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合体した界面ナノバブルの安定性

第 3 章 界面ナノバブルのピニング

3.5. 合体した界面ナノバブルの安定性

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Figure 3.6 Behavior of (a, c, e, and g) small and (b, d, f, and h) large nanobubbles flattened by strong load force scanning.

これまでにも,界面ナノバブルのオストワルドライプニング現象は報告されている [76,77,96,97,123].しかしほとんどの既往研究では,たとえサイズの異なる界面ナノバブル が同じ表面上に存在していても,オストワルドライプニングが起こることなく安定して長 時間存在し続けている.また理論的にも,フットプリント半径が異なる界面ナノバブルが隣 り合っていても,三相界線にピニングが働けばオストワルドライプニングが起こることな く安定して存在し続けることができると示されている[90].したがって,界面ナノバブル間 でオストワルドライプニングが起こるには,何らかの外乱が必要であると考えられる.本研 究においては,AFM探針による強い力での表面走査が原因であるだろう.実際,強い力で の計測を挟んでいない Figure3.3(e)と(f)では,界面ナノバブルの形状に何の変化も現れてい ない.既往研究においては,電子線の照射[76,77,96,97]やナノバブルを構成する気体分子種 の変化[123]が外乱として作用したと推測される.

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は系全体のエネルギーを減らすべく気液界面を最小にしようとする表面張力の性質によっ て,直ちに1つの半球状バブルになるはずである.しかしながら,界面ナノバブルにおいて はこのようなダンベル形状が維持され続け,他の半球状ナノバブルと変わらず安定に存在 し続けている.Figure 3.7に,Figure 3.3(b)に破線で示された半球状部分と結合部分の断面図 を示す.それぞれの部分での接触角とピニングフォースを示したTable 3.3を見ると,半球 状部分ではピニングフォースが最大値付近で働いている一方,結合部分では比較的弱く働 いていることがわかる.この傾向は,Figure 3.3中の他の合体したナノバブルからも同様に 観察された.

Figure 3.7 Cross sections of the coalesced nanobubble marked by the white square in Figure 3.3(b).

Cross sections (i) and (ii) show the semispherical parts, and (iii) shows the joint part.

Table 3.3 Contact angle and pinning force of a coalesced nanobubble calculated from the height data.

There is a notable difference between the pinning force and contact angle of the semispherical parts and those of the joint part.

Sections Contact angle (degree) Pinning force (mN m-1)

(i) 175 70.5

(ii) 174 70.4

(iii) 168 69.4

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合体した界面ナノバブルがその形状を維持できる理由を以下のように考察する.前述し たように,合体したナノバブルは系全体のエネルギーを最小にしようとする表面張力の性 質によって半球状になろうとする.したがって,2つの半球状部分から気体分子が結合部分 に移動し,結合部分を膨らませることで1つの半球状ナノバブルへと変形しようとする.そ のため,結合部分の接触角は減少してピニングフォースは低下する.しかしながら,2つの 半球状部分では気体分子が減少することで接触角が増加するため,三相界線でピニングフ ォースがより強力に働くことになる.その結果,半球状部分の三相界線は強力に固定される ため,それ以上の変形が妨げられ,ダンベルのような形状を準安定的に維持し続けることに なる.合体した界面ナノバブルに働くピニングフォースの模式図をFigure 3.8に示す.この 結果はつまり,ナノスケールにおいては表面張力よりもピニングの方がより支配的に働い ていることを意味している.

界面ナノバブルの合体はこれまでにも AFM の AM モード計測によって報告されている [61,124–127]が,合体したナノバブルは全て半球状ナノバブルにまで変化しており,本研究 で観察されたようなダンベル状ナノバブルは報告されていない.このように合体後の界面 ナノバブルの形状に違いが生まれる理由は,PFT モードと AM モードの違いであると考え らえる.AMモードでは探針を共振周波数で振動させながら計測する.その共振周波数は探 針の種類によるが,一般に液中でも100 kHz以上と非常に高い.そのため,AMモードでは 探針とナノバブルの全ての接触点でフィードバックを掛けることはできない.一方,PFTモ ードでは探針の振動周波数は 2 kHz 未満とかなり低くなり,そのため全ての接触点でフィ ードバックを掛けることができる.これらの理由から,PFTモードによって励起される界面 ナノバブルの合体は AM モードでの計測時に比べて進行が遅くなり,結果として合体途中 のダンベル状ナノバブルが観察できると考えられる.

Figure 3.8 Coalesced nanobubbles marked by the white square in Figure 3.3(b). The metastability of coalesced nanobubbles results from strong pinning forces on the semispherical parts.

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