第 5 章 :予防管理の適用および予防管理の管理要素
5.6 参考資料
5.1 本章の目的
本章に提示されるガイダンスは、食品安全計画の一部として、予防管理、および関連する予防管理 の管理要素の特定および実行の一助となることを意図している。21 CFR 117.135および117.140 を参照。危害分析を通じて予防管理を要する危害はないと判断する場合でも、文書化された危害分析 にその判断を記録しなければならないことに注意しなければならない(21 CFR 117.130(a)(2)を参 照)。ただし、予防管理および関連する予防管理の管理要素を設定する必要はない。
本章は、完成品および食品生産環境での生物学的、化学的、および物理的危害の発生を著しく最小 限化または防止するための予防管理適用の概要を示す。本章は予防管理の管理要素(すなわち、モニ タリング、是正措置、および修正、および検証行動(およびそれらの関連記録))の概要も示す。本 ガイダンスの第6章から第13章は、予防管理および関連する予防管理の管理要素適用のより詳細な 例を示す。
本章は完全なプログラムに必要な詳細を全て示してはいない。利用が可能であり危害が抑制される
(すなわち著しく最小限化または予防される)ことを保証するような全ての手順、実施、工程から柔 軟に予防管理、および関連する予防管理の管理要素を特定および実行するものとする。
1 本ガイダンスは、米国食品医薬品局の食品安全・応用栄養センター内にある食品安全局により作成された。
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5.2 生物学的危害の予防管理の適用の概要
表5-1は、成分関連および工程関連の生物学的危害の発生を著しく最小限化または予防するための 予防管理の適用例を示す。
表5-1は列挙された予防管理の効果について一般的情報を示すが、特定の食品の特定の病原体の管 理のために特定の予防管理が検証されたと示唆するものではない。その予防管理の性質および自身の 食品安全システムにおけるその役割に応じて、特定の予防管理を検証する責任がある(21 CFR 117.160(a)を参照)。
表5-1は施設関連の危害への予防管理の適用は扱っていない。施設関連の危害への衛生管理の適用 に関するさらなる情報については、本ガイダンスの「第10章―衛生管理」を参照。
表5-1 成分関連および工程関連の生物学的危害への一般的な予防管理の適用
予防管理
一般的な手順、
実施、
および工程
胞子形成病原菌 への適用可能性
栄養病原菌への 適用可能性
細菌毒素への 適用可能性
寄生生物への 適用可能性 プロセス管理―
致死的処理
加熱(調理、焙 焼、焼成など)
一般に、熱工程 は 病 原 菌 の 胞 子 を 除 去 し な い
病 原 体 の 栄 養 細胞を除去
黄 色 ブ ド ウ 球 菌 お よ び セ レ ウ ス 菌 嘔 吐 毒 素 の あ ら か じ め 産 生 さ れ た 毒 素 を 除 去 し ない
熱 加 工 は 食 品 で 見 つ か る 寄 生 生 物 を 不 活 化する;具体的 時 間 お よ び 温 度は寄生生物、
食 品 マ ト リ ッ クス、および用 い ら れ る 工 程 による
プロセス管理―
致死的処理
照射、イオン化 米 国 で 承 認 さ れ た 線 量 は 大 半 の 食 品 の 病 原 菌 の 胞 子 を 除去しない
病 原 体 の 栄 養 細胞を除去
黄 色 ブ ド ウ 球 菌 お よ び セ レ ウ ス 菌 嘔 吐 毒 素 の あ ら か じ め 産 生 さ れ た 毒 素 を 除 去 し ない
寄 生 生 物 管 理 へ の 限 定 的 使 用;線量によっ ては、食品媒介 病 原 体 へ の 承 認 さ れ た 使 用 が 食 品 で 見 つ か る 寄 生 生 物 を 不 活 化 さ せ ることがある プロセス管理―
致死的処理
抗菌燻蒸、例え ば 酸 化 プ ロ ピ レン(PPO)また は 酸 化 エ チ レ ン(ETO)
病 原 菌 の 胞 子 を除去しない
確定した PPO 工 程 が あ る 種 の 食 品 で サ ル モネラ菌を5ロ グ 減 少 さ せ る こ と が 示 さ れ てきた
不明だが、黄色 ブ ド ウ 球 菌 お よ び セ レ ウ ス 菌 嘔 吐 毒 素 の あ ら か じ め 産 生 さ れ た 毒 素 に 影 響 す る 可 能性は低い
オ ゾ ン は 選 ば れ た 寄 生 生 物
( ク リ プ ト ス ポリジウム・パ ル バ ム の オ ー シストなど)を 不 活 化 す る こ とが判明した
99 プロセス管理―
致死的処理
高圧処理(HPP) 一般に、HPPは 病原菌の胞子 を除去しない (FDA, 2000)
病原体の栄養 細胞を除去す る(FDA, 2000)
黄色ブドウ球 菌およびセレ ウス菌のあら かじめ産生さ れた毒素を除 去しない
・ 5分間≧200 Mpaで旋毛 虫という寄生 虫を除去
・ リンゴおよび オレンジジュ ースで60秒 間5.5 x 108Pa (80,000 psi) で処理した場 合クリプトス ポリジウムに 感染力なし
・
その他の寄生 生物の耐圧性 に関する情報 は不足 プロセス管理―保 管 の 時 間 / 温度
冷蔵 胞 子 形 成 病 原 菌 の 増 殖 管 理 に使用
温 度 に よ っ て は、冷蔵は多く の 病 原 体 の 増 殖を抑制する。
ただし、リステ リア・モノサイ ト ゲ ネ ス お よ び セ レ ウ ス 菌 の 一 部 の 株 な ど の 病 原 体 は 冷 蔵 温 度 で も 増 殖 す る こ と がある
黄色ブドウ球 菌の毒素産生 を予防。温度 によっては、
セレウス菌の 毒素産生を予 防する。あら かじめ産生さ れた毒素には 効果なし
限られた情報;寄 生 生 物 は 食 品 の 中 で 増 殖 し な い ので、一般的には 寄 生 生 物 に は 適 用できない
100 予防管理
一般的な手順、
実施、
および工程
胞子形成病原菌 への適用可能性
栄養病原菌への 適用可能性
細菌毒素への 適用可能性
寄生生物への 適用可能性 プロセス管理―
保管の時間/
温度
冷凍 胞子形成病原 菌の増殖管理 に使用される が、胞子は冷凍 されても十分 生き延びる
冷凍は病原体 の栄養細胞の 増殖を予防す る。温度によっ ては、時間の経 過とともに一 部の病原体の 数は減少する ことがある;た だし、病原体の 除去に冷凍を 頼りにするこ とはできず、多 くは長期間生 き延びること ができる
増殖を予防す る冷凍は黄色 ブドウ球菌お よびセレウス 菌の毒素産生 を予防するが、
あらかじめ産 生された毒素 には効果なし
寄生生物を不 活化すること が示されてい る具体的な時 間および温度 の一覧表があ る;シクロスポ ラ属が少なく ともいくらか は冷凍に耐性 を持つことが 知られている のは、あらかじ めおよそ26°F (-3.3℃)で冷凍 されていたケ ーキ内のラズ ベリーが原因 でアウトブレ ークが起こっ たからである プロセス管理―
組成
水分活性管理 水分活性を 0.92以下に下 げると(例え ば、砂糖および 塩などの溶質 を加えること によって)胞子 の生長を抑制 する
水分活性を
0.85以下に下
げると(例え ば、砂糖および 塩などの溶質 を加えること によって)病原 体の栄養細胞 の増殖を抑制 する
増殖を予防す る水分活性は 黄色ブドウ球 菌およびセレ ウス菌の毒素 産生を予防す るが、あらかじ め産生された 毒素には効果 なし
限られた情 報;寄生生物は 食品の中で増 殖しないので、
一般的には寄 生生物には適 用できない
プロセス管理―
組成
酸性化 酸を加えるこ とによってpH を下げると胞 子の発芽を抑 制できるが、胞 子は除去しな い
一般に、酸の添 加に頼って栄 養病原菌の増 殖を予防でき るが、病原体の 栄養細胞の除 去のために酸 の添加に頼る ことはできな い
増殖を予防す るpHは黄色ブ ドウ球菌およ びセレウス菌 の毒素産生を 予防するが、あ らかじめ産生 された毒素に は効果なし
食品の管理と しての用途に ついては情報 なし
101 予防管理
一般的な手順、
実施、
および工程
胞子形成病原菌 への適用可能性
栄養病原菌への 適用可能性
細菌毒素への 適用可能性
寄生生物への 適用可能性 プロセス管理―
組成
保存料の添加 病原菌の胞子 を除去しない が、一定の種の 胞子の発芽を 予防すること ができる
さまざまな化 学保存料が一 部の病原菌の 栄養細胞およ び/または菌 類に対して増 殖を予防する 具体的作用を 有する
増殖を予防す る組成は黄色 ブドウ球菌お よびセレウス 菌の毒素産生 を予防するが、
あらかじめ産 生された毒素 には効果なし
食品の管理と しての用途に ついては情報 なし
プロセス管理―
脱水
空気乾燥 病原菌の胞子 を除去しない が、生長を制限 または抑制す る
乾燥は一部の 病原体を不活 化することが あるが、他(サ ルモネラ菌な ど)はかなり長 期間乾燥を生 き延びること がある
増殖を予防す る乾燥は黄色 ブドウ球菌お よびセレウス 菌の毒素産生 を予防するが、
あらかじめ産 生された毒素 には効果なし
食品内の寄生 虫への影響に ついては情報 なし
プロセス管理―
脱水
凍結乾燥 一般に、微生物 を保存するが、
増殖を抑制す る
一般に、微生物 を保存するが、
増殖を抑制す る
増殖を予防す る乾燥は黄色 ブドウ球菌お よびセレウス 菌の毒素産生 を予防するが、
あらかじめ産 生された毒素 には効果なし
食品内の寄生 虫への影響に ついては情報 なし
プロセス管理―
脱水
噴霧乾燥 一般に、病原菌 の 胞 子 は 除 去 しないが、生長 を抑制する
製 品 の 組 成 に よっては、一部 の 病 原 体 は 噴 霧 乾 燥 を 生 き 延 び る こ と が ある。増殖は抑 制される
増 殖 を 予 防 す る 乾 燥 は 黄 色 ブ ド ウ 球 菌 お よ び セ レ ウ ス 菌 の 毒 素 産 生 を予防するが、
あ ら か じ め 産 生 さ れ た 毒 素 には効果なし
食 品 内 の 寄 生 虫 へ の 影 響 に つ い て は 情 報 なし