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土地問題と新しい土地利用計画 一土地神話の崩壊をめざして_

Ⅲ肌

第3節 土地問題と新しい土地利用計画 一土地神話の崩壊をめざして_

(1)地球上の土地は誰のもの

空気、水、土地、その他、山、川、海、湖沼等の人間や自然動物が生きてい く上で必要最低限の自然資源は、そこに住む民族、国家、あるいは動物をも含 めた人類の共有のものでなくてはならないはずである。

ところが経済発展が高度に進んだ資本主義国家に於いて土地の個人所有とい う悪しき慣行が既得権として流布し、過熱化し人間の人権や平等という基本的 な尊厳を犯し、公平性を著しく損ねている。特に、日本に於いてこういった制 度のもたらす弊害が最悪の形で顕在化してきており、将来の曰本の発展の阻害

要因となってきている。

例えば、一生をかけて真面目に働いても土地の高さで家がつくれない人がい る、一方で、土地を所有していたというだけで一生を遊んで暮らしている人が いる、という現実はその最も著しい例であり、土地所有に起因する社会悪は列

挙にいとまがない。

そもそも、土地所有制の歴史をレビューすると、かつての豪族が権力の及ぶ 地域を支配し、領主が幾つかの豪族を支配下に置く。こういったコンテックス 上で領土拡張のゲームを繰り返しながら王政や国家が誕生してきた。その過程 には、こういった体制を維持していくために人間としての平等性や人権を無視 した封建的な制度が作り上げられていき、ひと掴みの王侯貴族が多数の国民の 犠牲の上に成り立つという構造を作り上げていった。

こういった抑圧の過程で人権の意識が芽生え、フランス革命、ロシア革命を 経て国民主権を基底にした近代国家が誕生してきたといえる。

ロシア革命は理想としてはフランス革命に勝っていたが、その為政者の野望に よって理想とはかなりかけ離れた実態を産み出し、新たな抑圧と情報のコント ロールで国民主権は実現されない状況が展開されてきた。

この国民主権が実現した時点で上記の観点から土地は個人の物とせず、個人 あるいは法人による使用権は認めても所有権は国民の物とすべきだったのであ

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り、現実問題として、今、その見直しが迫まられている。

例えば、国際交流は21世紀に向けて益々盛んになり、ハブ空港を何処につく るかによってその国の将来の発展が規制されると言われている。このような状 況の中で、工期だけで見ても曰本は大阪国際空港をつくるのに'0年以上の歳月 を要しているが、韓国は同程度以上の喪のを5年以内で造ると言っているし、

中国は2年で造ると言っている。

この遅れは何に起因するかと言えば明らかに土地の問題である。この事から 考えると国際競争力に関わるインフラ造りにおいて日本は明らかに国際競争力 を失ってきている。このボトルネックを打開するためには土地を公用化し、公 共の利益を個人の利益に優先させることができるようIこようにしなければなら ないのである。

このように土地の個人所有がもたらす弊害が随所に噴出しているにもかかわ らず、この問題にメスを入れることがタブー視されてきた。しかし、今曰に至 ってはこの問題をさけては将来の発展は望めないのであり、「国民.県民の公 共の利益を個人の利益に優先させる」という原則を前提として市場原理に則し た民主的方法で公用化を進めるべきである。

この場合に於いて肝心な事は、革命や社会主義国家形成の過程で行なはれて きた強制接収ではなく、市場原理に則した対処が肝要である。

例えば、従来の商業、住宅用地、軍用地および市街化調整区域を除く農業用 地、原野、山林を公用化ないしは国有化する。勿論、この場合、かつて社会主 義国家がやってきた強制接収ではなくて、資本主義社会の市場原理に則して適 正価格で接収して行く。例えば、税金を評価する基になっている帳簿価格で50 年債権で買い取る等の方策も有効であろう。

また、ここでもたらされた資金がこれまで述べてきたニュービジネスに導入 され、ベンチャービジネスが興るように誘導することが相乗効果、複合効果を 高めることにもなるのであり、いたずらに投資機会を失わせ、インフレやバブ ルの元凶にならないように配慮する必要がある。この辺は1950年代に台湾で行 われた農地接収と官営企業の払い下げ等の事例に学ぶべき所が多いように思わ れる。

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台湾は1949年6月にデノミ断行(通貨改革)、農地改革、官業一部払い下げ を行っているが、これは大陸の共産党が行ったような資本階級、地主階級追放 といった荒療法ではなく、地主階級の農地を小作人に解放する、そのかわりそ れに見合う代金で官業の一部(セメント、紙業、林業、鉱業)を地主に払い下

げると、いう穏やかな方法で農地改革を行った。そして、これらの部門がその

後の台湾経済発展に大きく貢献して行くのである。(「台湾の戦後経済」沖縄 大学紀要第7号平良朝男箸p87)

(2)土地本位制の衰退

土地と株式を投機の対象としたバブル経済崩壊の落とし子として銀行を中心 とする金融界に20兆円とも40兆円ともいわれる不良債権が発生した。先ず不動 産に特化した住専が破産し、その不良債権の穴埋めの一部として国民の税金6, 850億円を使うかどうかで社会的にも関心を呼んだ。その後引き続き金融界の 不良債権問題が銀行だけでなく証券、生保にも飛び火して金融不安をかき立て ている。更に、証券業界の利益供与、生保の外国商品に較べての割高感等の日 本金融業界の後進性までが暴露されてきた最中、都銀の北海道拓殖銀行、日産 生命、三洋証券そしてついに証券四大手の一角である山一証券が三兆円の負債 を抱えて自主更正を断念、大蔵省に自主廃業を申請した。

日本では土地神話が根強く、銀行も「地価は上がることはあっても、下がる ことはない」という信仰の下に土地値上げの後押しをしてきた。グローバルス タンダードへのシフトを怠ってきたツケであり、土地を担保に融資をしておれ

ば安泰だった日本の銀行商いの基盤の崩壊である。

一般的に外国では曰本のように土地を細切れに個人が所有するという習慣は ない。家をたてる場合でも土地は買うのではなく捨て値で借り、家を建てる。

ましてや投機の対象にはならないほど資産としての価値はない、ということは

前述した。

従って、銀行が貸借で信用を形成する場合、企業のパフォーマンスである経 常利益率の推移、資本比率、パテント、人材(経営手腕)、社会還元、将来計 画等で信用を構成する。他にもあるがその辺は各銀行のノウハウである。結果

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としてハイリターン・ハイリスクになる。これがグローバルスタンダードで ある。

企業或いは個々人の経済的活動の成果を正当に評価する場合、相続、偶然、

抜け駆け、資本の強者等を信用の要素とするが曰本流の信用形成と経済的努力 と成功の成果、創造力、社会貢献等を要素とする信用形成の場合とでは国民は どちらを支持するだろうか?今後は消費者主権の圧力の方向に経済のルール もシフトして行くのである。

もう土地は上がることはないだろう。グローバル化・同質化・平準化して行 くアジア経済圏の中には安い土地は無尽蔵にあるのだから。アメリカとの比較 でも日本の土地は100倍高いといわれている。このようなことから、土地の担 保能力は急速に衰退してこよう。

(A)施策の提言一(1)沖縄本島買取り

①現在の商業用地、住宅用地、工業用地、軍用地、調整区域を除く畑地、

原野、山林を課税台帳の評価額で県が買い取る。(財源は県債を起債、県 債はすでに5,000億円を超えている)

農地は農家に適正価格で賃借する。

②①を前提として、全県をフリーポートにする。

③軍用地は都市化している部分から返還し、大浦湾周辺に移設する。この 移設費用は国が負担する(10~15年計画)。

④③の軍用地料は県の収入(財源)になる。(現状の軍用地料(現在約600億 円)を保証させる:プラス・アルファーあるいはスライド制もありうる)

⑤県は計画的に土地造成等により、財源を作るが、将来にわたり地価の漸 減政策をとる。

先ず、①は地価の高い商業用地、住宅用地、工業用地、軍用地、調整地域

(本島の場合25%)には手を付けず、地価の極端に安い農地、原野、山林(本 島の場合75%)を、課税台帳の評価額で買い取り(県債を起債:2~3,000億 円)、公用化する事に先鞭をつける。農地に対しては、現在農業を行っている

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