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コンタミネーションの混入

第 5 章 総括

付録 1 コンタミネーションの混入

界面ナノバブルのAFM観察中,何度かコンタミネーションが固液界面に現れた.この ようなコンタミネーションの混入は界面ナノバブル観察を困難にするため,避けるべきで ある.本付録では,発生したコンタミネーションの観察結果および発生原因について述べ る.

Figure S1.1 PFT height images of a contaminated HOPG/pure water interface. These images are obtained with the load forces of (a) 300 pN, (b) 10 nN, and (c) 300 pN and shown in time order.

Scale bars are 1 m.

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Figure S1.1はPFTモードで得られたHOPG/純水界面の高さ像である.Figure S1.1(a)を見

ると,フットプリント半径が50-100 nm程度の丸い物体が多数確認できる.その接触角はお

よそ145-164度であり,一般的な界面ナノバブルが示す接触角の範疇であるが,HOPG表面

で見られるものとしては小さかった(Table 1.1).押し込み強さを10 pNまで上げると,丸い 物体は左側に引きずられるように移動した(Figure S1.1(b)).界面ナノバブルは強い力で計測 しても三相界線のピニングによって移動しない一方,界面ナノ液滴は移動することが報告 されている[106].このことから,この物体はコンタミネーション(ナノ液滴)であると判断で きる.Figure S1.1(c)では移動したナノ液滴が,HOPG表面のステップ構造に沿って並んでい ることがわかる.これはステップ構造がピニングサイトとして働いたからだと考えられる.

また Figure S1.1(a)と(c)を比較すると,小さなナノ液滴が消え,残ったナノ液滴のフットプ

リント半径は明らかに大きくなっている.これは強いスキャンの過程でナノ液滴同士が合 体したからだと考えられる.

Figure S1.2 PFT height images of nanodroplets on an HOPG surface. These images are obtained with the load forces of (a) 300 pN, (b) 3 nN, (c) 300 pN in pure water and (d) 300 pN in air and shown in time order. White lines shown in (a) indicate the step structures. Scale bars are 1 m.

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Figure S1.2に,異なる実験で得られたHOPG表面上のコンタミネーション(ナノ液滴)の高

さ像を示す.全ての画像は同じ基板上で計測されている.高さ像で見る限りは界面ナノバブ ルとの違いはまったくわからず,また接触角も160-170 度とHOPG 表面で見られるナノバ ブルの接触角の範囲内であった.この物体が界面ナノバブルではないと結論付けた理由は いくつかある.最も決定的であったのは,この物体が液中だけでなく(Figure S1.2(a-c)),大 気中でも計測されたことである(Figure S1.2(d)).他にも,FigureS1.2(a)の白線で示しているよ うにステップ構造上に重なるように存在している点(Figure 3.3(f)が示す傾向と異なる)や,3.0 nNという強い力で計測しても見かけの形状がほとんど変化していない点(Figure 1.19が示す 傾向と異なる)など,界面ナノバブルと異なるいくつかの性質が観察された.この物体の組

成がFigure S1.1と同じであるかは定かではない.

これらのナノ液滴の生成原因は,HOPG の固定に使用したニトリルゴム系溶剤形接着剤

(コニシ株式会社,速乾ボンドG103)の成分が水やエタノールに溶解しHOPG表面上に付着

したからであると考えられる.溶剤を含まないEPO-TEK 377に接着剤を変更したことで,

このナノ液滴は生成されなくなった.

また,ナノ液滴の発生時に界面ナノバブルが同時に現れることは無かった.その理由を考 察するため,基板の表面粗さに着目する.Figure S1.3 は(a)界面ナノバブルが生成された HOPG表面と(b)ナノ液滴が生成されたHOPG表面の高さ像である.HOPG基板の表面は本 質的に平滑であり,実際に界面ナノバブルが生成された表面(Figure S1.3(a))ではその算術平

均粗さは0.22 nmであった.一方,ナノ液滴が生成された表面(Figure S1.3(b))は細かく粒だ

っているように見え,その算術平均粗さも1.02 nmとFigure S1.3(a)の約5倍となった.この ことから,Figure S1.3(b)では基板表面が不溶性のコンタミネーションで覆われており,濡れ 性が親水性に変化することで界面ナノバブルの生成が妨げられたと考えられる.この結果 は,コンタミネーションを模擬した不溶性の界面活性剤を液中に添加すると基板表面が親 水性になり界面ナノバブルが観察されなくなるという Zhang らの結果と一致している[75].

Figure S1.3 Height images of (a) interfacial nanobubbles and (b) interfacial nanodroplets on HOPG surfaces. Their average surface roughness is 0.22 nm and 1.02 nm, respectively.

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ここまで述べてきたナノ液滴に由来するコンタミネーションとは別に,固体のコンタミ ネーションも観察された.Figure S1.4に溶媒交換法の後に観察された固体のコンタミネーシ ョンの光学顕微鏡像とAFM高さ像を示す.厚みは50-100 nm程度で,薄い層が堆積してい るかのような表面形状が見られた.また,その表面はナノスケールで平滑であったため,

HOPG基板に由来するコンタミネーションの可能性がある.Figure S1.5にエネルギー分散型 X線分析(Energy Dispersive X-ray spectrometry: EDX)でコンタミネーションの元素分析を行っ た結果を示す.結果として,コンタミネーションからは炭素原子のみが検出された.EDXは ホウ素以降の原子番号しか検出できないため,空気中の炭化水素系のコンタミネーション が付着した可能性は否定できない.しかしこのコンタミネーションはHOPG 基板を新しい ものに変えると現れなくなったため,HOPG 基板に由来するコンタミネーションである可 能性が高い.HOPG基板はそのロットによる個体差があると考えられるため,界面ナノバブ ル計測のようにコンタミネーションに敏感な実験を行うときは注意が必要である.

Figure S1.4 Optical and AFM height images of contaminations observed on HOPG surfaces after solvent exchange method.

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Figure S1.5 Analysis of the contamination appeared on HOPG surface by using EDX. Top image is a SEM image of the contamination. White broken line indicates the edge of contamination. EDX analysis was conducted at the region indicated by the red line. Carbon atom was detected from the contamination.

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