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国際会議へ参加する心構え

ドキュメント内 4.5 Type Classificarion (ページ 48-51)

8 国際市場性 (Global relevance)

9.2  国際会議へ参加する心構え

初めて国際会議に参加しますが、留意すべき点と心構えについて教えてください? 

 

【答え】 

ISO/IEC の国際会議はその内容に応じて留意点と心構え・準備も異なると思いますが、一般的な 事項を以下に述べてみます。参加する代表向けの ISO の簡易なガイド MyISOjob の和英対訳を JSA ホームページからダウンロード出来ますhttp://www.jsa.or.jp/itn/itn08.asp。.

ISO/IEC の国際会議は、TC/SC の会議(Plenary meeting)と WG の会議で様子が異なります。 

WG 会議は各国から派遣された専門家が技術的立場での討議を通じて、規格案を取りまとめてい く会議ですが、TC/SC 会議は各国の代表が国益を背負って調整を進め、運営の方針や下部組織 の改編、責任者(議長・コンビーナなど)の任命、規格案の次段階への決定、定期見直し規格の 扱いなどの決重要なその担当分野の運営に関る重要な事項を決める政策的な会議です。 

 

ISO/IEC Directives は WG に参加する専門家には純粋に技術的立場で討議に参加することを原 則的に求めていますが、その一方で、自国の利害関係者の意向を把握してそれを規格に反映する ことにより、世界の利害関係者の意向が盛り込まれれていくことを期待しています。 

 

従って、両者とも国の利害を背負って参加する国際会議であり、そのような国際会議は「国際的 なスポーツの試合」に置き換えて考えると、そこへ臨む心構えが見えています。そこで両者に共 通する心構えを、回答者の独断で、以下にまとめてみました。 

 

【国際標準化会議への参加は、国際のゲームに臨む心構えで】 

 

 ◆ ルールを知らないと試合にならない 

・ ルールを十分理解し、対等な立場でピッチに立とう 

・ 相手は百戦錬磨 - 反則を見逃すな;小さなミスを恐れるな   

 ◆ 相手を知らないと戦略が立たない 

    ・ 相手の立場を知り、会議資料を吟味して、対抗・説得の戦略を立てよう   

 ◆ 自分を知らないと戦術が立たない 

    ・ 自らを知り、得意を生かして、対抗・説得の戦術を立てよう 

 

 ◆ 言葉の劣勢は事前の準備でカバーしよう 

・ 共通語は、お国訛りのブローックン英語、お国訛りはお互いさま:気迫で伝えよ 

・ 主張は、資料配布に語らせろ(配布・説明には幹事の了解を) 

・ 会議では、予想される議論への対処を予め考えておこう 

(飛び交う英語の議論についていく準備を) 

◆ 仲間つくりに努め、尊敬を勝ち得よう 

・ 会議等では流儀に従い、儀礼をつくそう 

・ 会議場外では外国代表と積極的に交流しよう 

・ 自らの意見と立場を明快に表現しよう   

 

《ルールを知らないと試合にならない》 

サッカーなどではルールを知らないと、いかに身体能力が高くとも、勝負になりませんし、ピッ チに立つこともできません。国際会議ではピッチには立てますが、勝負にはなりません。 

 

ISO/IEC の委員会運営と規格文書の審議はルールブックである ISO/IEC Directives, Part 1 とそ の ISO 又は IEC の Supplements に従って進められます。欧州からの参加者は多くの場合、長年 の経験者で、ルールを熟知している人が国の代表者の中心に座っています。このような国に対抗 するためには、手続き等の関係ルールを事前に十分把握した上で会議に臨む準備をし、作戦を立 てるよう奨めます。 

 

《相手を知らないと戦略が立たない》 

《自分を知らないと戦術が立たない》 

孫子の兵法に「敵を知り、己を知れば、百選危うからず」と言う有名な言葉があります。日本か ら提案をしたり、他国の提案に修正を求めたりする場合、会議で相手に競り勝つには、相手がど のような立場なのか、またどのような背景での発言かを瞬時に判断して対抗することが求められ ます。そのためには、例えば欧州各国の意見の微妙な違いなど相手を知るよう努力し、仲間の国 つくりを進めるなどの、相手に打ち勝つ戦略を立ることが肝心です。 

 

会議ではコンセンサスの形成へ向けて討議(Deabate)しますが、場合によっては多数決で物事 が決められていきます。そこで、参加者の共感を得て有利に議論を展開するには、自らの優れた 点を強調し、理解を得ることが不可欠でしょう。そのためには自分の実力を冷静に解析し、自ら の利点を生かす臨機応変の対応が出来るように、議論の展開を予想し、対抗する戦術を机上で検 討をするよう奨めます。 

 

《言葉の劣勢は事前の準備でカバーしよう》 

ISO/IEC の国際会議では英語が使われます。わが国からの参加者の中には、言葉が不得手との理 由で、初めから腰が引け気味になる場合がありますが、国際会議の共通語は、お国訛りのブロー クン・イングリッシュで、決して Naitive English ではありません。英語を公用語とするオース トラリア、インドなどでも強い訛りがありますし、米国や英国でも強い地域訛りがあります。従 って、日本語訛りの英語も立派な国際的な共通語なのです。 

 

また、言葉は流暢でも伝えようとする気持ちが薄いと相手に伝わりにくいものです。逆に、伝え ようとする強い意思があれば、身振り手振りでも意思は伝わっていきます。従って、会議では気 迫と自信をもって、発言することが肝心です。 

 

とは言え、日本人にとって英語のハンディは否めません。それをカバーするためには、先に述べ た戦略・戦術の検討と共に、相手に伝えるための手段の準備が欠かせません。その代表的なもの は、表明したい内容を予め文書に作成し、会議の参加者に配布するように図ること、可能なら簡 潔なパワーポイントなどで要点を会議場で述べるようにすることも、限れれた時間で理解を得る 有効な手段でしょう。文書配布は会議の 6 週間前までに国際幹事から配布してもらうように手配 します。 

 

国際会議は通常、限られた時間で、多くに事項を審議しますし、審議案件に関る文書は事前に配 布されていて、参加者は予め内容を検討して、自国の意見を持って参加している前提で進められ ます。会議ではお国訛りの英語が飛び交いますので、議論が熱くなると、議論に付いていくのは 大変です。これに対処するには、事前に配布された文書を十分に検討し、課題と論点を整理し、

想定できる討議内容を予め考えておくとよいでしょう。予想した範囲内であれば、会議の議論に も付いていきやすくなります。 

 

《仲間つくりに努め、尊敬を勝ち得よう》 

国際会議の議事次第は Agenda モデルが示されていますが【ISO Supplement; Model Notice  of meeting draft agenda】、個々の事項の扱いや進め方は TC/SC にまかされており、TC  /SC の伝統的なやり方で行われているのが現実です。従って、ルール上で不都合が無い限り「郷 に入っては郷に従え」が大切でしょう。 

 

会議での礼儀としては、発言をする場合には挙手をして議長が指してくれるのを待って、発言し ますが、発言の前に Thank you Chairman と礼を述べるとよいでしょう。また、会議議場には 早めに行って、各国代表と名刺交換や再会の握手を交わすこと、30分ほど前から集まり始めま すので、初めて参加する場合は特に早く出て、会議場で網を張っているのもよいと思います。会 議終了時には、各国代表と握手をして次会議での再会を約束されることをお奨めします。 

 

会議場での文書配布や、議題以外の追加課題を求める場合には、予め国際幹事及び議長の了解を とることが必要です。その上で、議題追加は Adoption of agenda のところで国代表から提案 します。ただし、審議文書の 6 週間前配布の前提【9.5】を理由に、他の国からの反対が出て、

取上げられない場合がありえます。 

 

協議は会議場ばかりでなく、議場外でも進行します。例えば、議論が紛糾し結論が出にくい場合 には、議長は往々にして議論を中断して休憩をとったり、翌日に議論を繰り延べたりした上で、

その間に主要各国の真意をただして、合意への道つけをすることがあります。このような場合に はその動きに加わることが大切です。また、通常のコーヒー・ブレークでも各国代表は意見交換 を行い、相手国の立場や状況を互いに探りますので、その輪に加わることは相手に覚えてもらっ たりする上でも好都合ですし、いろいろな情報の収集になるばかりでなく、その際自らの意見を 明快に述べて共感を得ることで存在を意識させることが出来ます。採決に際して賛同を得られる ように各国代表に依頼するにも大切な機会でしょう。晩餐会などでも積極的に外国代表の仲間に 入ると情報収集と折衝の機会は生まれてきます。往々にして日本人同士が集まりがちですが、分 散して外国代表の輪に首を突っ込む努力をされるよう奨めます。 

 

このような積み重ねで、次第に尊敬を集め、日本の代表としてばかりでなく、個人としての意見 にも人が耳を傾けるようになることが会議参加者には期待されます。 

     

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