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台湾における外食産業の雇用

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台湾の『労働小六法』は台湾行政院労工委員会が制定したもので、労働関係法令のすべてを 網羅している。内容は①工会法、②団体協約法、③労使争議処理法、④大量解雇労工保護法、

⑤労働基準法、⑥両性工作平等法、⑦労工安全衛生法、⑧職業災害労工保護法、⑨就業服務 法等々の法律・条例・施行細則が収まっている。これらの法令は正社員とパート社員などを含む、

すべての労働者に適用される。以下これらの法令に基づいて台湾の雇用規制・環境を紹介す る。 

 

Ⅰ.台湾現地スタッフの雇用 

1.雇用形態 

  台湾では、『労働基準法』の第9条に基づいて、労働契約は①定期契約と②不定期契約に分け られる。 

①定期契約は、臨時性、短期性、季節性及び特定性の労働契約を指す。日本のパート、アル バイトの範疇にあたると考えられる。 

②不定期契約は、継続な労働契約を指す。日本の社員という範疇にあたると考えられる。 

  外食企業の場合は、店舗あたりの社員数を少なく絞り、パート、アルバイトを活用するような傾 向がある。例えば、ある日系企業が経営するある外食店舗では、一店舗あたりの正社員は 6 人、

アルバイトは 50 人の割合となっている。 

また、外資企業に対して現地人雇用の有無は法律上義務付けられていない。なお試用雇用 期間については労使双方の協議により決定され、法律上の規定(規制)はない。 

 

2.雇用方法(人材市場) 

外食産業の従業員募集は主に以下の方法で行われている。 

①新聞への募集広告掲載 

②従業員による紹介 

③インターネットを利用した人材斡旋 

④人材コンサルタント会社への委託 

⑤インターンシップ制度の導入 

日本のような専門求人雑誌は少ないが、新聞への募集広告掲載に関しては、購読部数の多 い 3 大日刊紙『中国時報』、『聯合報』、『自由時報』(特に『中国時報』)の日曜日版)に広告を掲 載することが多い。 

従業員の紹介による場合は、採用者の定着率は比較的高いが、採用後問題が生じた場合な ど、紹介者の責任などを明確しておく必要がある。 

人材コンサルタント会社への委託の場合は、人材コンサルタント会社が求人企業側の要求に 合わせ、一次選考を行い、適切な人材を推薦してくれるが、他の募集手段と比較してコストは高く なる。「採用」に不慣れな企業(担当者)や採用に時間をかけられない企業にとっては有効な方法 となる。 

  インターンシップ制度とは、学生が在学中に自らの専攻や将来のキャリアに関連した就業体験 を行うことで、学校と企業との連携で行われるものである。外食企業の場合は、調理学校とイン ターンシップ関係を締結すれば、学生は、実際の仕事や職場の状況を知り、自己の職業適性や 職業生活設計など職業選択について深く考える機会となる。企業側にとっても、望む人材育成や 学校教育に対しての要望等を、学校や学生に伝えることもできる。 

台湾の『労働基準法』の第 44 条、第 45 条、第 46 条では、15 歳未満の児童を雇用してならな い、また、16 才未満の未成人を雇用する場合は、保護者の同意を得ることが必要である、と規定 している。 

3.勤務時間  1)労働時間 

台湾の『労働基準法』の第 30 条によると、『労働時間は原則として 1 日 8 時間以内、2 週間の 総労働時間は 84 時間を超えてはならない。通常の労働時間において、雇主は組合または従業 員の半数以上の同意により、2 週間以内の特定の 2 日の通常労働時間数を他の労働日に 1 日 2 時間まで配分することができる。但し、2 週間の労働総時間数は 84 時間、1 週間の総労働時間 数は 48 時間を上限とする』と規定している。 

 

2)残業時間 

『労働基本法』の第 32 条によると、『残業時間と通常の労働時間とを合わせて、1 日につき 12 時間を超えてはならない。所定外労働時間は 1 ヶ月について 46 時間を超えてはならない。さらに、

仮に先述の時間内で残業させる場合でも、会社組合の同意を得ることが必要とされている。また、

組合のない会社なら労使会議で協議することが必要である』と規定されている。 

 

4.休暇規定  1)年次有給休暇 

  『労働基準法』の第 38 条は、『企業側は、継続 1 年以上勤務している者に対して年次有給休暇 を与えなければならない』と規定している。また、勤務年数に応じて年次有給休暇日数を以下の ように定めている。 

(表2−1)年次有給休暇制度 

 

勤務年数  年次有給休暇 

勤務年数 1 年以上 3 年未満のもの  7 日  勤務年数 3 年以上 5 年未満のもの  10 日  勤務年数 5 年以上 10 年未満のもの  14 日 

勤務年数 10 年以上のもの  1 年ごとに 1 日追加され、最高 30 日まで 

2)結婚休暇、忌引、傷病休暇、出産休暇 

『労工請暇規定』(『労働者休暇規則』)では、結婚休暇、忌引、傷病休暇、出産休暇について 以下のように規定している。 

①結婚休暇は 8 日間である。 

②忌引の場合、配偶者、父母は 8 日間、子、祖父母などは 6 日間、兄弟姉妹は 3 日間である。 

③傷病休暇は、入院する場合は 2 年につき 1 年間、入院しない場合は 1 年につき 30 日間の 休暇が可能であり、当該期間内においては年間 30 日まで賃金の半額を支給する。上記の 休暇期間を超過する場合には、1 年間の休職が可能である。この場合は休職期間給料は 停止となる。 

④出産休暇は、出産前後 8 週間、又は妊娠 3 ヶ月以上で流産した場合には、4 週間である。こ の場合は、雇用期間が 6 ヶ月以上の場合は、賃金全額を支給、6 ヶ月未満の場合はその半 額が支給される。 

  5.保険 

労働保険と健康保険は、台湾では『労働保険条例』と『全民健康保険法』によって規定されて いる。会社は新たに保険をかける事案が発生した場合、保険取扱機関(労工保険局または中央 保険局)に対して一括で届出ることとなる。次表で、①被保険者、②給付範囲、③保険率、④負 担率、⑤取扱機関を紹介する。 

           

(表2−2)保険内容 

内容  労働保険  健康保険 

基本法令  『労働保険条例』  『全民健康保険法』 

 

被保険者 

従業員 5 人以上の事業では満 15 才以上 60 才以下の従業員は 強 制加入 (外 国人従 業員 を 含 む)。従業員 5 人未満の場合は 任意 

全国民に対する強制加入。外国人の場 合は、台湾内で登記されている営利事 業に勤務する外国人で居留証を有する ものは加入が必要。 

給付範囲  生育、失業、障害、死亡、老齢

(一時金)、葬祭等への現金給付 傷害、出産、予防等の医療給付  保険率 

6.5% 

但し、失業保険給付適用者でな い場合は 5.5%。外国籍の者は 適用者ではない。 

4.55% 

雇用者  70%  雇用者  60% 

被雇用者  20%  被雇用者 30% 

負担率 

当局  10%  当局  10% 

取扱機関  労工保険局(02-2396-1266)  中央保険局(02-2523-2388) 

出所:『労働保険条例』、『中華民国台湾投資環境案内 2003/2004 年度版』(KPMG)、 

      台湾行政院労働工委員会ヒアリング   

6.退職および退職金規定 

退職は『労働基準法』の第 53 条、第 54 条、退職金は『労働基準法』第 55 条、第 56 条、第 57 条、第 58 条によって規定されている。 

退職には、①自らの退職申請と②使用者による強制の2つのケースがある。 

①自ら退職を申請してやめる場合は、在職 15 年以上かつ満 55 歳以上の者、あるいは在職 25 年以上の者については、退職金が支払われる。上記の条件に当てはまらない者について は、退職金が支払われないのが普通である。 

②使用者が強制退職できる条件は、満 60 歳以上の者あるいは心神喪失、身体障害などのた め、業務に耐えられない者である。 

  なお、退職金について、従来では労働基準法により、一定の要件10を満たした従業員の退職に 際し、従業員は定年退職金(退求金)の支払い請求をすることができ、雇用者は外部に資金を拠 出し積み立てなければならないことを定めている。また、会社の都合で解雇された従業員には、

労働基準法による一定の解雇手当(資遣費)の支払いが義務付けられている。 

2004 年 7 月 1 日に新たな「労働者定年退職金条例」が施行された。新制度は定年退職金と解 雇手当に関して制度改訂が行われた。 

定年退職金については、従業員は旧制度と新制度のいずれかを選択11できる。また会社はそ の選択に合わせ、旧制度適用部分に関わる退職準備金の積み立て及び新制度適用部分の従 業員専用口座への退職金拠出を行うことになる。次表において、定年退職金の新旧制度を紹介 する。 

                       

10退職は『労働基準法』の第 53 条、第 54 条、退職金は『労働基準法』第 55 条、第 56 条、第 57 条、第 58 条によって規定されている 

11 旧制度の適用対象者は旧制度の継続適用か、新制度適用かを選択することができるが、旧制度を選択

(表2−3)台湾の退職金制度 

項目 新制度の内容 旧制度の内容

・原則として労働基準法が適用される台湾籍の従業員を対象 ・労働基準法に適用される従業員を対象

・外国籍の従業員は適用不可 ・外国籍の従業員も適用

・雇用主、委任契約に基づく経理人(マネージャー)及び労働基準法が適用されな い従業員は任意により自費で加入が可能

「年金保険制」の採

200名以上の従業員を有する企業で、労働組合または従業員の半数の同意があ り、従業員の半数が参加する場合には、個人単位の管理口座ではなく、保険会社

(一企業に一社)による年金保険契約の利用を選択することができる。

規定なし

・毎月の賃金の6%を下回らない比率を拠出(雇用者負担)。

・上記雇用者負担分の他に、同6%の範囲内(1年につき2回変更可)で従業員個人 の追加負担も可能。

管理口座単位 個人単位の管理口座(労工保険局の専用口座)となる。(従業員が退職して別の

企業に就職しても、以前の積立分はそのまま引継ぐことが可能) ・企業単位の管理口座(中央信託局の退職基金専用口座)

受領者資格 ・満60歳に達したもの

・死亡者の遺族

・同一企業に勤続15年以上、かつ満55歳に達したもの

・同一企業に勤続25年以上のもの 原則、月次給付(死亡時に停止)

例外、加入15年未満または死亡の場合は一括給付

月次給付額:個人退職金口座の積立元金と累積収益から年金生命表や利率など の諸係数に基づき、月次給付額を決定

一括給付額:個人退職金口座の積立元金と累積収益

勤続年数の計算 勤務先の変更があっても、勤続年数を累積して計算 ・同一企業で計算(企業M&A法による組織再編に該当する場合は除く)

資遣費(解雇金) 勤務年数に基づき、1年につき平均賃金の0.5ヶ月分を支給する。ただし6ヶ月分を 上限

・会社都合による解雇の場合、勤務年数に基づき、1年につき平均賃金 1ヶ月分を支給

・規定による処理を行わない場合、20,000元以上、100,000元以下の罰金を科し、

毎月処罰の対象

・さらに1日あたり原則として未納額部分の3%の延滞金が科される 適用対象

退職金受領条件

退職金給付額

雇用者に 対する罰 則規定

拠出率 ・月給の2%〜15%の範囲内で、各企業が拠出額を選択(雇用主負担)

・勤続15年までについては1年につき平均賃金(退職前6ヶ月間の平均 賃金)2ヶ月分、勤続15年超の部分については1年につき平均賃金1ヶ月 分を支給

※ただし、45ヶ月分を上限とする

・全額一括給付

・規定による処理を行われない場合、台湾元6,000以上、台湾元60,000 以上の罰金

 

※拠出率について旧制度の継続適用を選択した対象者、及び保留された新制度執行目の勤続年数について、

人数、賃金、勤務年数、流動率などを勘案し計算した拠出比率に基づき、継続拠出し、5 年以下に十分な額の準 備金を積み立てなければならない。具体的な外部拠出の内容につき、現状は、労工委員会により「拠出の2%以 上に設定」して拠出を開始・継続するよう指導しているのみであるが、これ以外の拠出率を採用したい会社のた めに、参考用として試算用ソフトを提供している。 

出所:『台湾労働基準法』、『労働者定年退職金条例』 

  7.解雇 

台湾の『労働基準法』、『労働者定年退職金条例』が労働者の解雇について規定している。 

また、『労働基準法』の第 16 条では、解雇予告期間を定めている。予告なしに労働者を解雇す る場合は、以下の条件を満たさなければならない。 

・正当な理由なく連続3日間欠勤、または正当な理由なく 1 ヶ月以内に 6 日間欠勤した者 

・契約締結の際に虚偽の意思を表明した者 

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