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「アジア安保機構」と「アジア開発機構」の設置 一紛争抑止と「平和の配当」をめざして-

Ⅲ肌

第5節 「アジア安保機構」と「アジア開発機構」の設置 一紛争抑止と「平和の配当」をめざして-

昨今の東南アジアの現状を概括した場合、一つには、東西の冷戦構造の崩壊

後、アメリカの海外軍事基地の縮小傾向が続き、東南アジア周辺でのアメリカ の軍事的影響力が弱まってきている。そのことに乗ずるように、大国中国は着

々と軍事力を増強し、特に昨今は南沙諸島をめぐって海軍力を増強してきてい る。このことが東南アジア周辺諸国の警戒心を強め、軍備を増強しようという 機運が高まって来ている、という状況がある。

戦争、それの潜在的可能性としての軍備がいかに愚かで、無駄で、人心を疲

弊させ、資源を浪費し、国民生活を圧迫し、自然を荒廃させてきたかは論を待

たない。

このような観点から、アジア諸国が連合して紛争の機運、火種を解消し、限 られた資源を有効に活用し、各国の経済社会発展を図る゜中でも民主化と人権 擁護を進めながら各国の中間層の拡大を図ろ方向へ誘導する施策の展開と推進 が強く求められているはずである。

アジア諸国の軍事費は同地域の、いわば安全・安心のコストであるが、これ

が少なければ少ないだけ軍事費に廻る資源を諸国の経済社会開発へ振り向ける

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ことが出来、国民生活の向上に寄与できる。従ってその分各国の国民は、いわ ば「平和の配当」を享受できるはずである。

これはまた、各国国民の民生部門の消費が拡大することを意味し、先進国は 先進国なりに、発展途上国は発展途上国なりにビジネスチャンスを拡大するこ とになる。つまり、市場の拡大、貿易の拡大を促し、低迷している世界経済に

新たな需要拡大を産み出すことにもなるのである。また、実際のところ、曰本

のような先進国はこのような方法によってしか、今“はまっている”構造不況 は克服できないのである。このことからも、日本は進んでこのような目標に向 けたアクションを起こすことが国益にも繋がるものである、ということは前述

した通りである。

このようなコンセプトで発想されたのが標題の「アジア安保機構」と「アジ ア開発ファンド」である。

具体的な方策としては、東南アジア諸国の軍事費の1割(年次計画で増やし てゆく)を拠出し、「アジア安保機構」を創る。

また、これと抱き合わせ、あるいは連動して各国の軍事費の1割を拠出・積

み立て、「アジア開発ファンド」を創り、各国の地方自治体・団体等を中心に 援助あるいは低利で貸与する機構とする。

そして、この二つの機構を沖縄に置く。これらの機構を沖縄に置くことの最 大の理由は沖縄に米軍基地があるからである。

この二つの機構の関係は、安保機構および開発ファンドへの拠出金は年次増

額してゆくが、安全・安心のコストはミニマムに押さえ、浮いた分をファンド に回す、というメカニズムを創ることによって、軍事費を地方自治Q団体等の

中間層の拡大という部分へ導入し、「平和の配当」を実現を図るわけである。

因みに、1993年のアジア周辺諸国の軍事費を見ると下記の通りである。

菫■==■灘百邪ル}

-55- 116,786百万ドル(11.6兆円)

オーストラリア..………7,340百万ドル インド………7,000

北朝鮮………5,30O パキスタン…・………3,34O タイ………・…………3,16O マレーシア……・…………2,70O シンガポール………2,68O インドネシア………2,00O ミャンマー………1,380

参考資料:「世界国勢図鑑」(95/96年版)

以下続くが、これらの国の中には分不相応な軍事費を拠出し、国民生活を圧 迫している国が多い。こういった状況を、アジア地域の安全を保障することに よって回避し、その分を民生部門或いは生産部門に廻し、国民生活の向上に振

り向けることが出来れば、

これが正に“平和の配当”図4-5-1「アジア安保機構」と「アジア開発機構」

になるはずである。そのコ

ストは、例えば上位四ヵ国UN

TWO

の軍事費の一割程度の拠出

で前述の機構・ファンドをEUNAFTAAPEC

ASEAN

創ることによって可能なは、アジア太平洋地域の貿易.投資の促進

・開発面での協力促進

ずである。 +環境・平和・平等・公正・共生の促進

で前述の機構・ファンドを 創ることによって可能なは ずである。

さらに、同程度の基金を 毎年積み上げることによっ て、ファンド部分を増やし てゆくことが出来れば、こ の効果は益々高まる。

アジア安保機構 アジア開発機構

・地域の安全保障

・災害救助 ・人道援助・災害援助

・教育の振興

・生活基盤の向上

・衛生・医療の向上

・軍縮・環境保全・監視

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「アジア安保機構」

これは従来の国連軍或いは複数国の軍隊による平和工作・維持という紛争解 決型のものではない。従来の通念を乗り越えた“平和研究・推進機関”とでも いえるもので、紛争が起きている地域では従来型の平和工作を行うが、終局の 目的は軍縮であり環境保全・監視を義務とする。この終局の目的を阻む障害を 除去する活動として従来型の平和工作があり、共同軍事行動がある、というコ ンセプトであり、「平和の配当」を数値化・数量化してゆくことを義務づける。

別の言い方をすれば、安全・安心のコストをどこまで下げることが出来たか、

そこで浮いた資源をどの程度後述する「アジア開発ファンド」にシフトするこ とが出来たかが義務であり、その成果の報告を義務づける。従来の平和研究だ けをやり、座している研究機関ではなく、アクションを起こし目的をどの程度 達成したかを世に問う機構とするのである。

このような考え方に対して、軍人が「軍縮」などという自分の首を絞めるよ うなことを本気でするだろうか?という向きもあるが、経済地理、地域情報 に長けて、安全の「コストをどれくらいまで下げることが出来るか」という専 門家としての業績を「IDレコード」に記録し、後述する「国際人材銀行」に 登録しておけばこのような人材は売り手市場である。

「アジア開発ファンド(機構)」

これはいわばアジア型IMF或いは世銀である。実はアジア開発銀行(AD B)(2)というものがすでにマニラにある。’95年現在で199億ドルの資金規模 を持っており、日本が最大の出資国で歴代の総裁は日本人である。しかし、こ れもまた国家レベルで各国の自治体、団体レベルではない。前述したように民 主化、経済発展の本質は各国の中間層の向上であり、トップ層の権力と経済的 特権の助長ではない。その意味で大規模な人道的援助、災害援助等は国家レベ ルとし、このファンドは各国の自治体、団体の教育振興、生活基盤の向上、衛 生・医療の向上への援助を目的とする。また、ある程度の利率を上げた産業振 興のための資金融資も効果を上げる手段として有効であろう。これは「国際入 札センター」へのジョイントにより生産者、消費者への公正な富の配分の機会 をつくり、平準化に貢献するはずである。

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