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名越流の節念仏

ドキュメント内 現代と念沸 (ページ 188-191)

﹁白旗派檀林の九部の修学内容をみると︑白旗派の修学内容は︑まず室町時代に白旗派の教学を大成した聖問︑

聖聡の教判論を最初に修学して︑それを基本として法然︑善導の著作を勉学する手順となっている︒これに対し

て名越派の修学内容は︑礼讃部からとなっている︒この礼讃部は︑善導の﹁往生礼讃﹂などを勉学するのではな

く︑名越派僧侶の法義︑声明などを修練する期間である︒﹂

氏はさらに︑同派が初学者の修学段階で法式を重視した点について

﹁名

越派

二年間法義︑実習を経験した後で︑直接法然教学を勉強して︑

とし︑同派檀林の修学方法の特色として挙げておられる︒ その後浄土宗学を勉強している﹂

このように白旗派との修学の違いは︑法式︑声明にも独特さを追求する素地があったわけで︑今日においてもその

伝統は旧名越派の僧侶や信徒に血肉化されているものと承知し︑慎重に対応する必要がある︒

本稿で紹介の﹁三遍返し念仏﹂は︑青森県津軽の地で︑名越流の節念仏として脈々と活き続けながら︑多くの念仏

者の魂を浄化したり︑念仏者の命終に際しては︑確かな正念往生を導いてきた信仰事実がある︒

の声明音楽的分析を通して︑能所共に法悦の極致に導く念仏の信心に迫ってみたい︒

収録は平成五年十一月四日︑弘前市貞昌寺において︑名越流声明の実質的な指導者である弘前市遍照寺住職︑花田

浄順師の演唱︑同流声明の長臆︑弘前市西光寺住職︑工藤昌瑞師には証明師として陪席のうちに進めた︒

結果は両師の肝胆相照らすがごとくの心中に支えられ︑正統な伝承を後世に残すという成果を挙げることとなった︒

二︑三遍返し念仏の分析 ここでは﹁三

遍返

し念

仏﹂

実唱を分析して調子をみると︑出立日は下無

( Y )

に始まる下無調の存在が考えられるが︑楽書として狛︑朝葛撰に

よる続教訓抄には︑

声明ヲ習フ輩︑専ラ白津ヲ耕フベシ︒日率調子ヨリ出ズ︒調子目津ニ越ズ︒調子十二調子アリ︒之ヲ詮ズルニ七

調子アリ︒所謂平調︑下無調︑双調︑黄鐘調︑盤渉調︑上無調︑壱越調ナリ︒重々無量トイへドモ詮之七声ナリ︒

│中略

但亦詮之五ナリ︒平双葉盤壱ナリ︒下無調ハ平調ニ納マリ︑上無調ハ壱越調ニ納ム︒

というのである︒思うに声明には︑五調子が実際に用いられていることから︑この念仏の調子は前掲書によらず︑以

下の点から双調の調子ではないかと推考した︒

まず同流の三遍返し念仏に似ている現行の鎌倉光明寺と芝増上寺の六字詰念仏の調子は双調(上音)としている︒

三遍返し念仏も︑本来双調であったものが︑伝承の過程で比較的音高のとりやすい平調(中音)より二律上行した下

( F )

で唱えられてきたのではないか︒

声明師の多くは︑加齢と共に高い立旦局が発声しにくくなることを思うと︑双調であったものが︑下降してきたので

はないかと解釈する方が自然である︒したがって︑この念仏は双調であったものと仮定した︒

音階をみると︑五音の配当が主音の﹁宮﹂に対して︑﹁商﹂は変商と正律の商の二種︑﹁角﹂は律角︑﹁徴﹂は正徴︑

﹁羽﹂は変羽を用いることから︑陰陽の混合音階とした︒

念仏を構成する各種の旋律型をみると

︽ 資

料③︾のA群からC群に至る十一種の組み合わせにより︑声明曲となっ

ていて同流独特のものがみられる︒

まず

A群よりみると①は宮のまっ直ぐな音高を発声するもので︑声明の基本的な唱法である︒②は同流独特のもの

で宮の韻響母音を用いて律角に上行し︑すぐに下の変商を経過し宮にもどるという基本的な旋律型である︒③は宮よ

り律角に上行し︑再たび宮にもどるもので︑今日の浄土宗音声部の旋律に影響を及ぼしたと思われる

︒④

は宮より律

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資料③

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