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世界の日本食レストラン

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経済のグローバル化が進む中で日本企業の海外進出も拡大している。また、日本国内の外 食マーケットの縮小傾向(2005 年はピーク時(97 年)の 29.1 兆円より約 16%減の 24.3 兆円)(図 7−1)であり、既存店舗間の競合激化にある中、日本の外食企業は海外に目を向け、出店する 企業が増えている。さらに、食品や食材は味覚のグローバル化によって先進国では大きな格差 が存在しなくなり、日本食、食材の海外進出は大きな可能性を秘めているといえよう。 

 

(図7−1)日本における外食産業の市場規模の推移 

兆円

14.6 19.3

24.3 24.5 25.4 24.6 25.9 27.4 27.0 28.5 29.1 28.7 27.9 27.7 27.8 27.7 27.2

23.5 25.7

8.6

0 5 10 15 20 25 30 35

75年 80年 85年 89年 90年 91年 92年 93年 94年 95年 96年 97年 98年 99年 00年 01年 02年 03年 04年 05年 

※外食産業は飲食店、国内線機内食、宿泊施設、学校、事業所、病院、保育所給食、喫茶店、酒場・ 

ビアホール、料亭、バーなどを含む 

出所:財団法人外食産業総合調査研究センターによる推計、日本農林水産省資料   

Ⅰ.世界の日本食 

日本食レストランは海外ではどれだけ展開されているのか、実は非常につかみにくいところで ある。なぜならば、レストランという業態自体は個人経営によるものが多く、また経営主体も日系

ではなく現地ローカルオーナー、またはアジア系のオーナーにより経営されているものが多いた めである。 

農林水産省の推計によると、海外における「いわゆる日本食レストラン」の展開は、地域ごとの 出店順では、北米地域が最も多く、約 10,000 店となっている。次はアジア地域の約 6,000〜9,000 店、この地域は急速な経済成長に伴い、今後もさらに伸びる傾向にある。欧州地域は約 2,000 店 舗、中南米は約 1,500 店舗、オセアニアには約 500〜1,000 店舗、ロシアは約 500 店舗、さらに中 東地域は約 100 店舗の展開となる(図7−2)。 

以下に地域ごとの出店状況をみていくこととする。 

 

(図7−2)海外における「いわゆる日本食レストラン」の展開状況(推計データ) 

                     

出所:農林水産省推計、「海外における日本食レストランの現状について」 

   

ロシア

(約5 00 店)

北米

( 約10 ,0 0 0店)

中南米

(約1,5 00 店)

オセアニア

( 約5 00 〜1,0 00 店)

アジア

(約6,0 00 〜9,00 0 店)

中東

( 約1 00 店)

欧州

(約2,0 00 店)

1.アメリカの日本食 

様々な民族、人種が混住しているアメリカでは、とくに西海岸には古くからの移民による日系 人が多数定住しており、「望郷食品」として日本食は食べられている。一方、東海岸は移民が少 ないが、世界の経済・金融の中心から企業駐在員や留学生等長期滞在者または観光、ビジネス のための短期滞在者による需要が日本食レストランの展開を後押しした。     

「アメリカ人にとって、アジアの中では日本文化が身近」、「日本食は高品質で美味しい」、「日 本食は健康に良い」ということから、アメリカでは日本文化とともに日本食への関心がますます高 まっている。保守的と言われる南部地域でも日本食が浸透してきており、低カロリー、低脂肪食 品への嗜好の高まりの中、動物性タンパク質の摂取源として水産物を消費し、寿司をピザの様 に気軽に食べるアメリカ人が多くなってきている。 

大和総合研究所の『米国に浸透する日本食の動向』によると、アメリカにおける日本食レストラ ンの軒数は 1992 年時点では 3,000 あまりであったが、2004 年時点では約 9,000 あまりとなり、12 年間で倍増してきている(図7−3)。 

(図7−3)日本食レストランの推移(単位:件) 

0

2000 4000 6000 8000 10000

1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004

 

※1993 年、1996 年、1999 年は調査していない年のためデータなし 

また、日本食レストランは全米の主要都市で、上位にランクされてきている。2005 年 10 月に、アメ リカの代表的なレストランガイド『サガッドサーベイ』が発表したレストランのランクでは、アメリカ 41 都市のうち 15 都市で人気レストランの上位に日本食レストランがランクインされている(図7−4)。 

(図7−4)アメリカにおける日本レストランへの評価 

都市名  日本食への評価 

ニューヨーク  ・トップ 20 のうち、日本食レストランが5店舗ランクイン(2005 年)  ロスアンジェルス  ・トップ 20 のうち、日本食レストランが 6 店舗ランクイン(2005 年) 

ボストン  ・日本レストランが人気レストランの第一位 

・東海岸の各都市で人気の料理はフランス料理から日本料理にシフトしてい る(2005 年) 

サンフランシスコ  日本料理は好きな料理の第3位(イタリア、フランス料理の次)(2003 年) 

出所:『米国に浸透する日本食の動向』新規産業レポート  2006/冬」  大和総研   

日本食レストランの人気は、従来のニューヨークやロスアンジェルスの日本人が多い地域から、

全国的に広がっている。また、日本食レストランは従来の寿司だけではなく、鉄板焼き、どんぶり

(テリヤキ)、焼きそば、といった「庶民的」な食べ物までに種類が増えている。 

 

2.アジア地域の日本食 

日本食レストランのアジア地域における出店は、日系企業によるビジネス拠点(貿易拠点また は製造拠点)の設置が進む中で、日本人駐在員マーケットに照準を合わせて展開した例が多く みられる。そして時が経つにつれ日本文化の浸透がローカルマーケットを取り込み、拡大につな がったとの特徴が現れている。例えば中国、香港、シンガポール、韓国、タイ、台湾、フィリピン、

マレーシア、インドネシア、ベトナムなどではすでに多くの日本食レストランが展開されている。 

台湾は日本の統制時代から、その後に日本製造業の進出という流れの中に、日本料理はい

香港の日本食市場は、量から質へと変化している。消費者は「本物の味」が求められるまでに 成熟しつつある。 

中国マーケットについて、80 年代から日系個人経営の展開はみられたが、近年経済発展に伴 って外食法人企業の進出も増えている。同じ中華圏である台湾、香港地域で成功を収めた外食 企業はその成功経験を台湾または香港の子会社を通じて中国に移転したビジネスモデルが多 い。中国は日本と地理的に近くて、米食という食文化も似ており、日本食は比較的容易に参入し、

定着しやすい。また、マーケット自体が大きく、長期的な視点からみると多くの可能性を秘めてい る。ただし、現状では中国への進出は、主に上海、大連、北京、青島、瀋陽、広州などの経済成 長が著しい沿海地域または日本人の馴染み深い東北地域に集中している。 

タイにおける日本食の展開が本格化したのは 1980 年半ばといわれている。日本の自動車メー カーなどの投資にともなって日本食に進出したという背景がある。しかし現在では日系駐在員で はなく、ローカルのタイ人も消費するようになっている。タイ人にとって日本食は同じアジアの食 文化から西洋料理よりも親しみやすいものとなっている。若い世代、中所得者の中で日本食人 気が高まっている。従来は、ホテル内の高級レストランが中心であった日本食が、ファミリーレス トラン、高架鉄道の駅売店など多様な形態で提供されるようになり、寿司、とんかつ定食、カツ丼 などメニューも多様化している。現在のタイでは、日本レストラン・料理屋は首都のバンコク圏内 に約 200 店舗、その他東部のパタヤ、南部のプーケットエリア、北部のチェンマイエリアも含めて 約 300 店舗あるといわれている。 

韓国は基本的に日本と同じ「コメ・麺の食文化」で、主食と副食がはっきりしている。ソウル市 内には沢山の「日式(いるくし)」と呼ばれる日本食レストランがある。本格的な日本食を食べられ る高級レストランも多く、韓国の人達が気軽に行く店にうどん、ざるそば、いなり寿司といったメニ ューもある。季節を問わずにおでんを食べたり、屋台で天ぷらが売られていたり、日本食というよ りはすっかり韓国の食にとけ込んでいる。 

シンガポールは多くの外国企業が進出している。食に対しても日本料理をはじめ西欧料理や 韓国料理などバラエティーに富んでいる。食に対する欲求は、最近は健康志向から、豚肉から魚

や野菜へシフトする傾向がある。シンガポールは夫婦共稼ぎが多く、外食することが多い。日本 の寿司屋は高級料理店として認知され、また、食材に日本の和牛肉は欠かせないものとなって いる。 

マレーシアは多民族国家であるが、60%がマレー系 、30%が中 国 系 、10%がインド系 の3民 族 がそれぞれの文 化 、宗 教 を共 存 させ複 雑 な社 会 を構 成 している。メイン料 理 はマレー、

中華、インド料理であるが、日本食レストランも多い。とくに首都クアラルンプールには日本食レ ストランが次々と出てきており、競争も激しくなってきているという。マレーシアでは外食が一般的 で、朝から外で食べる人も大勢いる。 

日本円に換算すると、平均で1食300円も出せば十分食べられるが、日本食レストランは現 地の物価で考えると高く、1000円くらいである。 

ベトナムでは日本食をはじめとする新たな外国の食文化をようやく取り入れ始めたに過ぎない。

主な消費者は現地の日本駐在員、日本からの出張者以外に経済的にゆとりのある階層である。

ローカルの人にとって日本食というとその味よりもまず値段が高いことが先立ち、まだまだ手の 届かぬ高嶺の花であり、また日本食に関する情報ですらなかなか入ってこないのが現状なので ある。しかし日本企業の進出につれ、日本食への興味が一層広がり、いつの日かベトナム人の 一般家庭も日本食を普通に消費できるようになる。 

 

3.欧州地域の日本食 

ハンバーガーとピザが大きなシェアを占める欧州地域では、近年日本の鮨がシェアを伸ばして いる。鮨専門店または鮨をメニューに載せた日本料理店が多く見られる。 

フランス人は、自国の「美食の伝統」料理に誇りを持っているため、食生活は基本的に保守的 であると言われているが、近年、食品の多様性、個性化から「おいしいもの」、「確かなもの」が志 向される様になっている。現在、フランスは伝統料理の「味わい」や政府の公認ラベルが添付さ れた食品などの「品質」や有機農産物・食品に対する消費者の評価が高まっており、食事にかけ

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