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ウイーン協定について

ドキュメント内 4.5 Type Classificarion (ページ 41-44)

7.1  ウイーン協定のCEN リードについて

NP の承認から間もなく、いきなりDIS 投票の文書が回付されました。NP の投票で日本は新規項目と しての採択には賛成したが、DIS へ進める承認はしていません。国際幹事にその経緯を確認したとこ ろ、本件はウイーン協定のCEN リード項目であり、「現在の段階はである」と説明されました。この 件に関して、次の質問があります。

(1) 国際幹事の説明の中の表現“extensive commenting stag”はISO/IEC Directives には見当たりませ ん。何を意味しているのでしょうか。

(2) ウイーン協定の並行投票案件は直接DIS 投票に掛かるのでしょうか

(3) 国際幹事も「NP 投票後こんなに早くDIS 投票が始まったことに驚いている」といっています。

その決定権は誰にあるのでしょうか。

(4) ISO/TC 幹事は審議に時間を要する場合は、投票期間の延長が申請により認められるとしてい ますが、CEN/TC 幹事は無理といっています。どちらが正しいのでしょうか。

【答え】

(1) Extensive commenting stage:

ISO ではEnquiry stage(照会段階)とApproval stage(承認段階)で文書名をDISとFDIS とに分けていま すが、CENでは文書名を分けずにprEN 文書をEnquiry voting(ISO のDIS 投票)とFinal voting (ISO のFDIS 投票)の二つの段階に使っています。Extensive commenting stage とは、Enquiry (照会)段階 を指し、CENで全メンバーを対象に各国から賛否とコメントを求める過程を意味する説明的・叙述 的なCEN内の用語で、ISO/IEC Directives で決められ、使われている表現ではありません。

(2)ウイーン協定の並行投票:

並行投票はDIS、FDIS の投票をISO とCEN の両組織が同調して、同時並行に行う投票を指します。

規格案の策定・取りまとめはISOかCEN かのどちらかが引き受けます(ISOリード/CENリード)が、

並行投票以前の段階、即ちCD段階ではリードする側のTC/SC 内での議論のみで規格案がつくられ ます。従って、CENリードの案件はCD段階以前はCEN委員会内での投票で進められ、ISO側の投票 はありません。

しかし、CENリード案件については、協定によりISO/TC/SCが指名した代表を4 名までCEN委員会 に参加させることができます。投票権はありませんが意見表明はできますので、この方法で並行投 票前にISOの意見を反映させることができます。また、ISO委員会がCENリードの決定時にCEN/TC に対して非欧州のISOメンバーに審議文書等の情報提供を決議すると、ISO非欧州国は受け取った中 間段階のCEN文書にコメントすることも可能です。

(3)早期のDIS投票投開始に驚いた;決定権は誰が持っているのか:

本件は、ISOでNWIの提案がされた時点で、CENでは既に検討が既に進行中であり、両組織での重 複作業を回避するために、ISO/TCがウイーン協定のCENリードにする決定をしたと思われますが、

ISO/TC の会議儀議事録と決議を調べると、CENリードの決議がどこかで採択されているのではな

いでしょうか。

照会段階の文書(prEN)がまとまると、CEN/TCが並行投票に入る決定をし、CENの中央事務局を 通じて、ISO中央事務局へ通知します。従って、CEN側での策定業務がかなり前から既に進んでい たとすれば、早いDIS投票も驚くことではないと思います。

(4) 照会段階の投票期間延期の手続き:

初回のDIS投票は5ヶ月の固定で、ISO/IEC Directives には延長手続き規定がありまません。

ただし、DISの2回目の投票(DIS.2投票;修正第2版DISの再投票)は、2ヶ月か5ヶ月かのどちらか の期間(国際幹事の選択)で行われ、2ヶ月投票の場合にはメンバーボディ(MB)の申請で1ヶ月間の

延期ができます(Directive Part 1;2.6.4と最近ISO web-siteに掲載されたChange Notificationを参照 ください:和英対訳をJSAホームページよりダウンロードできます)。

7.2  ISO/CEN同時並行投票の案件の進め方

(1) CENリード案件は発生するのは、以下のような場合と思ってよいでしょうか?

① ISO委員会に新規業務項目が提案され、ISO委員会の欧州メンバーボディ(MB)がCENリードに したいと提案し、ISO委員会そのように決議した場合

② CEN委員会に新規業務項目が提出され、将来ISO化の必要を考慮して、ISO委員会の欧州MBが CENとの並行作業を提案し、ISOがそれを決議した場合

(2)業務項目をCENとの並行作業にするかどうかは、どの時点で決めるのでしょうか。

(3)ウイーン協定には、CENリードでの並行投票はDIS/FDISについて書かれていますが、CD段階 でISOからコメントは出せるのでしょうか。

(4)ISOリードも出てきますが、これは通常のISO規格作成と何が違うのでしょうか。

【答え】

歴史的には、欧州の技術統合を目的にCENが活動を活発化した時点で、ISOのTC/SCから欧州各国の 専門家が手を引く事態が発生し、ISOの活動に支障が生じそうになりました。その際、欧州が優位な 主導的立場で最初のウィーン協定が結ばれています。従って、欧州側に有利な内容になっていました が、見直しの度に平等協定に、そしてISOは国際組織、CENは地域組織という位置付けに、暫時修正 してきているようです。10年程前には、欧州のみで構成されているISOのSCやWGでは活動を実質中 断(休眠)し、全員がCENのWGに移行した例が少なからずあったと聞いています。

その適用指針も時代とともに動いていますので、私の理解している範囲でお答します。独善的解釈が あるかもしれませんがご了解ください。

(1) ①、②はそのとおりと思います。更に、第3のケースとして、ISO側で、非欧州のMBよりNWI の提案があり、それに該当する内容のプログラムがCENに既にあることが判明した場合に、ISOの 委員会が並行投票案件と決定し、CENが受け入れれば登録されると思います。

(2)上記の①、②ではNWI登録に際し、ISO/CSとCEN/CMC(CEN Management Center)の相互情報 交換の結果として、しかし多くの場合はISO/TC/SCに参加している欧州MBからの提案を受けて、

並行投票案件としてTC/SCが審議・決定しますが、(1)の第3のケースでは、片方が作業中の項 目が、途中から対象になる場合があるということです。

両者が関心のある項目について、ISO委員会がCENに規格の作成作業を委ねる決定し、ISO/CS経 由でCEN/CMに通知し、CEN/TCが了解すると平行承認案件のCENリードが成立します。ISOリー ドはこの逆で、CEN/TCがISOに作業を委ねる決定し、両中央事務局を介して、ISO/TC/SCが了解 すれば成立します。

(3)CD段階までは、CEN委員会内の投票で進められます。しかし、ISO側の非欧州国が文書審議や 会議参加でコメントが出せますから、非欧州の意向をDIS/FDIS投票前にインプットすることは原 理的には可能になっています。

しかし、往々にして突然DIS投票で欧州案が平行投票として現れることがあります。これは、CEN リードの決定をしたISO委員会が、CD段階で審議文書を該当CEN/TCに求める決議をしていない こと、或いはCEN委員会にISO委員会代表を4名まで出せますが、その手続きを取っていないため に起こっています。欧州の人たちは、両方に参加していますのでこれらの手続きの必要はありま せんが、非欧州メンバーである日本からは、CENリードの決定時にこれらの要請を決議でとるよ うお奨めします。

(4)ご承知の通り、CEN規格は強制的性格が強く、加盟国はEN規格が成立すると3年以内に自国の 規格を廃止しなければならないことになっています。また、EUではNew approach という、欧州統 一規則である欧州指令(EU Directives)を欧州規格(EN)がサポートするシステムが動いていま す。従って、欧州内では各国のせめぎ合いが厳しく、また投票権がISでは一国一票制ですが、CEN では国力に応じてウェイト付けがされていますので、中小国の意向は無視されがちになっています。

そのため、欧州の中小国は、CENとISOの両委員会に参加している場合に、並行投票に際して、

ISOでの投票は賛成し、欧州側では反対する場合があります。この場合、CENリードではISO投票 結果はCEN側に行きますので、CENの委員会としてこのくい違いを把握できますが、ISOリードの 案件ではISO側へ投票が集められるため、CEN側では把握できない事態となります。そのため、

CEN/CMCからCENメンバーにISOとCENで異なった投票をするときには、CEN側にその旨通知し、

理由を明確にするよう求められています。

また、ISO委員会に参加している欧州MBとCEN委員会に参加しているメンバーが同じとは限らな いので、ISO委員会に参加している欧州MBがCENの意向を完全に代表できるといえない場合があ り、そのような場合にはDIS平行投票時に、ISO委員会の欧州MBとは異なる反応がありえます。

7.3  並行投票の結果の集計とコメント処理

CENリードで進められたDISの並行投票結果のまとめとコメントの扱いに、ISOが関与できるのでしょ うか。

【答え】

CENリードの案件の手続きはウイーン協定実施ガイドラインの項目A.2に細かく記載されています。

DIS投票から結果の集約までについて、手続きの流れの骨子を以下にまとめました。

平行承認の事務手続きは、CENリードとISOリードの区別なく、全てISO/CSが行います。

CENリードについては、CENの委員会での検討が進み照会段階に達した時点で、その原案がC自動通 知を受けて、AFNORは仏語訳を、DINは独誤訳を開始します。

ISO/CSはDIS投票実施の2週間前にCEN/CMC(CEN Management Centre)に平行投票実施を通知し、

ISO/CENメンバーに英・仏語のDIS文書を配布し、CEN/CMCはCEN投票指示書と独語版をCENメンバ ーに配布します(投票期間は5ヶ月)。MBは投票(回答とコメント)をCENメンバーはCMCに、ISO メンバーはISO/CSに返します。

ISO/CENの両組織に属するメンバーがCEN側とISO側に異なる内容の投票を行う場合には、双方の投 票と異なる理由(詳細な技術的理由)を提出します。

投票が終了すると、CENリードの両組織の投票結果の処理とその規格への反映はCEN委員会の責任で 行います。従って、ISO/CSはISO側の投票結果をまとめてCEN委員会に提供し、参考としてISO委員 会の議長と幹事にコピーを送付します。CEN/CMCはCEN側の投票結果をISO委員会の幹事に参考とし て送付します。

CEN/TC幹事はISOとCENのコメントの扱いの決定を一覧にまとめ、CEN委員会メンバー、ISO委員会 の議長・幹事に送付し、承認投票文書(FDIS)と共にTCサーバーに掲載します。

承認段階(FDIS)の投票手続きも基本的には上記の照会段階と同じですが、FDISの投票結果の扱いに ついては、次の4つの場合について取り決めています。

① ISO(賛成)/ CEN(賛成)

② ISO(賛成) / CEN(反対)

ドキュメント内 4.5 Type Classificarion (ページ 41-44)

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