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第 4 章 :予防管理

4.3 プロセス管理

3.3.4.4 容器の健全性の欠如を原因とする包装後に混入した病原菌 3.3.5 潜在的施設関連生物学的危害

3.3.5.1 施設関連生物学的危害の源

3.3.5.2 施設関連環境病原体の一過性と常在の比較 3.3.5.2.1 一過性汚染

3.3.5.2.2 常在汚染

3.3.5.3 施設関連環境病原体の加工環境の湿潤と乾燥の比較 3.3.5.3.1 湿潤加工環境

3.3.5.3.2 乾燥加工環境 3.4 化学的危害

3.4.1 成分関連化学的危害 3.4.1.1 農薬

3.4.1.2 残留動物用薬剤 3.4.1.3 重金属

3.4.1.4 環境汚染物質

1 本ガイダンスは、米国食品医薬品局の食品安全・応用栄養センター内にある食品安全局により作成された。

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3.1 本章の目的

本章のガイダンスは、食品工場で一般に懸念され、危害分析において扱うべき生物学的、化学的、

および物理的危害の検討に資することを意図している。これは成分関連危害、工程関連危害、および 食品生産環境から混入する可能性のある危害(施設関連の危害)を扱う。危害の網羅的な概要または それぞれの危害の詳細を提示するものではない。可能な場合には、懸念される危害についての有用で 詳細な議論または分析を提供する可能性のある科学的文献、規制、および/またはガイダンス(FDA または食品安全の共同規制機関が発行)を挙げる。21 CFR 117.3の「危害」の定義を参照。

自社の製品に特有の原材料およびその他の成分、工程、および設備を用いる製品、ならびに特定の 施設の環境に関連する潜在的危害を理解することが重要である。予防管理を要する危害を特定したら、

食品安全リスクを低減しヒトが消費する製品の安全性を確実とするためにはどんな予防管理が必要 か判断しなければならない。21 CFR 117.130および117.135を参照。本章では特定の危害の管理実 行に適切と思われる予防管理の種類を簡潔に説明するが、適応可能な予防管理の詳細な議論について は、本ガイダンスの第4章および第6から13章を参照。

3.2 潜在的危害

食品は生物学的、化学的(放射性を含む)、または物理的危害に汚染されるかもしれない。表 3-1 に潜在的危害の例を挙げるが、網羅的ではない。

表3-1 潜在的危害の例

危害の分類 危害のサブ分類 例

生物学的 細菌 ・ セレウス菌

・ カンピロバクター・ジェジュニ

・ ボツリヌス菌

・ ウェルシュ菌

・ O157:H7などの志賀毒素産生性大腸菌

・ リステリア・モノサイトゲネス

・ サルモネラ菌

・ 赤痢菌

・ 黄色ブドウ球菌

生物学的 原虫および寄生虫 ・ クリプトスポリジウム・パルバム

・ シクロスポラ・カイエタネンシス

・ ランブル鞭毛虫

・ 旋毛虫

生物学的 ウイルス ・ ノロウイルス

・ A型肝炎

・ ロタウイルス 化学的 残留農薬 ・ 有機リン化合物

・ カーバメート剤

・ 塩素化炭化水素

・ ピレスロイド 化学的 重金属 ・ 鉛

・ ヒ素

・ カドミウム

・ 水銀 化学的 残留薬剤(動物用抗

生物質)

・ クロラムフェニコール

・ βラクタム系抗生物質

32 化学的 工業化学物質 ・ アンモニア 化学的 環境汚染物質 ・ ダイオキシン 化学的 マイコトキシン ・ アフラトキシン

・ パツリン

・ オクラトキシン

・ フモニシン

・ デオキシニバレノール

化学的 アレルゲン ・ 牛乳、卵、魚、甲殻類、ナッツ類、落花生、

小麦粉、大豆(一般的に「8大」と呼ばれ る)

化学的 未承認の着色添加物 および添加物

・ FD&C赤色4号

・ メラミン 化学的 食物不耐性または食

物関連疾患に関連す る物質

・ ラクトース

・ 黄色5号

・ 亜硫酸塩

・ カルミンおよびコチニール

・ グルテン

化学的 放射性核種 ・ ラジウム226および228

・ ウラン235および238

・ ストロンチウム90

・ セシウム137

・ ヨウ素131 物理的 該当なし ・ 金属

・ ガラス

・ 硬質プラスチック

本ガイダンスの第2章で論じたように、危害分析を行う時は生物学的、化学的、および物理的危害 が原材料およびその他の成分(成分関連危害)、工程(工程関連危害)、および食品生産環境(施設関 連危害)に関連する可能性を考慮しなければならない(21 CFR 117.130)。第2章では以下の分野で潜 在的危害を特定する際に考慮すべき質問の例も挙げている。

・ 成分

・ 固有の要因

・ 加工手順

・ 食品の微生物含有量

・ 施設の設計

・ 設備の設計、用途

・ 包装

・ 従業員の健康、衛生、教育

・ 包装とエンドユーザーの間の保管状態

本章全体にわたり、上記に列挙した問題および要因を考慮して、潜在的な生物学的、化学的、およ び物理的危害を成分関連危害、工程関連危害、および施設関連危害の観点から論ずる。

3.3 生物学的危害

危害分析を行って、寄生虫、環境病原体、およびその他の病原体などの微生物学的危害をはじめと する、既知または合理的に予見可能な生物学的危害を特定および評価しなければならない。21 CFR

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117.130(b)(1)(i)を参照。危害分析で予防管理を要する既知または合理的に予見可能な生物学的危害を 特定した場合は、その生物学的危害のための予防管理を特定し実行しなければならない。21 CFR 117.135(a)(1)を参照。

本ガイダンスが主眼を置く生物学的危害は、食品または食品加工作業に関連し、消費者に不調また は疾患を引き起こしかねない病原菌(サルモネラ菌、リステリア・モノサイトゲネス、ボツリヌス菌、

およびO157:H7などの志賀毒素産生性大腸菌(STEC)など)である。その他の生物学的危害、ウイル

ス(ノロウイルスおよび A 型肝炎など)および寄生虫(クリプトスポリジウム属原虫およびランブ ル鞭毛虫など)も不調または疾患を引き起こすことが知られているが、これらは一般的には施設の現 行の適正製造規範(CGMP)(労働者の衛生および疾患管理など)および未加工農産物を施設に供給 する農家に関する「ヒトが消費する農産物の生産、収穫、梱包および保管に関する基準」(21 CFR part 112)(労働者の衛生および疾病管理、水の安全性など)と題する私たちの規制に従うことによって対 処される。

病原菌に汚染されうる食品は以下となりうる。

・ 成分関連危害―すなわち、原材料およびその他の成分から混入

・ 工程関連危害―例えば、病原体が以下の場合

〇 病原体を著しく最小限化するための加工を生き延びる

〇 時間/温度管理の欠如または食品の組成を原因として増殖する

〇 低酸素包装を用いた結果、食品内で選択的に増殖および/または毒素産生する

・ 施設関連危害―例えば、病原体が以下から混入する場合

〇 食品加工設備(例えば、不衛生な設備および用具)

〇 未加工食品と調理済み食品の間の交差汚染

〇 外気

〇 汚染された水または下水

・ 人員関連危害―例えば、包装または加工中に製品を扱う人員が原因。(そのような人員関連危害は CGMP(例えば、労働者の衛生および疾病管理)に従うことによって管理されることがある)

食品に混入されうる生物学的危害の源について詳しくは本ガイダンス付録1の表1Aから1Qおよ

び表3Aから3-を参照。

病原菌は胞子を形成するか(「胞子菌」)栄養細胞としてのみ存在して胞子を形成しないか(「非胞 子菌」)に基づいて分類できる。胞子は胞子状態にとどまる限りは危険ではない。しかし、胞子は通 常は胞子菌と非胞子菌のどちらの栄養細胞も死滅させる熱、化学物質、およびその他の処理に対して 極めて耐性が強い。その結果、胞子が懸念される場合、それらの死滅に用いられる工程は栄養細胞の 死滅に必要なものよりしばしばはるかに厳格である。

胞子が栄養細菌の死滅を意図した加工段階を生き延びた場合、発芽および栄養細胞としての増殖を 可能とする条件にさらされると、それらは食品内で危害となる可能性がある。加工段階が競合の大半 を除去した時には、これは特に深刻となりうる。したがって、死滅段階後に残る胞子菌の管理には、

pH 低下または水分活性(aw)または温度管理(冷蔵または冷凍)などのその他の管理が必要となる可 能性がある。

食品媒介病原体の特徴はそれぞれ異なるので、特定の病原体管理のために特定および実行する予防 管理はその特定の病原体の特徴に基づくものでなければならない。生物学的危害に関する本セクショ ンの残り部分で一般的な栄養および胞子形成食品媒介病原体の特徴を概説する。詳しくは FDA の Bad Bug Book (FDA 2012c)を参照。

表 3-2 は生物学的分類および施設の潜在的発生源またはエントリーポイントによる潜在的病原体 特定に役立つクイックレファレンスガイドである。表3-2に列挙された潜在的危害は全ての施設に当 てはまるものではない。

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表3-2 生物学的危害の一般的発生源のクイックレファレンスガイド

主要な発生源 細菌 寄生虫 ウイルス

成分関連(原材料お よ び そ の 他 の 成 分 の汚染など)

サルモネラ菌(鶏肉、農 産物、ナッツなど)

O157:H7 などの大腸菌

(反芻動物、落果、スプ ラウトなど)

カンピロバクター属(鶏 肉および生乳など)

セレウス菌(コメおよび その他の穀物など)

ボツリヌス菌(土壌およ び一部の根菜に胞子が 見つかることがある)

ウェルシュ菌(香辛料な ど、農産物に付いた土か らもたらされることが ある)

リステリア・モノサイト ゲネス(未加工農産物、

成分として用いられる その他の汚染された製 品など)

クリプトスポリジウ ム・パルバム(成分 として用いられる汚 染水)

シクロスポラ・カイ エタネンシス(ベリ ー類)

トキソプラズマ(食 肉)

ノロウイルス(農 産物、甲殻類)

A 型肝炎ウイル ス(農産物、果実)

工程関連(供給業者 に よ る 場 合 も 含 め た、不十分または効 果 の な い プ ロ セ ス 管理など)

サルモネラ菌は不十分 な熱処理を生き延びる ウェルシュ菌(不適切に 冷却された調理済み食 品)

リステリア・モノサイト ゲネス(未加工農産物、

汚染された製品)

クリプトスポリジウ ム・パルバム(汚染 された水源)

該当なし

施設関連(不十分な 衛 生 管 理 に よ っ て 引 き 起 こ さ れ る こ とがある)(潜在的 潜 伏 場 所 の 不 十 分 な洗浄および殺菌、

不 適 切 な 工 場 お よ び設備設計、および 不 十 分 な 害 虫 管 理 など)

リステリア・モノサイト ゲネス(床、冷えた湿潤 エリア、設備、配水管、

凝縮液、冷却機、および 土壌など)

サルモネラ菌(害虫)

該当なし ノロウイルス(嘔 吐 お よ び 下 痢 を 通 じ て 施 設 内 で 積 極 的 排 出 が 起 こる場合のみ)

ヒト関連(疾患の兆 候 を 見 せ な い 保 有 者 、 危 害 を 排 出 す る、または感染して 不調が続く個人)

黄色ブドウ球菌 赤痢菌

サルモネラ菌

クリプトスポリジウ ム・パルバム

A 型肝炎ウイル ス

ノロウイルス ロタウイルス