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台湾の海運強化策

ドキュメント内 Microsoft Word - 海運施策(表紙) (ページ 56-65)

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東アジアのハブとなる目標を掲げており、特に経済分野で密接な関係にある 中国と、ヒトとモノの行き来を円滑化する方針を持っている。2008年、国民 党の馬英九政権となると、対中国政策を大幅に転換し、同年 12 月に台中間 で「三通」(通商、通信、通航の直接化)を実現させた。現在では、台湾側7 都市、中国側21 都市の間のチャーター便が毎日運航(週108 便)されてい る。海運についても、台湾側が11港、中国側が63港を開放した。現在、台 湾政府は三通の対象区間を拡大させる考えを持っており、台湾の港湾におけ るFTZ(Free Trade Zone:自由貿易地域)3も拡大の方向で取り組んでいる。

現在、台湾の4大港(基隆港、台北港、台中港、高雄港)に、FTZが設けら れている。

2.船舶登録制度 (1)概要

台湾の船舶登録制度では、船舶所有者や乗組員(船長)の国籍等に関して 一定の要件が定められている。また、現時点において、第二船籍制度又は国 際船舶登録制度は導入されていない。しかし、台湾船主協会を中心に政府に 働きかけを行っており、政府側でも議論の場を設ける機運が高まっている。

(2)登録要件

船舶登録法第5条によれば、台湾の法律に基づき登録され、台湾国籍を付 与された船舶は、同国の国旗を掲げて航行することができる。台湾船舶とし て登録可能な船舶は以下の通りとなっている。

(a) 政府所有船

(b) 台湾国民により所有される船

(c) 台湾の法律の下で設立され、かつ経営の主たる場所が台湾国内に存 在する企業の所有船舶。ただし、外国の出資を含む場合、台湾国民 の出資比率が50%を下回らないこと。

船舶所有者は、船籍港を選択し、同港の港湾当局において所有権や抵当権 等の登記及び船籍の登録を行う。船舶登録に関連する費用は表Ⅱ-1の通り である。

3 FTZ 内においては、中国貨物も含め、輸出入貨物に関税がかかることなく輸出入を行う ことができる。ただし、FTZ 内での事業においては、雇用する台湾人従業員数は、総従業 員数の 60%以下になってはならないとされている。

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<表Ⅱ-1>台湾における船舶登録関連費用

相続又は寄付により取得した船舶の場合 評価額の0.1%

寄付により公益法人が取得した船舶の場合 評価額の0.02%

売買等、上記以外の理由により取得した船 舶の場合

評価額の0.2%

所有権保存又は共同所有権分割登記 評価額の0.05%

(評価額が 60 百万ドルを超え る部分については、0.025%)

賃借権設定登記 期間10年未満:評価額の0.05%

期間10年以上:評価額の0.1%

期間未設定:評価額の0.05%

抵当権設定登記 300台湾元 抵当権変更登記 100台湾元

船籍港の変更 10トン毎に2ドル 船籍原簿の抹消 10トン毎に1ドル

(船舶登録法第60条及びMaritime Law Handbook, Suppl.40 (August 2011)より作成)

当局によれば、2011 年の船舶登録による収入は、35,785,000 台湾元であ った。

(3)配乗要件

台湾船籍の配乗については、船長は台湾人でなければならない(船員法第 5条)が、船長以外の船員に国籍に関する要件はない。

3.海運関連税制 (1)海運関連税制

①概要所得税法上、台湾では海運企業を含む国際輸送業に対して営利事業 所得税、営業税、船舶とん税などの税が課せられるが、台湾船籍について は固定資産税が課されない。また、日本で導入されている特別償却制度や 買替特例制度を含め、海運事業による収入・収益への課税の特例措置は設 けられていない。

②トン数標準税制

トン数標準税制(トン税)については、2009年に国会に法案が提出され、

2011年1月10日より適用されている。しかし、現在は世界的な海運不況 もあってか、台湾の最大の製鐵企業である中国鋼鉄の子会社である中鋼運 通(China Steel Express Corporation)のみトン税を選択している状況で

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ある。中鋼運輸は鉄や金属スクラップを専門に輸送する企業で、近年大き く利益を上げていることから、トン税を選択している。

(a) 計算方法

トン税における税額計算方式は、「対象船舶の純トン数×下記みなし利 益×365日×営利事業所得税(17%)」である。みなし利益は表Ⅱ-2の 通りとなる。

<表Ⅱ-2>みなし利益(1日、100NT当たり)

~1,000NT 67 TWD

(190.28円)/100NT 1,001~

10,000NT 49 TWD

(139.16円) /100NT 10,001~

25,000NT 32 TWD

(90.88円)/100NT 25,001NT~ 14 TWD

(39.76円)/100NT

換算レートは2012年12月3日時点、1台湾元=2.84円 (b) 対象企業

トン税を利用することができる企業は、台湾領域に本社を有し、海上 運送に従事する営利企業である。ただし、以下の条件を満たすことが求 められる4

―対象企業は、トン数標準税制利用年度中、すくなくとも一隻の台湾籍 船を所有していること。

―対象企業の全所有船の純トン数総計に占める台湾籍船の純トン数総計 の割合は、同制度適用から3年で15%、5年で30%に達すること。

―台湾人労働者をすくなくとも35名雇用していること。

―15名の船員毎に2名の台湾人見習い船員を訓練すること。

(c) 対象所得

海上運送とそれに密接な関連を有する活動により生じた所得以外の所 得については、通常の税額計算方式が適用される。

(d) 対象船舶

トン税の対象となる船舶は、所有船又は海上輸送目的で用船される 300総トン以上の船舶である。ただし、以下の船舶は除かれる。

―裸用船契約に基づき貸船された船舶

4 行政院経済建設委員会(Council for Economic Planning and Development)ホームペ ージによる説明より。

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―売店、レストラン、ホテルとしての利用に供される船舶

―漁船、ヨット、港湾内作業船、作業船、シャトルボート、港湾フェリ ー

(e) 拘束期間

トン税を利用する企業は、10年間その利用を継続しなければならない

(変更不可)。

③営利事業所得税

営利事業所得税は日本の法人税に相当し、各納税年度の総収入から原価 費用及び損失を控除した残額(利益)に対して課税される。台湾の立法院は 2010年5月28日、営利事業所得税を現行の25%から17%に引き下げて いる。なお、課税所得額が 12 万台湾元以下の場合、営利事業所得税の適 用は免除される。

所得税法第 25 条によれば、海運事業を含む国際運輸業の本社が台湾に ある場合、基本的に課税対象となる。しかし、海外で得た所得について、

既に海外で課税対象になっている場合、台湾の航港局に認定してもらうこ とにより、その課税分は台湾に支払う分から控除してもらえる措置がある。

④営業税

台湾国内における物品、労務及び輸入品の販売は、「付加価値型及び非付 加価値型営業税法」(以下、営業税法)の規定により営業税が徴収される。

付加価値型営業と非付加価値型営業5で税率は異なる。海運を含む国際運輸 業は付加価値型営業に分類される。

付加価値型営業に課される営業税税率は、ゼロ税率または免税項目を除

き、5%と設定されている。海運業を含む国際運輸業、国際運輸用の船舶・

航空機及び遠洋漁船、国際運輸用の船舶・航空機及び遠洋漁船用に販売さ れる物品または労務の場合、営業税法に基づき、ゼロ税率が適用される。

ただし、国際運輸業の場合、台湾領内で国際運輸業務を運営している外国 の運輸企業には、当該国が台湾における国際運輸事業に対し、類似租税の 免除がある場合に限られている。

4.船員関連制度 (1)概要

台湾では、船員資格取得のための訓練費が当局によって補助されている。

しかし、社会保険料の軽減、派遣・帰国費や訓練費の補助等それ以外の船員

5 特定業種(銀行業、保険業、信託投資業、証券業、先物取引業、質屋業及び特殊飲食業)

及び小規模営業者がこれに該当する。

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に対する優遇措置は導入されていない。

(2)船員資格訓練補助制度

船員資格取得のための訓練費補助制度が、小規模ながら 2006 年に開始さ れている。実績は表Ⅱ-3の通りで、2006~2011年に補助を受けた人数は延

べ7.509人で全体の3分の1、その総額は6,107万台湾元(日本円で約1億

7,343万円)程度である。2011年は補助額が大幅に削減されており、公費負

担の訓練対象者が制度開始以来最も低い1,030人となり、総支給額も最も低 い667万台湾元(日本円で約1,894万円)となった。

政府が補助をする対象は、船員資格訓練の中でも、操舵訓練などの必修科 目である。これ以外の専門科目については、基本的には自己負担となる。ま た、階級昇進についての訓練も補助の対象になることがあるが、この場合は、

船社が補助することが多いとのことだ。

<表Ⅱ-3>公費、自費別の船員訓練実績

年度

合計 公費負担 自己負担

人数 (1)+(3)

費用 (2)+(4)

人数 (1)

費用 (2)

人数 (3)

費用 (4) 2006 3,030 2,475 1,324(44%) 1,111(45%) 1,706(56%) 1,364(55%) 2007 4,203 3,514 1,209(29%) 1,082(31%) 2,994(71%) 2,432(69%) 2008 3,912 3,097 1,226(31) 1,015(33) 2,686(69) 2,082(67) 2009 4,590 3,615 1,414(31%) 1,171(32%) 3,176(69%) 2,444(68%) 2010 3,880 3,056 1,306(34%) 1,061(35%) 2,574(66%) 1,995(65%) 2011 5,843 3,685 1,030(18%) 667(18%) 4,813(82%) 3,018(82%) 合計 25,458 19,442 7,509(29%) 6,107(31%) 17,949(71%) 13,335(69%)

単位:人(人数)、万台湾元(費用)

(3)外国人船員承認制度

台湾はSTCW条約に加盟していない。そのため、台湾政府は2国間レベル での船員承認制度の整備を進めている。2001年 12 月17 日より、フィリピ ン、インドネシア、ベトナム、ミャンマーにおいて船員として認定された現 地の船員を、台湾籍船へ乗船可能とした。現在、台中双方の船舶に双方の船 員が乗船可能になるよう議論を重ねている最中とのことだ。なお、台湾籍船 に乗船する船員の半数は外国人船員で、フィリピン人船員が最も多いとのこ とだ。

また2001年12月6日、交通部は台湾政府に認定された台湾人船員が、マ ーシャル諸島、パナマ、リベリア、香港、シンガポール、英国籍船において も乗船可能にした。

ドキュメント内 Microsoft Word - 海運施策(表紙) (ページ 56-65)

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