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インドの海運強化策

ドキュメント内 Microsoft Word - 海運施策(表紙) (ページ 69-80)

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<図Ⅲ-1>インド商船隊(1,000総トン以上)の船腹量推移

* 2002年の隻数は異常値と判断し除外した。

(IHS Fairplay, World Fleet Statisticsより作成)

<図Ⅲ-2>インド籍船(外航船)の船腹量推移

(Ministry of Shipping, Indian shipping statistics 2011より作成)

7,476

6,496

12,374 440

386

564 560

0 100 200 300 400 500 600

0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000

千総トン 隻数(右軸)

5,504

5,402

10,013 256

193

372

0 50 100 150 200 250 300 350 400

0 2,000 4,000 6,000 8,000 10,000 12,000 14,000

1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011

千総トン 隻数(右軸)

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国 内 に は 、13 の 中 央 政 府 管 轄 港(Kolkata, Paradip, Visakhapatnam, Chennai, Tuticorin, Cochin, New Mangalore, Mormugao, Mumbai, Jawaharlal Nehru, Kandla, Port Blair, Ennore)と187の州政府管轄港が存 在し、その海上荷動き量は、輸入432,277,723.68トン、輸出210,638,488.95 トンに上る(2011年度。IHS Global Insight)。

(2)外航海運政策の動向

インドの外航海運政策は、海運省(Ministry of Shipping)が所管している。

同省は、2004年にはトン数標準税制を導入し、2005年には「国家海事発展 計画(National Maritime Development Programme)」を策定し、2011年に は 同 計 画 の 後 継 と し て 「 マ リ タ イ ム ・ ア ジ ェ ン ダ(Maritime Agenda:

2010-2020)」(10ヵ年計画)を策定するなど、海運・海事分野の発展に向け積

極的である。インドにおいて海上貿易は、貿易量の約9割5分、貿易額の8 割5分強を占めるため(図Ⅲ-3)、外航海運はインドのさらなる経済発展に寄 与する重要な輸送手段と考えられているからである。

国家海事発展計画は、海事産業への民間投資増大や国際競争力の向上を目 的とするもので、約 390 ものプロジェクトからなる。2011 年度までに見込 まれた民間投資分を含む累計投資額は、港湾関連に 5,580 億ルピー(8,537.4 億円(1ルピー=1.53円。2012 年12月 17日時点、以下同じ。))、海運・造 船修繕・内水航路関連に4,454億ルピー(6,814.6億円)である8

マリタイム・アジェンダでは、2010年4月から2020年3月までの累計投 資額について、港湾分野は1兆945億ルピー(1兆6,745.7億円。うち民間投 資分は7,288億ルピー(1兆1,150.0億円))9、海運分野は1兆2千億ルピー(1

兆8,360億円)と積算している10。また、マリタイム・アジェンダは、外航海

運に関する中心的政策課題として、インド商船隊の増加とインド籍船による 積取比率の増加とを挙げている。特に商船隊の増加に関しては、2010 年に

10,752 千総トンであった船腹量を 2020 年までに 43,000 千総トン(所有船

30,000千総トン及び用船13,000千総トン)に増加させる数値目標を掲げてい

る。また、2020 年までにインド籍船登録トン数を 2 倍にすることを目的と して、第二船籍制度の導入にも言及しているが11、インド船主協会は反対し ているため、今後の議論が注目される。

8 “National Maritime Development Programme formulated Sethusamudram Ship Channel Project Commissioned capacity addition in major ports during 2005”, released at December 30, 2005, by Press Information Bureau, Ministry of Shipping, India

9 Ministry of Shipping, Maritime Agenda: 2010-2020 (January 2011), para.10.3.1

10 Ministry of Shipping, Maritime Agenda: 2010-2020 (January 2011), para.14.5

11 Ministry of Shipping, Maritime Agenda: 2010-2020 (January 2011), para.14.6.13

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<図Ⅲ-3>インド貿易量に占める海上貿易比率の推移

(IHS Global Insightデータより作成)

2.船舶登録制度 (1)概要

外航船についての船舶登録制度は、商船法(Merchant Shipping Act, 1985) 及び船舶登録規則(Registration of Ships Rules, 1960, 1994 and 1997)が規 定している。

(2)登録要件

登録可能な船舶は、推進機関を備えた海上航行船舶である。15純トン未満 の船舶は登録を義務づけられていない(Merchant Shipping Act, §22)。

船舶登録制度を利用できる者は、①インド国民、又は②主たる営業所がイ ンドに所在する法人又は団体である(§21)。1 隻の船舶について 10 の所有権 区分を設定しなければならず、その所有者・企業として登録することができ るのは2名から5名である(§25)。なお、海運省海運総局によれば、1隻の船 舶について複数の所有者・企業を求める理由として、「船舶が単独所有される ことによる恣意的な(ときに脱法的な)船舶の運航・管理を防ぐため。」と説明 している。

船籍港としてKolkata, Chennai, Cochin, Mormugao, Mumbaiの5港が設 けられている。

95.0%

96.8%

96.3%

85.1%

83.0%

87.8%

75%

80%

85%

90%

95%

100%

貿易量に占める海上貿易の比率 貿易額に占める海上貿易の比率

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(3)配乗要件

船長はインド人でなければならないが、その他の職員については外国人 2 名まで配乗可能である(DGS Order no.5 of 2008, para.7, II, and 8)。

ただし、後述する「船員訓練要件」(3(1)②参照)を基本単位(T)として、「T

×1」の訓練義務を実施すれば、訓練船員以外の船員の 3 分の 1 まで外国人 船員を配乗できる。「T×2」の場合には3分の2まで、「T×3」の場合には3 分の2以上の配乗がそれぞれ可能となる(表Ⅲ-1参照)。

<表Ⅲ-1>配乗要件緩和のためのインド人船員訓練要件 必要な船員訓練義務 訓練船員以外の船員に

占める外国人比率

T×1 1/3まで

T×2 1/3から2/3まで

T×3 2/3以上

(船長を除きすべて可)

(DG Shipping Circular No.1-A of 2011 (12.01.2012)より作成)

3.海運関連税制 (1)トン数標準税制

インドは2004年4月1日にトン数標準税制を導入した。2011年度末のト ン数標準税制利用企業は表Ⅲ-2 のとおりであり、ほぼすべての海運企業が 利用しているという。

<表Ⅲ-2>トン数標準税制利用企業一覧(2011年度)

法人名

1 Tci Seaways 2 Tag Offshore Ltd.

3 Sanmar Shipping Ltd.

4 Tolani Shipping Co. Ltd.

5 Seamec Ltd.

6 India Steamship

7 Raj Shipping Agencies Ltd.

8 Sci Forbes Ltd.

9 Gati Coast to Coast 10 Greatship (India) Ltd.

11 Great Offshore Ltd.

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12 West Asia Maritime Ltd.

13 Essar Shipping Ltd.

14 Caravel Logistics Pvt. Ltd.

15 Trans Asian Shipping Services (p) Ltd.

16 Good Earth Maritime Ltd.

17 KC Maritime India Ltd.

18 Shreyas Shipping & Logistics Ltd.

19 Mercator Lines Ltd.

20 Shipping Corporation of India Ltd.

21 Great Eastern Shipping Co. Ltd.

22 Arcadia Shipping Ltd.

23 Apeejay Shipping Ltd.

24 Ocean Sparkle Ltd.

25 Garware Offshore Services Ltd.

26 Glory Shipmanagement Pvt. Ltd.

27 Sealion Sparkle Maritime Services 28 Sea Sparkle Harbour Services

29 Sealion Sparkle Port & Terminal S. (Dahej) Ltd.

30 Dolphin Offshore Services Pvt. Ltd.

31 Jaisu Shipping Co. Ltd.

32 Samson Maritime Ltd.

33 Ocean Diving Centre Ltd.

34 Hind Offshore P. Ltd.

35 Aet Tankers India Pvt. Ltd.

36 Pratibha Shipping Co. Ltd.

37 Dredging Corp of India Ltd.

38 Albatross Marine Services 39 Van Oord India Pvt. Ltd.

40 Rajamahendri Shipping & Oil Field Servieces Ltd.

41 Kei - Rsos Maritime Ltd.

42 Meru Shipping Lines Pvt. Ltd.

43 Epsom Shipping (I) Pvt. Ltd.

44 T M Harbour Services Pvt. Ltd.

45 Five Stars Bulkcarriers (P) Ltd.

46 Seven Islands Shipping Ltd.

47 Castle Ships Pvt. Ltd.

48 M. Pallonji Shipping Pvt. Ltd.

49 PFS Shipping (India) Ltd.

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50 Polestar Maritime Ltd.

51 Good Navigation Pvt. Ltd.

52 ITT Lines (PVT) Ltd.

53 Orion Offshoure Services Pvt. Ltd.

54 Chandra Maritime Pvt. Ltd.

55 Vamsee Shipping Carrier Pvt. Ltd.

56 Vamsee Overseas Marine Pvt. Ltd.

57 Svitzerwijs Muller Hazira 58 L&T Sapura Shipping Pvt. Ltd.

59 M. Pallonji Logistics Pvt. Ltd.

(FOSMA提供資料より)

①の計算方式及び税率

・計算式:純トン数(NT)×下記みなし利益×船舶稼働日数×法人税30%*

*ただし、総課税所得金額が 1,000 万ルピー(1,530 万円)を越え

る場合の実効税率は32.455%(法人税×加算税(Surcharge : 5%)

×教育税(Education Cess : 2%)×中等・高等教育税(Secondary and Higher Education Cess : 1%)

・みなし利益(1日、100NT当たり)

~1,000NT 46 INR (70.38円)/100NT

1,001 ~

10,000NT 35 INR (53.55円) /100NT

10,001 ~

25,000NT 28 INR (42.84円)/100NT 25,001NT~ 19 INR (29.07円)/100NT

なお、2013年4月1日からは下記みなし利益が適用される予定である。

海運省海運総局は、みなし利益の増額について政治的な理由で決められた ものであると説明している。

~1,000NT 70 INR (107.1円)/100NT

1,001 ~

10,000NT 53 INR (81.09円) /100NT

10,001 ~

25,000NT 42 INR (64.26円)/100NT 25,001NT~ 29 INR (44.37円)/100NT

* 換算レートは、いずれも2012年12月17日時点 1 INR=1.53円。

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②対象企業

トン数標準税制を利用することができる企業は、海運事業を主目的とす る イ ン ド の 企 業 で あ り 、 そ の 実 効 的 経 営 地(the place of effective

management)がインド国内であること、また、対象船舶を少なくとも 1

隻所有しているものである(Income Tax Act, §115VC)。

トン数標準税制を利用する企業には、一定のインド人船員を訓練しなけ ればならない「船員訓練要件」及び 8 年以内の「新船購入等再投資義務」

が課せられる。

「船員訓練要件」(Income Tax Act, §115VU)は、配乗船員10名当り1.5 人のインド人船員に対して乗船訓練を施すものである(Guidelines for providing training by shipping companies opted for tonnage tax scheme- dated 12.12.2007)。これまでの訓練実績(運航日数一日当たり必 要訓練船員数(船員10人当たり1.5人)×対象船舶運航日数)は図Ⅲ-4のと おりである。

<図Ⅲ-4>トン数標準税制利用企業による訓練実績の推移

*1 2004年度の訓練実績は2005年1月1日から2005年3月31日までの3 ヵ月間の数値

*2 2011年度は見込みの数値

(Indian National Shipowners’ Association, Annual Review 2011-2012, p. 24 及びインド海運省海運総局提供資料より)

8年以内の「新船購入等再投資義務」(Income Tax Act, §115V-115VV)は、

トン数標準税制の利用による内部留保を活用させるものであるが、2011 年度についてみるとトン数標準税制利用企業全体(59 社。2011 年度時点)

40,000*1

198,000 212,000 212,175

343,630 355,948 376,477 359,777*2

2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度 2011年度 訓練実績(人・日)

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で470.8億ルピー(720.3億円)がこの再投資に充てられている12

③対象所得

トン数標準税制の対象となる所得は、対象船舶の運航から生じる所得、

船舶管理料収入及び用船料収入である(Income Tax Act, §115V-I)。

船舶の売却益等キャピタル・ゲインは対象所得に含まれておらず、イン ド船主協会は改善を求めている。

④対象船舶

対象となる船舶は15純トン以上のインド籍船又は一定の外国籍船(所有 権移転付裸用船)であって、海運企業が運航する所有船又は用船(スロッ ト・チャーター、スペース・チャーター、ジョイント・チャーターによる 用船を含む)である(Income Tax Act, §115VB)。ただし、用船は運航船腹 量 に 占 め る そ の 割 合 が 49%を 超 え て は な ら な い (Income Tax Act,

§115VV)。

⑤拘束期間

トン数標準税制を利用することを選択した企業は、10年間は当該税制を 継続して利用することが想定されているが、いわゆるオプト・アウトは可 能である。すなわち、トン数標準税制の利用開始から 10 年以内に通常税 制へ移行する海運企業は、通常税制の適用を望む会計年度が始まる1年前 までにその旨の申請をすることで、トン数標準税制からオプト・アウトす ることができる。

なお、いったんオプト・アウトした海運企業がトン数標準税制の適用を 再び望む際には、オプト・アウト時と同様に、その1年前に申請すること でオプト・インできる。したがって、インドのトン数標準税制には、いわ ゆる拘束期間は存在しないと言える。

(2)その他

船舶についての特別償却制度は存在しない。減価償却費は定率法により算 出される。外航船の償却率は20%である(Income Tax Rule, New Appendix I)。

4.船員関連制度

(1)船員所得税軽減制度

特に船員のみを対象とした税制は存在しない。しかし、税法上、国外で年 間合計183日以上労働するインド人は、非居住者として、国外で得た所得に ついて所得税が免除される制度があり(Income Tax Act, §6; The Direct Tax

12 Indian National Shipowners’ Association, Annual Review 2011-2012, p. 19

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Code, 2010, Chap.II, §4)、インド人船員も当制度を利用できる。

実際には、インド籍船は度々国内に入港するため、それに乗組む船員には 上記183日要件のハードルは高い。これについてインド船主協会は、インド 人船員によるインド籍船離れを助長していると批判している。

(2)外国人船員承認制度

インドでは、承認取極を締結している4ヵ国(英国、イタリア、マレーシア、

イラン)が発給した資格証明書を受有する者を承認し(相互承認)、インド籍船 への配乗を認めている。海運省海運総局によれば、これまでの承認例は英国 のみである。

また 36 ヵ国(セントヴィンセント、ドミニカ、ギリシャ、グルジア、バヌ アツ、ブルネイ、リベリア、マーシャル諸島、クウェート、バハマ、カター ル、バルバドス、オランダ、モルディブ、日本、ベリーズ、ジャマイカ、マ ン島、ルクセンブルク、キプロス、マルタ、ノルウェー、フランス、デンマ ーク、アイルランド、バングラデシュ、ガーナ、ラトヴィア、モーリシャス、

アンティグア・バーブーダ、ベトナム、オーストラリア、シンガポール、香 港、パナマ、ベルギー)については、インドが発給した資格証明書を受有する 者を承認(一方的承認)する取極めを締結している(表Ⅲ-3参照)。

<表Ⅲ-3> 外国人船員及び自国船員の承認取極締結国(2012年末現在)

相手国名 インド国署名日

1 イギリス 2002522

2 イラン 20011213

3 イタリア 2002710 4 マレーシア 20021022

1 セントヴィンセント 2005715 2 ドミニカ共和国 2003128 3 ギリシャ 2002823 4 グルジア 2002610 5 バヌアツ 20021122 6 ブルネイ 2002823 7 リベリア 2001710 8 マーシャル諸島 2001716 9 クウェート 200193

10 バハマ 2001710

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