.274 .221

11歳 23 .476 -.338 .362

12歳 28 .779 .016 .710 13歳 33 .779 .124 .664

14歳 17 .914 -.147 .775

15歳 20 .914 .279 .828

16歳 23 1.276 .023 1.197

17歳 27 1.276 -.495 .956

15kg以下 91 -1.313 .398 -1.020 15-20k以下 78 -.493 .319 -.295 20-25kg以下 43 .668 .050 .652 25-30kg以下 35 .876 -.323 .650 30-35kg以下 26 1.075 -.233 .935 35-40kg以下 25 1.075 -.612 .632 40-45kg以下 13 1.428 -1.058 1.019 45-50kg以下 8 1.428 -.590 .660 50-55kg以下 7 1.428 -.737 .930 55kgより多い 7 1.469 -1.084 .806

なし 207 -.830 -.523 -.141

あり 138 1.235 .778 .212

なし 216 .802 -.368 -.341

あり 137 -1.250 .575 .531

できる 93 -1.213 -.984 -.005

支えがあればできる 82 -.750 -.549 -.342 できない 177 .980 .768 .159

できる 182 -.902 -.763 -.196

支えがあればできる 61 .202 .201 -.065

できない 109 1.363 1.141 .344

できる 238 -.669 -.537 -.211

すこし手伝えばできる 31 .653 .558 .125

できない 82 1.687 1.336 .577

ある 257 -.605 -.462 -.073

ない 91 1.686 1.286 .212

口話・ことば 120 -1.180 -.870 .332 絵文字・意思伝達装置等 2 -1.038 -.869 -.376 身ぶり・指さし・サイン 53 -.540 -.500 -.500 表情から読み取る 154 .911 .690 -.140 意思表示はわからない 23 1.324 1.082 .306

ない 186 -.934 -.277 -.075

ある 150 1.097 .318 .116

わからない 11 .968 .435 -.504 ほとんど事前に知らせる 85 -1.755 -1.083 .805 ほとんど事後に知らせる 45 .541 .235 -.385 知らせない 186 .552 .354 -.235 わからない 29 .855 .667 -.197 ほとんど事前に知らせる 107 -1.470 -.887 .576 ほとんど事後に知らせる 46 .576 .153 -.546 知らせない 160 .632 .414 -.194 わからない 31 1.173 .873 -.186

重心座標

意思伝達方法 体重

排泄障害の有無

カテゴリ 人数 数量化

尿意

便意 年齢

医療的ケアの有無 側わんの有無

立位姿勢

座位姿勢

寝返り

首のすわり

161 表 7-2 障害児のグループ判別票

【グループ判別手順】

1)該当項目にチェック☑を入れる 2)項目の座標を右欄に記入

3)X軸の合計とY軸の合計を求める 4)その結果を座標に置き換える

0≦ΣXかつ0≦ΣY・・・G1 0≦ΣXかつΣY0・・・G2 ΣX0かつ0≦ΣY・・・G3, ΣX0かつΣY0・・・G4

次元1 次元2 X Y

1歳 .958 -1.070

2歳 .567 -1.203

3歳 .413 -1.172

4歳 .059 -1.411

5歳 .250 -1.146

6歳 .056 -.854

7歳 .280 -.705

8歳 -.391 -.457

9歳 .301 -.364

10歳 -.274 .221

11歳 -.338 .362

12歳 .016 .710 13歳 .124 .664

14歳 -.147 .775

15歳 .279 .828

16歳 .023 1.197

17歳 -.495 .956

15kg以下 .398 -1.020 15-20k以下 .319 -.295 20-25kg以下 .050 .652 25-30kg以下 -.323 .650 30-35kg以下 -.233 .935 35-40kg以下 -.612 .632 40-45kg以下 -1.058 1.019 45-50kg以下 -.590 .660 50-55kg以下 -.737 .930 55kgより多い -1.084 .806

必要ない -.523 -.141

必要ある .778 .212

ない -.368 -.341

ある .575 .531

できる -.984 -.005

支えがあればできる -.549 -.342 できない .768 .159

できる -.763 -.196

支えがあればできる .201 -.065

できない 1.141 .344

できる -.537 -.211

すこして手伝えばできる .558 .125

できない 1.336 .577

ある -.462 -.073

ない 1.286 .212

口話・ことば -.870 .332 絵文字・意思伝達装置等 -.869 -.376 身ぶり・指さし・サイン -.500 -.500 表情から読み取る .690 -.140 意思表示は分からない 1.082 .306

ない -.277 -.075

ある .318 .116

わからない .435 -.504 ほとんど事前に知らせる -1.083 .805 ほとんど事後に知らせる .235 -.385 知らせない .354 -.235 わからない .667 -.197 ほとんど事前に知らせる -.887 .576 ほとんど事後に知らせる .153 -.546 知らせない .414 -.194 わからない .873 -.186

ΣX= ΣY=

判別結果=

現在のお子さんの状況をチェックしてください 重心座標値 ☑の座標値を記入

側わんはありますか?

医療的ケアは必要ですか?

体重は何キロですか?

何歳ですか?

該当 チェック

便意の告知はありますか?

尿意の告知はありますか?

排泄障害はありますか?

意思伝達方法は何ですか?

首のすわりはありますか?

寝返りは可能ですか?

座位姿勢は可能ですか?

立位姿勢は可能ですか?

たんの吸引・人工呼吸器・在宅酸素療 法・導尿等の行為

障害児のグループ判別用 座標結果

膀胱・直腸障害の有無、導尿、膀胱瘻、人 工肛門を含む。失敗や失禁等生活上支障 となる場合は排泄障害に含む

知らせることができなくても表情やしぐさか ら告知を理解できる場合は知らせるに含む 背骨のゆがみが著しく激しく、移乗・移動動 作に特に配慮が必要になる状態

備考

立位が一人で可能、支えがあれば可能、

立位は不可能

座位は一人で可能、座位は支えがあれば 座ることができる、体を支えても座るこ とができない

寝返りは一人で可能、少し手伝えば可能、

手伝っても自分ではできない場合はできな いとする

首がすわっているか否かは、頭部の支え が必要か否かで判断する

162 表7-3 障害児のグループ判別票の記入例

次元1 次元2 X Y

1歳 .958 -1.070

2歳 .567 -1.203

3歳 .413 -1.172

4歳 .059 -1.411

5歳 .250 -1.146

6歳 .056 -.854

7歳 .280 -.705

8歳 -.391 -.457

9歳 .301 -.364

10歳 -.274 .221

11歳 -.338 .362

12歳 .016 .710 13歳 .124 .664

14歳 -.147 .775

15歳 .279 .828

16歳 .023 1.197

17歳 -.495 .956

15kg以下 .398 -1.020 15-20k以下 .319 -.295 20-25kg以下 .050 .652 25-30kg以下 -.323 .650 30-35kg以下 -.233 .935 35-40kg以下 -.612 .632 40-45kg以下 -1.058 1.019 45-50kg以下 -.590 .660 50-55kg以下 -.737 .930 55kgより多い -1.084 .806

必要ない -.523 -.141

必要ある .778 .212

ない -.368 -.341

ある .575 .531

できる -.984 -.005

支えがあればできる -.549 -.342

できない .768 .159

できる -.763 -.196

支えがあればできる .201 -.065

できない 1.141 .344

できる -.537 -.211

すこして手伝えばできる .558 .125

できない 1.336 .577

ある -.462 -.073

ない 1.286 .212

口話・ことば -.870 .332 絵文字・意思伝達装置等 -.869 -.376 身ぶり・指さし・サイン -.500 -.500 表情から読み取る .690 -.140 意思表示はわからない 1.082 .306

ない -.277 -.075

ある .318 .116

わからない .435 -.504 ほとんど事前に知らせる -1.083 .805 ほとんど事後に知らせる .235 -.385 知らせない .354 -.235 わからない .667 -.197 ほとんど事前に知らせる -.887 .576 ほとんど事後に知らせる .153 -.546 知らせない .414 -.194 わからない .873 -.186

ΣX=

2.672 ΣY=

-1.257 判別結果=G2

現在のお子さんの状況をチェックしてください 該当 チェック

重心座標値 ☑の座標値を記入 備考

何歳ですか? .056 -.854

体重は何キロですか? .319 -.295

医療的ケアは必要ですか? -.523 -.141 たんの吸引・人工呼吸器・在宅酸素療

法・導尿等の行為

側わんはありますか? .575 .531 背骨のゆがみが著しく激しく、移乗・移動動

作に特に配慮が必要になる状態

立位姿勢は可能ですか? .768 .159 立位が一人で可能、支えがあれば可能、

立位は不可能

座位姿勢は可能ですか? .201 -.065

座位は一人で可能、座位は支えがあれば 座ることができる、体を支えても座るこ とができない

寝返りは可能ですか? .558 .125

寝返りは一人で可能、少し手伝えば可能、

手伝っても自分ではできない場合はできな いとする

便意の告知はありますか? .414

首のすわりはありますか? -.462 -.073 首がすわっているか否かは、頭部の支え が必要か否かで判断する

意思伝達方法は何ですか? .690 -.140

-.194

障害児のグループ判別用 座標結果

排泄障害はありますか? -.277 -.075 膀胱・直腸障害の有無、導尿、膀胱瘻、人 工肛門を含む。失敗や失禁等生活上支障 となる場合は排泄障害に含む

尿意の告知はありますか? .354 -.235

知らせることができなくても表情やしぐさか ら告知を理解できる場合は知らせるに含む

3)合計点を算出し、

ΣX、ΣYの正負を確認

4)座標に当て はめ判別 1)該当項目にチ

ェックを入れる

2)チェックの入 った項目の数値を

入れる

163

図 7-1 障害児グループ判別結果の見方

7.1.2 障害児のグループ間移動に関する検討

前項に示した 12 項目の数値をそれぞれについてみると、年齢が上がると次元 2(Y 座標)の値が高くなるが次元 1(X 座標)の差はあまりない。体重は約 20Kg を超える と次元 2(Y 座標)が高くなる傾向があるが、次元1(X座標)の値は反対に低くなる。

医療的ケアの有無や側わんの有無、立位姿勢、座位姿勢、寝返り、首のすわり、意思伝 達方法は重度または困難なほうが次元 1(X 座標)の値が高くなる。排泄障害の有無で は「排泄障害がある」ほうが次元1(X 座標)の値が高くなるが、「わからない」と回 答しているのは中間に位置している。一方、尿意・便意を「事前に知らせる」ことがで きれば次元 1(X 座標)は低く、次元2(Y 座標)は高くなるが、「事後に知らせる」「知 らせない」「わからない」では、次元 1(X 座標)・次元 2(Y座標)ともに大きな変化が なく近似している。

以上のように、グループ別の特徴をみると、X軸(次元1)の値が+になるほど障害 がより重くなる傾向があり、Y 軸(次元2)の値が+になるほど成長・発達・加齢傾向 がみられる(表 4‐2、p.81再掲)

従って、前項7.1.1により、障害児のグループ判別が数値上は可能となるが、排 泄の告知状況に限らず、成長や発達、障害の重度化等に合わせてグループ間の移動が 考えられる。そこで、成長・発達に伴うグループの移動について模式化した図を図7-

2 に示す。

ΣX<0 かつ 0≦ΣY

G3

0≦ΣX かつ 0≦ΣY

G1

ΣX<0 かつ ΣY<0

G4

0≦ΣX かつ ΣY<0

G2

+ X軸 Y軸

- 0