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合理的かつ裏付け可能な情報

ドキュメント内 IFRS最新基準書の初見分析 (ページ 88-96)

( 12.4.6)キ ャ ッシュ不足額

IAS 39.AG86, IFRS 9.BC5.263

12.4.6 合理的かつ裏付け可能な情報

12.4.6.1

原則的な規定

IFRS 9.5.5.17(c), B5.5.49

IFRS第9号は、過度なコストまたは労力を要せず入手可能な、合理的かつ裏付け可能な情報を反映して、予想

信用損失の見積りを行うことを求めている(そのような情報には、過去の事象及び現在の状況に関する情報、並 びに将来の経済状況の予測に関する情報が含まれる)。財務報告目的で利用可能な情報は、過度なコストまた は労力を要せず入手可能であると考えられる。

IFRS 9.B5.5.50

最終基準書は、キャッシュ不足額を見積るために必要となる判断の程度は、詳細な情報の入手可能性に依拠す

ることを認めている。見積り期間が長くなる(すなわち、企業が見積りを行わなければならない期間が長くなる)に つれ、詳細な情報の入手可能性は低下し、予想信用損失を見積るために必要となる判断の程度は大きくなる。

企業は、金融商品のすべての残存期間にわたって将来の状況を予測することは求められていない。遠い将来の 期間に関する予測は、それより短い期間について入手可能な情報から補外して推測することができる。

IFRS 9.B5.5.51

企業は、情報収集のために徹底的な調査を行うことは求められていないが、見積りに関連する、過度のコストま

たは労力を要せず入手可能な合理的かつ裏付け可能な情報すべてを考慮する必要がある。

予想信用損失の見積りに使用される情報には、以下が含まれる。

債務者特有の要素

現在の状況に関する評価、及び将来どのように状況が変化するかについての予測に関する評価の両方を含 む、一般的な経済状況

最終基準書は、潜在的な情報源として以下の例を挙げている。

内部の過去の信用損失実績

内部及び外部格付け

他社の信用損失実績

外部の報告書及び統計データ

IFRS 9.B5.5.52

企業は、信用損失の見積りと実績の差異を減らすために、予想信用損失の見積りに用いた方法や仮定につい

て定期的な見直しを行う。

考察-より広範で複雑な判断

IFRS第9号のもとで求められる判断は、IAS第39号のもとで求められる判断よりも、より広範で、より複雑であ

る可能性がある。

IAS第39号の発生損失モデルのもとでは、資産から生じる予想キャッシュフローは、減損のトリガーとなる事象

が発生した場合にのみ見積られる。この時点で借手は財政難に陥っている場合が多いため、借手が保有す るすべての利用可能な資産からの回収可能な金額に焦点を当てて分析を行う。

IFRS第9号の新たな予想信用損失モデルのもとでは、すべての金融資産に関して見積りを行う必要がある。

満期までの期間が中長期の資産の見積りには、比較的遠い将来における経済状況の変化に関する仮定を置 くことが含まれる。どのような場合においても、将来の経済状況について、相反するがそれぞれ信頼性のある 見解が複数存在する可能性がある。このため、経営者は、その結論が合理的かつ裏付け可能であり、かつそ の判断を継続的に適用することを保証するためのしっかりとした方法を開発しなければならない。

12.4.6.2

過去の情報

IFRS 9.B5.5.52

過去の情報は、予想信用損失を測定するための重要な基礎である。この基礎は、現在の状況及び金融商品の

存続期間にわたる企業の将来の状況についての予測を反映するために、現在の観察可能なデータに基づいて 調整されなければならない。ただし、情報の性質及びその情報が計算された時期によっては、報告日の状況よ りも調整していない過去の情報の方が合理的かつ裏付け可能な最善の情報となる場合もある。

First Impressions: IFRS 9 Financial Instruments 12 Impairment 87

IFRS 9.B5.5.53

過去の信用損失実績を用いて予想信用損失を見積る場合、過去の損失率に関する情報は、過去の損失率が

測定されたグループと同じように定義されたグループに適用しなければならない。

IFRS 9.B5.5.52

最終基準書は、予想信用損失の変動を見積る際には、関連する観察可能なデータの変化を期間ごとに反映さ

せる、かつ見積りの変動と関連するデータの変化の方向性は一致していなければならないと説明している。観察 可能なデータの例は、以下のとおりである。

失業率

不動産価格

コモディティ-価格

支払状況

信用損失を示すその他の要素

設例-現在の経済状況に合わせるための過去のデータの調整

企業Zは、類似する貸付金のポートフォリオを保有している。これらの貸付金の予想信用損失を見積るうえで、

Z社の地域の失業率のデータが主要な要素となる。Z社は、期日が経過した特定のエクスポージャーを除い

て、ポートフォリオの減損を12ヶ月の予想信用損失で測定した。

報告日において、その地域の失業率は8%であった。ただし、報告日におけるZ社が入手可能なコンセンサス 予想によると、翌12ヶ月間に失業率が11%まで上昇する。したがって、Z社は、これらの貸付金の予想信用損 失の見積りにおいて、11%の予想失業率を用いることになる(同様に、コンセンサス予想により失業率が6%

まで下落する場合には、Z社は6%の予想失業率を用いることになり、そのため損失引当金が減少する可能 性がある)。

さらに、Z社はこの予想の結果、すべてまたは一部のポートフォリオについて残存期間にわたる予想信用損失 を測定しなければならない程度に不履行リスクが増加したか否かについても検討する(12.3.4を参照)

12.4.6.3

外部からの情報

IFRS 9.B5.5.54

予想信用損失は、企業独自の信用損失の予想が反映される。しかし、企業はまた、特定の金融商品または類似

する金融商品の信用リスクに関する観察可能な市場情報についても考慮する必要がある。

考察-信用リスクに関する観察可能な情報

IFRS 9.B5.5.52–54

予想信用損失は企業固有の見積りであるものの、IFRS第9号は、企業に対して信用リスクに関する観察可能

な市場情報を考慮するよう求めている。この情報には、同一または類似する金融商品の市場価格が含まれる 場合がある。

ただし、市場情報を考慮する際は、金融商品の市場価格及び信用スプレッドがそのまま予想キャッシュフロー の見積りに取って代わられるわけではない。なぜならば、これらの情報は、その他の要因(例:流動性に関す るスプレッドまたは予想よりも信用損失が大きいリスクを負担するプレミアム)を含み、また、常に観察可能と いうわけではないからである。したがって、予想信用損失の測定にこれらの情報を用いるのは困難を伴い、ま た判断を要するであろう。さらに、IFRS第9号は、これに関連して「観察可能」という用語を定義していない。

考察-FVOCIで測定される負債性金融商品

IFRS 9.B5.5.54 IFRS第9号は、企業に対して、特定の金融商品の信用リスクに関する観察可能な市場情報を考慮することを

求めているが、FVOCIで測定される負債性金融商品の予想信用損失の測定は、OCIに認識される信用リスク の変化に起因する公正価値の変動と必ずしも一致しない(10.1を参照)。

これは、予想信用損失が市場金利ではなく、実効金利(またはそれに近似する利率)を用いて測定されるため である(12.4.5を参照)。また、上述のとおり、予想信用損失は、市場参加者の見解が反映されているのではな く、観察可能な市場情報によって企業が独自に予想した信用損失が反映されているからである。

IFRS 9.B5.5.51

企業固有のデータの情報源がない、または不十分である場合、比較可能な金融商品(または金融商品グループ)

の同等グループの実績を用いることが認められる。

12.4.7 担保

IFRS 9.B5.5.55

予想信用損失の見積りには、契約条件には含まれており、企業が減損を評価する金融資産から独立して認識し

ていない担保及びその他の信用補完から予想されるキャッシュフローを反映させる。

IFRS 9.B5.5.55 IFRS第9号は、担保付きの金融資産のキャッシュ不足額の見積りには、担保権の行使の可能性が高いか否か

に関係なく、以下の(a)から(b)を控除した金額を反映するとしている。

(a) 担保権の行使によって予想されるキャッシュフローの金額及び時期(資産の契約上の支払期日を超えて予 想されるキャッシュフローを含む)

(b) 担保の取得及び売却のためのコスト

考察-担保権の行使によって生じるキャッシュフロー

IAS 39.AG84, IG.E4.8

担保付き金融資産の予想キャッシュフローの見積りに、担保権の行使によって生じるキャッシュフローを反映

するという規定は、IAS第39号の規定と類似している。

ただし、IAS第39号のもとでは、企業は報告日における担保の公正価値を参照して減損を測定することが選択 できる(すなわち、報告日における発生信用損失の算定に将来の公正価値の変動は無関係であると実質的 にはみなしている)。

IFRS第9号の予想信用損失モデルによれば、企業が将来実際に受取る予想キャッシュフローに焦点を当てな

ければならないことが明確化されている。さらに、発生確率を加重して予想キャッシュフローを見積ることか ら、見積りには、担保の減少(または、該当がある場合は増加)による回収可能なキャッシュフローなどの起こ りうるシナリオを含めなければならない。

さらに、IAS第39号のもとでは、一部の銀行は担保の公正価値を参照して減損を測定する選択を行っているた め、それらの銀行にとって、これは重要な変更となる可能性がある。

IFRS 9.B5.5.55 IAS第39号と同様に、担保権の行使によって取得した担保は、その資産がIFRSの認識要件を満たさない限り、

個別の資産として認識しない。下の設例は、担保付き貸付金の残存期間にわたる予想信用損失の測定につい て説明している。

ドキュメント内 IFRS最新基準書の初見分析 (ページ 88-96)